仮面ライダーディスティニー   作:茜丸

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魔王・器・仲間

 

 

 

「……では、会議を開始しましょう。今回は報告することが多すぎるので、順序良く進めていきたいですね」

 

 魔王エックスとの決戦から数日、虹彩学園の一室に集まった人々の顔を見つめながら、天空橋が会議の指揮を執る。緊張感が漂う会議室の中には、回復した玲や大文字などの生徒たちも含まれており、自分たちの知らない事実をようやく知る事が出来るということにある種の安心を感じてもいた。

 暗黒魔王の打倒というセンセーショナルなニュースに続き、レベル100に到達した謙哉や王の器という単語まで登場したこの戦いには、その時にあの場に居なかった自分たちにとって分からない事が多すぎた。こうして会議を開き、その事実を知る事になるまで、存分にやきもきさせられた訳だ。

 

「まずは、水無月さんを始めとした方々の回復を喜びましょう。皆、無事でよかった」

 

「ありがたい言葉ですが、今はそういったものは結構です。順序良く会議を進めるのであれば、建前の様な物は省いていきませんと」

 

 天空橋の言葉を受けた玲は、ややぴりぴりとした雰囲気を放ちながら言葉を返す。仲間たちの中で唯一状況を知らない彼女は、このメンバーの中でも一際苛立っている様に見えた。

 ……もしかしたら、数日前のあの出来事が後を引いている可能性も無きにしもあらずなのだが、今それを指摘することは自殺行為としか呼べないので追及は止そう。

 

「そう、ですね……では、まず一つ目の議題から行きましょう。これが一番重要な事実かもしれません」

 

 気を取り直した天空橋は、自分のPCを操作してスクリーンに映像を映し出す。若干荒れてはいるが、十分に高画質といえるであろう映像を目にした生徒たちは、視線をそこに集中させた。

 

「これは……?」

 

「数日前の戦いにて、謙哉さんがエックスに勝利した後の映像を記録したものです」

 

「なんだよ、戦いの映像じゃねえのか? あんまり意味ねえだろ、これ」

 

「……そうでも無いぜ。これ、かなり重要な映像になる」

 

「は……?」

 

 戦いの記録では無く、戦いが終わった後の記録であることに不満を漏らす仁科であったが、それを窘める様な勇の言葉に眉をひそめて彼へと視線を送った。勇は真剣な表情で映像を見つめており、決して先ほどの言葉が誇張ではない事がその様子から見て取れる。

 しかし、戦いが終わった後の映像が重要だと言うのはどういう意味なのだろうか? 仁科以外にもその言葉の意味を理解出来ないメンバーがいる中、映像が再生されてその時の光景を再現し始めた。

 

『エックスはどうなった!?』

 

『玲! 玲は無事なの!? 怪我は無い?』

 

 画面奥に燃え上がる炎をバックに、玲を抱えた謙哉がこちら側に向かって来るところから映像は始まった。重厚な鎧を身に纏った騎士王の姿を始めて見た面々は、それこそがレベル100に到達したオリジンナイトである事に気が付いて息を飲む。

 出来得ることならばその戦いを観てみたいとは思うのだが、今はこの映像を鑑賞することが優先だ。そう結論付けたメンバーは、そのまま映像の成り行きを見守っていく。

 映像ではやよいが玲の脈を取り、その無事を確認した所で、安堵と喜びの表情が画面いっぱいに映し出されていた。ここまではよくある光景だ。重要なのは、この先と言うことなのだろう。

 そして、その予想を裏切ること無く、映像は衝撃的な光景を皆の目の前に披露し始めた。

 

『み、見て! あれっ!』

 

 葉月の声が響き、画面の中の彼女が何かを指さす。カメラがその方向を向いてみれば、そこには腹に大きな穴を開けながらも立ち上がってこちらを見つめているエックスの姿があった。しかし、その脚はふらついており、最早彼に戦いを続けるだけの力が残っていないことは明らかだ。

 

『み、みとめな、い……! ボクは、終わっちゃいない……! 世界の指揮者になるボクが、こんな所で終わりを迎える訳には……!』

 

 よろめく足のまま、エックスが勇たちへと近づいて来る。その姿に警戒を強めた謙哉が、全員を庇う様に立ちはだかったその時だった。

 

『あ……! あぁぁ……っ!?』

 

 エックスの体が崩れ始め、形を保てなくなってきたのだ。表皮から剥がれていく様に崩壊を始めた自分の体を見たエックスは、絶望的な呻きを漏らして狂った様に叫び出す。

 

