ベリアル物語   作:ヴァンパイア

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タイトルは「ベリアル陛下の日常」とは書いていますが、これ日常?と思っても、目を瞑ってください。


エピソード11「ベリアル陛下の日常」

疼く。あの野郎につけられたこの傷が疼く。

 

ベリAKとの死闘によりおった傷を右手で押さえながら、ベリアルは言った。

すると、部屋にグリーザが入って来て、彼に話し掛ける。

 

グリーザ「ベリアル陛下?あ、いた。その傷本当に大丈夫なの?」

 

ベリアル「さっきも言っただろ。この傷はあいつらへの屈辱を晴らすまではあえて残す。」

 

グリーザ「そう。それじゃあ、おやすみ。」

 

彼女は布団にさり気なく入り、毛布を掛けて就寝に入る。ベリアルはもう言っても無駄だと思ったのか、特に何も言わなかった。

 

そして、ベリアルも寝ようと彼女が掛けている毛布の一部を取り上げ、就寝に入った。

 

因みに、流石に慣れたため体は何処も変化してない。

 

 

 

〜アルカディアスペースの光の国 王座〜

 

玉座は七つだった筈が八つに増えていた。そして、佇んでいるベリAKを父が玉座から立ち、紹介していた。

 

父「今日から新しい仲間となった、あの悪に堕ちた黒ベリアルのクローンのウルトラマンベリアルだ。」

 

ベリAK「よお、俺はウルトラマンベリアルだ。ケンの息子達って聞いたからどんなのかと思ったら、随分頼もしそうな奴らだな。」

 

エース「ゴメンあそばせベリアルさん。頼もしいって言ってくれたのは、嬉しいけど。私はこう見えて女なのですよ。ですから、息子達と娘って、言わないとダメですよ。」

 

ベリAK「そうか、それは悪かったな。」

 

そして、父は玉座に腰掛けると兄弟達はそれぞれ自己紹介をした。

 

タロウ「俺はウルトラマンタロウと申す。よろしく。」

 

エース「改めまして、私はウルトラウーマンエースでございます。」

 

ジャック「俺はウルトラマンジャックつうんだ。よろしくな。」

 

ハヤタ「私はウルトラマンハヤタと申しますwww.よろしくお願いしますwww.」

 

ゾフィー「自分は、ウルトラマンゾフィーという者です。これからよろしくお願いします。」

 

兄妹?達はそれぞれ自己紹介をし、この場にいる全員玉座に腰掛けた。

 

ジャック「父上。セブンは今回失敗したのだから、次は俺が言ってもいいよな?」

 

彼は父に聞くが、父は首を横に振る。

 

ジャ「何故ですか⁉︎」

 

父「今日は全員に休暇を与える。ジャック、お前は今のうちに作戦をもう一度練っておけ。」

 

ジャック「わ、わかりました。」

 

彼は渋々了解した。

 

ベリAK「今日は休暇か、だったら誰か俺の特訓に付き合ってくれよ。」

 

ゾフィー「でしたら、自分がやります。」

 

ベリAK「ホォー、お前が付き合ってくれるのか?俺と一緒に強くなろ ってやろうぜ。」

 

ゾ「はい‼︎」

 

そう言うと、ベリAKはゾフィーを連れ、何処かに行ってしまった。

 

 

 

 

 

〜少し前のこと〜

 

それは、ベリAKがこの宇宙の父と初めて会った時の事だ。

 

父「おお!ベリアル、遂に目覚めたのだな。」

 

ベリAK「ケン!起きたら急にお前の息子を名乗る奴に此処に行けって、言われて来たけどよ。此処は何処なんだ?」

 

父「おいおい、此処はプラズマスパークタワーだぞ。まあ、長い間眠っていたんだ。無理も無い。」

 

ベリAK「眠っていただ?」

 

父は彼に「お前は宇宙ガンという病にかかり、深い昏睡状態に陥ったたのだ。」と言った。だが、ベリAKはある不信感を抱いた。

 

父は自分が病気にかかったというが、ベリAKは自分が病気にかかった覚えはない。仮にもし自分が病気にかかったいたら、普通は病院で治療を受ける筈だ。

 

そして、ベリAKは父を観察していると、自分の知っているケンとは明らかに違う箇所を見つけたため、彼は自分の知っている父ではない事を確信する。

 

