仮面ライダーディスティニー   作:茜丸

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締結 三校同盟

 荒れた、されどかなりの広さを誇る戦国学園の校庭。普段から荒くれ者共が己の力量を計るべく争うその場所で、二人の男がぶつかりあっていた。

 

 片方は戦国学園の首領、大文字武臣が変身した仮面ライダー覇道。

 戦国武将の様な鎧に包まれたその大柄な戦士は、身の丈程もある大太刀を振り回している。

 

 そしてもう片方はそれに挑む虹彩学園の代表者、龍堂勇・仮面ライダーディスティニーだ。

 現在最強のレベル80を誇るセレクトフォームに変身している勇は、最も扱いやすいディスティニーソードを呼び出して大文字と鍔迫り合いを演じていた。

 

「うおぉぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

「ふんっ……!!!」

 

 全身のバネを活かした勇の一撃を大岩の様な大文字が受け止める。地面が凹み、衝撃波が舞う戦場の様子から、その戦いの激しさが見て取れるだろう。

 既にこうやって30分ほど戦いを続けている二人は、時間が経っても疲れを見せるどころか更に激しさを増した戦いを繰り広げているのだ。

 

「負ける訳には、いかねえんだよっっ!!!」

 

 迫り来る魔王の脅威、それに対抗する為の力を求める勇はこの戦いに全てを懸ける。このまま学園が個々で戦っていても終わりは訪れない。一丸となって協力し、戦わなければ魔王やソサエティとの戦いに勝つことは出来ないだろう。

 

 自分の両親が果たせなかった夢を自分が叶える。それは親の為では無く、自分がそう望むが故にだ。

 この世界に生きる人々、施設の子供たちの未来を守りたい。そして、もう二度とマリアや櫂の身に起こった様な悲劇は繰り返させない。

 その為にはこの戦いで負ける訳にはいかない。勝って、戦国学園との協力体制を作り上げることが、その願いを現実にする為の第一歩なのだから。

 

<チョイス・ザ・フューチャー!>

 

「っっらぁぁぁぁぁっっ!!!」 

 

 ディスティニーホイールを回転させ、【運命の銃士 ディス】のカードを選択する。

 目の前に召喚されたディスティニーブラスターを手にした勇は、雄叫びを上げながらそれを連射した。

 

「ぬぅぅぅぅっ!?」

 

 黒と紅の光弾が大文字に幾つも襲い掛かる。一つ、一つと飛来する光弾を切り払う大文字であったが、その防御にも限界が訪れた。

 肩口に一発の弾丸が当たったことを皮切りに、次々と大きな彼の体に弾丸が命中していったのだ。苦し気な声を上げた大文字の姿を見ながら、勇はここが好機とばかりに猛攻を繰り出す。

 

<チョイス・ザ・アナザー!>

 

 今度はディスティニーワンドを召喚した勇は、ホルスターから【フレイム】のカードを取り出すとそれを連続して三回武器に通した。

 轟々と燃える炎の力がディスティニーワンドに集い、紅の宝玉から眩い光が放たれる。

 

<必殺技発動! プロミネンスバースト!>

 

<吹っ飛び、やがれぇぇぇっっ!!!>

 

 頭上に燃え盛る巨大な火球を生み出した勇は、杖を振るってそれを大文字へと飛ばした。周囲の温度を飛躍的に高まらせる程の熱さを持った火球が唸りを上げながら大文字へと向かい、その姿を赤く照らす。

 しかし、体勢を立て直した大文字は勇の繰り出した必殺技に対して憶すること無く大太刀を振り上げると、真っ向から迎え撃つ構えを見せた。

 

「剛ぉぉぉぉっっ!!!」

 

「なにっ!?」

 

 上段に振り上げた大太刀を大文字が振るう。一刀の下に繰り出された強靭な一撃は、勇の勇の必殺技をいとも容易く両断して見せた。

 半分になった火球は大文字の両脇を通り、そのまま地面に落下した。大きな爆発を起こす必殺技の余波にやられ、この戦いを見守る生徒たちはその場に蹲ってしまう。

 

