仮面ライダーディスティニー   作:茜丸

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完全なる日常のギャグ回をDVD特典の名目で投稿させていただきます! 誰得感が満載ですが、楽しんでいただけたら幸いです!



DVD特典 薔薇園ラジオ特別版

 ある日の薔薇園学園、その昼休みに見目麗しい少女たちがこれまた可愛らしいお弁当箱を片手にランチタイムと洒落込んでいた。

 

 仲の良い友人達と楽しむ食事の時間は、勉強やアイドルのレッスンなど忙しい毎日を送る彼女たちの数少ない憩いの時間だ、そんな彼女たちにはこの時間に楽しみにしているものがある。

 

「どもっす! 今週もやってまいりました、薔薇園学園公式放送『薔薇園ラジオ』!ネーミングがまんまって言うのはきにしちゃ駄目っす!」

 

 有志のメンバーによって設立された放送部の生徒たちによるラジオ放送こと薔薇園ラジオは数年前から脈々と受け継がれてきたこの学園の昼休みの娯楽だ。週に一回の放送を心待ちにしている生徒たちも少なくない。

 

 そして今回はその中でもかなり特別な放送回となっており、女子生徒たちは今日の放送を待ちわびていたわけである。

 

「さて、今回は特別なゲストの皆さんをお招きしております! 虹彩学園の仮面ライダーの皆さん、どうぞ~!」

 

「ど、どうも、今日はよろしくお願いします!」

 

 ラジオの司会である夏目夕陽の招きに従って緊張した声で挨拶をしたのは光牙だ。そんな彼の声に黄色い声を上げる女子生徒たちは、スピーカーから次々と聞こえてくる男子の声にその声を大きくし続けた。

 

「光牙、緊張しすぎだろ。もっとリラックスしろよ」

 

「あはは、気持ちはわかるけどもう少し軽く行こうよ。これ、薔薇園の皆が楽しむための番組なんでしょう?」

 

「そうだぜ! そんな気張る必要ないっての!」

 

 順に勇、謙哉(ついでに櫂)の言葉、それぞれのファンである女子生徒たちは歓声を上げて彼らの声に聞き惚れていた。(櫂の時はそうでもなかった)

 

「今回はわざわざこの昼の放送の為だけに薔薇園に来て下さり本当にありがとうございますっ!」

 

「いえ! これも両校のより良い関係のためですから!」

 

「だから硬いっつの! 肩の力を抜けって!」

 

 生真面目な発言をする光牙に対して勇が茶化した口調で突っ込めば、それを聞いていた女子たちからは笑い声が溢れた。滑り出しは良好と言える今回の放送、夕陽はさっそく司会としての役目を果たすべく彼らの紹介と話題の提供を行う。

 

「さて、もうお分かりかと思いますが今回はスペシャルゲストとして虹彩学園のライダーたち4人が来てくださいました! 改めて自己紹介をお願いします!」

 

「え、ええっと……2年A組、白峯光牙です」

 

「同じくA組、城田櫂だ!」

 

「龍堂勇、二人と同じA組だな。今日はよろしく頼むぜ!」

 

「唯一のD組、虎牙謙哉です。どうぞよろしく」

 

「はい! ありがとうございます! こちらこそ今日はよろしくおねがいするっす! ……さて皆さんが本日、このラジオに来てくださると言うことを聞いた我々は事前にこんな調査を行いました! 題して、『あなたはどのライダー推し? アイドルチェック!』です!」

 

「な、なにそれ……?」

 

「簡単に言っちゃうと薔薇園の皆は皆さんのうち誰が好みかってことですよ! これによると全校生徒のうち、光牙さんが40%、勇さんが35%、そして謙哉さんが25%の支持率となっております!」

 

「ん……? おい、ちょっと待て! 俺の名前が無いぞ?」

 

「あ、投票数が0でしたので除外しました!」

 

「ふざけんな!」

 

 櫂の怒声に対して放送を聞いていた生徒たちはつい噴き出してしまった。それは放送室に居る他の4人もそうだった様で、それに対する櫂の怒りの叫びが続く。

 

