狩人の証   作:グレーテル

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お待たせしました。今回は長くなったので半分に分けて、2話連続の投稿になります。


第5話「闇に走る赤い残光」

 「グャオオオオッ!!」

 「くそっ、いきなり咆えやがって!」

 

 ナルガクルガのバインドボイスに耳を塞ぐガッシュとキッカを後ろに、ツルギ【烏】を握るアランがナルガクルガに仕掛けた。モンスターの咆哮に対して有効な聴覚保護機構を持つガルルガシリーズの特性を活かし、バインドボイス中のナルガクルガへペイントボールをぶつけてから側面へ回り込み、後ろ足を二撃三撃と斬り付け、即座に離脱する。

 が、この程度では小さな切り傷が付いた程度で大きなダメージは望めない。事実ナルガクルガは堪えた様子もなく攻撃行動へと移っていた。前足の爪でしっかりと地面を捉え、大きく跳躍。大きく鋭い刃翼は木陰の差す古代林の風景から浮いた白色の防具を着たガンナー、ガッシュを狙っていた。

 

 「おわ、あっぶね!」

 

 バインドボイスの硬直から解けていたガッシュはアルバレストを抱えたまま転がり込むようにして回避する。初撃を躱されるも、ナルガクルガは再び跳躍。ガッシュの側面へと回り込み、刃翼による二度目の強襲を仕掛ける。

 

 「あぶねえって!」

 

 振り抜かれる左前脚の刃翼に対してナルガクルガの右前脚側へ転がる事で二度目の強襲を回避する。右肩に掠めた硬い感触に冷や汗をかきながらナルガクルガの姿を確認する。姿勢を低く屈ませ、両の前脚をぐっと曲げて力を溜めていた。ガッシュがナルガクルガの姿を見たように、ナルガクルガの両目もガッシュを捉えたままだった。

 ナルガクルガはまだガッシュを狙い続けている。溜めに溜めた力を使ってナルガクルガが跳び、爪をむき出しにした両前脚でガッシュを押さえつけようと飛びかかった。

 

 「グロオォォァアウッ!!」

 「ぬおりゃああああっ!!」

 

 ナルガクルガの繰り出す連撃にこれが最後の一手だと祈りながらアルバレストを放り投げ、ガッシュは緊急回避を行い地面に向かって飛び込んだ。後頭部を両手で覆い、腹這いの姿勢を取ったままどすりと鈍い音を立てて地面に打ち当たる。

 

 「た、た、助け……」

 

 ぜぇぜぇと息を切らしながら起き上がり、アルバレストを回収するガッシュ。短時間の間に連続しての回避行動は、ガッシュのスタミナを大きく消耗させる。カクつく足でその場から離脱しようとした時、背後からナルガクルガの唸り声が聞こえた。

 

 「グルルル、フシュルルルッ!」

 「おいおいおいおい嘘だろまだ来んのかよ!?」

 

 ナルガクルガの両目は依然ガッシュを捉え続けていた。雪山なら保護色になったであろう白を基調としたフルフル装備も、青々と茂る葉や木々が生み出す木陰が多く点在する古代林ではかなり目立つ。目立つ色をしているから、ナルガクルガの注意はガッシュへと向いていた。

 そして、この場にいるもう一人と一匹の存在への注意が散漫になっていた。

 

 「ふっ!」

 「んにゃあーっ!」

 

 再びガッシュへと飛びかかる為に四肢をぐっと曲げていたその時、懐へ飛び込んだアランのツルギ【烏】がナルガクルガの首元を斬り付け、アランと挟み撃ちを取る形で回り込んでいたキッカのブーメランが右脚の刃翼を狙い投擲する。

 

 「グァウウッ!」

 「旦那さん、いったん下がるにゃ!」

 「少し休めガッシュ! ここは任せろ!」

 「すまねぇキッカ、アラン! 頼むぜ!」

 

 意識外からの手痛い攻撃にナルガクルガは大きく怯み、ガッシュはこの隙を逃すまいと一度距離を離して疲労の回復を図った。

 