ベリAK「お前、ケンじゃねえだろ。」

 

父「何を言ってるんだ?私はお前の戦友である正真正銘ウルトラ星人ケンだぞ。」

 

ベリAK「いい加減にしな。つくならもっとマシな嘘をつけ。第一此処は俺の知ってるプラズマスパークタワーじゃねえ。」

 

父「何を言ってるんだ?何処にそんな証拠があるんだ。」

 

ベリAK「まず、色があからさまに違い過ぎる。リフォームしたとかふざけた事吐かすなよ。俺たちウルトラ星人の生命線である此処をそんなことする筈がねえ。それにお前、何で色が黒ずんでるんだ。」

 

今更だが、アルカディアスペースのウルトラマン達は我々が知っているウルトラマン達よりも赤色の部分が若干黒ずんでるのだ。隣に並んでいなければ分からない程の違いだが、ベリAKは父とは窮地を過ごした中であるため、父の姿はしっかり把握している。

父もこれ以上騙し通すのは無理だと判断した。

 

父「出来ればお前を傷つけずにこのまま行きたかったが、本当の事を言おう。その通りだ。そして、お前はお前が元いた宇宙からやって来たお前の本体から摂取されたウイルスから生み出されクローンだ。」

 

ベリAK「元いた宇宙に本体だ?てっことは、此処は別宇宙って訳か。ところでその俺の本体はどうゆう奴なんだ?」

 

父「残念な話だが、お前の本体は悪に堕ちてしまったんだ。」

 

ベリAK「悪に堕ちた⁉︎」

 

父「そうだ。お前の本体は力を求めるあまり、自分の国を…………親友を裏切ったんだ。」

 

父の言うことに、ベリAKはショックを受けた。

 

ベリAK「俺がケンを裏切った⁉︎デタラメ言うんじゃねえ!」

 

父「お前の気持ちは分かるが、本当のことだ。あの映像を見ろ。」

 

ベリAKは突然現れたモニターを凝視する。モニターには、禍々しい姿となったベリアルがギガバトルナイザーを振るい、ウルトラ戦士達を薙ぎ払っている映像が映っていた。

 

ベリAK「これが…………俺なのか。」

 

彼は映像を見て唖然とした。ベリアルが高笑いしながらギガバトルナイザーを振るい、ウルトラ戦士達を薙ぎ払う姿はまるで悪魔のようであった。

 

そしてモニターがプツンと切れると、ベリAKは拳を握り締める。

 

ベリAK「何やってんだ俺は、力に溺れたために、ダチを、愛していた女を、殺したのか。許さねえ。」

 

父「傷をついているところで申し訳ないが、私達は今お前の本体に狙われているんだ。」

 

ベ「何?」

 

父「奴は各宇宙に居る私達ウルトラ星人を根絶やしにする気だ。私では奴には勝てん。だから頼む、どうか我々と協力して奴を倒してくれ。」

 

ベリAK「いいぜ。しかし、お前は何も関わりのない俺を気遣ってくれるとは、別宇宙とはいえやっぱお前はお人好しだな。」

 

父「ハハハハッ。それは光栄だな。」

 

そして、両者は手を差し出し、握手を交わした。

 

〜そして現在〜

 

タロウ「父上、お聞きしたい事があるのですが。」

 

父「何だ?」

 

タロウ「あいつはいえベリアル殿は、別宇宙の父上との格差にプライドを傷つけられ、父上を見返そうとプラズマスパークに手を出したと我々は報告した筈ですが、先程父上がベリアル殿に告げていた事と我々が調べ上げた事と少々誤差があると思うのですが。」

 

すると、不敵な笑い声を上げた。

 

父「私が本当の事を言うと思うか?本当の事を言ったら、私の“愛する妻”を取られる可能性があるのでな。最初は危ない思ったが、別宇宙のあいつもこっちの言う事を簡単に信じてくれる“使える駒”である事は、変わりないようだな。」

 

そう言うと父は高笑いを上げた。その様子にハヤタとジャックとエースとタロウは戦慄させた。

 

兄弟達「恐ろしいお方だ・ねえ。」

 

 

〜惑星アルカディア 基地内 翌朝〜

 

