Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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秘密の部屋編の最終回となります。これにて、本編は終了となります。


第27話 2年生修了

 次の日の朝。俺達秘密の部屋に関わった者は、全員退院した。犠牲者も、マンドレイクで作った薬で回復した。

 

 皆、体に異常は無かった。コリンは、エックスとジニーに駆け寄られてた。俺にお礼を言う機会を逃がした様だ。ジャスティンは、エリナと会話している。彼は、僅かにエリナを疑っていた事を謝罪してた。ゼロは、ペネロピー・クリアウォーターと話している。ゼロは褒められている。

 

 ハー子も俺とロンに駆け寄ってきた。

 

「見事に解決したのね!やったわね!」

 

 そして学校からのお祝いとして、試験がキャンセルになった。ハー子は、ガッカリしていた。もう一つ、全員集まり次第、宴をやることが決まった。

 

 宴は、豪勢な食事がいっぱいだった。ローストビーフ、ローストチキン、パエリア、シーザーサラダ、ステーキ、寿司、スパゲッティ、その他もろもろが出た。少しずつよそった。

 

「これが、日本のお寿司なのね!一度食べてみたかったの!」

 

 ハー子が叫んでいる。だが、ワサビが入っていたらしく、すぐに苦い顔になった。ハッフルパフの席を見ると、エリナが途轍もない速さで食べている。

 

「あのー、エリナ?そんなに急いで食べなくても、また出て来るからね。」

 

 セドリックがエリナに言ってる。

 

「昨日から何も食べてないから、元を取っておきたいなと思って。」

 

 食べながら説明してやんの。

 

 スリザリンの方では、グラントが祭り上げられていた。それを不機嫌そうに見ているマルフォイ。

 

「何で、あんな穢れた血が人気になるんだ。しかも、父上は理事を辞めさせられた上に、取り引きも1つ潰されたんだ。」

 

「マグル生まれですか、グラントが。ですが、今回の件でそうとも言えなくなりましたわ。」

 

「い、イドゥン!?いつの間に!リドルが、穢れた血じゃないってどういう事なんだ!?」

 

「どういう事なの?」ルインも話に割り込む。

 

「今回の事件の真犯人に良く似てたのですよ。そして、あの能力も。もしかしたら……いいえ。まだ確証が無いから言いません。それにしても、取り引きってルシウスは何をやっていたのですか?」

 

「バカで無能なマグル向けに風船ドラッグをね。でも、潰されたし、マグルの世界で指名手配を受けたんだ。」

 

「言っておきますけど、魔法界では麻薬は普通に使われていますが、マグルの世界では麻薬の取引は違法ですよ。それを知らなかったとは、ルシウスも詰めが甘いですね。」

 

 明け方の3時半になって、ハグリッドが戻って来た。大勢の歓声で迎えられた。ちなみに、1000点オーバーしたグリフィンドールの優勝となった。

 

 それから終業式までは、有意義な時間だった。身近な人に口寄せ呪文を教えたり、エックスとコリンから魔法を教えてくれと頼まれたり。

 

 そうして帰りの日になった。汽車に乗っている時、俺はエリナと話していた。

 

「成る程な。校長とそんな話をしていたのか。」

 

「うん。大事なのは、持ってる能力じゃなくて、自分は何者なのかという選択をするんだって。」

 

「そうか。じゃあ、次の話だ。今度は、俺の家に来る?」

 

「うん!今すぐにでも!」

 

「そうしてやりたいのはやまやまだけど、2週間はダーズリーのとこへいるようにって校長が言ってたからな。」

 

*

 

 最終日直前、俺は校長室に入った。エリナの事について話がしたいと、アポを取ったんだ。こういう事でもなきゃ、ジジイと話したくも無いけどな。確認の為だ。

 

「エリナをロイヤル・レインボー財団に夏休み招待しようと思ってますけど、良いですよね?」

 

 俺は、校長にそう言った。ダメと言わせるものか。

 

「それで構わないとも。ただ、最低2週間はダーズリー家にいさせるようにするのじゃ。」

 

「母様の魔法を持続させる為ですか?まあ、バーノン・ダーズリー以外は邪険に扱っていないようなので、そうしておきましょう。それでは、失礼します。」

 

 校長室を出て行こうとした。だが、呼び止められた。

 

「ハリー。君は、一体どちらなのじゃ?」

 

 校長が聞いて来た。ウイルスモードを発動させる。

 

「どちらとは一体どういう意味ですか?まさか、英国魔法界側か、闇の陣営側かってことですか?」

 