「まだまだぁぁっっ!!」

 

「その気概だ! かかって来いっ!」

 

 だが、その中央に位置する二人の戦いは白熱し続けている。周囲の状況も傷ついた体も関係無い。ただ負けて堪るかと言わんばかりの形相を浮かべて戦う勇は、今度はディスティニーエッジを召喚して二刀流で挑みかかった。

 

「らっ! しゃぁっ!」

 

「ふんっ! 破っっ!!!」

 

 細かな勇の連撃を一本の大太刀で防ぐ大文字は、その合間を縫って的確な反撃を繰り出していた。

 光圀ですら攻めあぐねた二刀流での攻撃にこうも早く対応する大文字の戦闘センスに冷や汗をかきながら、勇もまた憶する事無く攻めの手を強める。

 

 火花舞う剣劇を繰り広げる二人は全力で手にした武器を相手へと押し込みながら、吠える様な声で叫び始めた。

 

「龍堂勇! お前は戦いの果てに何を望む!? 戦いの最中ではない、その果てにあるものだ!」

 

「そんなもんは決まってる! 誰もが怯える事無く暮らせる世界だ!」

 

「では問おう! お前はその為にどんな犠牲も乗り越える覚悟はあるか!? 仲間、友、愛する者……その全てを捨てて、掴みたい未来の為に戦う覚悟はあるのか!?」

 

「ぐあっ!?」

 

 巧みな剣捌きでディスティニーエッジを払いのけた大文字は、そのまま繰り出した横切りで勇の胴を薙いだ。

 防御を崩された状態で大文字の一撃を受けた勇は、大きく後ろに吹き飛ばされてしまう。手からはディスティニーエッジが取り零れ、勇はそのまま壁に叩き付けられた。

 

「……何かを選ぶと言う事は、何かを捨てると言うことだ。犠牲を払わぬ君主など存在しない……お前は、非道になることは出来るか?」

 

 崩れた壁と巻き上がる砂煙を見つめながら問いかける大文字は、その中にいるであろう勇の答えを待った。

 このまま何も答えを返さぬのであればそこまでの話。戦い続ける理由もない。そう考えながら勇の返答を待つ。

 

 やがて煙の中に見える黒い影が揺れ動き、最初に手にしていた剣を掴んだ状態で再び姿を現すと、勇は痛みを堪えた様な声で自分の答えを口にした。

 

「んな覚悟、俺にはねえよ。俺は、誰かを犠牲にするつもりなんかねえ!」

 

「温い! その覚悟無くして、王座に就くことなど出来ん!」

 

「俺は王になんかなるつもりは無い! 俺は……ただ、皆を守りたいだけだ!」

 

「っっ!?」

 

 勇を中心として巻き起こる竜巻。龍が唸っている様な音を響かせながら、風は徐々に強く激しくなっていく。

 

「……俺が、全部を守れるほどに強くないことは分かってる。だからこそ、俺には力が必要なんだ! どんな形でも、皆を守れる強さが……!」

 

「……なるほど、それがお前の答えか。犠牲を作り上げぬと言うその覚悟、決して弱さから生まれた物では無いと言うことはよくわかった。ならば……!」

 

 大文字の手にする大太刀が鋭く光る。深く、強い気を纏い、大太刀はその強靭さを増していく。

 大地を震わせる様な闘気を放つ大文字は、銀色に光る大太刀を頭上に振り上げると上段の構えを取った。

 

「乗り越えてみろ、この大文字武臣を! その一刀と覚悟の強さを我に見せよ!」

 

「上等だ! この運命、断ち切らせて貰うっ!」

 

 竜巻によって生み出された上昇気流に乗った勇は、天高くまで跳び上がるとディスティニーソードを振り下ろす。

 紅と黒に光る剣を大文字目掛けて繰り出し、さながら龍の様に上空から襲い掛かった。

 

