Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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3話にわたる秘密の部屋での決戦も、これで終了となります。


第24話 ラストバトル

 リドルとネオ・バジリスクを倒す。それが、俺達の勝利条件だ。ゼロが、皆を一箇所に集めた。

 

「皆。作戦がある。俺達の強みを最大限に生かして、リドルとネオ・バジリスクを倒そう。」

 

「ゼロ。作戦立案において、お前の右に出る奴はいない。俺はお前に命を預けるぜ。」

 

 俺は、司令塔の役目をゼロに託した。

 

「ゼロ。よろしく。」

 

「完全に勝ちましょう。ゼロさん。」

 

「じゃあ、俺のプランを言う。カクカクシカジカ…………」

 

 作戦を聞いた直後、ネオ・バジリスクの意識が復活した。

 

「ようやくお目覚めか。今度こそ仕留めろ。」

 

 ネオ・バジリスクは、咆哮を上げる。ネオ・バジリスクの目の前には、ゼロとイドゥン、エックスの3人が立ちはだかる。

 

「「「守護霊よきたれ(エクスペクト・パトローナム)!!!!」」」

 

 エックスからは黒豹、イドゥンは大鷲、ゼロは鮫の守護霊を出し、ネオ・バジリスクと激突させる。ゼロは更に、空気弾を掌から発射する。小さな物だが、連射が出来るものらしい。しかも、真空刃付きだ。

 

魔塊球(ディアブマス・アービス)!!」

 

 エリナが光球を放つ。バジリスク時に術を食らったネオ・バジリスクはすぐに避けようとする。だが、そうはいかない。

 

邪神の碧炎(ファーマル・フレイディオ)!」

 

 ネオ・バジリスクではなく、俺の持っている剣。アセビの杖を左手に持っているので、右手に持ち替えた。ロイヤル・レインボー財団の情報通りなら、俺の持つ剣はグリフィンドールの剣。これは、ゴブリン製だ。彼らの加工した銀は、自らを強くする物を吸収する。

 

 先ほどバジリスクの毒の分泌している場所を刺した。バジリスクの毒は、分霊箱を破壊出来る。という事は、グリフィンドールの剣は分霊箱の破壊が可能となった最強の武器という事になる。だが、大本であるバジリスクに効くかどうかは分からない。だから、俺の作った碧い炎を吸収させる。更にもう一つ。あれを加えよう。

 

炎よ我に従え(プロメス)!!!』

 

 碧い炎だけじゃない、炎全般を操る術の効果を付与しておく。これでグリフィンドールの剣は碧い炎を安全に纏う事が可能となった。

 

 早速、剣に碧い炎を付加する。更に、槍の様に形態変化させる。これをネオ・バジリスク目掛けて突き刺す。碧い炎の剣の一撃の方が危険と判断したらしく、思わず避ける。だが、これが俺の狙い。魔塊球(ディアブマス・アービス)を当てる為の囮に過ぎないんだ。

 

 ネオ・バジリスクに魔塊球(ディアブマス・アービス)が当たった。よし、あと2,3発当てれば行ける!

 

「クソ!あの忌まわしい光の球か!僕が指揮を取らないと。」

 

 それと同時に、リドルの左頬が掠る。少し血が出ていた。

 

「へへっ。偽物よぉ。テメエの相手は俺だぜ。不死鳥のフォークスや、サラザール先生も一緒になあ!覚悟しやがれ!」

 

 グラントは、フォークスや、蛇化したサラザールと共にリドルの牽制をしている。44口径マグナムを左手に、杖と言う名のバットを右手に持ちながら。

 

「ひ、卑怯だぞ!」

 

「スリザリンの生徒ってのは、狡猾さを理念にしてんだ。目的の為なら手段を選ばないのがウリだ。それを忘れたのか?俺はよぉ、結構正々堂々としたやり方を好むんだが、目的を成し遂げる事とダチを守る為だったら、いくらでも騙したり、嵌めたり、蹴落としたりしてやるぜ。」

 

