SPECIALな冒険記   作:冴龍

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巻き込まれる者達

「おめでとうレッド君! 晴れて君はジムリーダーになったのだ!」

 

 試合終了のブザーが屋内に鳴り響き、少し離れた席で見守っていたポケモン協会の理事長は、満面の笑顔で戦い終えたレッドに結果と祝福の言葉を掛ける。

 

「えっと…ありがとうございます」

 

 ある意味自分よりも喜んでいる理事長の様子に少し引きながらも、ぎこちなくだがレッドは感謝の言葉を伝える。

 

 先程まで彼は、今いるトキワジムのジムリーダーになる為に必要な試験を受けていたが、結果は試験官でもあるポケモン協会理事長の言う通り合格だ。

 

 戦うポケモンは近年正式に確認が認められたポケモンが中心だったが、殆ど何もさせずにレッドは対処できた。

 レベル差もあったが、何よりポケモン達が自らの意思で状況を判断して動く点が、アキラの手持ちを彷彿させることも大きくて思っていたよりも楽に戦えた。

 

 懸念していた手足の痺れも、この試験中は殆ど感じることは無かった。

 そこまで激しい戦いでは無かったこともあるが、この様子ならジム戦も何とかこなせるだろう。

 

「レッドさんおめでとうございます!!!」

 

 観戦席から身を乗り出して、ナナミと一緒に見に来ていたイエローは誰よりも盛大に合格したレッドに祝いの言葉を送っていた。

 彼がこのトキワジムのジムリーダーになることをイエローは誰よりも望んでいたからこそ、今回の結果は本当に嬉しかった。

 

 そんな姿にレッドは、話に夢中になっている理事長に気付かれない程度に目線を向けて応える。

 周囲を見れば、観戦に来たイエローの地元であるトキワシティの人達が自分のジムリーダー試験合格を喜んだり、祝福してくれていた。

 だけど、どれだけ探しても一人だけこの場にはいなかった。

 

「アキラ……どうしたんだろうな」

 

 今日は見に来てくれると言っていたが、何か急用が入ってしまったのだろうか。

 彼の性格を考えるなら、何かあるのなら事前に一言連絡を入れていても良い筈だ。

 無意識に彼が来ていないかレッドは探すが、出入り口付近でグリーンが見掛けないポケモンを伴って立っているのが目に入った。

 アキラでは無くて彼が見に来るとは聞いていなかったが、意外な人物がいることに驚きながらもレッドは嬉しかったので、それ以上アキラを探すことを止める。

 取り敢えず今は、全部終わった後で良いだろう。アキラが来なかったのには、何か事情があるのだろう。例えば、彼がお世話になっているあの紫色の霧やポケモンのタイプ変化に関わる――

 

「!?」

 

 理事長から今後の予定について耳を傾けようとした正にその時だった。

 まるで何かが爆発した様な爆音と共に、彼らがいるトキワジムが大きく揺れたのだ。

 何が起こったのかわからず、ポケモン協会の関係者を含めた人々に動揺とパニックが広がるが、レッドはすぐさま飛び出して廊下で同じ様に動いたグリーンと合流した。

 

「グリーン!」

「話は後だ!」

 

 こうして廊下を走っている間も爆音が轟き、その度に建物が揺れているのだ。何か大変なことが起こっているのは明らかだ。

 そして彼らがジムから出るとトキワジムのすぐ近くにあるトキワの森から、ポケモン達が次々と飛び出していた。

 

「一体なにが……」

 

 目に入る状況にレッドは唖然とするが、グリーンはすぐに気付いた。

 ポケモン達が出て来る森の奥から絶え間なく激しい爆発と地響きが起こっているのだ。恐らくポケモン達は、この騒動から逃げて来たのだ。

 

「レッド、お前はここを守れ! 俺は特に暴れているポケモンを抑える!」

 

 徐々に新しい形で生態系が形成されつつあるが、トキワの森にはロケット団が放したポケモン達が棲み付いている。

 流石に目に見えて凶暴な個体も自然界で暮らす内に穏やかになってきているが、それでも強力なポケモンが多いことには変わりない。

 

