赤い骸骨 シャア専用モモンガ   作:なかじめ

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今回は余り話が進みません。あと原作と変わらない所はダイジェストです。

前回やり過ぎたと少し反省していたら逆にお気に入り数が増えた…?
これは…一体…?

皆さん本当にありがとうございます!
感動の嵐!
モチベーションが高まる…!溢れる…!
誤字脱字報告も毎回ありがとうございます!


AOG-15S

アインズはナザリックの近くに転移し、墳墓の入り口で待っていたアルベドとユリに出迎えられた。

そして、彼女達からリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを受け取り玉座の間に直行した。

そこで、共に行動していたセバスは無事な事、セバスには反逆の気配は全く無いこと、そしてセバスと共に居た時はシャルティアもアインズへの忠誠を口にしていたことを確認した。

 

「マスターソース・オープン」

 

玉座を見上げ、そう唱えるとコンソールに似た半透明の窓が開いた。これはナザリックの管理システムだ。

アインズは慣れた手つきでその中にあるNPCタグを開く。

そこに記載されているのはギルドメンバー達と共に作ったNPC達の名前の一覧だ。それをカタカナ順からレベルの高い順に直すと、アインズは上から順に眺め、視点を一カ所で止めた。

それから黙って視点をアルベドに動かす。

「はい。このようになっております。」

 

白い文字で書かれた名前の中、シャルティア・ブラッドフォールンの名前だけが黒くなっていた。

 

「…死亡か?」

 

これはただ認めたくないだけだ。本当は分かっている。

 

「死亡の場合は文字が消えて、一時的に空白になります。これは反逆の意味を指す意味かと思われます。」

 

だが、アルベドの言葉は事実だけを的確に、残酷に告げて来るだけだった。

 

(…いや、アルベドは悪くない。俺が現実逃避しているだけか…。)

 

アインズはこの文字の変化を知っている。これは精神支配を受け、一時的に敵対行動を取ったNPCの名前の変化だ。

しかしそれは…

 

(ありえない…。あいつは俺と同じアンデッドだぞ…。…もしかしたらこの世界独自の何かしらのせい、とも考えられるか…。)

 

「アインズ様。」

 

思考の海に深く潜っていたアインズにアルベドが声を掛けてくる。アインズはアルベドに目だけを向けた。

 

「早急に討伐隊を編成し、送り込む事を進言いたします。」

 

「…それは早計だ。先ずはシャルティアが何故裏切ったのか…それを確認してからだ。…言っておくがこれは慈悲だけではなく、本心から不思議だから言っているのだからな。もし仮にこれが何か我々の知らない力に寄る物だった場合、他のNPCへの脅威となるからだ。」

 

アインズは水掛け論になりかねないので先に言っておく。

 

「畏まりました。出過ぎた事を言い、申し訳有りません、アインズ様。」

 

「いや、良いのだ。それでアルベド、シャルティアの居る現在地は…ん?」

 

話をしながら先程のマスターソースのウィンドウを元の画面に戻していたのだが、流し見していた画面に何か見慣れない物を見た気がしたアインズは言葉を止めた。

 

「どうかなさいましたか? アインズ様?」

 

「いや、ちょっと気になる事が有ってな。どこだったか?」

 

アインズは転移直後はこの管理システムのチェックも仕事としてやっていたのだが、最近はアルベドに任せっきりで久し振りに見たためもしかしたら気のせいか?とも思ったが一応、先程開いた画面を一つ一つ見ていく。

そしてようやく、何が気になったかが発覚した。

その画面は現在のナザリックに所属し、ログインしているプレイヤーの表示される画面。最初の画面に戻す時に間違ってタップして開いた画面だった。ここには当然アインズ一人の名前しか表示されないので苦い思いをして直ぐに消そうとしたのだが、一瞬チラッと見えたのだろう。

 

そこに有った物を見てアインズは再び驚愕する事になった。

 

「はぁ? な、何だ…これ?」

 

アインズは素の、鈴木悟の声でそう言った。それは先程のシャルティアの時とは違う意味で有り得ないと思ったからだ。

 

「ど、どうされました!? アインズ様!?」

 

「い、いや…。コレなんだが…。」

 

アインズは一カ所、一つしか表示されていない名前を指差す。そこに有った自分の名前が、当然有るべき名前、【モモンガ】から

 

【モモンガS型】になっていた。

 

(え、S型って何!? 俺はいつマイナーチェンジしたの!? Sって何!?…何かそんな事最近言った気がするぞ?)

