Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章 作:純白の翼
リドルとネオ・バジリスクを倒す。それが、俺達の勝利条件だ。ゼロが、皆を一箇所に集めた。
「皆。作戦がある。俺達の強みを最大限に生かして、リドルとネオ・バジリスクを倒そう。」
「ゼロ。作戦立案において、お前の右に出る奴はいない。俺はお前に命を預けるぜ。」
俺は、司令塔の役目をゼロに託した。
「ゼロ。よろしく。」
「完全に勝ちましょう。ゼロさん。」
「じゃあ、俺のプランを言う。カクカクシカジカ…………」
作戦を聞いた直後、ネオ・バジリスクの意識が復活した。
「ようやくお目覚めか。今度こそ仕留めろ。」
ネオ・バジリスクは、咆哮を上げる。ネオ・バジリスクの目の前には、ゼロとイドゥン、エックスの3人が立ちはだかる。
「「「
エックスからは黒豹、イドゥンは大鷲、ゼロは鮫の守護霊を出し、ネオ・バジリスクと激突させる。ゼロは更に、空気弾を掌から発射する。小さな物だが、連射が出来るものらしい。しかも、真空刃付きだ。
「
エリナが光球を放つ。バジリスク時に術を食らったネオ・バジリスクはすぐに避けようとする。だが、そうはいかない。
「
ネオ・バジリスクではなく、俺の持っている剣。アセビの杖を左手に持っているので、右手に持ち替えた。ロイヤル・レインボー財団の情報通りなら、俺の持つ剣はグリフィンドールの剣。これは、ゴブリン製だ。彼らの加工した銀は、自らを強くする物を吸収する。
先ほどバジリスクの毒の分泌している場所を刺した。バジリスクの毒は、分霊箱を破壊出来る。という事は、グリフィンドールの剣は分霊箱の破壊が可能となった最強の武器という事になる。だが、大本であるバジリスクに効くかどうかは分からない。だから、俺の作った碧い炎を吸収させる。更にもう一つ。あれを加えよう。
『
碧い炎だけじゃない、炎全般を操る術の効果を付与しておく。これでグリフィンドールの剣は碧い炎を安全に纏う事が可能となった。
早速、剣に碧い炎を付加する。更に、槍の様に形態変化させる。これをネオ・バジリスク目掛けて突き刺す。碧い炎の剣の一撃の方が危険と判断したらしく、思わず避ける。だが、これが俺の狙い。
ネオ・バジリスクに
「クソ!あの忌まわしい光の球か!僕が指揮を取らないと。」
それと同時に、リドルの左頬が掠る。少し血が出ていた。
「へへっ。偽物よぉ。テメエの相手は俺だぜ。不死鳥のフォークスや、サラザール先生も一緒になあ!覚悟しやがれ!」
グラントは、フォークスや、蛇化したサラザールと共にリドルの牽制をしている。44口径マグナムを左手に、杖と言う名のバットを右手に持ちながら。
「ひ、卑怯だぞ!」
「スリザリンの生徒ってのは、狡猾さを理念にしてんだ。目的の為なら手段を選ばないのがウリだ。それを忘れたのか?俺はよぉ、結構正々堂々としたやり方を好むんだが、目的を成し遂げる事とダチを守る為だったら、いくらでも騙したり、嵌めたり、蹴落としたりしてやるぜ。」
リドルは苦い顔をした。スリザリン生が、同じスリザリン生を卑怯呼ばわりするのは、それこそ本末転倒だからだ。グラントは、キングコブラに変身。口から毒液を、リドルめがけて発射した。リドルはかわす。しかし、それは囮だった。フォークスに掴まれてしまったのだから。
「クソ鳥め!離せ!おい、何でバジリスクは助けてくれないんだ!」
【私は、お前よりも彼らの方に、彼らという新しい時代に懸けると決めたからな。】
「ふざけるなあああああ!」
*
「
これで4回目か。ネオ・バジリスクの体に当たった。ネオ・バジリスクは、白い光を体中から放っている。
「おーい!グラント!終わったぞー!」ゼロがグラントを呼んだ。
「ようやくか。フォークス、サラザール先生。そいつを抑えといてくれよ!!!」
グラントも合流した。
「ハリー先輩、エリナさん!これが最後です。最後お願いします!!!」
俺とエリナは、杖をネオ・バジリスクに向ける。
「エリナ。前に教えた、あの呪文だ。」
「うん!複数人いれば、その威力が大幅に強化されるあの攻撃呪文をだよね?」
「ああ。そうだ!行くぜ!」
「ボクはいつでも大丈夫だよ!」
「「
エリナと同時に、虹色の破壊光線を放つ。2つの虹色の破壊光線は、螺旋状に絡まり、掛け算の如く威力を増加させる。ネオ・バジリスクに光線が直撃。しかも、体全体に
ネオ・バジリスクは、木っ端微塵となって吹き飛んだ。ネオ・バジリスクの破片が、部屋の所々に降り注ぐ。辺りは、血と肉で染まったのだった。
ネオ・バジリスクがやられて、リドルは絶望した。
「そんな。僕の、僕の切札が!!!」リドルは、酷く狼狽えている。
フォークスが、日記を持ってきた。
「偉いぞ、フォークス。」ゼロは、フォークスを撫でる。
「そ、それは!クソォ!!道理で見つからないと思ったら!!…………ま、待て!待つんだ!!それに手を出すな!!!」