「極端に言えば、そうなるがのお。」

 

 コイツ、自分の思い通りに俺が動かないからって、何を言ってやがるんだ。闇の陣営に同調する気なんて全く無い。そして、未だに中世から行き遅れているこの国の魔法界なんて、いっその事滅んだ方が良いと思ってるのさ。

 

「ハッキリ答えましょう。どちらにもなりません。俺は俺だけに従う。誰かに束縛されるのは、もううんざりですからね。ここ(魔法界)を救う決断も、滅ぼす決断も、見捨てる決断も。俺の自由ですよ。誰かの指図を受けたり、監視を受ける筋合いはない。ただ、誰の味方かと問われたならば…………」

 

 深呼吸をした。そして、話を続ける。

 

「エリナ・ポッターの完全な味方と言っておきましょうか。彼女と同じ位、ロイヤル・レインボー財団の面々に、俺を信じ、慕う者達もです。エリナには、あいつには荷が重すぎる。1人でヴォルデモートと戦わせるなんて。だから俺が負担を和らげるんですよ。コイツを使ってね。」

 

 俺は、バジリスクの牙を見せた。ダンブルドアは、それを見てハッとした表情になる。

 

「君は、まさか。もう気付いてるのかね?日記の正体に。」

 

「さあ?どうだと思います?只の日記如きが、1人の女子生徒を操れるとでも?」

 

 俺は、デフォルトで閉心術を掛けている。分霊箱については教えない。ジジイも秘密主義で誰にも教えないなら、俺も然るべき対応を取るまでだ。

 

 常に自分自身の心をガードしている。だからジジイは、全く俺の心に入り込めないようだ。いいや、それどころか片鱗すら掴めていない。苦い顔をしながらも、俺にこう言ってきた。

 

「ハリー。良くお聞き。ヴォルデモートの一味と敵対するなら、わし達は仲間じゃ。君が信頼しているマクゴナガル先生も。そして、スネイプ先生もじゃ。」

 

 お花畑の思考を持ってるな、相変わらず。絶対スネイプに裏切られるのは明白なのに。そしてスネイプ、奴の最期も碌な物じゃない。敵味方双方から忌み嫌われ、悲しんでくれる仲間も家族も全くいない。永遠に独り、何も残らん。誰かに利用された挙句、ウロウロと彷徨う。失敗だらけのクズが、無様に死ぬだけだ。

 

「それでは、私からも1つ言っておきましょうか。死喰い人は、どこまでいこうと死喰い人です。それはあなたが良く分かってる筈だ。ヴォルデモートの危険性を分かっていながら、温情なんて与えて、結果、奴による犠牲者を拡大させてきたのだから。そして、いくら改心しようが所詮、変わる事は決して無いと。今回のルシウス・マルフォイみたいにな。」

 

 しばらく沈黙が流れる。そう。全然反省すらしてない。だから、スネイプも同様なのさ。本当に俺を守ろうとしているのなら、そして申し訳ないと思っているなら普段の俺に対する態度なんて取る筈が無い。いずれ俺を、スネイプはヴォルデモートに差し出すつもりだろうさ。それは100%断言出来る。

 

「あなたには、分からないだろうな。何も失った事が無い……綺麗で偉大なあなたにはね。今回も、前回も、12年前までの戦争でも、救える命を捨て駒の様に扱ったあなたには。俺が何も知らないとでも思ってるのか?ロングボトム夫妻を、ネビルの両親を見捨てて廃人にする手引きを行ったのだからな。正直、レストレンジ3人とバーテミウス・クラウチ・ジュニアよりもあなたは性質(タチ)が悪過ぎるよ。そして何よりも、俺の父様と母様を、エリナがヴォルデモートを倒せる者にする為の生贄にしたのだからね。」

 

 ダンブルドアの顔色が真っ青になった。これは、図星の様だな。

 

「1人の子供に、世界の命運を託すだと?バカバカしい。冗談も休み休みに言ってくださいよ。そんなものは、フィクションの中の物語だけで十分だ。」

 

 ダンブルドアに対して、俺は侮蔑の視線を投げかける。

 

「それでは、今度こそ失礼します。荷造りが途中ですので。例え地獄に落ちてでも、悪魔に魂を売ってでも、そして全ての罪を背負ってでも闇の陣営の破滅の為に行動する。俺の邪魔をするなら、それでも構わない。その時は、あなたと敵対する覚悟は出来ているのだからな。最速の手段を『悪しき手』だという理由で実行しないのなら、そのまま『綺麗で偉大な』ダンブルドアを演じているが良い。臆病者の、今世紀最大の偉大な魔法使い様。」