『い、嫌だ! こんな所で消えたくない! まだ、まだボクにはやるべきことがあるんだ! ボクはこの世界の支配者になって、全てを操る神になるはずなのに……!』

 

 嘆き、怒り、悔い、様々な感情を声に滲ませるエックス。しかし、彼の消滅は止まらない。訪れた死は、彼を決して逃してはくれない。

 

『嫌だ! 嫌だっ! ボクは王だ! 世界の王となる存在なんだ! 死んでたまるか! 消えてたまるものか! もう一度チャンスをくれ! そうすれば、今度は必ず……!』

 

 何かに、誰かに叫びかけるエックスであったが、最早そんなことをしても意味が無い程に彼の体の崩壊は進んでいた。全身が泡の飛沫の様に弾けて消えていく中、足掻き続けるエックスは最後に勇たちを目に映すと恨めし気な視線を送りつつ叫び声を上げる。

 

『お前たちは馬鹿だ……! 何も知らないまま、過酷な戦いの中に飛び込んだ。そのツケは必ず払うことになる! 死ね! 死んでしまえ! 苦しく辛い戦いの中、何も知る事無く消え去ってしまえ! ボクの夢を、野望を、脚本を……壊したことを、絶対に後悔させてやる!』

 

 エックスの体が弾ける。光の粒がその全身を包み、一瞬だけ彼の姿を隠す。

 そして、その光が消えた時……勇たちは、信じられないものを目にした。

 

『え……?』

 

 エックスの立っていた場所には、エックスはいなかった。代わりに一人の人間が立っていた。

 不健康そうな肌、やせ細った体、濁った瞳をしたその男性は、自分の体を見てから悲痛な呟きを漏らす。

 

『ああ……死にたく、ない……! ボクはまだ、何も成してないのに……』

 

 それが彼の最後の言葉となった。もう一度光が弾け、男性の体を完全に消し去り、跡形も無く消滅させる。それで、正真正銘、本当の終わりだった。

 目の前の光景に唖然としたまま動けない勇たちは、ただ茫然としたまま立ち尽くしていたが――そんな彼らに告げる様にして、聞き覚えのある電子音声が響く。

 

《GAME OVER》

 

 魔王の消滅を告げる電子音声が響いた王の間の景色を映し出し、映像は唐突に終わりを告げた。

 その映像を見終えた玲たちは、衝撃を感じながらも天空橋へと質問を投げかける。

 

「今の映像は、なんですか……? と言うより、あれは……!?」

 

「……決して、私が映像を捏造したという訳ではありません。あれは、実際に起こったことなのです」

 

「じゃ、じゃあ何でエックスが人間の姿になったんだよ? あんなの、絶対におかしいだろうが!」

 

「落ち着いて下さい! ……私も、全てを把握している訳では無いんです。ただ一つ言えることは、エックスは間違いなくゲームオーバーを迎えたということのみ……他のことについては、何一つとして理解出来ていないんです」

 

 天空橋のその答えに何も言えないまま、玲たちも口を噤んで押し黙る。ただ不気味で言い様の無い不安を胸に抱えたまま、彼女たちは今見た映像の意味を考え始めた。

 

 映像をそのままの意味として捉えるならば、エックスは実は人間だったということなのだろう。消滅の寸前、仮面ライダーが変身を解除する様に彼もまた人間態を明らかにして消え去ってしまったということだ。

 しかし、それが正しいのだろうか? 少なくともソサエティという世界が構築されてから10年以上は過ぎている。その間、彼は魔王と人間の二つの顔を使い分け、二重生活を行っていたのだろうか?

 ならば、あの人間はエックスが作り出した幻影か何かなのだろうか? 自分を打倒した人間たちに後味の悪い感情を抱かせる、いわば最後っ屁と呼ぶべきささやかな抵抗……それをエックスが行ったのだろうか?