朝食の時間になっても食堂にエスナの姿が見えないため、心配してマリナが様子を見ようと、エスナの部屋の前に行き、ドアノブに手を掛けドアを開けようとするが、鍵が掛けられており、ドアを開ける事が出来なかった。

 

マリナ「エスナさん、どうかしたのですか⁉︎アロンの事なら私は気にしてないから、お願いだから出て来て下さい!」

 

マリナは扉を叩き、叫んだ。すると、扉越しから小さな声が聞こえて、

 

エスナ「気遣いありがとう。でも、私は今一人で居たいんだ。朝食なら後でとっておくよ。」

 

マリナ「そう言っておきながら、昨日の夜から食事してるところを私は見てませんよ。皆んなと喋ろとは言わないから、せめて食事だけでもとってよ。」

 

エスナ「今の私が居たら、変な空気になって会話も楽しく無くなるだろ。お願いだから、私のことはほっといてくれ。」

 

マリナはこれ以上言っても無駄と悟り、エスナの部屋を後にし、食堂へと戻った。

 

 

〜食堂〜

 

ミヤ「マリナさん、エスナさんは大丈夫だったのですか?」

 

マリナ「今は何言っても聞く耳を持ってないわ。いちよう後で一人で食べると言ってたから、取り敢えず私達だけで食べましょう。」

 

そして、全員手を合わせて。

 

全員(一応ベリアルも言ってる)「いただきます。」

 

そう言うと、朝食に用意されていたホッケとみそ汁に白飯を食べ始めた。どれも絶品で皆美味そうに頬張る。因みにこれも全部ベリアルが作ったものだ。

 

後、ベリアルが「いただきます。」などと言いそうにないかもしれないが、ゴモラとかに「何で言わないの?」と聞かれるのを予想し、仕方なく言っているのだ。

⁇「驚きました。陛下がこれほどのものを作れるとは。王国に戻ったら、皇帝兼料理長とかやってみてはどうですか。」

 

ベリアル「そうだな、気が向いたらやってみるか。」

 

今ベリアルに料理長になる事を進めたのは、今朝突然やって来た赤髪と赤目の美青年だ。アロアの話によると知り合いの【赤井 文月(あかい ふみつき)】という人物だそうだ。

 

全員「ごちそうさま。」(しつこいようだがベリアルも言っている)

 

皆、朝食を食べ終わると厨房に行き、食器を洗った。因みに、今回は気が向いたのかベリアルも手伝ってる。(アロアと文月以外)

 

廊下に二つの足音が響き渡る。その正体はアロアと文月だ。二人は食堂から走っていた。そして、ある程度食堂から距離を置くと二人は止まった。

 

アロア「ここなら、誰もいないわ。」

 

文月「そうですか。」

 

アロア「あの時言った事は本当なんでしょうね。」

 

文月「本当ですよ。少しは私を信じてくださいよ。」

 

アロア「取り敢えず、私はあんたの手助けはしてあげるけど、口説くのは自分でやりなさいよ。」

 

文月「言われずとも分かってますよ。私もあなたの手助けはして上げますから、お互い頑張りましょうね。“エンペラ星人アロア”さん。」

 

すると、アロアはその美貌が台無しなるほどの殺気立った目で文月を睨み付けた。

 

文月「おっと、ここでその名前は口にしてはいけないんでしたっけ?申し訳ありませんwww.」

 

先程からもそうだが、口調こそ丁寧だが明らかに文月はアロアを小馬鹿にしている。それに苛立ったアロアは殺気立った目が光り出すと、文月の体が宙に浮くと、壁に叩きつけられる。

 

アロア「次そんな態度をとったら、殺すよ。」

 

並大抵な者ならこれだけで恐怖を抱くが、文月は余裕の笑みを浮かべる。

 

文月「いいんですか?今ここでそんな事をしてしまったら、奴等に感づかれますよ。そうなったら、恋人を救えませんよ。」

 

アロアは舌打ちをすると、目の輝きが消えた。

 

文月「まあ、力を失ったあなたの念力では、私を殺すのは無理でしょうけどねwww.」

 

アロアは彼の言葉を無視し、その場から離れた。

 

〜またもや食堂〜

 

アロア「たく、あいつ本当ムカつくわ!でも、これもあの人を救うための辛抱よ。」

 

