アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第143話

辺り一面に静かな時間が流れる。それは哀しくも儚い、そして暖かい。そんな不思議な時間だった。

 

秋水「この男の処理は俺が!!お兄様を殺したこの屑を!!」

 

荒い口調になりながら、秋水は男に銃口を突き付けた。

 

幸太郎「待って!!」

 

これに待ったをかけた幸太郎は、松陽の元から離れ、秋水達に近づいた。

その目には、まだ涙が浮かんでいた。

 

秋水「ですが!!この男を生かしておけば、寿家への、いえ・・・お兄様への侮辱になります!!」

 

幸太郎「パパが言ってた、命の大切さ。そして寿家当主の想いが心でわかった。たがら、寿家当主として命令する!!その男に相応の報いを!!」

 

幸太郎の目は、覚悟と執念が込められていた。

そしてその命令は、ある意味後戻りが効かない事を意味してる。

 

それを誰もが理解していたのか、誰も幸太郎の顔を見ることが出来なかった。

 

ロゼット「わかりました。後は我々が。おいこいつを運び出せ!」

 

ロゼットの命令で男は、車に担ぎ込まれそのまま発車した。

 

一夏「すまんロゼット。俺も何か手伝いたいけど、どうすれば良いか・・・。」

 

ロゼット「気にするな。お前は幸太郎様の心のケアを。俺にはこんな血生臭い事しか出来ん。そんな俺とお前でこれからは幸太郎様を支えていかねばならん。」

 

こうして、長くて短い朝が終わってしまった。

 

大きな者を喪い、そして当主としての宿命を果たした。幸太郎にとって、二度と忘れる事が出来ない一日となってしまったのだった。

 

そして、幸太郎は世間に対して正式に二代目寿家当主であることを宣言し、ここに宗次郎の時代は終わり、文字通り一つの歴史に幕が降りることとなった。

 

~~~寿家~~~

 

宗次郎「聞こえるか?お前達の息子は、立派に俺を継いでくれた。この俺の全てを越えるのに、そう時間はかからんだろうな。これでジジイは文字通り隠居だな。」

 

桜華「そうね。貴方は激動の歴史でしたからね。これからは、若者達が世界を作っていくのが良いわね。」

 

二人は、松陽と奈々の墓に手を会わせながら語りかけていた。

その表情は寂しくも満足した表情をしていた。

 

宗次郎「そう言えば、幸太郎は?」

 

桜華「ええ。これからの事を話し合いたいって主だった者を集めて会議をしてるわよ。」

 

宗次郎「そうか・・・。はぁ、この俺が隠居か。案外寂しいと思ったが、そうでもねぇな。やっぱ、それだけ後続の連中がしっかりしてるからかな?」

 

桜華「そうね。私達に頼る事の無い。そんな力強い皆が、幸太郎を支えてくれますよ。」

 

そう言って二人は、手を繋ぎながらゆっくりと歩き出した。

 

~~~会議室~~~

 

一夏「全く、スーツはあんまり着たことないから、違和感が凄いな。」

 

ロゼット「そんな事、これから言ってはいられん。俺達が公の場に出る事は増えるからな。なぜなら、俺は幸太郎様の右腕。そしてお前は俺のサポートだからな。」

 

そう言ったロゼットを見て、少し釈然としなかった一夏は、ムッとした。

 

一夏「確かに前はそう言ったが、俺も幸太郎の・・・、いやもう呼び捨ては駄目だな。幸太郎様の右腕に相応しいかもよ?」

 

ロゼット「あ?お前ごときがだと?喧嘩売ってんのか?」

 

二人が一触即発になりそうになったが、そこをリズリーが拳骨を頭に与えた。

 

リズ「そんな下らない事は、後でしなさい!もうすぐ幸太郎様がお見えになる。失礼の無いように!」

 

そんな事をしてると、会議室のドアが開き、幸太郎が入ってきた。

 

幸太郎「遅れてごめんね?じゃあ、会議?を始めようか。」

 

こうして未来永劫語り継がれる、愛と平和を目指した二代目寿家の歴史は、始まったのだった。




これにて!これにて、無事に最終回です!
皆様!無駄に時間をかけて本当に申し訳ございません!!

ここまで応援してくださり、本当にありがとうございました。
皆様の応援が、モチベーションになっていました!

ここで最終回になりましたが、これからは後日談や過去話等を投稿していきます。
よろしければ、そちらも見てくだされば幸いです!

では、ここで一端の終わりとさせて戴きます。
本当にありがとうございました!

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