 「グルルッ、ガゥ!」

 「さあ、来い!」

 

 ガッシュの回復を確実なものとする為に、ナルガクルガの注意を引き付ける為に、アランはナルガクルガの真正面に立ちはだかった。眼前の邪魔者を砕かんとナルガクルガは大きく口を開き、その奥に見える牙をアランに向けた。真正面という最も危険な場所に立ちながら、アランは冷静に動きを観察する。一度目の噛み付きを躱し、二度目の噛み付きを盾で受け流す。

 

 「はああっ!」

 「にゃうー!」

 

 噛み付き攻撃後の小さな硬直を狙ったアランがツルギ【烏】でナルガクルガの下顎を切り上げ、鼻先を盾で殴る。腰の捻りを加えた打撃にナルガクルガは小さく怯み、背後に回ったキッカのブレイブネコランスがナルガクルガの後脚を突く。

 

 「グルルォアッ!」

 

 キッカの攻撃は意に介さず、ナルガクルガは大きくしなる鞭のような尻尾でアランを薙ぎ払う。ヒュンと空気を裂く音を立てる尻尾を躱しきれないと判断したアランは盾で受け止めようとするが、そこは片手剣の小さな盾。大型モンスターの強靭な肉体から繰り出された薙ぎ払いの衝撃を相殺しきれず、アランの体は後ろへ大きく下がった。

 

 「く、ぅ……っ」

 「グロロォア……グャウッ!」

 

 たたらを踏んで後ずさりながらも、地面を掴んで弾かれた勢いを減衰させる。盾で防いだとはいえ、一撃で大きく怯んだアランの姿に手応えを感じたナルガクルガがすかさず追撃を加えようとした時、火薬の炸裂する音が古代林に響いた。先程ナルガクルガが逃した獲物が反撃の爪牙を突き付けたのだ。

 

 「大丈夫か、アラン!」

 「ガッシュか、助かる!」

 

 ガッシュのヘビィボウガン、アルバレストからレベル2通常弾が発射される。火薬の燃焼ガスに押し出されて発射された際に保護外殻の役割を持つカラの実が二つに割れ、中から現れたハリの実がナルガクルガの背中と肩に鋭く、深く突き刺さった。

 

 「さすが旦那さんにゃ。このままイッキに畳んじゃうにゃーっ!」

 

 今回のパーティにおけるメイン火力が戦闘に参加し、勢い付いたキッカがナルガクルガの前脚目掛けてブーメランを投げた。ガッシュも続け様にアルバレストのトリガーを数回引き、体勢を立て直そうと離脱するアランを援護する。

 一発ならば耐えていただろうヘビィボウガンの弾丸を、二発三発と受けたナルガクルガは小さく悲鳴を上げて怯む。そこへブーメランを投げ終えたキッカのブレイブネコランスも加わり、少しずつダメージが蓄積していった。

 

 「キッカ!」

 「お任せにゃ!」

 

 レベル2通常弾を発射し続けている際にシャキンという甲高い金属音が、射手のガッシュとオトモのキッカの耳に届く。ボウガン内に装填されていた最後の弾丸を打ち切った合図、すなわち弾切れを意味していた。短い声の掛け合いで察したキッカがガッシュの再装填の時間を稼ごうと、ナルガクルガの前に躍り出た。

 

 「ほらほらこっち、こっちにゃー」

 「グルル……グァウッ!」

 

 ちょこまかと動くキッカを疎ましく感じたのか、ナルガクルガは前脚の爪で引っ掻き、牙で噛み砕こうとするが、アランやガッシュ達よりも体の小さなキッカはそれらをスイスイと避けていた。

 

 「にゃっにゃっ、にゃうーっ!」

 「グルルル……ッ!!」

 

 明らかに馬鹿にしに来ているキッカにナルガクルガは苛立ち、その感情の表れなのか尻尾を何度も地面に叩き付けている。

 

 「おし、待たせたなキッカ!」

 