 対する大文字は地面に根付いた大樹の様な雄大さで勇の攻撃を迎え撃つ構えを見せた。

 強大な力を持つ勇の一撃を見た彼は、僅かに緊張で表情を強張らせた。

 

<超必殺技発動! ギガ・ディスティニーブレイク!>

 

<必殺技発動! 剛斬・天元の一刀!>

 

「たぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

「おぉぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

 それはまるでスローモーションの様な光景だった。

 それぞれが爆発的な威力を持つ二つの必殺技がぶつかり合い、激しく火花を散らす。二人の周囲では空気が震え、何度も爆発が起きていた。

 

「俺は、絶対に……勝つ!!!」

 

 決して譲れぬ思いを胸に、勇はディスティニーソードを振るう腕に力を込めた。既に痺れと衝撃で腕の感覚は殆ど無いが、それでも負けぬ様にと渾身の力を込めて踏ん張り続ける。

 自分を信じてくれた仲間の為、何の力も無い人々を守る為、そして大文字に自分自身の覚悟を見せつける為……勇は、襲い来る衝撃と痛みに耐えながら必殺技の鍔迫り合いを続けた。

 

「ぬ、ぐ、おぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 その勢いに押されたのか、大文字の体が徐々に後ろに退き始めていた。それでも気迫で押し返そうとする大文字もまた丸太の様な腕に力を込めて大太刀を振るっている。

 

 勝負はほぼ互角だった。レベルの差を物ともしない大文字も、経験と素の戦闘能力の差を埋めている勇も、どちらも限界以上の力を引き出していることは確かだ。

 お互いがお互いの限界を乗り越え続ける戦い。このまま、この戦いはいつまでも続くのでは無いかと思われた。しかし、ついに拮抗する勝負にも転機が訪れる。

 

「ぬぅっ!?」

 

 強大すぎる必殺技同士のぶつかり合いが生み出す衝撃に負けたのか、大文字の愛刀である【覇道丸】の刀身にひびが入ってしまったのだ。

 予想外の事態に焦る大文字の姿を見た勇は、勝負を決めるのはここしか無いと確信してありったけの力を振り絞る。そして、全力を以ってディスティニーソードを振り抜いた。

 

「うおおぉぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

「ぐぅぅぅっ!?!?」

 

 大文字もまた自分を押す力に負けぬ様にと全力で踏ん張る。しかし、自身の刀はそうはいかなかった。

 勇の猛攻に耐え続けた名刀も、この長いぶつかり合いを耐えることは出来ない。【覇道丸】の刀身に広がって行くひびを見た大文字は、深く息を吐くと小さく呟いた。

 

「……見事だ、龍堂勇」

 

 諦めた訳でも、悔しがった訳でも無い。限界を超えた自分を乗り越えるだけの力を見せた勇を素直に褒め称える言葉。

 そして、ここまで付き合ってくれた愛刀への感謝の意を伝えたその瞬間、大文字の手にする【覇道丸】は折れ、ディスティニーソードが彼の体に直撃したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……貴様の覚悟、しかと確かめた。その強さもな」

 

「……おう」

 

 折れた大太刀を手に大文字は勇へと言葉を送った。まだ戦える様な雰囲気を見せてはいるが、彼にそのつもりは無い様だ。

 大文字の手から【覇道丸】が光の粒となって霧散すると同時に、彼ら二人は変身を解除して見つめ合った。

 

「次が有ったら、今度も俺が勝てるとは限らねえ。素直にそう認めるよ」

 

「だろうな……しかし、此度の戦いは貴様の勝ちだ。いや、貴様らのだな」

 

 大文字がそう言いながら視線を横に向ける。勇もまた彼に釣られて同じ方向を見れば、そこには光圀と仁科の姿があった。

 

