Fate/EXTRA 汝、復讐の徒よ   作:キングフロスト

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 死を悼め。

 失ったものへの追悼は恥ずべきものではない。

 死は不可避であり、争いがそれを助長するのなら、

 死を悼み、戦いを憎み。

 死を認め、戦いを治めるがいい。



 


第三章 『disillusion/coma baby』
不思議の国の少女(ありす)


 

 そして翌日。

 

 あの男達───ユリウスと、おそらく彼のサーヴァントである剛の者による襲撃から一夜が明けた。

 あれから特に何かあったりはせず、平穏無事に過ごす事が出来たのだが、やはり昨日の一件が尾を引いており、気は重いままだった。

 

 昼を済ませて、手持ち無沙汰になった私は教室で時間を潰していると、いきなり端末から電子音が鳴り響く。

 

 

『::二階掲示板にて、次の対戦者を発表する』

 

 

 もはやお馴染みの、セラフからの新たな対戦カードの発表を報せるものだった。

 もう今回でこれも三回目となる。一回戦には128人居たマスター達も、今や32人にまで減った。戦いが回を重ねる度に、マスターの数も比例して半分ずつ消えていく。

 この間までは多くに見えていた校舎内の人影も、今や教室一クラス分に収まる程しか居らず、校舎の中が急激に淋しさに包まれたかのようだ。

 

 私は足取り重く、教室を出て掲示板前にまで赴く。掲示板には、いつもと同じように二つの名前。

 自分の物ではないもう一つの名は───

 

 

『マスター:ありす  決戦場:三の月想海』

 

 

 

 

「……こんどの遊びあいては、お姉ちゃんなんだ」

 

 

 

 

 突然、背後からピッタリとくっ付くように聞こえた幼い声に、私はびくりと顔だけを振り返る。

 私の腰辺りに腰巾着のように張り付く小さな少女が、澄んだ瞳でこちらをじぃっと見つめていた。

 

 二回戦の相手からは一気に年齢は下がって、おそらくは十に満たない少女だった。

 ………いや、待て。この少女、どこかで見覚えがあるような……。

 

「お姉ちゃん、……あたし(ありす)のこと覚えてる?」

 

 覚えているか、という質問は、つまりは私とこの少女に面識が少なからずあったという事なのだろう。確かに、なんとなく見覚えはあるが、それがいつだったのか……。正確な日付までは把握していないので、はっきりと答えられないでいると、

 

「もしかすると、気付いてもなかったかな。あたし(ありす)はただ、見つめてるだけだったから……。直接お話ししたのも、ここに来てから、それもずっと前に一度きりだったものね。あたし(ありす)、お姉ちゃんなら、お友達になってくれそうな気がしてたの。やっとあたし(ありす)も、お友達が出来るって……」

 

 やはり、私はこの子と会った事があるようだ。あまつさえ、一度とはいえ会話もしているらしい。

 けれど、ここ最近の目まぐるしいまでの出来事の連続で、聖杯戦争に関しない事についての細かな記憶は、風化していくように曖昧となっていた。

 記憶喪失の私が、目覚めてから経験した記憶について曖昧だなんて、なんたる皮肉だろう。

 

 少女は儚げな笑みを浮かべ、私の目を一点に見つめてくる。私も、少女の目を見つめ返した。その瞳には、寂しさとどことなく辛さが滲み出ているように見えるのは、気のせいではないだろう。

 

「だからお姉ちゃんが行っちゃったときは……かなしかったし、さびしかった。でもね……ここに来るとちゅうで、あたし(ありす)あたし(アリス)に出会ったの」

 

 ……、あたし(ありす)あたし(アリス)に出会った?