彼女は自分にそう言い聞かせ、怒りを抑える。

そして、丁度皿洗いを終えて、ベリアル達は何やら話をしていた。

 

ゴモラ「陛下いや師匠、今日も修行に付き合ってもらえませんか?」

 

ベリアル「まあ、少しぐらいならやってやるよ。」

 

ゴモラ「ありがとうございます。」

 

ゴモラはお辞儀をしてお礼を言う。

 

グリーザ「じゃあ、私はタオルやお茶を用意しとこ。」

 

彼女は走って食堂から出ようとした。すると、アロアは後ろを確認して、何処から出したのかは不明だが、バナナの皮を取り出し、それを床に投げる。

 

そして、グリーザはバナナの皮を踏んで、転び落ちる。すると、そこに文月が走った来る。

 

文月「すみません。お手洗いに行ってたもので、皿洗いを手伝えn」

 

文月は走った勢いをすぐには止めれず、そのままグリーザと一緒に倒れてしまう。

 

ザンドリアス「二人とも大丈…………エッ⁇」

 

二人の様子を見ると、グリーザと文月は口が重ね合っていた。

 

ミヤ「いくら、事故とはいえ皆んなの前で(//∇//)」

 

グリーザがすぐに起き上がると、文月も起き上がり、何やら笑みを浮かべた。

 

文月「おやおや、申し訳ありません。事故とはいえ、あなたのファーストキスを奪ってしまい申し訳ありません。」

 

グリーザ「ファーストキスって、何?」

 

文月「簡単に言うと、異性いえば男性と女性かどちらかが、初めてキスした事を言うのですよ。」

 

グリーザ「それなら私ファーストキスじゃないよ。」

 

彼女の発言に文月だけでなく、この場にいる全員が驚いた。

 

ザンドリアス「グリーザさん、いったい誰とやったの?」

 

マリナ「まさか、マベルじゃないわよね!」

 

そして、全員がマベルを見つめた。

 

マベル「エッ?俺した覚えが無いぞ。」

 

グリーザ「大丈夫。この人としてないし、頼りない男とはしたくない。」

 

【チーン】

 

彼は壁に隅っこで体育座りをし、ブツブツ呟きながら落ち込んでしまう。

 

マベル「頼りない男頼りない男」

 

マリナ「それじゃ、ダズ?」

 

グリーザ「この人も頼りないから無理。」

 

【チーン】

 

ダズもマベルの隣に座り、マベルと同じ事を呟きながら落ち込んでしまう。

 

ダズ「頼りない頼りない」

 

マリナ「じゃあ、ジャタールwww.」

 

もはや面白半分でマリナは質問した。

 

グリーザ「頼りになるにはなるけど、顔が無理。」

 

【ドォーーン】

 

ジャタールもダズとマベルの隣に座り、ブツブツ呟きながら落ち込んでしまう。

 

ジャタール「顔が無理顔が無理」

 

マリナ「じゃあ、あれ?まさか、ベリアルと⁉︎」

 

グリーザはようやく頷いた。やはりと言うべきか、皆驚いた。特に文月に至っては、怒りのオーラを上げていた。だが、ベリアル本人は頭にハテナマークを浮かべていた。

 

ベリアル「いや、した覚えがねえぞ。」

 

グリーザ「まあ、寝てる時にやったから、覚えていないのは当然。」

 

ベ「ハッ?」

 

グリーザ「ちょっと前にエスナに貸してもらった小説でキスは甘酸っぱいみたいな事が書いていたから、本当にそうなのかベリアル陛下が寝てる間にしてみたの。」

 

ザンドリアス「で、その味の方はどうだったのですか?」

 

グリーザ「よくわかんなかった。」

 

【BGM:カイザーベリアルのテーマ】

 

ベリアル「お前、よくも」

 

すると、彼は周囲の空気を変える程のオーラを上げた。

 

ジャタール「あ、マズイぞ。あれが来る。」

 

落ち込んでいたジャタールは異様な空気を察知し、ベリアルの様子を見て、ガタガタと震え始めた。

 

ベリアル「よくも、俺の“初めて”を奪いやがったなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

彼は基地全体が揺れるほどの怒号を上げ、人間態の大きさのまま元の姿に戻った。

突然の事にジャタールとグリーザ以外アタフタし始めた。

 