「お前ら自分たちに票が入ったからって調子に乗りやがって……!」

 

「はっはっは! 悔しかったら普段の態度を改めるんだな、この筋肉ダルマ!」

 

「まあ、妥当かもしれないね。櫂は女の子に対してあまりにもつっけんどん過ぎるんだよ」

 

「光牙、お前まで……!」

 

「はいはい、櫂さんのことは置いておいて得票数の話ですが、光牙さんと勇さんがコンスタントに全学年から票数を取っているのに対して、謙哉さんはすこし珍しいですね」

 

「えっ、僕?」

 

「はい! なんと下級生である1年生からの票数がNo1! 圧倒的な票数で得票数の大半をここで得ているんですね!」

 

「謙哉は年下から好かれてるのか、言われてみれば良いお兄ちゃんみたいだよな」

 

「あはは、弟と妹が居るからね。面倒見が良いと思われてるのかな?」

 

「投票理由としては、『何があっても守ってくれそう』や『大事にしてくれそうだから』と言うものが多かったですね! よっ、流石は虹彩の盾!」

 

「い、いやいや! 僕はそんなたいした奴じゃないですよ! 虹彩の盾と言えばマリアさんの方ですし!」

 

 謙哉の慌てた声を聞いた女子生徒たちはなんとも言えないにやけ面を見せていた。特に、彼に投票した1年生の生徒たちは幸せそうな笑みを見せている。

 

「にしても一番人気は光牙か、流石はリーダーだな!」

 

「ありがとう龍堂くん。これは薔薇園の皆からの信頼の証だと思ってより一層精進していくよ。投票してくれた皆、本当にありがとう!」

 

 同じく光牙の感謝の言葉に浮かれた声を上げる女子たち、彼女たちが光牙にハートを掴まれてしまったのは言うまでも無いだろう。

 

「でも勇さんはすごいですよ! 名だたるビックネームのアイドルたちがこぞって投票してますからね!」

 

「おっ、マジか!? へへっ、大物に好かれたんだ、俺もそれに恥じない男にならなきゃな!」

 

「……なれるなれる、勇っちなら絶対にね!」

 

 これからの抱負とも取れる勇の言葉に対し小さくつぶやく葉月。当然彼女の声は勇には届いていないが、放送室で話す彼の声は本当に嬉しそうだと彼女は思った。

 

「さて、オープニングトークはここまでにして本題に行きましょう! 今回は我ら薔薇園女子からの皆さんへの質問のお便りがどしどし届いております! この中から厳選していくつかの質問を皆さんにしてみようと思いますので、どうぞ答えてやってください!」

 

「OKだ。さぁ、どんと来い!」

 

 景気良く夕陽に答える勇。そんな彼を笑顔で見た後、夕陽は四人へ一つ目の質問をした。

 

「『やっほー! 勇っちたちが遊びに来てくれて嬉しいよ! アタシからの質問は、ぶっちゃけアタシたちディーヴァの中では誰推しなの? って所で! んじゃ、回答ヨロシク!』……ラジオネーム『サマーカラー』さんからの質問ですね」

 

「いや、これ匿名の意味ねえだろ? 一発で誰かわかるぞ」

 

「アタシたちディーヴァって言っちゃってるしね」

 

 この質問を送ってきた人物が誰かすぐに思い当たった5人は苦笑を浮かべながらそのことを話す。一方、教室では質問を送った張本人が舌をぺろりと出して級友たちに愛嬌のある笑顔を見せていた。

 

「しかし、質問は質問! 皆さん、正直にお答えください!」

 

「う~ん……俺は片桐さんかな。彼女はいつも一生懸命だし、なんだか応援したくなるんだ」

 

「おっと、早速一票が入ったのは我らが正統派アイドルの片桐やよい選手だ! 人気No1の光牙さんのハートを射止める辺り、流石と言わざるを得ない!」

 

「い、いや、ハートを射止めるってそこまでのめり込んでいるわけじゃ……」

 

 ハイテンションで実況する夕陽に対してやや引き気味で否定の声を上げる光牙。そんな彼を見て苦笑しながら勇もまた自分の推しメンバーを発表する。

 

