アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第10話

昼食を済ませた後、千冬達は午後の授業にマイルナは保健員の仕事に行ってしまった。

 

幸太郎「それにしても、凄く広い学園だなぁ。歩くのに、一苦労だよ。」

 

幸太郎は、一人で学園内を歩いて散策していた。

 

中庭についた幸太郎は、疲れが来たのかベンチに腰かけた。

 

幸太郎「はぁ…考えてみたら、こうやって一人で過ごすのは、初めてかも知れないな…。

俺が倒れた時も、マイルナさんや所員の皆が周りにいてくれたしな。」

 

そんな事を考えた幸太郎は、なぜか孤独感に教われていた。

そして少しだけ、涙を流していた。

 

幸太郎(一人か…。でも、社会人になればこんな孤独感は、日常になって当たり前か。

でも…それでもやっぱり、一人は寂しいよ。)

 

幸太郎「ゴホッゴホッ!!」

 

幸太郎は咳をしながら、吐血をしてしまった。

 

その吐血を幸太郎は、何かを認める様に見ていた。

 

幸太郎「最近、こうやって血を吐く回数が増えてる。マイルナさんや所員の皆は隠してるけど、やっぱり俺の残りの命は、そんなに長くないのかな…。」

 

幸太郎はそう呟き、ベンチから立ち上がった。

 

そして貧血と疲れでふらつく足を引きずりながら、また園内の散策を開始した。

 

散策をしながら、幸太郎はこれからの事を考えていた。

 

無事に用務員になれたが、この体調ではマトモに仕事はこなせないだろう。

それでも、自分がマイルナに無理を言って決めた道だと、幸太郎は自分に言い聞かせた。

 

幸太郎「ハァ…ハァ…、結構ヤバいね…。なんだか、目がチカチカして目の前が歪んで見えてきたよ。」

 

既に、壁にもたれ掛からなければ立っている事も、困難になってしまっていた。

 

だが、いつもよりは調子が良いと幸太郎は少し安心していた。

 

それでも、気を抜けばすぐに倒れてしまう事には変わらない状況である。

 

ふと気づくと、一夏達のクラスの近くまで来ていた。

このまま教室に入れば、千冬や一夏や箒が心配しマイルナに伝え、自分は治療して貰えるだろう。

 

だが、幸太郎はそこから一歩も教室に近づく事はしなかった。

 

幸太郎(お、俺はこれまで自分の病気で、マイルナさん達に沢山の心配や負担をかけていた。

自分の命が短いのはわかってる、だからこれからは皆に余計な心配は絶対にかけない!)

 

そして幸太郎は、学園が用意してくれた自室に戻ろうとしだした。 

 

幸か不幸か、マイルナと幸太郎の部屋は別々になっている。

 

こうして幸太郎は、他の誰かに見られる事無く無事に自室に辿り着いた。

 

自室のドアを開け、中に入った幸太郎は真っ先にマイルナに渡された処方箋を飲んだ。

 

飲んだすぐには効果は無いが、それでも幸太郎の気持ちは少しだけ楽にはなった。

 

幸太郎「だ、大丈夫だ…。少し横になれば、なにも無かった様に、目が覚めるはずだ…。」

 

そう自分に言い聞かせ、幸太郎はベッドに横になった。

 

幸太郎「絶対に、病気なんかには負けない!必ず病気を治して、皆と同じ様に過ごすんだ!」

 

幸太郎は写真立てに入っている写真を見ながら、改めてそう誓った。

 

その写真には、幼い頃の幸太郎とマイルナと束と箒、そして千冬と一夏が写っていた。

 

そして幸太郎は、そのまま深い眠りについてしまった。

 




やはり、自分の体の事は自分が良く知っているんですね。
例えマイルナが内緒にしていても、幸太郎は気づいていますね。


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