Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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第16話 リドルの日記

 クリスマス当日。起きるとクリスマスプレゼントがあった。ロンからは「キャノンズと飛ぼう」と言う本、ハー子はデラックスな鷲羽ペン、ハグリッドは缶一杯分の糖蜜ヌガー、ウィーズリーおばさんからは手編みのセーター及び大きなプラムケーキを貰った。ハイタカの掘り出し魔法道具専門店からは、通販で輝きの手の完全上位互換アイテム、栄光の手を購入した。そして、ロイヤル・レインボー財団からはある品が届いた。

 

「とうとう完成したか。記録の着火装置(レコード・ライター)。もう1つ。大きさが自在の乗り物、ノアが。」

 

 送られてきたのは、何の変哲もないライター7本に手のひらサイズの空飛ぶ船。前者は記録の着火装置(レコード・ライター)、後者はノア。

 

 まず、記録の着火装置(レコード・ライター)から説明しよう。これは、火に触れた紙媒体全般を燃やす事無く、紙ごと複写が出来るライターだ。貴重な本のバックアップを残したい時に、大いに役に立つ。禁書棚の本を全てコイツでコピーするつもりだ。記録できる紙媒体の数は、無限大とも言える。

 

 色は、赤橙黄緑青藍紫の合計7つ存在する。俺は、藍色をメインに使う。7個全部を口寄せ契約した。ちなみに、契約によるデメリットは無い。ただ、動物の口寄せはまだやってないし、出来たとしても動物側から一定の拒否権が存在する事位だろう。

 

 次にノア。唯の模型に見えるが、正当な所有者たる俺の魔力や意思に応じて大きさがデカくなる。空だけでなく、陸・海・宇宙等あらゆる環境での活動を可能にしている。更に、ステルス機能や魔力感知の防止機能も搭載している。これも当たり前に口寄せ契約した。

 

 宿題も含めてやることをやったので、俺は暇だった。ホグワーツには、ゲームもステレオもテレビも無い。マグルの娯楽物が無いのは痛いな。他の魔法学校でさえ、テレビは使える様にしてるのに。日本のマホウトコロなんてゲームも出来る様にしてるのにな。懐かしいな、マホウトコロ。俺は、退屈だったのだ。FCやSFCがやりたい。

 

 散歩でもするか。だが、ふと思った。マートルのトイレって俺一度も行って無かったよな。よし、行こう。ハー子とエリナ曰く水浸しらしい。よって、足元を中心に全身に防水呪文を掛けてトイレに入っていった。

 

「誰なの?」

 

「マートル・エリザベス・ウォーレンか?」

 

「本名は忘れちゃった。今は嘆きのマートルって呼ばれてるけど。」

 

「自己紹介がまだだったな。俺は、ハリー・ポッター。前に来たエリナの双子の兄さ。」

 

「エリナの?似てないけど。」

 

「性別の違う双子は、殆ど二卵性双生児なのさ。俺は父様似だが、エリナは母様似だ。」

 

「そう言う事なのね。」

 

「君の事、マクゴナガル先生から聞いた。50年前に死んだ時、何があったんだ?」

 

 するとマートルは、嬉しそうに答える。普通、そんな風に答える奴なんざいないよ。

 

「ここで死んだのよ。メガネをからかう奴がいたから、ここで隠れてたの。鍵を掛けて泣いていたら、誰かが入って来たわ。変な事を言ってた。外国語、だったのかしら。喋ってたのは、男子だから出ていけって言うつもりでカギを開けて、そして――死んだの。」

 

「どんな風に?」

 

「分からない。けど、大きな黄色い目玉が2つ。体全体がギュッと金縛りにあったみたいで、それからふーっと浮いて……戻って来たの。あの手洗い台で見たのよ。」

 

「そうか。トラウマを呼び覚ます様な事してゴメンな。」

 

「怖くないの?」

 

「全然。世の中って広いんだぜ。ゴーストで驚くかよ、今更。魂の状態で彷徨ってる奴もいる位だしさ。」

 

「最初にあなたを見た時、また私に物を投げつけに来たと思ったわ。そこの黒い物体を。」

 

「あれか?」

 

 小さな薄い本を拾う。日記帳だった。表紙は消えかけているが、50年前の物だと分かる。最初のページにはこう書かれてあった。『T・M・リドル』と。

 

そう言えば、リドルって奴は後のヴォルデモートだったはず。マクゴナガル先生からそう聞いたから。これは、ヴォルデモートの日記か?何故こんなものが?

 

「マートルー!!遊びに来たよー!!」エリナが来た。

 

「あれ、ハリー。ここ女子トイレだけど。」

 

「マートルに聞きたい事があってな。それに、ここに来る物好きなんてそういねえだろ。」

 

「確かに。」

 

 すると、また来客が来た。イドゥンとエックスのブラック姉弟だ。

 

「おや。ここで修行しようとしたら、先客がいましたか。」

 

 イドゥンが面白可笑しそうに俺とエリナに言った。

 

「修行?ここでか?精々、防水・防火呪文位しか役に立たねえだろ。」

 

「その呪文の修行ですよ。何という偶然。ハリー先輩もそこにいたとは。ところで、その手に持ってるの、何です?」

 

「これか。50年前の日記帳だよ。」

 

「見せて頂いてもよろしいでしょうか?」

 

「どうぞ。」イドゥンに手渡す。

 

「T・M・リドル。誰なんでしょう?」

 

 イドゥンが呟いた。

 

「トム・マールヴォロ・リドルって奴の日記さ。尤も、そいつの名前は別の形で世の中に知れ渡っているわけなんだが。」

 

「それはどういう……」エリナが言いかけるが、止めた。杖を振る。

 