「まあ、一番組む事の多い葉月だな。なんだかんだ、あいつには世話になる事が多いしな」

 

「確かに新田さんと龍堂くんはチームを組むことが多いよね。合宿の時も思ったけど、相性ばっちりだ」

 

「これはひょっとするとひょっとする……かも?」

 

「はは、そう思って頂けて光栄だな! でもま、そう上手くはいかないだろ!」

 

 放送室の中でずいっと自分に詰め寄ってきた夕陽を軽くいなす勇。光牙は彼の女性への対処方法の見事さに感心し、参考にしようとしきりに頷いていた。

 

「さて、城田さんはどうでしょうか? 三人の中で一番のお気に入りはどなたでしょう?」

 

「あ~……あんま興味ねえよ。考えた事もねえ」

 

「えっ!? って事は、お前は女に興味が無いってことか……!?」

 

「……お三方、櫂さんとの接し方を考え直した方が良いんじゃないですかね?」

 

「ちょっと待て! なんでそうなるんだ!?」

 

 危ない疑惑をかけられた櫂が今日二度目の叫びを上げる。そんな彼の行動のおかげで各教室では大きな笑い声が巻き起こったが、同時に彼ならありうると言う本格的な疑惑も生まれてしまっていた。

 

「さて、次の質問に行きましょうか、お次の質問はと……」

 

「あ、あれ? 僕の答えには興味が無い感じですか!?」

 

「いや……お前の場合は答えが決まってるだろ?」

 

 スルーされた謙哉が悲しそうに夕陽に聞いた姿を見た勇がやや茶化した口調で彼に告げる。その後、謙哉以外の放送室の中の4人は声を揃えて彼が推していると思われるメンバーの名前を口にした。

 

「水無月(さん)だろ(でしょ)?」

 

「え、違うけど……」

 

「ほらやっぱりそうだ……って、えぇぇぇぇぇっ!?」

 

 親友の答えを聞いた勇は全力で立ち上がりながら驚きの声を上げた。ちなみにこの行動をしたのは彼だけでは無い。放送室にいた夕陽もその他の教室にいた幾人かの女子生徒たちも、玲を除くディーヴァの二人もそうだ。

 

「え? ほ、本気かい……? なら、誰を……?」

 

「片桐さんだけど……そんなに意外だった?」

 

「い、意外もなにも……なあ?」

 

「お、おう……」

 

 この予想外の答えに対し驚きを隠せない勇と櫂は珍しく息を合わせて同調していた。そして同時に思う、この放送を聴いている玲はどんな表情をしているのかと……

 

「白峯くんも言ってたけど片桐さんってなんだか応援したくなっちゃうんだよね! これからも頑張って欲しいな!」

 

 そう屈託無く笑いながら言う謙哉には悪気が一切無い。だがしかし、そんな彼に向かって極寒のブリザードの様なオーラが向かって来ている錯覚を勇たちは覚えていた。

 

「さ、さあ! 気を取り直して次の質問に行ってみましょう!」

 

「お、おう! なんでも答えるぜ!」

 

 この空気を払拭すべく話題を切り替える夕陽に乗っかって勇も次の質問へと気を切り替える。この後やってくる不幸は謙哉に押し付ける事を決めた彼は、心の中で親友に向けて合掌しながら次の話題へと意識を集中させた。

 

「え~……『質問です。たとえばの話ですが、幼馴染の女の子と転校生の女の子、同時に二人の女の子に告白された時、皆さんはどちらを選びますか?』……だそうですよ」

 

「ん~……これはえらくぼんやりとした質問の様な……」

 

「ラジオネーム『ピンクのバンビ』さんから頂いた質問です。この質問は代表して光牙さんに答えて貰いましょう!」

 

「え、ええっ!? 俺がかい? そう言われても上手く想像がつかないなあ……」

 

 まさかの指名を受けて動揺する光牙は質問の内容が上手く想像出来ないようだ。困り果てる彼に対して勇が助け船を出す。

 

「なーに、簡単なことだよ。俺とそこの筋肉ダルマ、どっちとチームを組むかって話だ。な、想像しやすいだろ?」

 

