アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第127話

次の日、一夏は困惑していた。

それもそのはず、昨日のあの男が教壇に立っていたからである。

 

なんでも、就任した仕事の一環としてIS学園に挨拶をしに来たのだという。

 

秋水「どうも皆様初めまして。私が新しく総理大臣に就任しました。寿 秋水です。色々と質問があるかも知れませんが、私と寿家との関係性については答える気はありません。」

 

この発言に幸太郎と関わりをもつ数人は少しざわついたが、とりあえず落ち着いていた。

 

セシリア「ではご質問があります。貴方はどうして総理大臣になったのですか?」

 

ごく普通の、ありふれた質問だったが秋水の本質を見抜きたい一夏にとっては、最高の切っ掛けになった。

 

秋水「そうですね・・・。結論から申しますと、男性の地位向上です。ISが台頭していらい、世界中で男性が虐げられ苦しい想いをしてきたと感じています。それにより、この中でも良い想いをした生徒もいるのではありませんか?」

 

秋水の言葉に心当たりがある生徒は、罪悪感や嫌悪感から下を向いていた。

 

秋水「ですが、ISが悪い訳ではありません。問題なのは、ISの地位を守りつつ、男性が過ごしやすい環境を整える必要があるのです。世界のトップは未だに男性が多く、それこそ政治の世界では男尊女卑が蔓延っていると言っても過言ではありません。それは遥か昔からの考えなのか、根本的に解決する兆しはありません。」

 

秋水「言い換えれば、ISも政治も大まかに言えば同じなのです。ですが、政治は寿家を中心にして国際連盟の下、1つに。そしていずれは男女の格差など無くなると思います。いえ、必ず無くなります。ではISはどうですか?女性のみが動かせる。その事実のせいで今後、今の現状は変わりません。」

 

秋水「ならば今一度、考えを変えて行かなければなりません!!女性のみが動かせるから凄いのではなく、ISは女性が動かせるだけの物と思えば良いのです。分かりやすく言えば、スカートやブラジャーと同じです。それを実現する事が、私に託された使命だと実感しております。」

 

秋水の熱弁に、教室には拍手が巻き起こった。

生徒も、心のどこかには今の世の中を変えたいと思っていた。

 

だが、女性である自分達がそんな事を言えば男性からの支持は得られるのかわからなかったからである。

 

秋水「さて、私の話はこれくらいですかね。では皆様、私のこの夢物語はすぐには実現しないかも知れませんが、いずれ必ず実現させます。それを楽しみにしていてください。」

 

そう言って秋水は教室から出ていった。

 

秋水の話を聴いた一夏だったが、どうしても秋水を信じきれなかった。

うそは言っていない。でも、どうしてもあの男は違うと確信していたからだ。

 

~~~廊下~~~

 

一仕事終えた秋水は、腕時計を確認していた。

 

松陽「相変わらずお前の話を聞いていると、吐き気がする。いい加減猫を被るのを止めたらどうだ。」

 

秋水「なんだ。誰かと思えばお前か。」

 

松陽に止められた秋水の顔は、先程まで自分の夢を語っていた男とは思えない程の顔をしていた。




秋水の一応のマニフェストがわかりましたね。
ですが、どことなく信用出来ない気もしますが。

そして松陽は秋水について何かしら知っているみたいですね。
まぁ、寿の姓を持つ人間ですので何かしらの関わりがあるのは当たり前ですか。

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