ザンドリアス「ジャタールさん、ベリアル陛下どうしちゃったんですか?」

 

ジャタール「説明は後だ!取り敢えず、マベル、ダズ、我々で止めなくては!」

 

そして、ベリアルはグリーザににじり寄る。

 

ベリアル「お前、大事な時までにとってたのよ!俺はお前の興味本位で“初めて”を奪われたのかよ‼︎」

 

ミヤ「エッ!?陛下って、誰ともキスした事なかったのですか?」

 

ジャタール「実は言うと、それは私も初耳だ。」

 

すると、ベリアルはベリアルクローを生やし、右腕を振り上げ、振り下ろす。しかし、そこにジャタール右腕を掴み、ダズとマベルがしがみつき攻撃をやめさせる。

 

ジャタール「陛下、落ち着いて下さい!その、グリーザ様も悪気があった訳では無いのですから。」

 

マベル「そうっすよ。ファーストキスの一つや二つぐらい、取られたって何の問題も無いっすよ!」

 

ダズ「もしかしたら、これが新しい恋に繋がる可能性だって、あるかもしれませんぞ‼︎」

 

ベリアル「うるせぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

三人の言う事に聞く耳も持たず、ベリアルは彼らを薙ぎ払う。そして、彼は右手から赤黒いギザギザのリング状の光輪(以降:デスシウム光輪)を生じ回転させると、ゆっくりとグリーザににじり寄る。

 

その威圧感にマリナとエスナを除く女性陣は皆慄く。

 

グリーザ「その、ごめn「待って下さい。」ん?」

 

彼女が何かを言いかけると、目の前に文月が腕を広げて彼女を庇う体勢で立っていた。

 

文月「待って下さいよ、陛下。こんな美女とお互いファーストキス出来たのですから、寧ろ喜ぶべきですよ。そんなのにも気づかないだなんて、あなた相当アホですねwww.」

 

しばらくの間、沈黙が続くとベリアルは無言で腕を振り下ろした。

 

文月「えっ?」

 

彼は一瞬何が起こったのかが分からず、一瞬思考が停止した。そして我に帰り、恐る恐る顔を右に向けると、右腕が綺麗に切り落とされていたのだ。

 

文月「ギャァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

その刹那、文月の右腕があった箇所から燃えるような激痛が走った。

すると、文月は落ちた右腕を持って何処かへと走り去った。

 

アロア「(あのバカ!折角好感度上げるチャンスだったのに、何やってのよ!)」

 

腹の底で文月にアロアは悪態をつけた。すると、グリーザは何を思ったのか、ベリアルの目の前に自ら近づいた。

 

ベリアル「なんだ?態々自分からやられに来たのか?」

 

グリーザ「ベリアル陛下がそんなに起こるなんて思わなかったの。もう二度とやらない。本当にごめんなさい。」

 

彼女は頭を下げ、謝罪した。流石に、女に謝られて、それを許さないとなると、大人気ないと思ったのかベリアルは人間態に戻った。

 

ベリアル「まあ、アレだ。次からはせめて俺に許可を得てからやれよ。」

 

 

 

〜アルカディアスペース とある惑星〜

 

ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハ

 

何処かで聞いたことがある狂った笑い声が燃え盛る炎の中から木霊した。

 

レッドマン「やっぱいいですね!この快感、堪らない。」

 

彼は血塗れになり体の箇所が曲がってはいけない方向に曲がってるシーボーズの亡骸をうっとりして眺める。

 

⁇「お前がレッドマンか?」

 

彼は突然背後から声を掛けられ、構えを取り、背後に振り向いた。

 

レッドマン「おや?ゾフィー様とその連れの方は誰でしょうか?」

 

彼は自分に声を掛けた人物がゾフィーと共にいたことで、警戒を解いた。

 

ベリAK「俺はケン、お前たちで言うところのウルトラの父と同盟を組んだウルトラマンベリアルだ。」

 

レッドマン「ということは、あなたがベリアルじゃなくて、黒ベリアルのクローンなのですね。」

 

ベリAK「ああそうだ。お前のお陰で、俺は生まれたんだ。その礼を言う為にここに来たんだが、邪魔だったか?」

 