 弾丸を再装填し、すかさず発射。レベル2通常弾が右の刃翼に突き刺さり、合わせて戦線に復帰したアランのツルギ【烏】が首元を斬り付ける。二人に続くキッカのブレイブネコランスがナルガクルガの尻尾を突いた際、ナルガクルガに変化が現れた。

 

 「グルルッ、グロロオォアアッ!!」

 

 一拍置いて強まる唸り声と共に大きく跳躍し、ナルガクルガはアラン達から距離を離す。尻尾の棘を逆立たせ、息を荒げたナルガクルガの赤く光る両眼がアラン達を睨みつけた。

 

 「グャオオオオオオッ!!!!」

 

 ありったけの力で出されるナルガクルガのバインドボイスが辺り一帯の空気をビリビリと震わせる。ナルガクルガは眼前の小物を縄張りを荒らす邪魔者としてではなく、全力を以て排除すべき敵と見なしたのだ。

 

 「怒らせちまったか! 来るぞアラン!」

 「ああ、分かってる!」

 

 アラン達へ剥き出しの殺気を向けるナルガクルガは今までとは比べ物にならない程の速さで跳躍する。正面から側面、側面から背後へ、アラン達に捕捉させまいと死角へ回り込んで振り切ろうと企んでいた。

 

 「グロオオァッ!! ガロロゥッ!!」

 「にゃ、にゃう……にゃう?」

 

 ナルガクルガを探そうとしきりに首を動かし、ぐるぐると目を回すキッカ。がさがさと地面の落ち葉を蹴散らす音とナルガクルガの唸り声は聞こえるのに、影から影へと動くその姿を一向に見つける事が出来ない。キッカの目はナルガクルガの姿を見失っていた。

 

 「くそ、すばしっこい奴だぜ!」

 「ど、どこに行ったにゃ!? 姿を見せるにゃ!」

 「奴の目を追うんだキッカ! 焦るんじゃない!」

 

 ナルガクルガの動きに翻弄され、虚空へ向けてブレイブネコランスを突きつけていたキッカはアランの言葉を聞いて冷静になり、目を凝らした。

 

 「にゃう、目……」

 

 ガッシュのアルバレストが、アランの両目が、ナルガクルガの影を必死に追っていた。奴の体を覆う漆黒の体毛が薄暗い古代林の背景に溶け込んでいようと、完全に姿を消した訳ではない。興奮状態の影響で充血したナルガクルガの両目が妖しく光り、薄暗い古代林にゆらゆらと残像を引く赤い二本線を奔らせている。その残像を追い、キッカの両目がようやくナルガクルガの姿を捉えた。

 

 「……来る!」

 「はいにゃ!」

 「おうよ!」

 

 アランの叫びを合図に、ガッシュ達は三手に分かれて飛び退く。直後、アラン達を囲むように跳躍し続けていたナルガクルガが右前脚の刃翼を振り抜く。刃翼が狙ったのはナルガクルガから見て最も手近にいたアランだった。

 

 「グロオォァッ!!」

 

 ナルガクルガはこちらの死角を取ろうと動き回ってはいるものの、姿を捉えて常に正面を向き合うようにすれば、最終的には正面から対応する事が出来る。迫る刃翼との間合いを見極めながら、アランは落ち着いて回避する。が、躱される事を見越してか、ナルガクルガは振り抜いた右前脚をしっかりと地につける。そうして右前脚を軸に体全体を使って半回転し、長い尻尾でアランを薙いだ。

 

 「な……っ!?」

 

 咄嗟に盾で防いだものの衝撃まで防ぎきる事は出来ず、ナルガクルガの尻尾に打たれたアランは弾き飛ばされてしまう。地を転がりながら体勢を立て直したアランへ更に畳みかけようと姿勢を低く構えるナルガクルガの体に小さなブーメランと数発の弾丸が突き刺さる。せっかくの追撃の機会を潰されたナルガクルガが邪魔者の姿、アルバレストを構えるガッシュと小さな犬歯を覗かせるキッカを睨みつけ、唸り声を上げる。