 グリーンと共にいた赤いポケモン――ハッサムは駆け出すと、最初に逃げ道を切り開こうと前を走っている他の野生ポケモンを攻撃しているナッシーに狙いを定める。

 両腕の鋏にある模様を活かし、頭が三つある様に見せ付ける”にらみつける”でナッシーを怯ませると、すかさず”きりさく”を打ち込んで弱らせる。

 続けて”でんこうせっか”でフーディンに体当たりを仕掛け、その勢いを保ったまま我を忘れて猛スピードで直進してくるウインディとサイドンを”メタルクロー”で殴り付けた。

 

 野放しにしたら特に二次被害が出る可能性があると判断した四匹を弱らせたグリーンは、流れる様にモンスターボールを投げて、その四匹を収める。

 彼の手際の良さにレッドは、他の我を忘れて無秩序に暴れながら逃げて来るポケモン達を対処しながら感心する。

 

「レッドさん! 一体何が起こっているんですか!?」

 

 二人が野生のポケモン達を対処していた間、遅れてナナミと一緒にイエローもトキワジムから出て来るが、イエローはトキワの森に起こっている異変に気付くと戸惑いを露わにした。

 野生のポケモン同士が縄張り争いなどで怒りを剥き出しにすることは、心を痛めながらも度々経験してきたが、今森から伝わるざわめきはそんな物では無かった。

 強大な力と力のぶつかり合い。ある種の狂気。それらの好ましくない感情とエネルギーが入り混じったものが、森の奥から激しく伝わって来る。

 思わずイエローは、怖がるかの様に一歩下がってしまう。

 

「大丈夫かイエロー!」

「レッド来るぞ!」

 

 怯えているイエローに気を取られているレッドに喝を入れる形で、グリーンは警告を伝える。

 森の奥から聞こえる爆音と揺れが、どんどん大きくなってきているのだ。

 怒りの籠った荒々しい雄叫びと狂った様な甲高い奇声、今回の騒動の原因が、少しずつ彼らに近付いてきている。

 

 レッドとグリーンに彼らのポケモン達は備えるが、レッドは少しだけ気になる事があった。

 それは森の奥から聞こえて来る声を、どこかで耳にしたことがある気がするのだ。それも、つい最近だ。

 

 何の声だったのかレッドは思い出そうとしたが、その前にトキワの森を揺るがす程の戦いを繰り広げていた存在が、遂に彼らの前に姿を見せた。

 森の奥から木々を薙ぎ倒しながら、カイリューとピジョットが取っ組み合いながら飛んできたのだ。

 

「やっぱり!!」

 

 カイリューの姿を目にした瞬間、レッドは確信した。

 今ピジョットと戦っているのは、アキラが連れているカイリューだ。彼のポケモンが戦っているということは、何かが起こったのは間違いないと言っても良い。

 

 トキワの森から飛び出した二匹は、しばらく錐揉みしながら滑空した後、マウントを取ったピジョットがカイリューを地面に叩き付ける。

 叩き付けられたカイリューは地面の土を抉る様に引き摺られるが、そんな状況でも一瞬のタイミングで、巴投げの様な形でピジョットを投げ飛ばす。

 方角はトキワジムの方向ではあったが、幸いにも建物のすぐ脇をピジョットは転げていく。

 

「カイリュー大丈夫か!? てか、アキラはどこだ?」

 

 体に付いた土や葉っぱを落としながら、立ち上がろうとするカイリューにレッドと彼のポケモン達は駆け寄る。

 普段もそうだが、この戦いの時に見せる荒々しい振る舞いと鋭い目付き、間違いなくアキラのカイリューだ。つまりトレーナーである彼が近くにいる筈だが、何故か何時まで経ってもトキワの森から彼と他の仲間達が出て来る様子が無い。

 

「レッド、あれは何だ?」

 

 カイリューの様子を気にしながらアキラを探すレッドに、グリーンは神妙な雰囲気で尋ねる。

 彼の視線の先には、ついさっきまでカイリューが激戦を繰り広げ、投げ飛ばしたピジョットが体を起こしていた。だが、目に見えて様子がおかしかった。

 全身を薄らと包み込む白と青が混ざったかの様なオーラ、そして血管の様に体中に張り巡らされた赤い筋が禍々しく光っている。

 何かとんでもない異変が起きていると言わんばかりの姿だったが、全身を包むオーラと体が赤く光る巨大な姿にレッドは見覚えがあった。

 