 文面だけで見れば、かなり哲学的な事を言っているように思えるが、この少女は見た目が十にも満たない少女にしか見えず、言動も年相応のそれだ。とてもではないが、そんな哲学的な言葉を意図して口にしているとは到底思えないが……。

 

あたし(アリス)あたし(ありす)のただ一人のお友達。やっと出来たあたし(ありす)の、あたし(ありす)だけのお友達。だからお姉ちゃんのことはもういいの。あたし(アリス)さえいれば、あたし(ありす)はまんぞくだから」

 

 儚げな笑みは、どこか吹っ切れたような微笑みへと変わる。言葉通りなら、少女の私への関心はもうそれほどでもない、という事になるだろうか。

 

「でも、次の遊びあいてなんだよね。……しょうがないから、遊んであげる」

 

 少女は笑う。無邪気に、無垢に、そして無慈悲に。自分こそが、私よりも上なのだとでも告げるかのように。

 

「おねがいだから、すぐにきえないでね。あたし(ありす)はかなしいし、あたし(アリス)はつまんないから」

 

 見た感じは、儚げな印象のする、まるで砂糖菓子か、はたまた人形のような少女。ダン卿のような凄みは感じられないが───。

 

 何故だろう。この少女から、何か底知れないものを感じて仕方がないのは。

 

 

 

 

 

 

 少女が去り、一人取り残された私は、アヴェンジャーにも意見を求めようと声を掛ける。

 

「アヴェンジャー、今度の相手は……、アヴェンジャー?」

 

 話しかけても、返事がない。いや、気配は感じるので、居ないという訳ではない。

 なのに、返事をしようとしない。

 

「アヴェンジャー、何かあった?」

 

『…………、』

 

 無視──ではない。何かに驚き、息を呑んでいるのが分かる。だが、一体何に驚いたというのだろう。今回の対戦相手である、ありすの幼さ……に、驚いたとか?

 

 いつまで経っても、何も答えないアヴェンジャーだったが、しばらくして現界したかと思うと、ようやく口を開く。

 

「───なんで、あの子が……!? でも、違う……。あの子は、違う……。私の知ってる、あの子じゃ、ない」

 

 目を見開き、その黄金の瞳には困惑と動揺、そして拒絶が、次から次へと浮かんでは沈んでを繰り返していた。

 この現界も、自らの意思でというよりも、たまらず現界してしまったというように見える。

 

「アヴェンジャー……?」

 

 私は再三、彼女を呼ぶ。どうしようもない不安に駆られ、放っておけば彼女がこのまま消えてしまいそうな、そんな嫌なヴィジョンが私の頭を掠めたから。

 

 私の呼びかけに、ようやく我に帰ったのか、アヴェンジャーは首を何度も横に振り、何かを振り払う素振りをする。まるで、悪い夢でも見てしまったかのように。

 

「………大丈夫。大丈夫よ。私には関係ないから。そう、私は違う……私は、あの子とは違う。だから、関係ない……」

 

 あの子、とは一体誰なのか。今の少女の事を指すのか。それとも別の誰かの事を指すのか。

 言葉を聞く限りでは、アヴェンジャーが今言った“あの子”と、さっき言った“あの子”では意味合いが異なるように感じられたのだが、果たして……?

 

 それについて聞こうにも、アヴェンジャーの思い詰めたような顔に、どうにも話を切り出せなかった。

 ただただ、互いが無言のままに、時間だけが過ぎ去っていく。それが、私には怖くさえ思えるまでに苦痛だったというのに。けれど、私にはこの沈黙を破る事が出来なかった。

 

「………ありす、か」

 

 私は、ポツリとその名を小さく口にする。アヴェンジャーの事も気になるが、それ以外でも気になる事があった。

 あの子も、マスターなのだ。それも、()()()()()()()()()()()という事から考えても、容易な相手ではないだろう。あるいはダン以上の強敵なのかも。

 

 だが、それ以前の問題として、自分は本気で戦えるのか。

 これまでは相手が同等、ないし強大だったからこそ、必死にマスターとして戦えた。

 ……今回は立場が逆だ。あんな年端もいかない少女相手に、私はこれまでのように戦えるのか。言い知れぬ不安を胸に、私はまた掲示板に目を移し、そこに刻まれた対戦相手の名前を見つめるのだった。

 

 

 

 

 

 私の心境がどうあれ、時は待ってはくれないし、セラフも怠惰を許してはくれない。

 ありすとの邂逅から少し経った頃、教室に居た私だったが、急に携帯端末から電子音が鳴り響いた。恒例のアレだろう。

 

『::第一暗号鍵(プライマリトリガー)を生成。第一層にて取得されたし』

 