 

「……あの人間については政府が調査を続けている。報告があり次第、君たちにも伝えよう」

 

「……それで、今の所は納得して頂けないでしょうか? 少なくとも、私たちにはこれ以上の報告は出来そうにありません」

 

「……わかりました」

 

 全員の意思を代表して答えた玲は、渦巻く不安を抱えたまま押し黙った。そんな彼女に申し訳無さそうな顔を見せつつ、天空橋は次の報告を始める。

 

「次に行うのは、『王の器』という単語についての報告です。と言っても、これは私が説明するのではなく――」

 

『私が行う、という訳だな』

 

 天空橋の言葉に被る様にして響く声。謙哉たちが驚いて顔を上げれば、先ほどまで映像が映し出されていたスクリーンに鈍色の魔神の姿が映し出された。

 

「マ、マキシマ!?」

 

『いかにも、機械魔王マキシマだ。今回の出来事において、私以上の解説役は存在しないだろう。よって、協力関係を築くという名目の下、私が王の器についての説明を始めよう。と言っても、私自身も全てを理解している訳では無いがな』

 

 突然登場したマキシマに対し、会議室に集まったメンバーの大半が驚きを隠せないでいた。ドライバーを手にして戦いの構えを取る者も居る中、勇は冷静に仲間たちに語り掛け、この混乱を収めようとする。

 

「落ち着けよ。マキシマは俺たちを助けてくれた。一応は信頼出来る相手だって言えるだろ?」

 

「そやけど勇ちゃん、こいつがほんまのこと言うてるかは分からんで? デタラメ吹いて、俺らを混乱させようとしとるのかもしれん」

 

「そうだとしても、俺たちには何の情報も無いんだ。だったら何か手がかりを得る為に少しは冒険しなきゃだろう? ……気持ちはわかるけど、俺を信じてくれよ」

 

 マキシマを信じるという判断を下した勇から大文字へと視線を移した光圀は、彼もまた静かに頷きを返したことを見て渋々ながらも椅子に座った。他のメンバーも光圀同様にマキシマの話を聞くことにしたらしく、会議室に静寂が戻る。

 

『……では、話させて貰おう。王の器とは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()といえる物だ』

 

「ソサエティの、王になる……?」

 

『ああ、王の器を得た者は、他の王たちと戦わなければならない。そして、最後の一人になった王が、ソサエティの全てを手に入れられる……らしい』

 

「ちょっと! 一番重要なところがあやふやじゃん! そこが大事だっていうのに!」

 

「で、でも! ソサエティの全てを手に入れられるってことは、エネミーも自由に出来るってことですよね!? なら、もしも良い人が王様になれば、もう世界はエネミーの脅威に怯えなくて良いってことじゃないかな!」

 

『……逆も然りだ。悪しき者がその力を得れば、現実世界はあっという間にエネミーによって滅ぼされる。大いなる軍勢を率いた魔王によって、世界は征服されるだろう』

 

「っっ……!!」

 

 興奮気味に希望的な未来を語ったやよいであったが、マキシマの言葉を受けて一瞬で顔を青ざめさせた。それは他の面々も同様で、もしもそうなった場合を想像して絶望的な表情を浮かべる。

 ソサエティの全てを手に入れる力……それがどんな物なのかは具体的にはわからない。だが、それをガグマやエックスの様な己の欲望の為に使う者が得れば、現実世界は容易く崩壊してしまうだろう。

 

『力は力だ、故にそれを振るう者にも大いなる責任が圧し掛かる。王の器に選ばれる者は、全員がその重圧に耐えられる強き者という点では共通しているな』

 

「……その王の器に選ばれたのが、アンタたち魔王と――」

 

「……僕、ってことですね?」

 

『そうだ。虎牙謙哉、君は新たな王となり、この世界を手中に収めるだけの力を得る戦いに参加する権利を得た。君は、我々魔王と並び立つ存在になったのだ』

 

 全員の視線が謙哉に集中する。レベル100の力、王の器、そしてソサエティの全てを手に入れられる可能性を手に入れた謙哉に眼を向けながら、緊張感に息を飲む。

 王の器を持つ者は、今まで魔王しか存在していなかった。しかし、謙哉がそこに加わったことで状況は変わった。これで、現実世界の人間たちも強大な力を得る可能性が生まれたのだ。

 しかし、それは更なる激しい戦いが始まろうとしていることを意味していた。特に王となった謙哉は、他の王たちと戦わなければならない宿命が付いて回るのだ。

 

『……エックスは王となった君に敗北したことが原因となって消滅した。奴は王の器を失い、争奪戦に参加する権利も失った。故に、ゲームオーバーとなった。そして、君が奴と同じ目に遭う可能性も十二分にあり得る。君が他の王に敗北すれば、君もエックスの様に消滅するかもしれないぞ』

 

「なっ……!?」

 

 それはあまりにも重く、衝撃的な罰則(ペナルティ)だった。敗北が死を意味するというのは、戦いにおいては当然のことかもしれない。しかし、これから強大な敵と戦い続けなければならない謙哉がその宿命を背負うというのは、精神的なプレッシャーが大きく圧し掛かるということになるのだ。