 リドルは苦い顔をした。スリザリン生が、同じスリザリン生を卑怯呼ばわりするのは、それこそ本末転倒だからだ。グラントは、キングコブラに変身。口から毒液を、リドルめがけて発射した。リドルはかわす。しかし、それは囮だった。フォークスに掴まれてしまったのだから。

 

「クソ鳥め!離せ!おい、何でバジリスクは助けてくれないんだ!」

 

【私は、お前よりも彼らの方に、彼らという新しい時代に懸けると決めたからな。】

 

「ふざけるなあああああ!」

 

*

 

魔塊球(ディアブマス・アービス)!!」

 

 これで4回目か。ネオ・バジリスクの体に当たった。ネオ・バジリスクは、白い光を体中から放っている。

 

「おーい!グラント!終わったぞー!」ゼロがグラントを呼んだ。

 

「ようやくか。フォークス、サラザール先生。そいつを抑えといてくれよ!!!」

 

 グラントも合流した。

 

「ハリー先輩、エリナさん!これが最後です。最後お願いします!!!」

 

 俺とエリナは、杖をネオ・バジリスクに向ける。

 

「エリナ。前に教えた、あの呪文だ。」

 

「うん!複数人いれば、その威力が大幅に強化されるあの攻撃呪文をだよね?」

 

「ああ。そうだ!行くぜ!」

 

「ボクはいつでも大丈夫だよ!」

 

「「神の怒り(デイ・デイーラ)!!!」」

 

 エリナと同時に、虹色の破壊光線を放つ。2つの虹色の破壊光線は、螺旋状に絡まり、掛け算の如く威力を増加させる。ネオ・バジリスクに光線が直撃。しかも、体全体に魔塊球(ディアブマス・アービス)を纏っているので、元の威力の最大10倍に増幅している。それを差し引いても、2つを融合させたので、単体で放つ物より軽く40倍の威力を持っている。

 

 ネオ・バジリスクは、木っ端微塵となって吹き飛んだ。ネオ・バジリスクの破片が、部屋の所々に降り注ぐ。辺りは、血と肉で染まったのだった。

 

 ネオ・バジリスクがやられて、リドルは絶望した。

 

「そんな。僕の、僕の切札が!!!」リドルは、酷く狼狽えている。

 

 フォークスが、日記を持ってきた。

 

「偉いぞ、フォークス。」ゼロは、フォークスを撫でる。

 

「そ、それは!クソォ!!道理で見つからないと思ったら!!…………ま、待て!待つんだ!!それに手を出すな!!!」

 

「やはり、この日記が本体なのですね。」イドゥンが、じっくりと日記を観察する。

 

「サラザール先生!これに噛み付いて下さい!」エリナが、バジリスクにお願いする。

 

【任せなさい。】バジリスクは、日記をガブリと噛んだ。

 

 インクみたいな物が日記から溢れ出て来る。

 

「ギャアアアアアアア!!!こんな事があってたまるかあああああ!僕は……イヤ俺様は、不死のヴォルデモートだぞ!俺様は、この世の全てを支配する者!……なのに、こんな……こんな……クソガキ共にいいいいいいいいいいいい!!!ぬわーーーーっっ!!」

 

 トム・リドルの壮絶な断末魔の叫びが部屋中を轟かせる。リドルは身を捩り、悶え、悲鳴を上げながらのたうち回って、消滅した。最後の断末魔、どこかで聞いた事がある様な気がするが、まあ気のせいだろう。

 

 何はともあれ、リドルは犠牲になったのだ。犠牲の犠牲にな。そして、ジニーの杖が床に落ちるのだった。

 

「リドル。何で負けたか分かるか?お前の敗因はたった1つだ。たった1つのシンプルな答えだ。」

 

 エックスは、小さな声で呟いている。何なのだろうか。リドルの敗因って。

 

「お前は僕を、いいや僕達を怒らせたんだ。」

 

 エックスは、力強くそう言った。成る程な。リドルは、某吸血鬼と同じ過ちと敗因があったわけか。妙に納得したな。だけど、どんな形であれ勝った。フォークスに、サラザール・スリザリンの意識が内装されているバジリスクの協力もあってね。