 

「ああ、それはあの日からそうなっておりましたね。アインズ様と名前をお変えになった時からですね。」

 

「やっぱりそうだよな…。これ以外に無いものな。…このSというのはどういう意味だ? スーパーか?スペシャルか?サイレント? アルベドは何か知っているか?」

 

「勿論!知っておりますわ!」

 

アルベドは自信満々のドヤ顔でそう言いきった。

(え?マジか?もしかして常識なの?)

そう思ったアインズは恐る恐るアルベドに聞いてみる。

 

「…ど、どういう意味だ?」

 

「それは! 勿論っ! セクシーのエ「良し! 私はお前の姉の元へ行って来るぞ! シャルティアの居場所を確認しにな! 善は急げと言うしな!」

 

「ああん!アインズ様ぁ~!私も行きますぅ~!! 待って下さい!」

 

聞いたのを本気でバカバカしいと思ったアインズだった。

 

そうしてアルベドの姉、ニグレドの元へ向かいシャルティアの居場所を確認して貰ったのだが、何故かシャルティアは完全装備だった。それ以外には特にめぼしい情報も無かった。

 

ただ、転移してから初めてニグレドに会ったのだが、アインズの赤くなり、角の生えた姿を見て悲鳴を上げた。彼女は見た目と設定こそアレだがナザリックには珍しい善良な女性なのだ。

 

追加で皮膚の無い筋肉剥き出しのあの顔で、しかも目の前で絶叫を上げられた事により、アインズも悲鳴を上げる…という事件が有った。

 

そしてシャルティアの元に向かおうと思ったタイミングでナーベラルから連絡が有り、冒険者組合が呼んでいると言われ、最初は行く気は無かったが、吸血鬼と言うキーワードを聞いた事により、アインズは一度エ・ランテルに戻る事になった。

 

 

 

 

「さあ、不可能を可能にする男、モモン君。空いている椅子に掛けてくれ。」

 

アインズは組合に有る会議室のような部屋に入るなり訳の解らない事を組合長に言われ、いきなり面食らう。

 

「…あの、何でしょう?不可能を可能にする男と言うのは…。」

 

「あれ、若い冒険者が君の二つ名をそう言っていたんだが…知らなかったかい?」

 

知るか!と言いそうになるがなんとか飲み込む。一体誰がそんな事を…。

 

しかし、何やらそこに集まっていた他のミスリルのプレートを持つ冒険者達や組合長の隣の男も口を開いた。

 

「いや、俺は道理を無理でこじ開ける男と聞いたぞ。」

 

「私は火消しの風、プリベンター・ウインドと…」

 

「私はカテゴリーFと聞いたな。」

 

「うん?俺は戦闘のプロと聞いたぜ?」

 

「ぷひー、ほう。すごいふたつなだね。」

 

(何だろう…最後の奴以外、何だか微妙に惜しい感じは…。あとなんだかカテゴリーFは蔑称な気が…。いやいやいやいや、全部違うから!!…でもちょっとカッコ良いかも…。)

 

「私は二つ名など…私はかつて赤い彗星と呼ばれていた男だ…はぁっ!?」

 

「赤い…彗星?彗星は確か流れ星だったよな?…おお、なる程! 確かにこのエ・ランテルに流れ星のように現れて、颯爽とこの街を救ってくれた英雄には相応しいですなっ!」

 

「確かに。」

 

「うむ。」

 

「それだ。モモン、あんたに一つ聞きたい事が有る。」

 

冒険者の内、余りこちらに良い感情を持っていなさそうな男だけが、此方に向かってそう言ってきた。

 

「うん? 何だろうか?」

 

「難度100前後の…死の騎士とかいうモンスターを…一人で倒したというのは…本当か?」

 

アインズはチラッとアインザック組合長の方を見る。スケリトル・ドラゴン事件はあの後、あの変態共が関わっていると知った冒険者組合の預かりになっていたのだ。

アインザックはそれを見て小さく頷く。

 

「ええ、事実です。それが?」

 

その、デス・ナイトを倒した事など、別に何でも無いような口振りで言うモモンの言葉に、その場に居た冒険者達や組合長達、それと小太りの男全員が嘆息の息を漏らした。

そして、質問してきた男は顔を下げ、微妙に震えている。

更にそこに組合長が情報を付け加える。

 

「彼等はそれだけでなく、スケリトル・ドラゴン二体も倒している。更に…」

 

そこで一端話を切り周りの人間を見回してから再び口を開く。

 

「遺留品から、敵の首魁は秘密結社ズーラーノーンだと判明している。」

 

周りの冒険者達はそれに対し驚愕の声を上げた。

 

(ズーラーノーン?…本当に無知とは怖いな。…それと…変態の秘密結社とか…怖すぎるだろう!…ん?)