 死の恐怖と戦い、世界の命運を背負い、これからも戦い続けなければならない……普通に考えれば気が遠くなる様な状況だが、謙哉は軽く息を吐くと笑顔を見せつつマキシマに答える。

 

「覚悟してます。それに、負けたら消滅するかもなんて、最初から危惧されてたことでしょう? ……城田くんの礼もありますし、僕がそれを恐れて逃げる訳にはいきませんよ」

 

『……勇敢だな。でなければ王と成ることも出来まいか……。しかし、これから先の戦いは君の想像を遥かに超える厳しい物になるだろう』

 

「それも理解しています。でも……勝てば良いんでしょう? 勝たなきゃ結局、魔王たちがソサエティの全てを手に入れて現実世界を攻撃する。そうなったらお終いです。それを阻止するには、僕が最後の勝利者にならなければならない……そうでしょう?」

 

『その通りだ。君たち人類には、勝利以外の道は存在していない。敗北は即ち、魔王たちの侵略を意味しているのだからな』

 

 マキシマの言葉に頷きを返す謙哉は、この先待ち受ける戦いを思って僅かに恐怖を覚える。しかし、それでも戦いから逃げる選択肢を取ることはせず、力強い光を目に映して息を吐いた。

 そんな中、ぴんと手を伸ばして挙手した玲が、マキシマへと真っすぐな視線を向けて口を開く。彼女の瞳にもまた、謙哉にも負けない程の光が灯っていた。

 

「質問です、その王の器は、私にも得ることが出来ますか?」

 

『……可能か不可能かで言えば可能だ。しかし、人数制限がある。王の器は8つだけ、権利を得られるのは残り2名までだ』

 

「2人……! たったそれだけ……」

 

「……待たれよ、機械魔王。王の器は8つと言ったな? しかし、現状魔王は4人、そこに虎牙を加えたとて5人にしかならぬ。であれば、残りの権利者は3名ではないのか?」

 

 至極真っ当な疑問を投げかけた大文字は、マキシマの返答を待った。他の面々も指折り数えてその事実に気が付き、マキシマの返答に耳を貸す。

 そして、口を開いたマキシマが言ったのは、勇たちがまだ知らない新事実を示す言葉であった。

 

『……第五の魔王が居る』

 

「え……?」

 

『詳細は知らぬ。だが、そいつは()()()と呼ばれる存在らしい。我々の中でも最初に王の器を手にした存在で、全ての権利者が出そろった時に姿を現すと聞いている』

 

「だ、大魔王……! 明らかラスボス的な奴じゃん、それ!」

 

「まだそんな敵がいるなんて……」

 

「……つまりは、虎牙はまだ見ぬ敵を含めた魔王たちを全員打倒しなければならない、ということか」

 

 初めて存在を知った強敵、大魔王。その名を耳にした生徒たちは体に震えが走ることを感じていた。

 エックスを倒す事には成功したが、まだ他にもガグマやシドーといった強敵が控えている。これからも間違いなく辛い戦いが続くことを予感したメンバーであったが、意外なことに明るい話題を提供したのはマキシマであった。

 

『そう悲観することもない。君たちはエックスを倒した、これで現状明確になっている敵はガグマ、シドー、そして大魔王の三体だけだ。私は力を得る権利を放棄するからな』

 

「えっ……!? な、なんで、そんな……?」

 

『私は私のソサエティが存在していればそれで良い。引きこもり、実験と称した改造を行えればそれで良いのさ。現実世界を侵略するつもりは毛頭なく、他の魔王が力を得ては我が楽園の安寧も長くは続かないだろう。だから私は君たちに協力する。君たちがソサエティの全てを手に入れ、他の魔王を倒したその後で、私はのんびりと自分の世界で生き続けたいだけなのさ』

 

「とか言うといて、美味しいとこ取りするつもりちゃうやろな? 最後の最後で裏切る段取りやったら、許さへんで?」

 

『ふむ……その可能性を否定出来る材料は今の私には無い。しかし、私と協力するメリットも十二分にある筈だ。現にこうして王の器に関する情報を得ることが出来た。今後もこうして役に立てると思うのだがね?』

 