「あ、なるほど! ……って、これ、また怪しい解答にならないかな?」

 

「気にすんなよ! で? どっちを選ぶんだ? もちろん俺だよな?」

 

「んなわけあるか! お前なんかより付き合いの長い俺に決まってるだろ!」

 

「え、えーと……」

 

 光牙に対して詰め寄る勇と櫂。片方は遊び半分に茶化して、もう片方は真剣に彼に問いかけている。ややあって、答えを決めた光牙はその答えを口にした。

 

「俺は幼馴染のほうを選ぶかな。この場合だと櫂だ」

 

「よっしゃ! やっぱそうだよな!」

 

「そんな! 光牙、俺とは遊びだったのかよ……!?」

 

「え、ええっ!?」

 

「謙哉ー、光牙に捨てられた~……」

 

「よしよし、勇には僕が居るから安心してよ」

 

 光牙に選ばれて喜ぶ櫂にふざけて凹んでいるふりをしている勇とそれを慰める謙哉、そんな風に思い思いの反応をする面々を見ながら慌てる光牙となかなかに面白い絵面を見た夕陽が笑い声を上げる。まるでコントと様なやり取りに教室でも笑いが巻き起こったが、怪しい趣味を持つ女子たちは人知れずゴクリと涎を飲み込みながらその会話を耳にしていた。

 

「さてお次の質問に行ってみましょう! ……ラジオネーム『青色吐息』さんから頂いた質問です。『ぶっちゃけ、彼女にするならどんな女の子が良いのかしら?』……おおっと!? これはなかなか攻めた質問ですよ!」

 

 男心の核心を突く質問に興奮する夕陽、それは教室で放送を聞く同様で皆一同にスピーカーへと耳を澄ませて勇たちの回答を待ちわびていた。

 

「ではまず……櫂さん! お答えをどうぞ!」

 

「あぁ!? そうだな……あんまりうるさくねー女って所か?」

 

「うわ、面白みの無い答えだな、おい」

 

「んだと龍堂!? 文句あっか!?」

 

「はいはい、お次は謙哉さんにお聞きしましょう! どうですか? 具体例を出しても良いんですよ!?」

 

「ええ……? う~ん……」

 

 投げやりな櫂の回答の後と言う事で若干のプレッシャーがかかる謙哉。少し悩んだ後で顔を上げた彼はマイクに向かってこう告げる。

 

「やっぱり優しくて笑顔の素敵な人かな……? 具体例で言うと……片桐さんとか新田さんとか?」

 

「ほ、ほほう……!」

 

 謙哉の答えを聞いた夕陽は額に冷や汗を流した。彼らが帰った後で玲に締め上げられるビジョンが見えたからだ。どうやってこの危機を乗り切ろうかと思っていた彼女だったが、救いの神は彼女を見捨てなかったらしい。

 

「う~ん……でもやっぱりしっくり来ないんだよね。お嫁さんにするなら水無月さん一択なんだけどさ」

 

「!?」

 

 とんでもない爆弾発言をした謙哉の事を勇たちが驚いた顔で見つめる。自分が結構すごい事を言っていることを気がついていないのか、謙哉はそのまま玲を選んだ理由を語り始めた。

 

「水無月さんは僕の事を色々とフォローしてくれるし、発破をかけてくれると言うか、後押ししてくれることはありがたいと思ってるんだよね。尻に敷かれそうなのもそれはそれで楽しそうだし」

 

 同時刻、二年のとある教室では一人の少女に向かって女子たちの視線が集中していた。その視線、もしくは聞こえてくる声に耐え切れなくなった彼女は食べている弁当を机に置いたまま立ち上がって深呼吸をする。

 

 落として上げる……典型的なヨイショのされ方を受けた彼女は表情こそ落ち着いてはいるが顔色は耳まで真っ赤だ。こんなにも自分を持ち上げてくれる彼に対して怒るべきか感謝するべきか悩んでいた彼女の耳にトドメとなる言葉が聞こえてくる。

 

