アル「だがまぁ・・・あいつの、必要な事なら簡単に切り捨てられる所は、今後の幸太郎を支えて行くには必要な要素でもあるんだがな。けどあいつはやり過ぎな所もあるからな。ぎゃくにお前みたいなやつにストッパーになってもらおうと思ってるんだ。」
アル「お前ら二人がしっかりと協力してくれるのなら、今後の寿家。ひいては幸太郎の為になるんだが、あいつは似てるんだよ。」
アルベルトは首筋を撫でながら、深くため息を吐いた。
一夏「似てるって、誰に似てるんですか?」
アル「あぁ、それはな・・・悪い意味で松陽さんに似ているんだよ。けどまぁ、松陽さんと比べれば可愛いもんだが。」
そう言ってアルベルトは、昔の話をし始めた。
~~~昔の話~~~
確か15年くらい前になるかな。詳しい事は言いたくないが、マイルナをバカにしやがったクソ野郎どもがいてな、俺は怒りのあまりにそいつらを結果として殴り殺してしまってな。
それは松陽さんが色々してくれて、うやむやになったんだがそのことを松陽さんに直接謝りにいったんだが・・・。
アル「すみませんでした。今回は俺のせいで。」
松陽「大丈夫ですよ。アルくんやマイルナちゃんになんにも被害が起きてないなら、どうでも良い話ですよ。」
アル「どうでも良いって!!俺は殺人を犯したんですよ!」
松陽「でもそれは二人には、まったく関係のない物だったんだよね?だったらたかだか三人程度、あっても無くても変わりませんよ。」
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アル「あの時の、他人を人と見ていないあの人の目。暗くておぞましいハイライトが無い目だったよ。」
一夏はアルベルトの話が信じられなかった。
あの紳士的だった松陽が、そんな事を言うなんて有り得ない事だからである。
一夏「そんな・・・、松陽さんがそんな事を言うなんて!!」
アル「お前の言い分はわかる。だが、お前も聞いたと思うがあの人が産まれ育った場所では、命の大切さ、生きる事の道徳が意味を為さない程、人が死にすぎている。
あの人にとっては、他人が死ぬことなんて日常茶飯事なんだよ。」
一夏「そんな、それじゃあ松陽さんは本当は悪い人なんじゃ。」
アル「言っておくが、自分の物差していどで世の中の善悪を決めない方が、この先長生きできる。
おまえがどう感じたかは知らんが、松陽さんは俺の恩人にかわりない。そんな下らない善悪を考えるのは止めておけ。
それよりも、早いところロゼットの所に行くか。」
一夏「それもそうですね。今の話を聞いて、俺達の今後をしっかりと話し合わなきゃいけませんしね。」
そう言って二人は、部屋から出ていった。
まさか、あの松陽さんが。
ですがあの環境ならば、仕方がないのかも知れませんね。
気がつけば、主人公である幸太郎が最後に登場して約半年程たっていますね。
主人公が出てこない話って、小説としてどうかと思いますが・・・。