次の日、いつものようにIS学園は通常通りに始まり教室には今までと同じ様な光景が広がっていた。
だが、一夏は浮かない顔をしていた。
それもその筈である。突然国際連盟会長を就任させられたからである。
そして一夏の机には、広辞苑を三冊まとめたと思える程の分厚い本が置かれ、それを数ページ読みながら一夏は深いため息を吐いた。
一夏「各国の情報や、加盟した動機や今後の方針が書かれたこれを読めって・・・。もう逃げられないんだなぁ。はぁ・・・。」
箒「どうした一夏?朝からそんな辛気臭い顔をして。それに昨日はどこで何をしてたんだ?」
シャル「そうだよ一夏。昨日ホテルを探したけど、何処にもいなかったじゃん。」
セシリア「そうですわ。それに、校舎の所々がめちゃくちゃになってますけど、それと関係があるのですか?」
次々と質問をされた一夏は、今置かれている状況と合わせてテンパってしまい、少しなみだめになってしまった。
千冬「お前達、チャイムの音が聞こえなかったのか?今すぐ座らなければ、わかっているな?」
千冬の一括で生徒達は自分の席に急いで着席した。
シャル「そう言えば織斑先生、ラウラの姿が見えないのですが。」
千冬「あぁ、アイツならもうすぐ来るはずだ。全く、本人も余計な心配はしなくても良いと言ってたのにな。」
千冬がそう言うと同時に、教室のドアが開いた。
そこには、幸太郎の肩を支えながら入ってきたラウラと束の姿があった。
幸太郎「ほら俺はもう大丈夫だから、ラウラは授業、束は仕事に戻らなきゃ。」
ラウラ「ダメだ!!嫁を守るのは、私の勤めなんだ。昨日まで眠っていた嫁の側には、私がいてやらねばいかん。」
束「そうだよ!!それに、マイルナさんから聞いたけど、昨日は側にいてあげられなかったんだよ?だからこそ、私が幸太郎を支えてあげなきゃ!!」
恐らく、ここに来るまでに散々幸太郎の取り合いをしていたのか、ラウラと束は何時ものように対立していた。
そして一夏は、幸太郎が入ってくると覚悟とある種の罪悪感に苛まれながら幸太郎の前まで歩いていった。
幸太郎「あっ、一夏。アル兄やお姉ちゃんから聞いたけど、なんか凄いお偉いさんになったんだってね。」
一夏「はい。幸太郎さんが眠ってる間に、俺とロゼットが国際連盟の会長になりました。幸太郎さんに負担はかけないつもりですが、知らぬ間に気苦労をかけるかも知れません。」
幸太郎「大丈夫だよ。アル兄の推薦なんだから、俺は何も心配してないよ。」
一夏「そう言って貰えるのなら、本当に幸いです。はぁ、一年くらい誰にも見つからない場所で静かに暮らしたいよ。」
いつもなら弱音を吐くなと言いたい千冬だったが、一夏の置かれている立場を考えると、とてもじゃ無いがその言葉が出ず、少し同情すら感じてしまうのだった。
普段通りの日常、いつもの平穏な生活に皆は戻りましたね。
まぁ、若干1名はノンストップで濁流に飲み込まれてますが・・・。
流石に一夏の置かれている立場を考えたら、誰もがそう考えてしまうのも致し方無いかも知れないですね。
がんばれ一夏。それしか言えません。