 

「はは、やった。勝っちまったよ。本当に。」と、ゼロ。

 

「ネオ・バジリスクと偽者野郎を倒した。奇跡だぜ、こりゃ。」グラントが言った。

 

「ええ、やりましたわね。」

 

「先輩達のお陰ですよ。」エックスは、また笑顔になった。

 

「エックス君だって良くやったと思うなあ、ボク。」

 

「俺達は勝ったんだ!」俺は、拳を強く握りしめる。

 

「「「「「「やったー!!!」」」」」」

 

 皆で、この勝利を喜んだ。それぞれ、自分以外の5人にハイタッチをする。周りを見渡す。皆汚れているが、生き生きとしている。返り血を浴びていたのは、俺だけだったが。

 

 その時だった。隅の方で、微かな呻き声が聞こえる。俺とエリナ、そしてエックスはそちらに向かった。何と、ジニーが目覚めたのだ。

 

「こ、ここは……一体。」

 

「ジニーちゃん!良く頑張ったね!!」

 

 エリナがジニーを力強く抱きしめる。エックスは安心しきった顔をしているし、他の皆も然りだ。ネオ・バジリスクの破片の数々、エリナの持っている壊れた日記帳、返り血を浴びた俺を見て身震いして涙が洪水の様に溢れた。

 

「私……私……とんでもない事を…………」

 

「大丈夫さ。俺達は、もう事情を知っている。リドルのクソ野郎も、皆を襲っていた方のバジリスクも俺達で倒したんだ。君に、落ち度は全くないよ。」

 

 俺は、落ち着いたように優しく言った。ウイルスモードも解除した。

 

「ジニーちゃん、目を瞑っておいてね。」

 

「はい、お姉さま。」

 

【サラザール先生。もう行くんですか?】

 

【ああ。君達という味方が出来ただけでも、私にとっては十分希望だ。もし何かあったら、また私を呼んでほしい。ではさらばだ、私の教え子達よ!】

 

 サラザールは、穴に帰っていった。

 

*

 

【ゼロ・フィールドにグラント・リドル、そしてハリー・ポッターか。あの3人を見ていると、アンチオクやカドマス、それにイグノタスを思い出す。】

 

 寝床に戻る途中で、サラザールはそう思った。

 

*

 

「私、決めましたわ。」

 

「何をだ?」

 

「本当の意味でのサラザール・スリザリンの教えを継承させていくと。」

 

「天下のブラック家でも、それは難しいんじゃないのか?」

 

「ゼロ。あなたの一族復興よりも大変かもしれませんが、やって見せます。」

 

「応援はしとくぜ。首席さん。」

 

「それじゃあ、皆さん。帰りましょう。」エックスが高らかに言った。

 

「どうやって?」

 

「えっと、それは……」

 

「任せろ。口寄せ召喚せよ(アヴォカルク・ベカリット)!」

 

 ノアを口寄せした。

 

「大きい船ですわね。」

 

「空も飛べるんだけどな。」

 

「これなら行けますって!」

 

 おーい、という声が聞こえた。ロンが、ロックハートを連れて秘密の部屋に来た。

 

「ジニー!」ロンが、抱き着こうとしたが、ジニーは拒絶した。哀れ、ロン。

 

「で、あのペテン師は何やってんだ?」ゼロがロックハートを指差す。

 

「こんにちは。暗いところですよね?ここに住んでいるんですか?」

 

「とまあ、奴さん。こんな風に忘却呪文が逆噴射して、今までの記憶が全部パーになったわけさ。」

 

「こっちの方が、人畜無害だな。」

 

「今までよりは、随分とマシになったね。」

 

「おう。愛嬌があるな。」

 

 俺達兄妹とグラントは、こっちの方が親近感は持てるという結論に至った。

 

 そしてノアで、秘密の部屋を脱出する。

 

「あはは、はははははは!凄い凄ーい!まるで、魔法みたいだー!!」

 

 ノアが着地したのは、マートルのトイレの床だった。口寄せ解除して、校長室に向かった。


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