「こいつ、一年前戦ったサイドンと同じか」

「サイドンと同じ?」

 

 四天王と戦う半年前だ。成り行きではあったが、過去にレッドはアキラと共に同じ様な状態のサイドンを相手に戦った経験がある。

 あの時のサイドンと比べればサイズはずっと小さいが、それでもグリーンが連れているピジョットよりも一回り大きい。何より、かなり力を付けているアキラのカイリューと互角以上の戦いを繰り広げていたのだから、このまま放置するのは危険だ。

 

「ナナミさん! イエローと協力してトキワジムにいる人達を避難させて下さい!!」

「え?」

「早く!!!」

 

 レッドの切羽詰まった声にイエローとナナミは戸惑うが、そんな彼らに投げ飛ばされた筈のピジョットが翼を大きく広げながら襲い掛かった。

 

「ゴン!」

 

 咄嗟にレッドが投げたモンスターボールから飛び出したカビゴンは、イエロー達を守る壁の様にピジョットの前に立ちはだかったが、ピジョットは怯まずに鋭い鉤爪を前に突き出してカビゴンの頭を中心に激しく引っ掻いて行く。

 

「な…何で…」

「イエロー、ここは危ないから早く」

 

 カビゴンを激しく攻めるピジョットの姿にイエローは言葉を失うが、ナナミに連れられてジム内に残っていた他の人達と避難を始める。

 彼女達がその場にいなくなってからも、カビゴンは”かたくなる”を駆使するなどトキワジムから逃げる人々の為に時間を稼いでいたが、自身とほぼ同じ巨体になっているピジョットの狂った様な猛攻に防戦一方だった。

 

「ピカ、”10まんボルト”!」

 

 追い詰められているカビゴンを助けようと、ピカチュウが電撃を放つ。

 カビゴンにばかり意識が向いていたピジョットは成す術も無く直撃を受け、攻撃が止んだタイミングにカビゴンは”メガトンパンチ”で殴り飛ばした。

 だが連続攻撃があまり堪えていないのか、ピジョットは空中で態勢を立て直すと藍白のオーラを纏った赤く発光する巨大な翼を広げて、羽ばたきからの強烈な突風を引き起こす。

 しかもただの突風では無く、まるで凍り付いても不思議では無い程の冷たい風で、対峙していたレッド達は思わず体を震わせた。

 

「こいつもタイプが変わっているのか」

 

 以前戦ったサイドンの身に起こっていた異変のことをレッドは思い出す。

 あの時はほのおタイプが加わっていたことを考えると、このピジョットは本来のタイプにこおりタイプが加わっているのだろう。

 体の随所で赤く発光しているのが何なのかは謎だが、全身を包み込むオーラの色が何を意味しているのかレッドは漠然とだが理解した。

 

 纏っているオーラの色は変化したタイプを遠回しに示唆している。

 

「ッ、油断するな皆!」

 

 レッドが皆に警戒を促すが、冷たい突風にギャラドスやフシギバナなどの大きなポケモン達は持ち堪えていたが、小柄なポケモン達はバランスを崩したりと耐えるのに精一杯だった。

 その直後、ピジョットは飛んでいた空から一直線に迫って来た。

 フシギバナは”はっぱカッター”、ギャラドスは”ハイドロポンプ”で迎撃を試みるも、直前に”でんこうせっか”で急加速されて攻撃は全て外れる。

 カビゴンが”かたくなる”で体を硬化させてピジョットを受け止めるが、激突時の勢いとパワーに押されて後ろに倒れ込んでしまう。

 

 予想してはいたが、今のピジョットも過去に戦ったサイドンと同じでかなり強化されている。

 先程の凍える様な冷たい空気が混ざった”かぜおこし”も普通の”かぜおこし”よりもタチが悪かった。特に寒いのが苦手なフシギバナとカイリューは苦しんでいたが、レッドの方もまずい状況だった。

 

 徐々に手足の痺れが出始めたのだ。

 試験中は手際良く片付けたこともあって目立つことは無かったが、連戦とピジョットが仕掛けた攻撃の余波による影響が出始めている。

 

