Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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第18話 奪われたレッドスパーク(後編)

エリナ視点

 土曜日の朝、先生達から空き教室に呼ばれた。イドゥンと合流した。ボクと同じ事で呼び出されたみたい。だから、一緒に入る。

 

「実はのお。エリナ、イドゥン。君達の兄弟が昨日襲われたのじゃ。」

 

「スリザリンの継承者に!?」

 

「いいや。犯人は、スリザリンのクィディッチチームじゃ。ハリーが新しく手に入れた箒目当てで襲ったのじゃよ。」

 

「そんな!!捕まえたんですか?」

 

「いいえ。試合終了までは泳がせる事にしました。その時に、事実を全員に伝えるつもりです。あなた方だけには、兄弟であるのでいち早く伝えました。」

 

 マクゴナガル先生が言った。

 

「ですからミス・ポッター。今日の試合に勝ちなさい。あなたの出来る事をおやりなさい。人から奪った物で強くなった気でいる人達に負けない様に。」

 

スプラウト先生が、激励の言葉をボクに投げかける。

 

「エリナ。本当に申し訳ございません。私と同じ寮の人間がバカな行動を起こしてしまって。」

 

「ミス・ポッター。奴らがここまでするとは思わなかった。我輩の責任だ。本当に済まない。」

 

 イドゥンとスネイプ先生が謝った。スネイプ先生って妙にボクに甘い様な気もするけど何でだろう?

 

「悪いのはその人達だから、2人が謝る必要なんて無い筈だけど。それに、イドゥンもエックス君をやられたんでしょ?エックス君の所へ行ってあげたら?唯一の救いは、2年生3人が直接関与してない事だね。」

 

「エリナ。試合、頑張って下さいね。全く、グラントとルイン以外の彼らには失望しました。恐らく、ドラコも絡んでいるでしょう。2人の見舞いは、私がやっておきますので、試合に集中してください。」

 

 イドゥンからも激励の言葉を貰った

 

「うん。よろしく。ハリーには、いつも助けられてばかり。でも今度はボクが、助ける番だから待ってて。必ず、レッドスパークを取り返すからね。」

 

 決意を新たに空き教室を後にする。しばらく歩くと、ドラコ・マルフォイに遭遇した。だけど、ボクは無視した。

 

「ポッター。話があるんだ。」

 

「…………」無視をするボク。呪いを掛けたいという思いを抑えて。

 

「ま、待ってくれ。話を聞いてくれ。」

 

「ボクは、虫の居所が悪いんだよ。分かってるの?」

 

「ご、誤解をしているんだ!僕は……僕は決して……」

 

「話しかけないで。先輩達をけしかけて、ハリーを襲わせるなんて最低。どこかに行ってよ。今回は、そうやってボクを襲う気なんだね。この卑怯者。スポーツマンとしての精神が欠落しちゃってさ。よくシーカーになれたね。」

 

 その時に見えた彼の感情。まるで、死刑宣告を受けているかのような悲しそうな顔だった。どうせ演技だと思って、立ち去っていった。

 

 更衣室で打ち合わせ。キャプテンが最後にこう言った。

 

「スリザリンには、優れた箒がある!しかし、こちらは選手の質で勝負する!試合を制するのは、必ずしも箒だけでは無い事を示すんだ!グリフィンドールがそうであったように!必ず勝って、決勝戦に行こう!!」

 

皆の闘争心が最高潮にまで達した。

 

「エリナ。何時に無くやる気満々だね。」

 

 声を掛けたのは、シーカーで4年生のセドリック・ディゴリー先輩だ。

 

「この試合は負けられません。ハリーとクィディッチの高みで正々堂々と戦う為に。そして、ハリーの無念を晴らす為に!!ディゴリー先輩、スニッチの方をお願いします。ボクは、点数をひたすら稼ぎます。」

 

 先輩は、少し驚いている様だ。

 

「もちろん。そのつもりだよ。行こう!」

 

「はい!!」

 

 そして試合開始。レッドスパークに乗っているのは、スリザリンのキャプテンであるマーカス・フリントだ。今のところ、乗りこなしてる様だ。他はニンバス2001だ。ニンバスは手強かったが、対グリフィンドール戦での徹底的なデータ収集のお陰でさほど苦戦しなかった。

 

 ボクは、フリントが離れている時に得点を入れる。だけど、フリントの乗るレッドスパークはまるで赤い閃光の如く高速で競技場を駆け巡る。流石にその性能の前では手も足も出ない。瞬く間に、得点を入れられた。そして、タイムアウトがかかった。

 

「得点は?」

 

「今の所、160対70。スリザリンのリードだ。まさか、フリントの奴がレッドスパークを持ってたなんて。想定外だった。」

 

「もしかして、ハリー・ポッターの入院も奴らが一枚噛んでいるってわけかい?」

 

「それしか考えられない。」

 

「あんなのに勝てるのか?」

 

「ううん。多分、これはチャンスかもしれません。」

 

「どういう事だい、エリナ。」

 