 対戦相手が如何なる相手であったとしても、セラフは平等に時を刻む。

 暗号鍵(トリガー)の獲得と対戦相手の情報収集をしなければ、消滅を迎えるのが自分である事を、端末は冷酷に告げていた。

 

「………、」

 

 脳裏を掠めた、先程の少女の視線を振り払い、情報を得るための思考に切り替える。

 まずは───誰かに相談してみるのがいいだろうか? とは言え、私にとっての頼れる知人など限られてはいるのだが。

 

 その人物を探しに行こうとして、教室の扉に手を掛けたところで、私が開くよりも先に向こうから扉が開けられる。

 先に扉を開けた人物は───

 

「ん? あ……。はは、やっぱりお前も勝ち進んできたな、岸波」

 

 見覚えのある男子生徒──いや、マスターが気さくに話し掛けてくる。彼は確か……以前、正面から私の事を可愛いと言ってのけたマスターだ。

 

「こりゃ、いよいよ、お前と当たる覚悟をしないといけないかもな」

 

 なんて、そんな事をいたずらな笑みを浮かべて宣うものだから、こちらまで沈んでいた気持ちが、少し軽くなる。悩んでいるのがバカバカしいとさえ思えてくる程に。

 そして、それは顔に出ていたのだろう。私の顔を見て、彼は嬉しそうに笑った。

 

「そうそう! お前は笑った顔が一番可愛いんだからさ、もっと笑ってけ。知ってるか? 岸波って予選の頃から結構人気あったんだぞ。クラスで三番目くらいに美人ってな」

 

 …………む。別に自分の美貌に自負や自信がある訳ではないのだが、三番目とはこれまた何とも微妙な位置に……。

 参考までに、基準を聞いておくとしよう。別に他意があっての事ではない。断じて、違う。

 

「ちなみに、一番と二番は? それと、何で三番目?」

 

「一番か? そりゃ、もちろん遠坂だろうな。予選の頃の話だけど、成績優秀、眉目秀麗、スポーツ万能、そんでもって人当たりも良いと、非の打ち所が無いくらい完璧美人って評判だった」

 

 ふむ。凛の素を知ってるだけに、納得したくはないが、彼女の評判に頷いている自分が居る。猫を被っていたのだろうが、それも世を渡る上で無視出来ない技術と言えるし、否定は出来ない。

 

「で、二番目。これは……うーん、難しいところだけど、言ってしまえば可愛い、美人、だけど遠坂には及ばないレベルってとこかな。何しろ遠坂が女として太鼓判以上のレベルだから、簡単には越えられない壁とでも言うか……」

 

 永遠の二番手的な事だろうか? 緑のヒゲも人気はあるが、赤いヒゲには及ばない、みたいな?

 

「そんな感じかもな。でだ。お前が三番目なのは、圧倒的に足りないものが、お前にはあるからだ」

 

「私に足りないもの? それも、圧倒的に……?」

 

 何だろう。思い当たる節はないのだが。自分の事なんて、自分の中の範疇でしか把握出来ないのだから、他人から見た私もまた、私には自覚出来ないもの。

 つまり、客観的に見た自分を一番よく知るのは、自分ではなく他ならぬ他人であるという事か。

 

 彼は私のオウム返しの問い掛けに、一つ頷いて返すと、それを口にした。

 

「ズバリ、“愛想”だな。お前、予選の頃なんてヒドいもんだったぞ? とにかく無表情で、あまり感情が顔に出る事なんてなかったからな。最近はさっきみたいに笑うところもよく見るようになってきたけど。多分、愛想良くさえなったら、文句無しで一番二番に食い込んでいけるだろうと思う」

 

 愛想……か。別にそんなつもりはなかったのだが、外から見れば私はそう見えているのだろう。

 自分では知覚出来ない無意識。言われて、「ああ、そうだったのか」とようやく気付けるくらいの意識の死角と言うべきか。

 

「ま、ともあれ、だ。俺はそのままのお前で良いと思う。たまにお前の笑った顔が見られるってのも、何か良いもの見られたって感じがして嬉しくなるしさ」

 