 「クソ…」

 

 このままでは皆の足を引っ張ってしまう。そんな危惧が生まれ始めたレッドは、小声で悪態をつく。

 早く決着を付けたいが、相手が相手だ。カイリューとの戦いでダメージを受けていることを考慮しても長期戦は必至。痺れが無視出来ないまでに酷くなる前に片が付くかどうか。

 そんなレッドの様子に彼のポケモン達は、察していたのか肩に力が入っていたが、彼の様子に気付いていたのは彼らだけでは無かった。

 

 傷付き、凍える体を奮い立たせて、カイリューは彼らの前に進み出る。

 レッドの体調が万全で無いのは、彼も理解していたからだ。

 まるで体から力を引き出す様に踏み締める様な屈めた体勢で構えると、ドラゴンポケモンは全身から黄緑色のオーラを少しずつ溢れさせ始めた。

 

「カイリュー…それって…」

 

 体中から纏う様に溢れるオーラに、対峙しているピジョットの姿が重なってレッドは驚くがそれは勘違いだ。

 今カイリューがやっているのは、”げきりん”を引き出した際に起こる前段階だ。

 まだ十分に制御が出来なくて、反動で”こんらん”状態になるといったリスクやワタルのカイリューの様に荒々しいエネルギーの鎧とまでは及ばないが、”げきりん”は何も纏うだけではない。

 

 オーラである黄緑色が一気に濃くなった時、込み上がる莫大なエネルギーをカイリューは口から放った。

 当然ピジョットは体を翻して避けるが、光線の形で放たれる”げきりん”の連続攻撃は続く。

 

 ピジョットは翼を羽ばたかせて飛び上がるが、後を追う様にカイリューも飛び上がって”はかいこうせん”に匹敵する威力の光線を絶え間なく連射する。

 回避と攻撃、両者は激しい空中戦を展開するが、飛行していたピジョットの前に光る壁の様なものが生じてグリーンは声を上げた。

 

「まずい! ”オウムがえし”だ!」

 

 ”オウムがえし”は、あらゆるエネルギーや衝撃をそっくりそのまま相手に跳ね返すカウンターに近い扱いの技だ。

 今カイリューがやっている”げきりん”の連続攻撃は、まだ制御が上手く出来ない関係で途中で中断することは出来ない。

 

 ”オウムがえし”の反射する壁に当たり、”げきりん”はカイリューに跳ね返る。

 だが、さっきまでアキラと一緒に戦っていた時も技を跳ね返されていたのだ。いい加減に学習したカイリューは巧みに躱すと、ピジョットの死角を取ろうとする。

 当然ピジョットも対応するが、目の前の敵に気を取られ過ぎて、ピジョットはレッド達の存在を気にしていなかった。

 

「皆もカイリューを援護するんだ!」

「リザードンも行くんだ!」

 

 レッドの呼び掛けにグリーンや他のポケモン達も動く。

 空中戦を得意とするプテラを今回は連れてきていないが、それでも打つ手が無いわけでは無い。

 グリーンはリザードンを送り出し、フシギバナは伸ばした蔓をニョロボンの体に絡ませて、遠心力を付けて勢い良くピジョット目掛けて投げ飛ばす。

 

 ”げきりん”の連射でピジョットと互角に渡り合っていたカイリューだったが、唐突にオーラが消えるのと体から力が抜けてしまい、更には考えが纏まらなくなった。

 咄嗟に”げきりん”の反動なのを悟ったが、この隙をピジョットが見逃す筈は無かった。

 藍白のオーラを纏い体を赤く光らせた巨体で、棒立ち状態で浮いているカイリューに体当たりをする。カイリューは何とかバランスを保とうとするが、何も出来ないまま落ちていく。

 

 落ちていくカイリューを追い掛けようとするが、両者の間にニョロボンが割って入った。

 ニョロボンは掌から放つ水流で自らの位置を調節すると、ピジョットに対して”れいとうパンチ”を打ち込んで勢いを殺す。

 ”こころのめ”で見切っていたので、すぐに仕掛けられたピジョットの反撃をニョロボンは空中であるにも関わらず、機敏な動きで避ける。そこにリザードンも加わり、二匹はカイリューに変わって空中戦を繰り広げる。

