Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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第20話 ハグリッド更迭

「え?」

 

「今、ハー子が石になったって事を?」

 

「そうです。2人いっぺんに。」

 

 来てみると、エリナ、ゼロ、グラントは既にそこにいた。

 

「2人は、鏡を持っていました。これは、何を意味してると思いますか?」

 

「いいえ、見当がつきません。」

 

「分かりました。私はここを離れますが、あなた方も遅くならないようになさい。」

 

 先生が部屋を出て行った。それが完了するのを見計らった様に、会話を始める。

 

「皆、聞いてくれ。恐らく、こんな事が出来る奴はあの大蛇しかいない。」

 

 ゼロが、俺達だけに分かる様に小さく呟く。

 

「どんな奴だよ。勿体ぶらずに言ってくれ。」グラントが急かす。

 

「蛇の王、バジリスクだ。そいつの目を直視した者に死を与え、間接的に見た者は石になる。」

 

「そうか!」エリナが叫んだ。

 

「どうしたんだエリナちゃん。」

 

「今まで、運良く死者が出なかった理由が!分かったんだよ!ハーミーは、鏡で見たから死を免れた!最初のミセス・ノリスはマートルのトイレから流れた水を通して見た。」

 

「コリンは、カメラ越しだな。」俺が続けた。

 

「じゃあ、ジャスティンは?何も無かったけど。」ロンが、質問を投げかけた。

 

「サー・ニコラスを通して見たと考えれば辻褄が合う。サー・ニコラスは直視したんだろうが、1度死んでいるから2度は死ねない。だが、秘密の部屋の場所は分からん。」

 

 ゼロがその答えを言った。

 

「そう言えば、以前はハグリッドが捕まったけどな。何か事情を知ってるかもしれない。」

 

 俺は、ハグリッドの所へ行こうと提案した。

 

「ハグリッドさんのとこにか?でもあの人よぉ、そんな事出来るとは俺は思えねえぜ。ハリー。」

 

最初(ハナ)からハグリッドがやったなんて思ってねえよ。あの変態ヘビに嵌められたに決まっている。」

 

「ヴォルデモート……死の飛翔か。」ゼロが呟いた。

 

「頼むから、その名前を言うのはやめてくれ!!!せめて、死の飛翔だけにしてくれよ!!!」

 

「ロン。そいつに何かされたわけじゃないのに、何を恐れる必要がある?今奴は、只の屍同然の犬畜生以下のくたばり損ないなのによ。」

 

 ゼロが問いかけた。項垂れるロン。

 

「今日は遅いから、明日に集まろうよ。」

 

 その日は、クィディッチをやった体ではそう簡単に動けないという事で、エリナのまた後日と言う案になった。談話室ではパーティーが予定されていたのだが、犠牲者が出てそれどころの雰囲気では無くなってしまっていた。

 

 翌日。授業以外では出るなと言う校則が追加された。そんな事関係無いね。魔法使いらしく、無様に見つからない様に行動すれば良いだけの事。皆には、今日ハグリッドの所へ行こうという事を伝えたのだ。

 

 夜。殆どが寝静まった。俺とロンは、目くらまし呪文で城の廊下を突き進んだ。俺は、魔力感知呪文でエリナ達を探す。どうやら3人で透明マントに隠れていて、正面玄関で待っていた。

 

 俺達5人は、合流してハグリッドの小屋を目指す。ノックをすると、石弓を持った状態で現れた。だが俺達の存在に気付いたら、すぐに入れてくれた。

 

「まあ、5人共。とりあえずゆっくり……隠れろ!」

 

 エリナは透明マントに、残る4人は目くらまし呪文で存在を隠す。

 

 入って来たのは、ダンブルドアのジジイに見知らぬ男だ。ロン曰く、見知らぬ男の正体は魔法省大臣のコーネリウス・ファッジと言う名前だそうだ。ファッジは、念のためにハグリッドをアズカバン送りにすると言った。大方、クレームが来て魔法省が何かしらのアクションを起こしたという理由が欲しいだけだね。恐らくは。

 

 全く、こんな清々しいまでの腐敗っぷりを間近で見る事になるとは。ロイヤル・レインボー財団が、英国魔法界を見限るのも充分分かったよ。しかも、ルシウス・マルフォイまで来た。ジジイを停職処分にした。これも大方、他の理事を脅しただろうね、きっと。だけど、疑問が残る。

 

 あのハゲ進行中のルシウス・マルフォイは、詳細不明ながらエイダ義姉さんからの怒りを買っている。イーニアス義兄さんに昔何かした様だが、何をやらかしたんだ?義姉さんが怒るなんて、余程の事なのにさ。

 

 俺達は、ハグリッドの言葉を聞く。森に行って、蜘蛛を追えって。ファングも連れて行ってくれって。ジジイは恐らく、俺達の存在に気付いているだろうな。俺達のいるところを一瞬だけ鋭く見たからな。

 

「これから禁じられた森に行くぞ。」

 

 言い出したのは、グラントだ。

 

「正気か?今、明日になった頃だよ!?」

 

 ロンは、また出直そうと言ったのだ。

 

「いや、すぐに蜘蛛の所まで行ける手段がある。」アレを使おう。

 

「あるの!?」エリナが驚いている。

 

「待ってろよ。……口寄せ召喚せよ(アヴォカルク・ベカリット)!」

 

