アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第140話

次の日、一夏達はLINEで送られてきた指定の場所に来ていた。少し肌寒くなってきた朝の風が肌に刺さったが、妙な緊張とこれから何が起こるのかの不安のせいで、体は火照っていた。

 

一夏「一応時間までは、あと20分あるな。でも、回りには何も変わった物はないけどな・・・。」

 

アル「なんだお前達も来てたのか。」

 

声のする方を振り返ってみると、そこにはアルベルトがいた。

 

互いに驚いた表情をしていたが、やはりアルベルトも事情をしらなかったのか、少し不安そうな雰囲気を醸し出していた。

 

マイルナ「どうして貴方もここにいるのよ!?」

 

アル「見知らぬLINEが来たと思ったら、場所と時間の指定があったんだよ。しかも、ロゼットにも連絡が取れん。妙な胸騒ぎがしてな。」

 

すると、遠くから、車の音が近づいて来ていた。

 

大きな車が到着したかと思えば、その中からロゼット、秋水、リズリーが出てきた。

 

千冬「リズ、貴方まで!」

 

リズ「すまない千冬・・・。私が自分で首を突っ込んだばかりに、こんな事に。」

 

一夏「おいロゼット!これはどう言う事だよ!」

 

ロゼット「黙ってろ。これから起こることを静かに見届けるんだ。」

 

秋水「余計な無駄口を叩かなくても良い。さて、そろそろ来る頃かな。」

 

すると反対側から、もう一台の車がやって来た。

 

その車からは、幸太郎と松陽が降りてきた。

 

幸太郎「あれ?こんな朝早くから皆揃って、どうかしたの?パパが見なくちゃいけない物があるって言ってたけど?」

 

松陽「幸太郎、今からお前が・・・いや、お前に服従する事の意味と覚悟をみせるんだよ。さてアルベルト、こっちに来なさい。」

 

明らかに何時もの雰囲気とは違う松陽に、違和感があったが、アルベルトは言われた通りに近づいて言った。

 

そして一夏達と幸太郎達の中間らへんに来たとき、リズリーから一丁の拳銃を手渡された。

 

アル「お、おいリズ。これはなんの真似だ。」

 

そして松陽が指を鳴らすと、部下が一人の人間を連れてきた。

 

その男は、アルベルトが殺したいほど憎んでいたマイルナの父親だった。

 

アル「何をしようとする気なんですか松陽さん!」

 

松陽「お前に渡した拳銃には、弾が1発だけ入っている。それでその憎き男を撃ち殺せ。」

 

松陽からの提案に、一夏達は驚きを隠せなかった。

 

松陽「お前には選択肢、そして一つ条件をあたえる。」

 

松陽「もしそいつを殺さなければ、そいつは無罪放免。今後何をしようとも罪に問えず、マイルナと暮らしてもらう。」

 

アル「な、なんだと!!正気なのかよ!!」

 

松陽「そしてもう一つの選択肢だ。もしそいつを殺せば、お前は今後一切、幸太郎に近づくことを禁止する。」

 

幸太郎「え?それってどうしてなの!?」

 

松陽「良いかい幸太郎。もしアルベルトが自分の事情で動いたのなら、それから先お前か家族、それを天秤にかける日が来てしまう。」

 

松陽「だが、そんなレベルの人間は不必要だ。幸太郎・・・いや、寿家当主に服従する人間に、余計な感情はいらない。必要な事は当主の為だけに動くことだ。その為には、仲間だろうが家族だろうが捨て去り行動する。そんな人間だけいればいいんだよ」




まさかの事態です!!
 
愛する人の為の復讐か、支える人間への忠義か。
最悪と言って良い程の選択肢ですね!

これは・・・、どうなってしまうんでしょう!

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