ハイスクールD×D ~終焉の道化師~ 作:元気マックスssさん
現在、俺は白音ちゃんと共に自宅の前まで来ているのだが。
「ねぇ……行かないの?」
「ちょっと待ってください」
先ほど家に入ろうとしたら袖をつかまれ動けない常態にどうしようかと思っていた。
それから数時間、時刻は6時、夕方だ。
「ふぅ………行きましょう」
やっとか……。
俺は扉をガチャっとあけ中に入る、すると。
「ネアー!仕事お疲れーーー!」
「うわっぷ」
家に入ったとたんにこれだ。
「おい。黒歌、少し離れろよ」
「照れなくていいんにゃ~!今日の黒歌はネアニウムがちょっと足りてないんにゃ!」
「照れてねぇシ☆!なんだヨ♥!?ネアニウムってのハ☆!!」
「またまた~ってなんか別の匂いがするにゃ………」
瞬間、黒歌はその場で静止した。
まるで本物の静止画のように。
「……………………白音?」
その言葉に妹ちゃんは肩をビクッとさせる。
「……………………」
黒歌は俺から離れていき妹ちゃんを見つめていた。
「どうしてここに………………」
ガシッと俺は黒歌の腕を掴む。
『逃げるな』
「ッ!」
『歩け…………そこから踏み出して歩いて見せろ』
そう俺は黒歌に念話のような物で伝える。
「ど、どうしてここにいるの?白音」
ん?こいつ緊張しすぎてるのか?なんかちっと冷たい感じになってってるぞ。
「ここにお姉様がいると聞きましたから」
「ふーん、まだ私をお姉様と言うんだ」
おーい、いつもの「にゃん」って言う語尾はどした~。
『おい、なにしてんの?怖がっちゃうだろ』
『しょーがないでしょ!いきなり生き別れの妹連れてきて、普通に対応できるわけないでしょうが!!』
『だからってそんな冷たい演技すなー!?』
だが妹ちゃんも覚悟ができてるのか。
「私はお姉様の話が聞きたい。あの時、なぜ主を殺し私を置いていったのかを」
「ッ!…………うん」
ハァー。やっとかとりあえずは。
「玄関じゃなんだし居間で話そう」
そして俺を含めた三人は居間へと行き、あの日の真実を
話した。
黒歌は仙術という技がありそれに目をつけた悪魔の眷属になったそうで当時の白音ちゃんはまだ幼く黒歌がかかりっきりで世話をしていたそうだが白音ちゃんにも仙術の才能があると目をつけた眷属の『王(キング)』が無理やり自分の眷属にしようとしたそうな、そこに救出に向かった黒歌は王を殺害、白音ちゃんを置いて逃亡。
だが。
どうやら白音ちゃんは勘違いをしていたそうで、なんでも黒歌が仙術というすんごい技に自惚れ、その場の勢いで王を殺したという解釈をしていた。
「そんな事が…………でもどうして私を置いていったんですか?」
「それは………その、あっ、白音は今どうしているのかにゃ?」
((あっ、誤魔化した))
「私は今は悪魔に転生して学校に通っています」
「悪魔に転生って!もしかして無理やり!」
「違いますよ、それに回りの人はみんな優しいです」
それを聞いた俺達はほっとした。
そして。
「お姉様、お願いがあるんです」
「……ん?何かにゃ?」
「私は今までお姉様を憎んでいました。仙術という力に溺れて主を殺して私を置いていったお姉様を、でも真実を聞いてホッとする私がいました。前々から思ってたんです、もしかしたら別の想いがあるじゃないかって他のもっと別の理由があったんじゃないかって。……でもそれでも怖かったんです。ここに来るまでもやっぱり帰ろうかって何度も思いました。………でも」
でも。
それでも。
あの言葉を聞いて。
『不器用すぎる』
と聞いて。
私は。
「でも、思っちゃったんです……今日」
そう思ってしまった。
たとえSS級のはぐれ悪魔だとか知ったこっちゃない。
そう。
もう一度。
「もう一度。私を。白音を。お姉様の守りたい物に入れてもらえませんか?」
涙が込み上げてくる。
だらだらと大粒の涙が頬をつたっていく。
「………………うん!」
そうして今、とある姉妹は仲直りをした。
そして深夜。
とりあえずあの姉妹は泣きつかれたのか寝てしまった。
俺はコーヒー片手に溜め息をこぼす。
「ハァ~、今日はとんだ一日だったな」
「溜め息すると幸せは逃げていくにゃ」
後ろから声がした。
「起きたのか」
「………うん」
「白音ちゃんは?」
「まだ、寝てる」
「そっか」
そして沈黙が訪れる、だが黒歌は自分の顔を俺の背中に
あてる。
「今日はありがとうにゃん、私と白音の事」
「どういたしまして」
そして。
「本当に……ありがとう」
ポタポタと流れる『涙』という名の雨。
でもその雨は。
「ありがとう…本当にありがとう!」
暗い雨ではなく。
「ありがとう!…ありがとう!」
感謝の気持ちが詰まった。
「本当に!……ありがとう!」
天気雨だった。
「どういたしまして」