 

モモンは少し考えていたが目の前の男が何やらぶつぶつ言っているのが聞こえ、思考を中断する。

 

「くそぉ…。俺は…俺だって…ミスリルで…2000回で…依頼達成なんだぞ!…いや…!」

 

そう呟く声が聞こえ、男は顔を上げて此方を真っ直ぐ、先程と違い敵意の無い目でモモンを見てきた。

 

「何だか済まねえ。あんたはすげえよ。流石に難度100と1対1で勝っちまうんじゃ…認めざるを得ねえしな。俺はイグヴァルジだ。宜しく頼む! えと、モモン…さん。」

 

「ああ。此方こそ宜しく頼む。イグヴァルジ殿。では、組合長、先ずは遅れて申し訳無い。」

 

そう言い、英雄級の男が簡単に頭を下げるのを見て、その場に居た男達は、またも嘆息の息を漏らす。

 

そして簡単に自己紹介を済ませて本題に入る。

どうやら鉄のプレートの冒険者チームが壊滅し、生き残りの冒険者の情報により、吸血鬼、それも第三位階の魔法の使い手の吸血鬼がこのエ・ランテル近郊にいるらしいとの話だった。そしてその変態結社ズーラーノーンと何か関係が有るかも知れないと彼等ははなしていた。

 

(間違いなくシャルティアだ。何で変態結社と?…絶対に近づけさせ…あいつもちょっと変態だった…。…しかしどうする? こいつ等を近づけさせる訳には行かない。 シャルティアの顔を多くの人間に見られてはこれからのナザリックの活動に何か支障が出るかも知れない…。)

 

「先ずは情報だ。その洞窟調査から始めよう!」

 

アインズは必死に話を誘導出来ないか考え、ままよ!と口を開く。

 

「まず一つ間違っている事が有る。その吸血鬼はへんた…ズーラーノーンとは関係無い。」

 

「な、何故だね?モモン君。何か知っているのかね?」

 

「ああ、彼女の名前は良く知っている。奴は私の知っている吸血鬼の内の一体だ。」

 

「何!?」

 

モモンの一言で周りの空気が揺らいだ。

 

「非常に強い吸血鬼でね。私が冒険者になったのも、奴らが動いた時に直ぐに情報を集められるように、という理由からだ。…今回、早速役に立ったという事だな。」

 

「…待ってくれ!今、奴らと言ったのかね?」

 

「ああ、私の追っている二体の吸血鬼うちの一体、恐らく今回の吸血鬼の名前は…」

 

(考えて無かったァーー!!!どうする?悪女の名前っ!?あ、アルベド?いやいやいやいや、アルベドは悪女じゃ…ちょっと悪女だ。でもダメだ!うーん…、どうする!?…ぉ!)

 

一瞬パニックになったアインズだったが、また発作が起きた。しかし、もう今回はアインズは発作に任せる事にした。

 

「…ついに奴が動き出したと言うことだ。ハマーン・カーン…ジオンの亡霊め!」

 

「は、ハマーン?」

 

「ジオンの…亡霊?」

 

「…一体、そのハマーンと言うのはどんな奴なんだ?…モモンさん?」

 

さあ…どうなんですかね?と喉まで出掛かるが、飲み込み必死に考える。

だが、また発作が起こったのでもう任せる事にした。…というか今回の発作は随分と強力な発作で止めようにも止められなかった。余程、そのハマーンという女性の事を吐き出したかったのだろう。

 

「奴は嫉妬深く、激情しやすく、とても頭が切れる。さらにとても強く、美しい見た目をしている。しかし、人を殺すのを何とも思ってはいない。正に女帝という言葉が相応しい女だ。恐らく普通の人間では瞬く間に殺されてしまうだろう。…だが…昔は違ったのだ!昔は…!…と、とにかく!危険な吸血鬼だ!」

 