 そこに遅れて、投げ飛ばされたピカチュウも後を追う様に飛んできた。

 

「”10まんボルト”!」

 

 ピカチュウは溜め込んだ強烈な電撃を再びピジョットに浴びせる。どんなタイプに変化しているかは知らないが、それでも鳥系ポケモンに電気技は定石だ。

 しかし、それでもピジョットの動きは止まらない。

 

 放電が終わったピカチュウに襲い掛かるが、リザードンの”かえんほうしゃ”に邪魔され、”みずでっぽう”で加速したニョロボンの”れいとうパンチ”を再び受けて地面を転げていく。

 先に落ちたカイリューは、フシギバナやギャラドスが受け止めてくれたお陰でピジョットの様に地面に体を打ち付けることは無かった。

 

 そしてピジョットの方は、度重なる連戦とダメージが流石に体が堪えて来たのか体を持ち上げる動きがどこかぎこちなくなっていた。

 チャンスと見たレッドは、この戦いを止めるべく素早くモンスターボールを投げ付けるが、投げたボールは見当違いな方へと飛んでしまう。

 

「しまった!」

 

 折角のチャンスを不意にしてしまったことにレッドは焦る。

 手の痺れが増々酷くなっていることは自覚していたが、投げる直前に痛みにも似た強い刺激を感じてしまったのだ。

 彼の様子を見て、今度はグリーンが代わりにモンスターボールを投げるが、起き上がったピジョットはボールを弾く。

 

「っ! ハッサム、”メタルクロー”!」

 

 翼を広げて今にも飛び立とうとするピジョットにハッサムが赤い鋼鉄の鋏を振るう。

 しかし、ピジョットはその攻撃を”オウムがえし”で跳ね返し、跳ね返された鋏は意思に反してハッサムの頭にぶつかる。

 更にピジョットはそれだけで終わらせず、”つばさでうつ”でハッサムを叩き飛ばす。

 

「グリーン! 普通のポケモンとは思わない方が良い!」

「わかってる!」

 

 見たことない現象だが、実はグリーンも軽く話程度は聞いている。

 祖父の後輩が調べている研究であることは聞いていたが、進化以外でポケモンのタイプが変化すると言うにわかに信じ難い研究だと考えていた――否、アキラも関わっていると聞いて苦手意識も重なって変な先入観が混ざっていたかもしれない。

 怯むハッサムに追い打ちをかけるのを防ぐべく、空からリザードンが”かえんほうしゃ”をピジョットに浴びせる。

 

 受けた炎に大ダメージを受けたのか、ピジョットは悲鳴を上げる。

 まるで苦手なタイプの技を受けたポケモンの様な反応にグリーンは疑問を抱くが、ピジョットは”かえんほうしゃ”を受けた勢いのまま地面に叩き付けられた。

 

「皆囲むんだ!」

 

 レッドのポケモン達と立ち直ったカイリュー、そしてグリーンのハッサムやリザードンが弱っているかの様に体をフラつかせているピジョットを取り囲む。

 かなり強いが、弱っている様子を見てもわかる通り、サイドンの時とは違って止めようが無い訳では無い。

 ならば捕獲では無くて戦闘不能に追い込むことも十分可能な筈だ。

 

 何があっても動ける様に九匹のポケモン達が少しずつ距離を詰めていく。

 それに対して体を起こしたピジョットは翼を広げて威嚇するのではなく、逆に翼で自らの体を守る様に体を屈めて丸くなる。

 あれだけ暴れていたが、戦意を喪失したのだろうか。それならば今度こそモンスターボールに収めるチャンスだ。

 

 そう思った直後だった。

 体を丸めていたピジョットが起き上がる様に勢い良く翼を広げた時、一際強い青白い光が彼らの視界を覆い尽くした。




アキラがドタバタしていた頃、カイリュー達が落ちてきたことでレッド達も戦いに巻き込まれる。

話を重ねるごとにどんどん騒ぎが大きくなり、レッド達も巻き込まれていきます。
百話以上書いてきましたが、手持ちは出てもアキラ自身が全く出てこない話は初めてかも。

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