 ぽんぽん、と頭を軽く撫でられ、じゃあなと彼は教室の奥へと歩いて行った。今から戦略でも練るのかもしれない。

 私もまた、彼と行き違いで、教室の外へと出る。さて、探し人はどこへやら……。

 

 

 

 

 

 

 

 ()()を探してやって来たのは、校舎の屋上。彼女こと言わずもがなの赤い少女───遠坂凛は、やはりここに居た。

 もはや、ここは彼女の占有地と言ってしまっても良いのではないだろうか。

 

「誰か来たの……って。なんだ、あなただったの。どう? 戦いの疲れはとれた?」

 

 私に気付いた凛は、知人に挨拶でもするかのように、こちらの調子を尋ねてくる。

 

「うん、どうにか」

 

「……ふうん。少しはマシな顔になってきたわね。なら、ここからは完全に敵同士ね。まぐれとは言え、あのサー・ダン・ブラックモアと戦って勝ちを拾ったのは事実なんだから」

 

 ……などと言いつつ、凛は楽しげに話しかけてくる。敵であろうと憎まないのか、それとも、対等の敵だからこそ、友人のように接するのか。

 彼女の考えは、やっぱり普通の女の子とは違う気がする。

 

「ところで、さっきチラッとあなた達を見かけたんだけど、あの小さい女の子が次の対戦相手? あなたも、厄介な相手ばかり引くわね……」

 

 気の毒そうに苦笑する凛。まったく、本当にその通りなのだから、思わず溜め息が出る。

 

「別に。自分で選んだ訳じゃないよ」

 

「そうね。とは言え、一回戦の間桐くんはともかく、二回戦のブラックモア卿、そして今回の…ありす、だっけ。正直、あなたの運の無さに驚くわ。さすがに三回戦まで来れば、相手の見た目で油断するような事はないと思うけど、ま、頑張ってね」

 

 油断など、出来るはずはない。ダンも、そして慎二も───私などより、遥かに聖杯に近い者達だった。

 そして、今回の相手。遠坂凛に言われるまでもなく、戦いにくい相手。

 

 私に、あの子を(ころ)す事など果たして出来るだろうか。

 

 

 

 

 

 

 と。そんな事を考えている矢先の事だった。一階へと降り立った直後、横合いから、何かが私の腰辺りにペタンと突進さながらに抱き付いてくる。

 勢いの割に小さなその衝撃。正体を確かめるべく、視線を下へ向けると、白いエプロンドレスに身を包んだ小さな女の子───今回、自分が倒すべき敵が、私に無邪気な笑顔を投げかけながら、しがみついていた。

 

「お姉ちゃん、遊ぼ! おにごっこがいいな。ねえ、おにごっこ!」

 

 一瞬、何かの策略を想像しては見たものの、その悪意の欠片も感じられない瞳に、強張った心の障壁(ガード)を下げてしまう。

 

「ね、いいでしょ?」

 

 せがむ少女の声に、逆らう術も、断る必要も見つからない私は、自然と口が動いていた。

 

「いいよ。鬼ごっこ…だったよね?」

 

「やったぁー! お姉ちゃんなら、きっと遊んでくれると思ったんだ。だっておんなじだもんね、あたしたち!」

 

 少女は屈託ない笑顔で、私の両手を取って、上下にブンブンと振る。それほどまでに嬉しかったのかと、子どもは感情表現が率直な分、こちらもつられて嬉しくなってくる。

 

「ところで、()()()()って何が──」

 

「じゃあ、お姉ちゃんが鬼だよ。あたし(ありす)、アリーナで待ってるから。早く来てね」

 

 こちらの質問を最後まで聞く事なく、ありすは楽しそうにアリーナの方へと走り去って行った。

 しかし……、一緒に遊ぶと言ったからには、アリーナの方へ向かった彼女を追うべきだろう。

 つくづく、自分が女で良かったと今は思う。もし、これが男だったものなら、幼女を追い掛け回す変態の図の出来上がり、だ。

 まあ、世の中いろんな人が居るから、女性でも幼女好きとかあるかもだし。第三者からそう見えないように振る舞うように気をつけようか。

 間違っても、「ふひひ☆ありすちゃん、ちっちゃくて可愛い♪」とか言わない。絶対に。

 