レッドマン「お気になさらず。寧ろ私で役に立てたのなら、光栄です。」

 

ゾフィー「なあ、レッドマン。取り敢えず、場所変えないか?俺には此処は耐えられん。」

 

ゾフィーは今にでも吐きそうなのか、口を押さえながら喋っていた。

 

まあ、無理もない。本来この星は怪獣達が暮らしている緑豊かな平和な星だったが、レッドマンの手によって、綺麗な自然は全部血で覆われてしまい、草木の匂いは鉄臭い匂いに染まってしまっているからだ。

おそらくいや絶対に我々みたいな地球人はその場にいるだけで嘔吐してしまう程だ。

 

ベリAK「取り敢えずこの星から出たら、手合わせ願えないか?」

 

レッドマン「私でよろしければ、喜んで。」

 

そう言うと、レッドマンは紫色の目を妖しく光らせる。

 

ベリAK「しかし、レッドマン。お前、怪獣を殺すのが趣味なのか?」

 

レッドマン「はい。あの活発な怪獣達が無残にも死んでゆく様は芸術そのものです。なんなら、ベリアルさんもやりますか?」

 

ベリAK「いや、遠慮しておく。」

 

レッドマン「そうですか。まあ、やりたくなったらいつでも申して下さい。どの殺し方が一番快感なのか教えてあげます。」

 

ベ「お、おう。」

 

怪獣殺しを熱く語るレッドマンにベリAKは若干引いていた。

 

ベリAK「なあ、ゾフィー。」

 

ゾフィー「何ですか?」

 

ベリAK「俺は本当にこいつによって、生み出されたのか?」

 

ゾフィー「残念な事に事実です。まあ性格はあれですが、頼りになる仲間ではありますよ。」

 

レッドマン「あれ?あそこにもまだ生き残りがいますね。すみません、先に行っておいて下さい。私はまだ殺り足りないので。ヒャハハハハハハハハハハ。」

 

また、あの狂気の笑いを上げ、走って行く。

 

ベリAK「宇宙ってのは、広いもんだなぁ。あんな奴が仲間になるとはな。」

 

ゾフィー「あ!そういえば、違う宇宙では性格はあのままで性別が変わってるレッドマンがいると耳にした事がありますよ。」

 

ベ「マジか。」

 

ゾ「マジです。」

 

 

 

〜惑星アルカディア 岩山〜

 

岩山の何処かから、三日月状の斬撃(以降:ベリアルリッパー)がEXゴモラに襲い掛かる。EXゴモラは高速回転し、ベリアルリッパーに突撃する。すると、ベリアルリッパーは爆発を起こし、EXゴモラは爆炎に包まれた。

 

しかし、爆炎の中からEXゴモラは元の姿で飛び出し、着地するとEX超振動波を放つ。そして、ベリアルも岩陰から颯爽と現れ、その直後にデスシウム光線を放つ。

 

互いの攻撃がぶつかり合う。だが、EX超振動波は徐々に押され、遂にはデスシウム光線をモロに受けてしまう。

 

ベリアル「今日のところはここまでだ。」

 

彼がそう言うとEXゴモラは肩から力を抜き、光に包まれると元の少女の姿に戻った。

 

ゴモラ「あーあ、また師匠に負けちゃった。悔しいな。」

 

ベリアル「お前が俺に勝とうなんざ、2万年いや4万年早えよ。」

 

ベリアルの言葉にゴモラはしょんぼりする。

 

改造ベムスター「ちょっと!幾ら陛下でもそこまで言う必要ないじゃない‼︎」

 

岩陰から現れた改造ベムスターはベリアルに文句を言い始めた。勿論、彼は彼女の話は一切聞いてない。そして、文句を言い終えた改造ベムスターは真っ先に用意していたタオルを取り、ゴモラの元に向かう。

 

改造ベムスター「ゴモ、お疲れ。今日も頑張ったね。」

 

ゴモラ「ベムありがとう。でも、できれば陛下にも用意してあげようよ。」

 

改造ベムスター「ああ、それならグリーザさんが用意してるから大丈夫だよ。」

 

確認してみると、グリーザがベリアルにタオルを渡していた。しかし、先程の事があってか、全然会話をしていなかった。

 