 

 「あらんに何するにゃーっ!」

 「くそ……大丈夫かアラン!」

 

 怒るキッカと心配するガッシュに片手を挙げて無事を知らせるアランは、腰のポーチから緑色の液体が入ったビンを取り出し、蓋を開けて一気に飲み干す。薬草とアオキノコにハチミツを調合した回復薬グレートが腕の痺れを和らげ、お返しとばかりにナルガクルガへ斬りかかる。ガッシュ達に注意が向いていたナルガクルガの横っ面にツルギ【烏】の刃を目一杯の力を込めて叩き込んだ。

 

 「ギャウッ!?」

 

 意識外からの急襲に頭をぐらつかせるナルガクルガへ続け様に横へ薙いだツルギ【烏】の刃が空を斬る。アランとの間合いを取ろうと、ナルガクルガが跳躍したのだ。

 

 「この野郎っ!」

 

 ツルギ【烏】を納刀したアランとブーメランを回収したキッカがナルガクルガを追跡する中、ガッシュのアルバレストが弾丸を撃ち続ける。右肩と右前脚の刃翼にレベル2通常弾が突き刺さり、アルバレストが弾切れの合図を告げた。

 

 「ああくそ、弾切れか……」

 

 引き金を引いてもまるで反応の無いアルバレストにレベル2通常弾を装填。そうしている内に遠くへ離れるように跳躍していたナルガクルガは頭を低くし、尻尾を天へと伸ばす。くるくると円を描くように尻尾を回し、逆立った尾棘を一層逆立てるナルガクルガの構えに、アランは背筋を凍らせた。ナルガクルガの両目が何かを狙うように、ただ一点を見ている。その先にいるのは、アルバレストに弾丸を装填している最中のガッシュの姿があった。

 

 「ガッシュ!!」

 「なん―――――うおっ、眩しっ!?」

 

 振り回す尻尾の勢いが徐々に強まっていく中、悲鳴に近い叫び声を上げたアランがポーチから閃光玉を取り出し、投擲する。ガッシュへ向けて尻尾を振るい、逆立つ棘が射出される寸前の事。ナルガクルガとガッシュの間に放られた閃光玉が強烈な光を発し、ナルガクルガとガッシュの視界を白く塗り潰した。

 

 「グギャウゥ!? ガウゥアッ!」

 「ぎゃああああっ!? 目がああっ!」

 

 アランの放った閃光玉による妨害が功を奏してか、ナルガクルガの放った尾棘は本来狙っていた位置を大きく外れた。ガッシュの身体へ殺到する筈だった尾棘は地に刺さり、背後の大木を穿ち、そしてガッシュの左肩の防具を射抜く。ナルガクルガへの追跡を諦めたアランとキッカは目元を押さえてのたうち回るガッシュの首根っこを掴み、エリアの端へと引き摺り運ぶ。

 

 「なぁ!? わぁっとと、今度はなんだぁ!?」

 「旦那さん! しっかりにゃ!」

 「ガッシュ、ガッシュ。聞こえるか?」

 「あぇ? ああ、キッカと……アラン、か? 何が起こったんだ」

 

 徐々に視力が回復してきたのか、フルフルキャップの奥でぱちぱちと瞳を瞬かせたガッシュがアランとキッカの姿を認識する。視界をアラン達の背後に向けると、視力を奪われた怒りを表すかのように右へ左へと手当たり次第に暴れ回っているナルガクルガの姿があった。

 

 「……これだ」

 「こりゃあ、あいつの……」

 「ああ。リロードの隙を狙っていたんだ」

 

 重苦しい語調のアランがガッシュの防具に刺さっていた尾棘を引き抜く。あの時、もし閃光玉を投げなかったならどうなっていただろうか。アランは手に持つ尾棘をガッシュの胴へ合わせ、可能性として存在していたもしもの未来を示す。それが意味する物に気付いたガッシュとキッカは引き気味に声を震わせた。