「すまんな大将、勝てへんかったわ」

 

「くそっ……勝ち星無しかよ、だらしねぇ……!」

 

 あっけらかんとした笑顔の光圀と悔しそうな表情の仁科。その二人の反応を見れば、戦いの結果は自ずと理解出来る。

 軽く息を吐いた後、根津へと向き直った大文字は、ほんの少しだけ申し訳無さそうな表情を浮かべると彼に向けて口を開いた。

 

「……すまんな、根津。お前の予定を大幅に変えることになりそうだ」

 

「ですな……しかし、私がやることは変わりません。主君の為、知略を振り絞るのみです」

 

「……忠義、感謝する」

 

 口元に微笑みを浮かべ、大文字は根津の肩を叩いた。会釈をした後で後ろに退いた根津は、前に進む大文字の背中を見送る。

 大文字は、勇とその後ろに控える謙哉と光牙の三人の方向を向くと、虹彩、薔薇園学園の両校の生徒たちにも聞こえる様な大きな声で話し始めた。

 

「我らの流儀に従い、戦をした結果……貴校らは、我ら戦国学園に勝利した! 盟約に従い、我らも貴校らの同盟に加わらせて貰おう!」

 

 この場にいる全員に聞こえる様な大声でそう告げた大文字は、腕を組んでどっしりとその場に構えた。

 学園の頭である大文字の宣言に不満を抱く者はおらず、戦国学園の生徒たちも彼の言う事に従うつもりの様だ。

 

「……今まで色々とあったが、これからはよろしく頼む」

 

「ああ、こっちこそよろしくな!」

 

 勇と大文字がそう言葉を交わし、握手をする姿を見た生徒たちはある種の感動を覚えながら、ここに三校同盟が設立した事実を確認していた。そして虹彩、薔薇園、戦国と言うソサエティ攻略の名門校たちが、力を合わせて戦う事になったことに改めて感激する。

 

 様々なしがらみを越えて協力関係を結ぶに至った三校の生徒たちは、これから協力することになる相手の姿を見ながら僅かに戸惑っている。しかしその中心では、彼らの代表者たちがそれぞれ笑顔を浮かべて新たな仲間と絡んでいる姿があった。

 

「流石だよ、勇っち! あの大文字に勝っちゃうなんてさ!」

 

「かっかっか! 味方同士ってことは、これでいつでも勇ちゃんと手合わせが出来るちゅうこっちゃ! 案外悪い事でも無いなぁ!」

 

「うわぉっ!?ちょ、お前ら! 俺は疲れてんだからあんまりひっつくなっつーの!」

 

 応援に駆け付けた葉月と何やらご満悦な光圀に囲まれた勇は、ややうんざりとした口調でそう叫んだ。

 しかし、その表情には笑みが浮かんでおり、彼が決して不快な気分ではないことを示してもいた。

 

「……ま、考えようによっちゃあ、カワイ子ちゃんたちとお近づきになれるチャンスが増えたってことだ! これからよろしく頼むぜ~!」

 

「は、はい! よろしくお願いします……!」

 

「……妙な真似したらぶっ飛ばすから、その事はよく覚えておきなさい」

 

 変わり身が早いと言うか、煩悩に忠実と言うか……早速やよいと玲に調子よく挨拶する仁科のことを二人は警戒した目線で見ている。

 取り合えず薔薇園の生徒たちには彼に気を付ける様に警告しようと、彼女たちは思った。

 

「大文字先輩、あなたが力を貸してくれれば百人力です。未熟な僕ですが、これからよろしくお願いします」

 

「ああ、こちらこそ頼む。お前を敵にしておくのは少しばかり恐ろしく感じていた。味方になって心強いと思っているのは我も同じだ」

 

 一度手合わせをした事から相手の実力を知る謙哉と大文字は、常識人同士固い握手を交わしながら感謝と自分の思いを伝えあっていた。

 非常にまともな反応を見せる二人の事をマリアが嬉しそうに眺めている。周囲のわちゃわちゃした様子を除けば、本当にまともな絵面であった。

 