 とにかく、結果的に何らかの情報が得られれば良いのだが。

 

「アヴェンジャー、追いかけよう」

 

『……ええ』

 

 力無い返事を返すアヴェンジャー。アヴェンジャーも、あの少女を見てからというもの、未だにこの調子である。一体何が彼女をこんな風にしてしまったのか。それを解決する糸口にもなってくれれば……。

 そんな淡い期待も抱きつつ、私はありすを追って走るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そういえば、決戦だなんだで忘れていたわね」

 

 岸波白野が去った後も屋上に残り空を眺めていた少女──遠坂凛は、誰に言うでもなく、独り言のように言葉を紡ぐ。

 

「桜から(強引に)聞き出した、現在セラフに発生している不具合……。順当に戦いは消化されているはずなのに、残ったマスター数は3()3()人。これは聖杯戦争のルールと照らし合わせても、明らかに異常ね」

 

 猶予期間(モラトリアム)でマスターが何らかの要因で退場した時、相手はその時点で不戦勝として扱われる。決戦においては、どちらか一方が勝ち進むか、または同士討ちとなって両者共に消滅する可能性が存在している。

 要は、いずれにしてもマスターは必ず減少するようにルールが敷かれているのだ。

 故に、マスターの総数は常に倍々の反対の要領で、必ずその数値以下にならなければおかしいのである。

 

「考えられるとするなら、敗退してもなお、消滅せずに校舎に残っているマスターが居る……。ま、その場合は敗退が確定のものだから、後からどうこう出来るなんて事は不可能でしょうけど」

 

 セラフは管理の怪物と呼ばれる程だ。なので、生き残った敗退者が居たとして、どう足掻いても、本戦に再度割り込む事は無理だろう。

 

「…………。問題は、それだけじゃないってのがネックなのよね」

 

 遠坂凛は、セラフの不具合について耳にした際に、可能な限りの独自調査を行っていた。その時に彼女が得た、謎とでも呼ぶべき他の異常現象が、多くのマスターに知られる事なく、ひっそりと存在していたのである。

 

「NPCが関与しない購買の追加発注。マスターのはずなのにサーヴァントと契約出来なかった魔術師。サーヴァントの人格に変化が発生するケース───どれも単体としてはバグでしかない。けれど、本当にそうなのかしら……?」

 

 もしくは、それら異常の全てが、何らかの要因で繋がっている可能性はないだろうか。何か、セラフですら計り知る事の出来ない場所で、静かに侵食するように蠢くモノがある……。

 そこまで考えたところで、彼女は首を横に振った。そんなモノ、存在する根拠がない。そもそも、管理の怪物がそんなモノを見逃すはずもないのだ。

 ただの考えすぎ。思考が深みに嵌まってしまった。あるはずもない妄想をいつまでも考えていられる程、彼女も暇ではない。

 次の対戦相手がどんなサーヴァントを従えているのか、どのような対策を立てねばならないのか、どうやって情報を手に入れるか。考えなければならない事は、他に山ほどある。

 確固たる情報を得るでもしない限り、余計な推測は無意味で不要。そんな事を思考するくらいなら、戦いの事を考えた方が百倍マシだ。

 

「さーて。そろそろ私も敵情視察にでも行くかしらね? 行くわよ、ランサー」

 

 霊体化したサーヴァントを連れ、遠坂凛もまた屋上を後にする。

 問題が解決した訳ではないけれど。そのための手段も情報も不足している今は、手の出しようがないと、彼女は理解していた。

 だから、今出来る事、すべき事に向けて邁進するのみ。

 

 それが遠坂凛という少女の在り方であるが故に。

 

 

 

 




 
「「「問おう。貴方が私のマスターか?」」」

はくのん「え?」




はい。考え無しにパールさん100回を回したら、本人来ずにアルトリアさんが3人来ました。あとアルジュナ(二人目)も。
これでアルトリアさんの宝具レベル4と、うちのモーさんと並び親子で宝具レベルマに王手です。

くそう! 英霊剣豪七番勝負まで我慢しとくんだった……!
というか、発表されたシルエットに武蔵らしき人物が居ないのに七番勝負ってのは、つまりどういう事?
まったくワケワカメなのだわ……!?

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