松陽「さぁ、どうする?引き金を引くのか!引かないのか!」
松陽がそう言うと、アルベルトは銃口を男に向けた。
そして目を瞑った。
一夏「だめだ!!そんな事は間違ってる!!早まっちゃだめだよアルさん!」
マイルナ「そうよ。お願い・・・。」
アル「だが、俺はこいつが憎い!!なんども殺してやりたかった!こいつを殺さなきゃ、お前の汚点が!!」
マイルナ「そんな事は無いわ!!確かに私はその男に汚された。でも、貴方と過ごしてきたこれまでが、私に意味をもたらしてくれた筈よ!!
貴方を愛し、貴方に愛されたこれまでを無駄にしないで!!」
マイルナは大粒の涙を流しながら訴えた。
その言葉を聞き、アルベルトは血が出るほど強く唇を噛み締めていた。
マイルナ「私の過去も愛してくれた貴方が、そんな貴方のままでいて!そんな貴方を愛しさせて!!」
松陽「さぁ、そろそろ答えを聞かせて貰おう。殺すのか生かすのか!」
アル「俺は決着をつけなきゃならない・・・。その為に生きてきた。血塗られた俺に出来る、唯一の愛のお返しだと思ってる。」
そう言って男のこめかみに、銃口を突き付けた。
アル「この一発で俺の目的は果たせるんだ。」
男「ま、待て本気でうつきか!!止めろ止めてくれ!!」
アル「だがよ、今の話を聞いちまうとな・・・。どうしても引き金が重くなるんだよ・・・。これまで散々人を撃ってきたのに!!」
アルベルトは涙を流していた。
そして、銃をその場に捨ててしまった。
アル「俺はマイルナを愛してるつもりだった。でもよ、こいつを殺しちまうとよ、マイルナの過去を否定してるみたいって考えちまう。マイルナの全てが、俺のこれまでの全て。そしてこれからの全てなのによ!!」
アルベルトはそう言って、その場に泣き崩れてしまった。
そしてアルベルトの元に、マイルナは駆け寄り、泣きながら抱き締めていた。
松陽「見たね幸太郎。これでアルベルトは、本当に君を支えてくれる重鎮になったんだ。手荒かと思うが、こうでもして追い詰めなくちゃ、人間の本質は理解出来ないんだよ。」
そう言って松陽は、幸太郎の頭を撫でていた。
一時はどうなるかと思われた惨劇だったが、これにて無事に幕をおろした。
と誰もが思っていた。
男「ふざけるな・・・どいつもこいつも俺をなめやがって!!」
地面に捨てられていた銃を男が拾うと、その銃口を幸太郎に向けていた。
男「死ね!!!」
そして一発の銃声が、朝の港に響いていた。
銃弾は狙い通り、幸太郎目掛けて発射されてしまった。
誰もが突然の事に唖然とし、動き出しが遅れてしまっていた。
松陽「だ、だから言ったでしょう。貴方を護る・・・。それがどの様なものか。」
だが、銃弾は幸太郎に当たることは無かった。
放たれた銃弾は、すんでの所で文字通り身を呈した松陽に命中したのだった。
お久し振りです!
本当にお待たせしました!!
会社の研修やらなんやらで、文字通り創作意欲?が出ませんでした!!申し訳ありません!
いよいよ予定では、あと2話ほとで閉幕の予定ではあります。
ですが、閉幕しても後日談や短編なんかを出してく予定ではあります。
ぜひ、一応の最後までお楽しみ下さい