アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第131話

次の日、一夏が特別レッスンをしていると聞き千冬は様子を見に来てみた。

 

そっと覗いてみると、何故か一夏は目隠しをしながらスクワットをしていた。

そしてその横で、スポーツチャンバラの刀を持ったアルベルトが立っていた。

 

余りの意味不明な光景のため、思わず千冬は中に入っていった。

 

千冬「特訓をしていると聞いたのだが、これは何をしてるんですか?」

 

アル「ん?あぁ、これは一夏の感覚を鋭くする為の秘密のレッスンだよ。」

 

そう言ってアルベルトは、一夏のこめかみめがけて刀を降った。

 

いままでリズムよくスクワットをしていた一夏だったが、目隠しをしているにも関わらずタイミングなどお構いなしに刀をスクワットの要領でかわした。

 

アル「な?凄いだろ?まさか、2日でここまでのレベルまでこれるなんてな。やっぱ、センスあるわお前。よし、休憩。」

 

一夏「ありがとうございます。アルさんの教え方が上手いんですよ。あ、千冬姉も来てたんだ。」

 

筋トレと感覚トレーニングの双方を兼ね備えた、ある意味自分では思い付かない様なやり方に千冬は感心していた。

 

一夏「今の俺なら、千冬姉の出席簿も簡単に交わせるかもよ?」

 

一夏が得意気に言うと、呆れながらアルベルトがツッコミを入れた。

 

アル「調子のんな。幼稚園児のプールで顔をつけれる様になったカナヅチが、太平洋を泳いで横断できると思ってるのか?」

 

一夏「幼稚園児の・・・って、まだそんな初歩的な部分しかいって無いって事ですか!?」

 

アルベルトの分かりやすく、ユーモアな例えに思わず千冬は吹き出してしまった。

 

千冬「そんなに私の攻撃が避けれると言うなら、いますぐ実行してみるか?何事も行動しなくてはわからないだろ?」

 

一夏「じ、冗談だよ。そんなに本気にしなくても・・・。」

 

アル「今お前がするべき事は、攻撃させるという感覚を覚えてそれに反応出来る様にならなきゃいかん。

それが出来なければ、はっきり言って無意味だからな。」

 

その為には、全身の筋力及び、反射神経、瞬発力を高める必要があるとアルベルトは付け足した。

 

一夏「そう言えば、ふと思ったんだけど、アルさんが見せた一流の攻撃って千冬姉にも通用するんですか?」

 

一夏の質問に千冬は意味がわからなかったが、アルベルトは腕を掴み組みながらふと考えた。

そして面白い事を思い付いた様にニヤリと笑った。

 

アル「確かに。それは面白いな。表社会最強と言っても過言では無い織斑千冬に、裏社会最強の実力が通用するか・・・。ものは試しようだな。

おい千冬、今からこの刀で攻撃するから旨く避けてみろ。」

 

千冬「はぁ、良くわからんがやるからには真剣にさせて貰います。」

 

ある程度の距離を取った二人は、たがいに向き合った。

十分警戒する千冬に対し、相変わらず様子が変わらないアルベルトに、一夏は流石としか思えなかった。

 

二人が対峙していくら時間がたったかわからなかった。

だが、アルベルトが素早く動き千冬の頭をやさしく叩いた。

 

アル「流石はブリュンヒルデ。中々隙が見当たらなかったぜ。」

 

千冬「い、いつの間に・・・。むかってくる気配すら感じなかった。まさか、これを一夏に目指させるつもりですか?」

 

アルベルトの技量への感服。そしてあまりの高等すぎるテクニックに千冬は心配そうに一夏を見た。

 

アル「んな訳。流石の俺でも、センスがあるこいつをここまでにするのは2~3年休みなく特訓しなきゃ、無理かもな。」

 

けらけらとアルベルトは笑いながら言った。

 

そして、千冬に勝ったアルベルトの技量を改めて凄すぎると一夏は痛感したのであった。




一夏秘密のトレーニングです。
確かに、目隠ししてスクワットって、訳を知らなければ異様な光景かも知れませんね。

そしてアルベルトVS千冬の夢の対決!!
アルベルトは、まさに最高峰と言えますね。そんな男に直接指導して貰えるなんて、贅沢極まりないですね。

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