 今はまだ一部の生徒たちだけではあるが、これから時間が経てば徐々に他の生徒たちも慣れて来るだろう。三校同盟による情勢の変化は、本当に大きなものだ。

 仲良く交流を深めている仲間たちの姿を見ながら、真美は早速今後の作戦について思考を重ねていた。増えた戦力をどう扱うか、それを考えるのは参謀である彼女の務めだ。

 

(これで、大胆な手も打てるようになる……光牙を勇者にする為の準備が、また一つ整ったわ)

 

 後顧の憂いを断ち、戦力も増やせた。これからは、思い切った行動を取れるようにもなるだろう。

 その事を喜ばしく思いながらもその感情を表情に出さない様にする真美は、ちらりと横目で光牙の様子を伺った。彼が今、どんなことを考えているかが気になったからだ。

 

 自分のすぐ隣に居る光牙は、どんな思いを抱えているのだろうか……? そんな疑問を胸に彼の表情を探った真美は、緊張と驚きで心臓を弾ませることになる。

 

「……そう、か……そうなのか……!」

 

「光、牙……?」

 

 口元を右手で隠し、何事かをぶつぶつと呟く光牙。その表情の全てを見ることは出来ないが、付き合いの長い真美は光牙がどんな表情を浮かべているのかが分かってしまっていた。

 

 彼は今、笑っているのだ。それも、いつも見るような爽やかで快活な笑みでは無く、未だ自分も見た事の無いどす黒い笑みを浮かべている。

 例えるならば、そう……()()()()()()()()()()()()()()の様な、邪悪で覚悟が決まった時の彼の姿が、その片鱗を見せているのだ。

 

「ああ、うん、そうか……! そうなんだな……!」

 

「……どうしたの、光牙?」

 

 何事かに満足げな表情を見せ、しきりに頷く光牙に声をかけた真美は、震える声でそう尋ねた。

 彼女の声が震えていたのは恐怖からではない。光牙の自分しか知らない部分を見れたことが単純に嬉しく、幸せに思えていたからだ。

 

 誰も知らない光牙の真の姿を知っている。彼を真に理解しているのは、この世界で自分だけだと言う思いを胸に抱える真美は、珍しく表情にその喜びを現している。そんな彼女に向け、同じく笑みを浮かべている光牙は、自分だけが知るある事実を告げた。

 

「……見えたんだ、また……次の犠牲者の姿がさ……!」

 

「次の、犠牲者……!?」

 

「信じられないかもしれない、でも、俺には分かるんだ……! 前もそうだった。なぜかは分からないが、俺にはそう言う特別な力があるんだよ」

 

 ごくり、と真美は唾を飲み込む。震えが止まらない拳を握り締め、目の前の光牙の顔を見つめる。

 光牙にそんな能力が本当にあるとすれば、それはきっと神の啓示に他ならない。やはり、彼こそが勇者になる存在なのだろう。

 そんな風に崇拝にも近しい感動を覚える真美に向けてそっと顔を近づけた光牙は、自分が見た予知の一端を彼女へと告げる。

 

「……今はまだ、誰が犠牲になるかは言えない。でも、そう遠くない未来に犠牲は生まれるんだよ、真美……!」

 

「犠牲って、もしかして……!?」

 

「ああ……! 俺にははっきりと見えた! マリアの時の様な抽象的な予知じゃない、明確で確実な光景を……!」

 

 うっとりとした様な光牙の声。彼の横顔を見つめる真美もうっとりとした表情を浮かべている。

 生徒たちの騒ぐ声が響く戦国学園の校庭で、ただ二人だけの秘密を共有する二人の会話は、光牙の最後の一言で終わりを迎えた。

 

「次にゲームオーバーになるのは、あいつだ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――???がゲームオーバーになるまで、あと??日

 


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