一息入れ、いざ基地に戻ろうとしたその時、突然ベリアルの目の前が真っ暗になった。気づくと彼は元の姿に戻っており、今にでも崩れそうなビルが幾多も並んでいる都市部の中心にいた。

 

ベリアル「この光景、まさか。」

 

ゼラス「やあ、ベリちゃん!お久ぶり‼︎」

 

案の定というべきか、背後に振り向くと、そこには彼をこの宇宙に導いたゼラスが立っていた。

 

ベリアル「今回は夢の中では、無いようだな。」

 

ゼラス「毎回夢の中だと飽きるでしょ?まあ、そんなことよりもベリちゃんあの娘が好きなの?」

 

ベ「はっ⁇」

 

ゼラス「だーかーら、ベリちゃんはグリちゃんのことが好きなんでしょ‼︎」

 

何を期待してるのか。物凄くキラキラした目でこちらを見つめてくる。血のような真っ赤な目で見つめられるのはなんとも不気味なため、ベリアルはかなり引いていた。

 

ベリアル「そんな訳ないだろ。」

 

彼は軽く流そうとするが、ゼラスはこの話をまだ続けようしている。

 

ゼラス「そんな訳ない訳ないでしょ!知ってるよ、君がいつもグリちゃんと寝てること。」

 

ベリアル「何故それを!?誰かに言ったりしてねよな!!」

 

ゼラス「安心して、言ってないから。それに言う人いないし。」

 

ベリアル「寂しい奴だな。」

 

ゼラス「さて、雑談はここまでにして、本題に入ろう。」

 

自分から振っといて、この変わり様にベリアルも動揺した。しかし、ゼラスはそんな彼に御構い無しに話を進める。

 

ゼラス「君はまず、超能力を上げることだね。君は技が少ないからね。取り敢えず、まずはこれから得よう。」

 

ゼラスは指を鳴らすと、彼の目の前に突然ブラックホールみたい穴が出現する。

 

ベリアル「何だこれ?」

 

ゼラス「これはね。あらゆるものを消滅させる空間の穴だよ。因みに、私をこれをバニシングゾーンって呼んでるよ。早速、君にこの空間を作る事ができる能力を授けよう。」

 

彼はまた指を鳴らした。

 

ベリアル「特に変化は無いが、本当にそれを出せる様になったのか?」

 

ゼラス「疑うのなら、念じてこの場で出してみれば、いいじゃないか。」

 

ベリアルは気合いを入れて、声を上げて念じる。すると、ゼラスのよりかは小さいがバニシングゾーンを出現させた。

 

ゼラス「まあ、これくらいあれば十分だね。じゃあ、早速こいつと戦ってもらうよ。」

 

また彼が指を鳴らすと、空に一つの黒雲が生じその中から、赤黒いエネルギーを纏った何かが降って来た。その衝撃で、幾つものビルが倒壊し、凄まじい土煙が上がる。

 

「ウォキャアァァァァァァン!!!!」

 

土煙の中から四つ目を光らせ女性の悲鳴の様な咆哮が鳴り響く。

やがて、土煙は晴れるとその正体が姿を現わす。

 

正体は案の定怪獣であった。無数の触手に覆われ、蛇のような物が複数巻きついた丸っこい体に四つ目のワニの様な顔が付いている怪獣だった。

 

ベリアル「何だ?こいつは。」

 

ゼラス「こいつは【超大魔王獣マガタノオロチ】ていう、怪獣だよ。勿論、私が愛情を込めて育てた怪獣だから、そう簡単に勝てる相手ではないよ。」

 

ベリアル「(確かに並みの怪獣とは比べ物にならない程の力を感じるな。)やってやろうじゃねえか。よおは、あの穴に奴を入れれば、勝ちなんだろ?」

 

ゼラス「まあ、確かにそうだけど、それじゃあつまらないから、“縛りタ〜イ〜ム”‼︎」

 

ゼラスがそう言うとベリアルの体が一気に重くなる。

 

ベリアル「おい!これはどういうことだ!」

 

ゼラス「こうゆうのは、縛りプレイをするともっと楽しくなるでしょう?だから、君は今10万tの重りを付けた状態で戦うということだね。」

 

ベリアル「お前、マジで悪魔だな。」

 