(何か…やっぱりアルベドじゃないか?…ハマーン・カーン…?怖い…。)

 

「…な!? そんな危険そうな吸血鬼がこの近郊に!?」

 

彼等は必死にどうするか?と対策を話始める。しかし、有効な方法は出ないようで皆が考え込む。

そのタイミングでアインズは口を開いた。

 

「今回の依頼、我々だけで行かせて貰えないだろうか?」

 

「「何!?」」

 

そのアインズの言葉に何人かの男の声が重なる。

 

「ハマーンとは、私がケリを付けなくてはならない。恐らくだが奴も待っているだろう。だからこそ、冒険者の内の一人を生きて返した…そうは思わないか?」

 

「そ、そう言う事…なのか?」

 

大分適当に言ってしまったが、意外と筋が通っているアインズの発言に皆が納得し始める。もう一押しか?とアインズが思ったタイミングで、魔術師組合長のラケシルが口を開く。

 

「それと、モモン君。ジオンというのは?」

 

「はい?何ですか?」

 

と、その突然の問いにアインズは素で返してしまう。

 

「い、いや、さっきジオンの亡霊と君が言っていたから…」

 

「あ、うむ。それは…」

 

一瞬でパニックに陥るアインズだったが、脳裏に電撃が走った。エゥーゴとかいうのを自分が口走ったのを思いだしたのだ。

 

「わ、私の居たエゥーゴ?…という国と戦争状態にあった国だ。…今はもう、両方とも亡国になってしまったがな…。」

 

そのアインズの言葉を受け、皆が目を丸くし、なる程…と相槌を打っている。

 

(そ、それで良いの?この人達大丈夫?そんなんで詐欺とかに有ったりしないの?)

 

とアインズは少し心配になったが、やはり英雄の言葉なら信じてしまうか。と自分の中で納得する。

 

「奴との因縁はここで断ち切る。どうか頼む。」

 

兎に角、言いたい事は言ったので最後に頭を下げて誠意をアピールする。営業マンの得意技だ。

 

「頭をあげてくれよ。モモンさん。…そのハマーンという吸血鬼と何か有ったのは分かった。…敵国の女帝と…流石だ…。」

 

(へ?)

 

「ああ、やはり男女の話には外野は口を出さない方が良いな。…しかし流石は英雄だ。そんな強力な吸血鬼と…」

 

(はぁ!?吸血鬼と…何だよ!?はっきり言えよ!)

 

「組合長、魔術師組合長、それに都市長!俺からも頼む!モモンに過去を清算させてやってくれ!」

 

(もう何でも良いや!ははは!)

 

アインザック組合長、ラケシル魔術師組合長、それにパナソレイ都市長は顔を見合わせると、代表してパナソレイが口を開く。その顔は先程までの間の抜けた顔では無く、目が鋭くなり、一種の迫力を感じさせる顔だった。

 

「モモン君。正直に言って…勝ち目は有るのかね。」

 

「…私が負けるとでも?手の内は見せたく無いので全ては言いませんが、私にはまだ切っていない切り札が有ります。その一つがコレです。」

 

そう言って出したのは、第八位階の魔法が込められた魔封じの水晶。

 

そしてそれを見た魔術師組合長のラケシルが発狂し、アインズを、いやその場に居た全員をどん引きさせる、という事件が有った。とは言え、それが本物だという事が分かり全員納得してくれたようだった。

 

「良し、ではモモン君に任せると言うことで良いのかね?ミスリルの三人は。」

 

その都市長の言葉に冒険者のリーダー三人が頷く。

 

「そうか。ではモモン君、最後に。そのハマーンと言う吸血鬼に情は残っていないのかね?」

 

「無い。確実に葬って来る事を約束しよう。」

(…だって知らない人だし…。……だが、シャルティアは絶対に救って見せる!どんな手を使ってもな!…それで良いのだろう?)

 

そうアインズが決意した所で解散となり、アインズは直ぐにナザリックにナーベラルと再び戻る。親友の娘であるシャルティアを救う為に。

 

 




原作で死んだ名有りキャラが軒並み生き残っている中、諸君らが愛してくれたカジットは死んだ!! 何故だ!?

イグヴァルジはデス・ナイトをタイマンで倒したという他の冒険者の証言が有って認めざるを得ないという感じで生き残らせました。

俺は戦闘のプロだぜ!外しはしない!

グレートモ…もはや言うまい。 

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