 あくまで機械的に話を進めるマキシマ。その対応は彼の二つ名からすれば当然なのだろうが、それでもどこかうさん臭さを感じずにはいれらない。

 警戒を見せる光圀であったが、現状はどうこう出来る訳でも無い。取り合えず、今は共闘関係を結んだ方が得策だと判断した彼は、鋭い視線を隠すとどっかりと椅子に座り直した。

 

『……もう一つ明るい話題だ。残り二つの王の器を君たちのうちの誰かが得ることが出来れば――その分、虎牙謙哉の負担は軽くなるはずだ』

 

「それもそうだな。謙哉一人で全部の魔王をぶっ潰す必要を無くせるなら、それに越したことはねえ」

 

「問題は、その王の器をどう入手するのかってことよね……物質として存在してるわけじゃ無く、何かのきっかけで得られる抽象的な物だから見当もつかないわ」

 

『……こればかりは私も何も言えない。その時を待つしかないのだろう。だが、それもまた厳しい道であることは確かだ。これだけは肝に銘じておいてくれ』

 

「分かってるよ。でも、仲間の一人だけにそんな辛い役目を押し付ける訳にはいかないからな。俺たちも出来ることをやる、その気持ちは変わんねえよ」

 

『なら、良い。これで私の話は以上だ。残りの議題について話し合ってくれ』

 

 勇の返答を聞き、どこか嬉しそうな声色でそう言い残したマキシマの姿がスクリーンから消える。映像の再生のために落としていた照明が再点灯し、部屋の中に明かりを取り戻した後で……天空橋から議長の役目を引き継いだ命が口を開いた。

 

「……本日の会議、最後の議題に入る。その、内容は……」

 

 話しながらちらりと部屋の一点を見つめた命は、やや辛そうな表情を浮かべて目を伏せた。しかし、そこは大人として、公平な立場に立つ者として話を進め、最後の議題を皆に提示する。

 

「……内容は、()()()()()()()()()()()……今回の戦いにおいて、彼女が犯した問題行為の責任を追及することが、最後の議題だ」

 

 沈痛な声色でそう告げる命の声を聞きながら、真美は俯いたまま何も言わずにただ黙っている。そんな彼女に向け、仲間たちの様々な感情が入り混じった視線が交差していたのであった。

 

 

 




運命の戦士 ディス (キャラクターカード)

ATK 2
HP  6

分類 人間 運命の子 主人公

効果
・フィールドに登場した時、もしくはリーダーカードとなった時、デッキから【ディスティニー】と名の付いた装備カードを一枚手札に加えることが出来る

・手札から運命、もしくはディスティニーと名の付いたカードを見せることで、このカードは1ターンに2回まで攻撃することが出来る

・『運命の子』を持つカードは、場に一枚だけしか存在出来ない

・1ターンに一度、手札に存在する『運命の子』を持つカードとこのカードを入れ替えることが出来る。その場合、HPは現在のHPに+2した状態とする



運命剣 ディスティニーソード (装備カード)

ATK +2

コスト リーダーカードにダメージ2を与えなければ、このカードを場に出すことは出来ない

効果

・『運命の子』を持つカードにしか装備出来ない

・このカードを装備したカードが手札に戻る時、このカードも手札に戻して良い

・このカードを装備したキャラクターが二回目の攻撃を行う時、その攻撃は庇われない



ディスティニーブレイク! (技カード)

条件

・『運命剣 ディスティニーソード』を装備した『運命の子』を持つカードが場に居る

・このターン中、相手リーダーに4以上のダメージを与えている

・相手リーダーの残りHPが5以下

・自分のリーダーカードが『運命の子』を持っている

コスト 手札を二枚捨てる

効果

・相手リーダーに5ダメージを与える。このダメージは減らせず、無効に出来ない





天空橋博士からのワンポイントアドバイス!

ディスティニーカードゲーム第一弾のシークレットカードである3枚のカードをご紹介! このカードは全部同じパックに入っているよ! 当たったら超ラッキー!

場に出た時に必ず専用装備カードを手札に加えられるディス。ディスがリーダーなら、『ディスティニーソード』の装備コストも手札にある他の『運命の子』と入れ替えることによって回復するから、実質タダでサーチと装備を行える!

相手が防御手段を持っていないなら、4ダメージの二回攻撃で一気に8ダメージ! もしもその攻撃で相手のHPが5以下になれば、必殺技のディスティニーブレイクを発動だ! 発動すれば絶対に勝利出来るこの必殺技で、バトルをカッコ良く決めよう!

ディスのサポートカードはまだまだ増える! 成長性の高いカードだから、ゲットした君は大事に持っておいてね!

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