 

 俺は、談話室に戻った。そうだ。このバジリスクの牙を使い、分霊箱の破壊に特化した杖や兵器を新しく作るんだ。回収出来た牙の数は、16本。多くても半分位の数で作れるだろう。残りは、丁重に管理しながら研究に使えば良い。エリナ。絶対に、お前への負担は和らげるからな。お前だけでも幸せになる様に俺は動くまでだ。その為だったら、どんな事だってやってやる。

 

 回想が終わる。少しウトウトしてたようだ。

 

「ハリー。大丈夫?」エリナが心配そうに見てた。

 

「悪い。少し眠くなったかも。」

 

「ちゃんと睡眠は取った方が良いよ。」

 

「そうする。とにかく、2週間後に迎えに行くよ。いいね?」

 

「うん。お願い。」

 

「ダーズリー家の人達には話を通しておいてくれよ。一応、こちらからも手紙は出しておくが。」

 

「分かったよ。」

 

 話し終えたその時、キングズ・クロス駅に到着した。柱の向こうで、義祖父ちゃん達がいた。俺は、エリナを2週間後に招待しても良いか尋ねた。皆、ハリーの家族だから大歓迎だ、ぜひ連れて来なさいと言う返事を貰った。俺は、エリナに許可が取れたとサインを送った。そうして、しばしの別れとなった。

 

 俺の2年生としての1年間は、終わりを告げた。だが、こうした緩やかな日常は少しずつ崩れていく事。そして、闇の陣営以上の脅威もまた、社会の陰で暗躍し始めている事を俺はまだ知る由も無かったのだ。

 

*

 

 虹色の眼、銀色の髪を持った男。部下の仮面の男『ダアト』から、ホグワーツで起こった出来事の報告を受け取ったばかりであった。

 

「分霊箱は後5つか。内1つは、思いもよらない正体だって事にはまだ気づいてない様だな。ハリーよ。俺の後継者。」

 

 そこから、青みがかかった黒の髪をしている灰色の両眼を持った美しい女性がやって来た。

 

「ケテルか。」

 

「世界中に散らばったメンバーに、伝言を報告しておいたわ。マクルト。」

 

「……」

 

「本格的に動き出すのね。私達『終わりを生み出す者』が。TWPFが。」

 

「そうだ。我が組織の目的は、全てを無に帰す事だ。まずは、闇の陣営に先手を打つ。そして、超古代遺跡から手に入れたロストテクノロジー。その産物であるレプリロイド。全種類完成したのか?」

 

「ええ。パンテオンシリーズが投入可能だから、実戦さえ積ませればね。」

 

「そうか。新たなメンバーのスカウトは?」

 

「ダアトが行っている。もっと有能な奴を引き入れてみせますって、アズカバンの最上層エリアに向かって行ったわ。」

 

「あいつの能力ならば、どんな強固な守りが施されていても無意味だからな。さてと。闇の陣営、アルカディア、不死鳥の騎士団、ロイヤル・レインボー財団。俺達にどう足掻く気かな?そして、ハリー・ポッターよ。『覚醒』の境地に辿り着いた我らPWPEに立ち向かえるかな?」

 

 虹の眼の男は、ケテルと呼ばれた女性と一緒に姿くらましで消え去ったのだった。

 

*

 

 某国某所。どこかの研究施設。大きな容器に、少女は囚われていた。

 

『もう、死にたい。』

 

 年齢は10歳ほど。透き通る程の水色の髪をポニーテールにしていて、薄いピンクの服を着ている。他人から見れば虜になる程の美しさを持つ。しかし、彼女は純粋な人間では無かった。手は小さな水かき、耳は魚のヒレの様で、極めつけは下半身。ビジリアンに輝く魚の尻尾。

 

 自分を3年前に捕まえたあの男がいる限り、自分は一生実験動物(モルモット)として永遠に生き続けるのだろう。光も、希望も見出せなかった。

 

 しばらくして、少女の居る場所が襲撃された。他の同胞には無い特異体質が幸いして、その場所を必死の思いで脱出しようとする。姉や妹を含めた同胞達の断末魔を浴び続けながら。

 

 




本作をお読みいただき、ありがとうございました。後は、設定やら登場人物やらが中心のを発表して、『再会と因縁の章』は終了となります。今まで読んでくださった皆様のお陰で、ここまで来られました。本当にありがとうございます。

今後については、活動報告に記載をします。

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