 

 「うわぁ……」

 「にゃう……」

 「悪い。もう少し早く気付くべきだった」

 

 防具越しに青ざめているだろうガッシュの表情を見て自責の念に駆られ目を伏せるアラン。が、ガッシュはアランの手にあったナルガクルガの尾棘をひったくり、放り捨てる。

 

 「いいや、おかげで命拾いしたぜ。キッカもありがとうな」

 「にゃうっ」

 

 リロード途中だったアルバレストへ完全に弾丸を装填し、アラン達の背後で依然暴れ回っているナルガクルガを見る。我武者羅に刃翼を振り回し、高く跳び上がって尾棘の逆立つ尻尾を渾身の力を込めて叩きつけた。

 

 「ガロロァッ! グロオオアゥッ!!」

 

 ナルガクルガの繰り出す技の中でも最大の脅威であろう叩きつけも、獲物が見えない状態ではその威力を発揮できない。虚しく空を斬るばかりの状況にナルガクルガは苛立ちを募らせていた。

 

 「アラン、いけると思うか?」

 「……あれならいける。キッカ」

 「にゃっふっふ……。ボクのとっておきを使う時、だにゃ」

 

 ある事を、ガッシュはアランに尋ねた。息を荒立たせ、両前脚の筋肉をぶるぶると震わせるナルガクルガを遠巻きに、短く返したアランがブレイブネコランスを背に納めたキッカを見る。円筒型の装置を両手で抱え、キッカは不敵に笑っていた。

 

 「この辺りに……にゃいっ」

 

 装置を抱えたキッカがエリアの中央へ向かい、辺りに散乱する落ち葉をしっかりと払い除けてから装置を設置した。装置の中央についているスイッチがキッカの小さな肉球に押され、作動し始める。装置の下面から注がれる薬液と共に太い骨組が地中深く潜っていき、内部に格納されていた細い骨組が放射状に広げられ、薬液によって軟化されていた土を一気に押し広げて折り畳まれていたネットが展開される。更に装置の上面から吹き出る紫色の煙がネット越しに作られた窪みに漂い溜まっていった。

 

 「これが……毒々落とし罠の技にゃ!」

 

 装置を仕掛け、罠が完全に張られた事を確認したキッカは両手を上げて万歳のポーズをする。この罠にあのナルガクルガを誘い込み、一斉攻撃を仕掛けるというのがアラン達の目論見だった。

 

 「俺が囮になる。ガッシュとキッカは―――――」

 「いつでも動けるように、だろ? 誘導頼んだぜ。火力は任せな」

 

 アルバレストを抱えて準備万端だと伝えるガッシュと、ブレイブネコランスを片手にふんすと息巻いているキッカ達の頼もしい姿にアランは小さく微笑み、毒々落とし穴の前に躍り出た。

 

 「ほらこっちだ! 来い!」

 「グャオオオオオオッ!!」

 

 きょろきょろと辺りを見渡していたナルガクルガが、その声を聞いた途端にアランへと振り返った。閃光玉の効果も消えて奪われていた視覚を取り戻した今、その原因を作ったアランへ向けて怒りの矛先を向けた。

 殺してやる。言葉を持たずとも伝わる、ナルガクルガの激情。アランの姿ただ一点を見つめ、その体をズタズタに引き裂いてやろうと長く鋭い刃翼を振り抜いた。

 

 「グロロオオアアァァッ!!」

 「くぅっ!」

 

 アランの肉体を、ガルルガ装備ごと刃翼が切り裂くその寸前。予めツルギ【烏】を納刀していたアランは真横に向かい緊急回避を行う。頭上で通り過ぎる鋭い音は、そのままキッカの仕掛けたとっておきへ向けて一直線に突っ込んだ。

 ハンターやオトモが乗ってもびくともしないそれは、大型モンスターの巨体が圧し掛かった事で生まれた加重を引き金に作動し、ナルガクルガの下半身が地面に埋まった。




戦闘描写って難しいですね。続きます。

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