「ああ、でも……虎牙玲じゃあ語呂が悪いかな? 結婚するなら婿養子に入って水無月謙哉の方がしっくりくるかもね!」

 

「~~~~っっ!?」

 

「あっ!? ちょ、玲ちゃ~ん!」

 

 その発言を受けた彼女はとうとう自分の限界要領を超えた感情の揺れに対処しきれず教室の外へと駆け出して行ってしまった。だんだんと遠くなるその背中をクラスメイトたちは唖然とした表情で見送っている。

 

「……まあ、こんな事言っても水無月さんに怒られるだけなんだろうけどさ。あんたのお守りなんて御免よ、とか言われちゃうに決まってるよね。さ、次はどっちが答えるの?」

 

「え、ええっと……?」

 

 一人の少女をKOした事など気がつかないで居る謙哉はそこまで言った後、若干自嘲気味な言葉で話題を次の人物へとパスした。このやや甘ったるい空気にどう対応すれば良いのかわからない光牙。そんな彼には荷が重いと判断した勇が口を開く。

 

「ま、俺も具体的には言えないけどな。でもま、月並みな事言わせて貰うと好きになった娘がタイプって所かな?」

 

「おおっ! と言うことは誰にでもチャンスはあると言うことですね!?」

 

「はは、まあそうなるな」

 

「聞きましたか皆さん! まだ誰にでもチャンスはあるそうですよ! 勇さんを狙っている方は急いでアピールを!」

 

(す、すごい……! これが空気を読むと言う力か!?)

 

 当たり障りの無い答えで場を盛り上げつつも空気を元に戻した勇に対して光牙は賞賛の視線を向ける。どこかずれまくっている気がしなくも無いが、彼が勇を素直に尊敬していることは間違いないので放っておこう。

 

「……では最後に光牙さん! あなたの好みの女の子のタイプを教えてください!」

 

(よ、よし! 俺も……!)

 

 勇に続いて場の空気を盛り上げようとする光牙。彼の中ではこれもまた勇者となる試練の一つになっているようだ。

 

 本当に勇者にそんな能力が必要なのかは正直言って疑問だが、決意を秘めた強い眼差しを夕陽に向けながら光牙は口を開くと……

 

「や、やっぱり、まじめな人が好みでしゅっ!」

 

 気張りすぎて思いっきり噛んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は……勇者にはなれない……」

 

「あはははは! げ、元気出せよ光牙! お前、あのタイミングで噛むとか最高に持ってるわ!」

 

「龍堂、笑ってんじゃねえ! 光牙は結構本気で傷ついてんだぞ!?」

 

 ラジオの放送終了後、どんよりとした空気を放ちながら落ち込む光牙を勇と櫂がそれぞれの方法で慰める。と言っても、彼らの声は当の本人には聞こえていない様であった。

 

「謙哉! 何であんなこっ恥ずかしい事を平然と言ってんのよ!? 馬鹿じゃないの!?」

 

「わー! ごめんごめん! だから銃を撃ちながら追いかけてくるのは止めてよーっ!」

 

 光牙たちの後ろでは謙哉がメガホンマグナムを乱射しながら追いかけてくる玲から必死に逃げていた。もうなんだか微笑ましくすらあるその光景を見ながら夕陽は今日の放送に協力してくれた勇たちに感謝の言葉を述べる。

 

「光牙さん、勇さん、謙哉さん、櫂さん。本日はどうもありがとうございました! 自分も楽しかったっす!」

 

「おう! こっちこそありがとな! なんだかんだ面白かったぜ!」

 

 落ち込んでいる光牙とそれを慰める櫂、そしていまだに玲に追い掛け回されている謙哉は挨拶ができないと判断した勇が彼らを代表してその礼に応えた。そうした後で笑顔を見せると右手を差し出す。

 

「ま、そんなこんなでこれからもヨロシクってことで! またなんかあったら声をかけてくれよ!」

 

「うっす! これからも虹彩の皆さんと仲良くしていく所存です!」

 

 楽しげに笑いあう二人だったが、その背後では混沌としか言い様の無い光景が広がっている。そんなことは無視して、勇と夕陽はひたすらに笑い続けたのであった。

 


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