 口寄せ契約したものを瞬時にこの場に召喚する。口寄せしたのは、ノアだ。魔力を流し込んで、人が乗れる大きさにする。

 

「す、すっげー!」グラントが感嘆した。

 

「ファング、おいで。ハリー、これで行くの?」

 

「ああ。これなら確実だからな。エリナ、この一件が片付いたら口寄せ呪文を教えようか?」

 

「良いの!?」

 

「頼んでくれればな。お前らもどうだ?」

 

「「「頼む(よ(ぜ))。」」」

 

 こうして、5人と一匹の船での生活が始まった。生活と言っても、20分位のものだけどな。小さくして、蜘蛛をつけて進む。30分して、ようやく巣らしきものを見つけた。ある程度離れた所に着地する。

 

「辛気癖え場所だな。」ゼロが愚痴った。

 

「もう帰りたいよぉ。」ロンは、蜘蛛まみれのこの場所から離れたがっている。

 

「誰が行くか、クジで決めようぜ。ファングと、あと2人でな。」

 

 クジ引きの結果、俺とロンが行く事に。本人は、変わってくれええ、と言いながら俺に引きずられていった。

 

 しばらく歩くと、アラゴクと言う声が聞こえた。俺とロンは、蜘蛛の巣に辿り着いた。

 

「ここに人間が来るとは。珍しい物だ。ハグリッドの知り合いか?」

 

「そうだ。俺の名は、ハリー・ポッター。隣の赤毛のノッポがロナルド・ウィーズリー。」

 

「僕の紹介がなんか雑過ぎない!?」ロンが喚く様に言うが、無視した。

 

「アラゴク、今日はあなたに話があってここに来た。じゃなきゃ、さっさとここを焼き払って出て行くがな。」

 

「フン。随分と強気な人間だな。よかろう。ワシ等アクロマンチュラを全く恐れないその勇気に免じて、聞きたい事を教えてやろう。」

 

 アラゴクの話はこうだ。自分は秘密の部屋どころか、城に入った事は無いと。その時に、女子生徒がトイレで死んだ事を。そして、ハグリッドが退学になった事を。

 

「成る程な。ロン、帰るぞ。」

 

「やったあ!帰れる!」

 

 ロンは喜んでいる。が、それも掻き消された。

 

「お前たちはわしらの餌になって貰う。」

 

「ふ~ん。素直に俺達を帰せば、お前らは後悔をしない筈だけど?」

 

「のこのこ来た新鮮な肉をお預けにはできまい。更に3人いるからそいつらも後を追わせてやろう。さらばだ、ハグリッドの友人よ。」

 

 やっぱこうなったか。ま、怪物相手じゃ所詮こんなものか。

 

「ロン。目を閉じてろよ。邪神の碧炎(ファーマル・フレイディオ)!!!炎よ我に従え(プロメス)!!!」

 

 十八番の呪文で、碧い炎を作り出して制御可能にする。次に、ヘルハウンドの姿に形態変化させる。尤も、黒色ではなく碧色だけどな。そして、日本で習得した生命を司る『陽』の力を注ぎ込む。これで、命を持った碧い炎の身体のヘルハウンドが完成した。

 

攻撃(ファイア)!」

 

 ヘルハウンドに蜘蛛を襲うように指示する。ヘルハウンドは蜘蛛を襲い出し、焼き尽くす。ターゲットは蜘蛛のみ。蜘蛛達は、もがき苦しんでる。1体、また1体と次々に倒れて行った。

 

「やめろ!やめろ!わしの家族だ!!殺すな!!」

 

「俺達を食い殺すんだろう?ならば、この位のリスクは負って貰わないとね。次はお前だ。アラゴク。誰を敵に回したか思い知らせてやるよ。」

 

 碧い炎を無数の鞭に形態変化させて、アラゴクに放つ。アラゴクは危険を察知してよけるが、完全にはかわせなかった。奴の左足の一本を焼いたのだ。

 

「ぐわあああああ!あ、熱い!!!水、水をくれええええ!!!」

 

 アラゴクは逃走した。他の蜘蛛達もそれに続く。チャンスだね。逃げよう。

 

「ハリー。助かったよ。だけど、あれって。」

 

「俺の切札だ。今は、とにかく帰るぞ。」

 

 ノア待機組と合流する。船を発進させて、城の入り口まで戻った。

 

「うわあ。そんな事が。」エリナは、言葉が出ない。

 

「しかし、ハリーもやるよな。1人で大きい蜘蛛を殆ど殺すなんて。」

 

「素直に帰してくれれば、奴らもああはならなかったがな。俺を食おうとしたアイツらが悪い。」

 

「蜘蛛からしてみれば、ずかずかと自分達の居住エリアに入り込んで来て、その上殆どを殺した悪魔みたいな存在だろうな。蜘蛛は苦手だけど、こればっかりは彼らに同情するよ。」

 

「やはり怪物の正体はバジリスクで、犠牲になったのはマートルだったわけか。だが、秘密の部屋の場所はどうなる?」

 

 ゼロが今までのおさらいをしていた。

 

「ボク、もしかしたら分かるかも!」エリナが何かに気付いた。

 

「え?どこなの、エリナちゃん。」グラントが聞く。

 

「きっと、マートルのトイレだよ!!」

 

 それは、考えてなかったな。だが、調べる価値はある。トイレで死んで、主にトイレに住んでいる。余程の事が無い限りは、あそこから離れないからな。あのゴースト女。

 


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