ゼラス「よく言われるよ。」

 

そして、ベリアルとマガタノオロチは死闘を繰り広げた。どうよう戦いになったのかは、また別の話でしよう。何故って?だって、これ以上書いちゃったら、先に進めないからだ。

 

 

 

 

ベリアルはマガタノオロチとの戦いでボロボロになっていた。気がつくとベリアルは先程飛び立とうとした場所にいた。実は先程ゼラスと一緒にいた空間での時間はこちらではまだ1秒も立っていないため、グリーザ達からすればベリアルは一瞬でボロボロとなったという感じになっている。

 

現にその事にはグリーザも驚いている。

 

グリーザ「あれ⁉︎ベリアル陛下どうしたの?なんかボロボロだけど。」

 

ベリアル「こんなの少し手当てをしたら直ぐに治る。気にするな。」

 

その後、基地に戻ったベリアルは至急手当てを受けた。傷は癒えたが完全ではないため、今回はしないことにする。

 

皆んなが何にしようかと悩んでいると、ベリアルはピザを要求したため、みんなでピザを作ることになった。

 

因みに、ジャタールとダズとマベルは生地を作ることと焼き上げる担当で、アロアとミヤが具材の盛り付け担当である。

 

そして、ジャタール達が運んだ生地をアロア達は盛り付けをし、ジャタール達がかまどに入れて生地を焼き上げる。香ばしい香りが広がり、待ってる者たちの腹の虫が鳴る。

 

ゴモラ「いい匂い、早く食べたい。」

 

改「そうだね。」

 

マリナ「グリーザちゃん、こうやって話すのは久しぶりだね。どうして今まで避けてたのかな?」

 

グリーザ「エスナ、助けて。」

 

エスナ「私には何も救えないよ。寧ろ、私が余計な事をやったら、みんなが傷つく。」

 

【シーン】

 

ベリアル「なんか、お前のせいで空気が悪くなっちまったじゃねえか!」

 

エスナ「そんなんだ、この世の環境汚染は全てのせいなんだ。やっぱり私って、生きてる意味無いな。」

 

そうこうしてると、焼き上がった皿に乗ったピザがテーブルの上に運ばれる。

 

アロア「お待たせ、ゆっくり召し上がれ。」

 

そして、全員手を合わせて「いただきます。」と言うと、皆んなピザを一つづつ取って、食べ始める。

 

グリーザ「陛下、これ美味しい。」

 

ベリアル「確かにそうだな。」

 

ゴモラ「陛下が作ったら、どんな感じなんだろ?」

 

ベリアル「気が向いたら、いつか作ってやるよ。」

 

ゴ「やった!」

 

改「よかったね、ゴモ。」

 

ゴ「うん。」

 

マリナ「ねえねえグリーザちゃん、後で一緒に作りましょう。」

 

グ「何もしない?」

 

マリナ「何もしないわよ。今は。」

 

グリーザ「えっ?今は?」

 

ベリアル「やめてやれ、怖がってんだろ。

 

マリナ「まったく、冗談に決まってるでしょ。さっきのは嘘だから、気にしないでね。」

 

皆んなが楽しく話し始め、ベリアルも自然と笑みがこぼれる。だが、彼はふと思った。

 

ベリアル「(こいつらは、俺が今までやってきた事を知ったら、一体どう思うんだ。今までのように、こうやって話してくれるのか?それとも、俺にこの星から出て行けって、言ってくるのか。)」

 

そんな事を考えながら、彼は食べ続けた。因みに、担当はちゃんと今食べてる者たちと交代してるのでご安心を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピポポポポポポポポポポポポポ ゼーットーン

 

暗闇で一つの紫色の光と二つの赤い光が輝き、電子音のような音が暗闇の中で木霊する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




三途リバーさん、ネタだけとはいえあなたのキャラクターを出させていただきありがとうございました。いつか、またネタとしては出てくるので今後もよろしくお願いします。



ゼラス「次回予告!!!!改造されたゼットンのデストロイゼットンちゃんが現る!ベリちゃんはベリアルウィルスで正気に戻そうとするが、闇トラマン兄弟の手によって、その手は通用しない。その時、ベリちゃんが取る行動とは⁉︎次回、“私にできること”。少しだけ期待してあげてね。」






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