「やはり、この日記が本体なのですね。」イドゥンが、じっくりと日記を観察する。
「サラザール先生!これに噛み付いて下さい!」エリナが、バジリスクにお願いする。
【任せなさい。】バジリスクは、日記をガブリと噛んだ。
インクみたいな物が日記から溢れ出て来る。
「ギャアアアアアアア!!!こんな事があってたまるかあああああ!僕は……イヤ俺様は、不死のヴォルデモートだぞ!俺様は、この世の全てを支配する者!……なのに、こんな……こんな……クソガキ共にいいいいいいいいいいいい!!!ぬわーーーーっっ!!」
トム・リドルの壮絶な断末魔の叫びが部屋中を轟かせる。リドルは身を捩り、悶え、悲鳴を上げながらのたうち回って、消滅した。最後の断末魔、どこかで聞いた事がある様な気がするが、まあ気のせいだろう。
何はともあれ、リドルは犠牲になったのだ。犠牲の犠牲にな。そして、ジニーの杖が床に落ちるのだった。
「リドル。何で負けたか分かるか?お前の敗因はたった1つだ。たった1つのシンプルな答えだ。」
エックスは、小さな声で呟いている。何なのだろうか。リドルの敗因って。
「お前は僕を、いいや僕達を怒らせたんだ。」
エックスは、力強くそう言った。成る程な。リドルは、某吸血鬼と同じ過ちと敗因があったわけか。妙に納得したな。だけど、どんな形であれ勝った。フォークスに、サラザール・スリザリンの意識が内装されているバジリスクの協力もあってね。
「はは、やった。勝っちまったよ。本当に。」と、ゼロ。
「ネオ・バジリスクと偽者野郎を倒した。奇跡だぜ、こりゃ。」グラントが言った。
「ええ、やりましたわね。」
「先輩達のお陰ですよ。」エックスは、また笑顔になった。
「エックス君だって良くやったと思うなあ、ボク。」
「俺達は勝ったんだ!」俺は、拳を強く握りしめる。
「「「「「「やったー!!!」」」」」」
皆で、この勝利を喜んだ。それぞれ、自分以外の5人にハイタッチをする。周りを見渡す。皆汚れているが、生き生きとしている。返り血を浴びていたのは、俺だけだったが。
その時だった。隅の方で、微かな呻き声が聞こえる。俺とエリナ、そしてエックスはそちらに向かった。何と、ジニーが目覚めたのだ。
「こ、ここは……一体。」
「ジニーちゃん!良く頑張ったね!!」
エリナがジニーを力強く抱きしめる。エックスは安心しきった顔をしているし、他の皆も然りだ。ネオ・バジリスクの破片の数々、エリナの持っている壊れた日記帳、返り血を浴びた俺を見て身震いして涙が洪水の様に溢れた。
「私……私……とんでもない事を…………」
「大丈夫さ。俺達は、もう事情を知っている。リドルのクソ野郎も、皆を襲っていた方のバジリスクも俺達で倒したんだ。君に、落ち度は全くないよ。」
俺は、落ち着いたように優しく言った。ウイルスモードも解除した。
「ジニーちゃん、目を瞑っておいてね。」
「はい、お姉さま。」
【サラザール先生。もう行くんですか?】
【ああ。君達という味方が出来ただけでも、私にとっては十分希望だ。もし何かあったら、また私を呼んでほしい。ではさらばだ、私の教え子達よ!】
サラザールは、穴に帰っていった。
*
【ゼロ・フィールドにグラント・リドル、そしてハリー・ポッターか。あの3人を見ていると、アンチオクやカドマス、それにイグノタスを思い出す。】
寝床に戻る途中で、サラザールはそう思った。
*
「私、決めましたわ。」
「何をだ?」
「本当の意味でのサラザール・スリザリンの教えを継承させていくと。」
「天下のブラック家でも、それは難しいんじゃないのか?」
「ゼロ。あなたの一族復興よりも大変かもしれませんが、やって見せます。」
「応援はしとくぜ。首席さん。」
「それじゃあ、皆さん。帰りましょう。」エックスが高らかに言った。
「どうやって?」
「えっと、それは……」
「任せろ。
ノアを口寄せした。
「大きい船ですわね。」
「空も飛べるんだけどな。」
「これなら行けますって!」
おーい、という声が聞こえた。ロンが、ロックハートを連れて秘密の部屋に来た。
「ジニー!」ロンが、抱き着こうとしたが、ジニーは拒絶した。哀れ、ロン。
「で、あのペテン師は何やってんだ?」ゼロがロックハートを指差す。
「こんにちは。暗いところですよね?ここに住んでいるんですか?」
「とまあ、奴さん。こんな風に忘却呪文が逆噴射して、今までの記憶が全部パーになったわけさ。」
「こっちの方が、人畜無害だな。」
「今までよりは、随分とマシになったね。」
「おう。愛嬌があるな。」
俺達兄妹とグラントは、こっちの方が親近感は持てるという結論に至った。
そしてノアで、秘密の部屋を脱出する。
「あはは、はははははは!凄い凄ーい!まるで、魔法みたいだー!!」
ノアが着地したのは、マートルのトイレの床だった。口寄せ解除して、校長室に向かった。