Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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ダイアゴン横丁が長過ぎたので、2つに分けます。


第4話 エリナ・ポッターとの再会

 1991年7月31日。予定していたダイアゴン横丁に行く日。そして、この俺ハリー・ポッターの誕生日だ。

 

「ハリー、お誕生日おめでとう。朝は軽いものを用意しておいたよ。昼はあちらでいただくとして、夜はハリーの為に豪華なものを作っておく。」

 

「ありがとう義祖父ちゃん。でも、そこまでオーバーじゃなくてもいいよ。まあ、朝食べたら早速行くとしますか。」

 

「分かった。そうしようか。」

 

 こうして、朝食を食べた。担当の料理人スタッフの人が、サンドイッチを作ってくれた。朝はこれが一番なのが俺流の持論となる。そうして食べ終わり、着替える。

 

「どうやって行くの?」

 

「私の姿くらましと姿あらわしで漏れ鍋の前まで行く。そこが、ダイアゴン横丁への入り口になっている。」

 

「俺は、それの代わりの手段を持ってるんだけどな~。」

 

「今は見せびらかさない方が良い。ホグワーツで思う存分やるといい。」

 

 そんなわけで、俺は付き添い姿くらましで漏れ鍋まで移動した。店の中に入る。マグルはここの存在を知らない。もっとも、マグル生まれやそういう魔法使いを子に持つ親や知人は存在を知らされているので、存在さえ知っていれば入ることが出来る。裏庭に行き、特定の煉瓦を特定の順番で叩く。すると、煉瓦が動き始めてダイアゴン横町に入れる仕組みというわけだ。

 

 存在は知っていたが、来るのは初めてだ。改めて魔法界の一員なんだという認識を持つ事になるとは。まあ、取り敢えずはホグワーツの次に安全と言われるグリンゴッツに行くのが通例になる。だが俺は、今学期分の資金は既に持っているので行く必要はない。余談だが、ここは小鬼が経営している。製作者こそ真の所有者で、金を払うのは貸したという認識を持っている。そして、払った者が死ねば返すべきという考えを持つ厄介な連中なわけだ。

 

 まあ、そんな事はどうでもいい。旧家の金庫となると、強力な守りを施されているし、財産も豊富だ。贅沢をしても、一生過ごせる位の財産がある。本当に俺には関係の無い話だからな。

 

 ダイアゴン横丁に入ってから、義祖父ちゃんからこんな提案があった。

 

「私は教科書や鍋のような授業で使う学用品を揃えておこう。ハリーは杖とローブを買ってきなさい。絶対に必要なものだから。」

 

「了解。……というか、杖はもう持っているんだけどね。」

 

 その内の1本の杖を見せる。ナナカマドに猫又の尻尾の毛。25センチ。攻めよりも守りや補助系の魔法に優れている。

 

「オリバンダー製は質も良いし、値段も良心的だ。記念に購入するのもアリだ。」

 

 俺は、義祖父ちゃんと一旦別れた。そして、マダム・マルキンの店まで向かった。マダム・マルキンは、藤色一色の服を着ている愛想の良いずんぐりした魔女だ。

 

「坊ちゃんも、ホグワーツなの?」

 

 俺はコクりとうなずく。

 

「全てここで揃えられますよ。……もう1人の方が丈を合わせています。」

 

 店の奥まで案内された。黒髪の長い少女がサイズ測りをしていた。何……だと。そう思った。右目に紫、左目に灰のオッドアイだったのだ。だが俺は、そんな彼女には目もくれずに隣に座った。しかし、どういうつもりなのか、その少女が話しかけてきた。

 

「あなたもホグワーツですか?」

 

「まあ、そんなところだね。」

 

 質問を素っ気無く返す。

 

「お先に杖から買いまして、今はローブを買うところですわ。」

 

 言葉遣いからして、かなり良い身分の出身らしいな。

 

「俺は、ここが一番最初だよ。義祖父ちゃんが学用品の方を揃えてくれるからね。ローブと杖を買っておけと言われた。」

 

「そうでしたか。ところで、どこの寮に行きたいか決めていますか?」

 

「別に。退屈しなきゃどこだろうと構わない。それに、俺には目標がある。それを最速の手段で成し遂げられるのなら、どこでも良い。」

 

「そういうあなたには、スリザリンはお勧めしますよ。」

 

「スリザリン?」

 

「今のあなたと同じ考えを持つ人達が集まるのですわ。」

 

「スリザリンだろうが何だろうが、大事なのは、どこに入ったとかじゃなくて、どこの寮に行ったとしても己を捨てないことが重要だと思うがな。」

 

「おや、面白い事を言いますわね。大抵、寮で差別する方の方が多いのですよ。」

 

「あんたがどこの寮に行こうが俺は全然気にしないよ。俺の目的の邪魔さえしなければね。それに、以前日本にいたからそんな事にこだわりは…………」

 