「ハリーでさえ、乗るのに一苦労するんです。本人から聞きました。相応しくない乗り手が調子の乗るのが最高潮になった時に振り落とすという話があります。そろそろ来る筈です。暴走が。」

 

「セド。エリナの言っている事が本当ならば、フリントの箒の暴走が来るかもしれないが、一刻も早くスニッチを取ってくれ!」

 

「了解!」

 

 試合再開。クアッフルを持ってゴールに急ぐ。また得点を入れようとした。が、フリントからタックルを食らった。ゴールから大きく逸れ、クアッフルを落とす。クアッフルはルインの手に渡った。

 

「…………」ボクは、フリントを睨み付ける。

 

「悪りい悪りい。よそ見をした。」

 

 そう言って、スリザリン側のゴールに向かおうとする。でも、何かがおかしい。レッドスパークが止まってしまった。

 

「おい。どうした?動け!動けよお!!」

 

 レッドスパークは動いた。でも、前にではない。乗り手を振り落とす為に暴れ回り始めたのだ。

 

「ぐわあああああ!た、助けてくれー!」

 

 そんな悲痛な叫びも虚しく、マーカス・フリントは振り落とされて自滅した。それを見てから、クアッフルを目指して先に進む。その時、金色の小さな球を見つけた。

 

 ボクは、ディゴリー先輩にスニッチの場所を教えてそこに行くようにジェスチャーをした。先輩は、ボクの伝えたい事を読み取ってくれた。早速向かう。マルフォイも気付いた。でも、距離があり過ぎるので少々時間が掛かる。先輩がスニッチを取ろうとしたが、ブラッジャーに邪魔された。

 

「フォイ!さっさと行け!!」

 

 グラントだった。そこから2人の箒チェイスが始まった。マルフォイは迅速な疾風の如く。先輩は力強い雷電の様に。速さなら、マルフォイに分がある。だけど、先輩は実戦経験と技術で箒の力を最大限発揮してそれを補っている。

 

 そして、スニッチが消えた。2人は、地面に追突した。試合も終了する。勝利の女神が微笑んだのは――

 

「セドリック・ディゴリーがスニッチを取りました!!」

 

 リー・ジョーダンが叫んだ。勝った。最終的に250対220でハッフルパフが勝った。皆、ディゴリー先輩の下に駆け寄った。嬉しかった。次は、強敵のグリフィンドール。だけど、勝利の余韻に触れておいても問題は無いだろう。

 

 一方のスリザリン。上級生4人は茫然としている。ハッフルパフに負けるなんてと言う表情をしている。マルフォイは、号泣していた。慰めているのは、ルインとグラントだ。

 

「惜しかったな、フォイ。でもまあ、来年もあるんだ。その時までに、強くなればいいんだよ!!」

 

「そうそう。私達2人、知ってるんだから。ハリーに負けてから、皆のいない所で練習してたのは。魔法の訓練も、スネイプ先生に弟子入りしてまでやっいる事をね。」

 

「つ、強くなりたい。絶対に、ポッターに勝ってやるんだ。」

 

 ボク、マルフォイを過小評価してた様だね。スリザリンの2年生組は、昨日の事は本当に無関係なように見えたよ、ハリー。後で謝ろうかな。

 

 上級生組には、この後地獄が待っていた。憤怒の形相で、マクゴナガル先生がやって来たのだ。フリントからレッドスパークを引っ手繰る。

 

「あなたたち。昨日グリフィンドールの選手に危害を加えて、この箒を強奪したそうですね。これは、タチの悪い悪事です!よって、ポッターとブラックの件に関わった4人には、それぞれ一人50点減点します。それに加えて、罰則も与えます。」

 

「50点!?」

 

「そりゃないですって!」

 

「その上無様に負けるとは!恥を知りなさい!!」

 

 マクゴナガル先生が厳しい口調でそういった。今度はマルフォイ、グラント、ルインの3人の方を向いた。怒られると警戒する3人。しかし、先生が3人に向けた表情は優しげなものだった

 

「ですが、2年生3人は見事でした。上級生よりも活躍していましたので、25点ずつ与えます。」

 

 結果、スリザリンは125点減点された。最下位に転落してしまった。後日、4人が晒し者にされたのは、言うまでもない。

 

 ハッフルパフ寮のパーティーに行く前に、ハリーの所へ行った。エックス君は、退院したらしい。

 

「そうか。やったな、エリナ。結果的にレッドスパークも取り返してくれて、ありがとう。」

 

「いつも助けて貰ってばかりだもの!出来る事はこれ位しか無くて。それにね、マルフォイは無関係だったよ。」

 

「知っている。イドゥンから聞いた。じゃ、次は高みで戦おうぜ。」

 

「うん!またね!!」

 

 医務室を出て行く。さあ、次はグリフィンドールとの決勝戦。最高のチームなら、負ける気はしないとボクはそう思った。

 

 でも、この勝負の直後にまた事件が起こるなんてその時は知らなかったんだ。

 


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