一夏「ア、アルさん・・・。」
席から立ち上がり、ドアから出ていこうとするアルベルトの手を、一夏は咄嗟につかんだ。
ここでアルベルトを行かせてしまうと、折り返しがつかないと本能的に察したからであった。
アル「なにすんだ?まさかと思うが、邪魔をするつもりじゃ無いだろうな?」
一夏「アルさん、一旦落ち着いて下さい!!いきなりどうしたんですか!?」
アル「邪魔するなクソ餓鬼が!!」
アルベルトは一夏の手を振りほどき、一夏に攻撃を仕掛けた。
さっきまでの特訓とは違い、殺意しか感じられない攻撃に、一夏は特訓の成果が出てきたのか、すんなり避けることが出来た。
それがより怒りを溜めたのか、ついにアルベルトは拳銃を取り出した。
千冬「何をしてるんですか!!」
咄嗟にその拳銃を、千冬は奪い取った。
アル「なんだ、お前まで邪魔すんのか・・・。」
そう言うとアルベルトは、廻し蹴りを千冬に繰り出した。
突然の攻撃に千冬は反応できず、アルベルトを蹴りが腹に命中してしまい、壁に叩き付けられてしまった。
そして落ちた拳銃を広い、アルベルトは千冬のこめかみに拳銃を突き付けた。
アル「死ね。」
アルベルトが引き金を引こうとした瞬間、間一髪扉を開けたリズリーがアルベルトの手を銃撃した。
リズ「お兄様、お気持ちは痛いほどわかります。ですが、落ちつ・・・。」
アル「邪魔なんだよそこどけ。」
一瞬の隙をついて間合いを詰めたアルベルトが、リズリーの胸ぐらを掴みながらそう言った。
リズ「いえ!退けません!!貴方を人殺しにするわけにはいきません!!」
アル「いまさら関係ねぇ。あいつは俺が殺さなきゃいけないんだよ。その為に、技術を身に付けたんだからよ。」
あまりにも緊迫した空気に、一夏も千冬も動けなくなっていた。
リズ「どうしてもと言うなら、私を殺してからにしてください!!」
アル「お前ごときが、俺に勝てると思ってるのか?」
リズ「無理でしょうね。おそらく、お兄様が本気で私を殺す気なら、10分も持たないでしょう・・・。ですが、お兄様とマイルナさんを護る為にもここを退くわけには行きません!!」
アル「そうか・・・。なら死ね!!」
マイルナ「待って!!」
二人の衝突を、マイルナが寸前で止めることが出来た。
マイルナ「お願い。これ以上は、止めて・・・。私の愛するアルベルトのままでいて・・・。」
マイルナはすがるように泣きつき、アルベルトに頼み込んだ。
アル「すまない。俺のしようとしてる事が、破滅しか無いことくらい分かってる。お前やリズ、それに幸太郎にも迷惑がかかることもな。」
アル「だが、それでも良い・・・。幸太郎からの信頼を失おうが!俺を慕ってる一夏を傷つけようが!愛するお前からの愛を捨てようが、俺が奴を殺さなきゃ、俺がお前の因縁を絶ち切らなきゃならねぇんだよ!!」
そう言ってアルベルトは部屋から出ていった。
そんな様子を、物陰から見ていた一人の男が秋水に電話をかけていた。
秋水『そうですか。予定通り動き出しましたか。』
秋水『わかっています。必ず成功させますよ。それに、万が一の事が起きたとしても、幸太郎くんには被害を及ぼしませんよ。』
秋水『はい。では、許しを得ているので幸太郎くんを誘拐させて貰います。』
一触即発の状態ですね。このままだと、悲劇しか起きなさそうですね。
それに、秋水と電話をしている相手は誰なのでしょうか。
誘拐だなんて、ただ事では無さそうですけど・・・。