次の日、一夏達はLINEで送られてきた指定の場所に来ていた。少し肌寒くなってきた朝の風が肌に刺さったが、妙な緊張とこれから何が起こるのかの不安のせいで、体は火照っていた。
一夏「一応時間までは、あと20分あるな。でも、回りには何も変わった物はないけどな・・・。」
アル「なんだお前達も来てたのか。」
声のする方を振り返ってみると、そこにはアルベルトがいた。
互いに驚いた表情をしていたが、やはりアルベルトも事情をしらなかったのか、少し不安そうな雰囲気を醸し出していた。
マイルナ「どうして貴方もここにいるのよ!?」
アル「見知らぬLINEが来たと思ったら、場所と時間の指定があったんだよ。しかも、ロゼットにも連絡が取れん。妙な胸騒ぎがしてな。」
すると、遠くから、車の音が近づいて来ていた。
大きな車が到着したかと思えば、その中からロゼット、秋水、リズリーが出てきた。
千冬「リズ、貴方まで!」
リズ「すまない千冬・・・。私が自分で首を突っ込んだばかりに、こんな事に。」
一夏「おいロゼット!これはどう言う事だよ!」
ロゼット「黙ってろ。これから起こることを静かに見届けるんだ。」
秋水「余計な無駄口を叩かなくても良い。さて、そろそろ来る頃かな。」
すると反対側から、もう一台の車がやって来た。
その車からは、幸太郎と松陽が降りてきた。
幸太郎「あれ?こんな朝早くから皆揃って、どうかしたの?パパが見なくちゃいけない物があるって言ってたけど?」
松陽「幸太郎、今からお前が・・・いや、お前に服従する事の意味と覚悟をみせるんだよ。さてアルベルト、こっちに来なさい。」
明らかに何時もの雰囲気とは違う松陽に、違和感があったが、アルベルトは言われた通りに近づいて言った。
そして一夏達と幸太郎達の中間らへんに来たとき、リズリーから一丁の拳銃を手渡された。
アル「お、おいリズ。これはなんの真似だ。」
そして松陽が指を鳴らすと、部下が一人の人間を連れてきた。
その男は、アルベルトが殺したいほど憎んでいたマイルナの父親だった。
アル「何をしようとする気なんですか松陽さん!」
松陽「お前に渡した拳銃には、弾が1発だけ入っている。それでその憎き男を撃ち殺せ。」
松陽からの提案に、一夏達は驚きを隠せなかった。
松陽「お前には選択肢、そして一つ条件をあたえる。」
松陽「もしそいつを殺さなければ、そいつは無罪放免。今後何をしようとも罪に問えず、マイルナと暮らしてもらう。」
アル「な、なんだと!!正気なのかよ!!」
松陽「そしてもう一つの選択肢だ。もしそいつを殺せば、お前は今後一切、幸太郎に近づくことを禁止する。」
幸太郎「え?それってどうしてなの!?」
松陽「良いかい幸太郎。もしアルベルトが自分の事情で動いたのなら、それから先お前か家族、それを天秤にかける日が来てしまう。」
松陽「だが、そんなレベルの人間は不必要だ。幸太郎・・・いや、寿家当主に服従する人間に、余計な感情はいらない。必要な事は当主の為だけに動くことだ。その為には、仲間だろうが家族だろうが捨て去り行動する。そんな人間だけいればいいんだよ」
まさかの事態です!!
愛する人の為の復讐か、支える人間への忠義か。
最悪と言って良い程の選択肢ですね!
これは・・・、どうなってしまうんでしょう!