「さあさ。終わりましたよ、坊ちゃん。」

 

 マダム・マルキンがハリーに声をかけた。魔法でやれば一瞬のはずだが、この人は自分でやるのがポリシーだそうだ。

 

「あ、どうもありがとうございます。」

 

 あの得体の知れない(アマ)と話さなくていい口実が出来て、内心ホッとした。急いで踏み台から降りる。

 

「それでは、機会があればホグワーツで会いましょう。」

 

「また会えればな。」

 

 ローブ3着を持って急いで出ていく。同年代の女の子とまともに口を聞くのは初めてだが、本能で悟った。あいつは苦手だと。

 

 気を取り直して、次はふくろうを買うことにした。だが、アイスクリームを持った大男が立っていた。無駄にデカかったので、正直邪魔だった。

 

「すみません。そこ通して貰ってもいいですか?」

 

 俺は、大男にそう声をかけた。

 

「す、すまねえ。邪魔みたいだったな。……!!?」

 

 大男は、ハリーをじっと見つめていた。そっくりだ。イタズラばかりして、さんざん手こずった。なのに、不思議と憎めなかった友にそっくりだ。大男もといハグリッドはその友の名を言おうとしたが。

 

「ハグリッド、ボクもう終わったよ。」

 

 自分の事をボクという少女が大男に声をかける。身長は130センチあるか無いかくらい。髪はたっぷりとしていて、深みがかった赤毛。そして、瞳の色がハシバミ色だ。額に稲妻型の傷がある。

 

「おお、エリナか。もう終わったんだな。よし、次は教科書、大鍋、薬問屋、杖の順番で買いに行こう。」

 

 うん、と少女が返事をする。俺と同じ新入生か。念の為に、名前を聞いておこうか。

 

「君、名前は?」

 

「ちょっと。名前を名乗れっていうんだったら、そっちから言ってよ!」

 

 少女が反論する。

 

「ああそうだね。確かに君の言うとおりだ。俺の名前は、ハリー。ハリー・ポッターさ。」

 

 自分の名前を名乗る。大男は、それはもう大変驚いていた。それはそうだろう。死んだ筈の人間が目の前にいればそうなる。エリナは、同じ名字を持った人間である俺を、まじまじと見ていた。

 

「お、お前さんハリーか。いやあ、父さんにそっくりだなあ、目だけは母さんと同じだ。それに、すまんかった。あの時、お前さんを守り切れなくてな。でも、生きていてくれて本当に良かった。」

 

 今にも泣きそうになったハグリッドという大男。

 

「別に、今の居場所も捨てたもんじゃないしね。気にしないで。いつか、ハグリッドを襲ってきた連中には報復すると決めてるからね。それに最初に思ってた事、前に来たマクゴナガルって先生もそんな事を心の中で呟いてたね。」

 

 まあ、2人で話し合っていた。エリナだけが置き去りになった。

 

「ああ。すまんな、エリナ。ここにいるのはな。前にボートでも言ったが、お前さんの生き別れた双子の兄貴のハリーだ。」

 

 エリナは正直同気持ちを表現したらいいのか分からなかった。肉親が生きているのは大いに嬉しい。でも、複雑だった。それでも、自己紹介はすると決めたエリナだった。

 

「ボクは、エリナ・ポッター。」

 

 元気があるようで良かった。ボクっ娘なのは、完全に想定外だったが。

 

「ホグワーツで会えるといいね。」

 

「そうだね。じゃあ、ボク急いでるから。」

 

「じゃあね。」

 

 こうして俺は、実の妹のエリナと別れた。杖の前にフクロウを買おうと決めた。

 

 動物を扱っているところはいくつか存在していたが、ふくろうならば『イーロップふくろう百貨店』が無難だろう。

 

早速足を運ぶ。暗くてバタバタと羽音がした。そう、宝石の様な輝く目をしたふくろうがあちこちでパチクリしていた。

 

「さて、どうしたものか。」

 

『旦那旦那。俺っちの声聞こえる?』

 

 突然声が聞こえた。メンフクロウの方から声が聞こえる。こいつ喋っているのか。

 

『いやあ。ようやく俺っちの言葉が分かる人間が現れてくれて助かったよ。』

 

「お前は俺と会話したいのか?」

 

『もし迷っているなら、俺っちを選んでくれよ。』

 

「何か俺に良い事あるのか?」

 

『他の動物との通訳が出来るさ。それを旦那に伝えられる。』

 

「何を求める?」

 

『人間と同じ優雅な暮らし。』

 

「お前、本当にふくろうか?」

 

『酒、女、金、快楽を手に入れてゴージャスな暮らしを夢見るちょっと変わったふくろうさ。』

 

 20分後、大きな鳥かごを持って俺はイーロップふくろう百貨店を後にする。鳥かごには、きれいなメンフクロウがいる。名前は、ナイロック。昔読んだマグルの小説のふくろうの名前から取った。

 


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