 TOM MARVOLO RIDDLE(トム・マールヴォロ・リドル)

 

 一振りして、並べ替えた。

 

 I AM LORD VOLDEMORT(私はヴォルデモート卿だ)

 

 エリナとエックスの顔色が真っ青になった。

 

「俗に言うアナグラムって奴だよ。自分の名前から、お花畑な思考で名前付けるなんてさ。あの変態ヘビ、よっぽど逸脱したネーミングセンスを持ってる様だね。」

 

「これって、ヴォルデモートの日記って事?」

 

「ああ。そうだよエリナ。余程の危険物だろうね。この日記は。」

 

「という事はハリー。あなたは、この日記は闇の魔術の品と思っているのですか?」

 

「じゃなきゃ、そんな事は言わないって。それよりマートル、トム・リドルの名前って聞いた事ある?」

 

「大アリよ。スリザリンの超優秀生徒だったわよ。イケメンで、永遠の2番手と呼ばれていたわ。ハッフルパフのアラン・ローガーと2分する程の人気者だった。」

 

「へえ。つーか義祖父ちゃんがハッフルパフだってこと初めて知ったよ。時々、エリナやディゴリー先輩みたいにとんでもない魔法使いが所属するからな。」

 

「茶番は良いから、それどうするの?先生に届けるの?」

 

「俺が預かる。そもそも、先生の所に持っていったら操られている奴が罪に問われかねない。操られているのは、生徒の誰かだな。」

 

「そうした方が良いかもしれませんわね。仮にも先生が操られていたとしたら、あの狸はすぐに気付くでしょう。」

 

「だな。去年のクィレルみたいにね。あんな感じで誰かを操るとか下僕にするとかして動いているよ。きっと、今回はこの日記が関係しているのは間違い無いからね。」

 

「先輩。日記なら何か書かれているのでは?」

 

「この日記、何にも書かれていないよ。空き教室で書いてみるか。」

 

 空いている教室に俺達4人は移動した。試しに、『私の名前は、トンヌラだ』と記入した。敢えて偽名を使う事にする。

 

『こんにちは、トンヌラ。それにしても、お話が脱線して申し訳ございませんが、珍しいお名前ですね。僕の名前はトム・リドルです。トンヌラ。君は、この日記をどうやって見つけたのですか?』

 

『誰かが捨てようとしたんだ。』

 

『そうですか。僕の記憶を、インクより長持ちする方法で記録していたのは幸いでした。この日記を読まれると困る人たちがいるのは分かっていたからです。』

 

『早速だけど、秘密の部屋の詳細教えて。』

 

『分かりました。良いでしょう。僕の知っている記憶を全て見せてあげましょう。』

 

 4人とも吸い込まれた。結果。リドルの容姿がグラントに酷似していた。巨大クモを飼っていた上に、魔法生物に生体改造を行っていたという事で、ハグリッドが犯人として捕まった。そして、退学になったらしい。

 

「記憶を改竄したりする様な男です。これは、リドルが間違えたか自分の犯行を擦り付けたかって事ですね?」

 

 記憶を見たイドゥン。どうやら、話が出来過ぎているので、逆に不信感を抱いたらしい。

 

「ハグリッドはそんな事をしないよ!」

 

「確かにな。でもな、エリナ。去年、ドラゴンを飼おうとした奴なんだぜ。しかも、自分の好きな物は知人もそうだって言う思考を持っている。リドルは、表向きは優等生だ。奴の本質を知らない人間だったら、果たしてどちらを信じるかな?」

 

「知らないなら、間違い無くリドルだと思います。先輩。」

 

 エックスが言った。

 

「間違い無く冤罪の可能性が高いですが、万が一間違ってたという可能性もあり得なくは無いですね。ちゃんとした確証も無い今、この情報は私達4人だけの秘密にしておきましょう。ゼロとグラント、ハーマイオニーやウィーズリーには言っても良いかも知れませんがね。今の状況で混乱してるのに、森番が犯人だったなんて信じられませんからね。エリナ。私が上げた人間以外には言いふらしてはダメですよ。魔法界で、初めての友を信じなくてどうするのですか?あなたは。」

 

「分かったよイドゥン。ボク、絶対に言わない。」

 

 一先ずは、4人だけの秘密となった。ハグリッドの事に関してはとりあえず保留にし、日記の対処法に話を戻す。

 

「とにかくだ。こんな風に意思疎通をするわけだ。奴の記憶が入ってるんだろうさ。この方法で、誰か操ってたんだろうね。」

 

 これ、もしかしたら分霊箱の可能性が高いな。

 

「書き込まないで、ただ単に持ってる分には大丈夫って事かな?」

 

 エリナが俺に聞いて来た。

 

「その通り。だから俺が管理するって言ったんだ。」

 

「じゃあ先輩、お願いしますよ。」

 

「よろしくね、ハリー。」

 

「任せとけって。」

 

 エリナとエックスは戻っていった。俺とイドゥンの2人だけになった。

 

「それじゃあ、イドゥン。これ、もう正体は分かってんじゃないのか?」

 

「ええ。これは完全に、分霊箱の特性そのものですね。知っていたのですか?ブラック家の書斎には、その手の本なんていくらでもありましたが。」

 

「俺も、ロイヤル・レインボー財団でその説明は受けた。それに財団の総合図書館はマグル界、魔法界問わず世界中の本が殆ど載っているのさ。」

 

「そうなのですか。いずれはそこに行ってみたいですわね。ところでその日記、あなたはどうするつもりなのですか?」

 

「休暇終了後に、先生やダンブルドアのジジイに悟られない程度で古い日記を拾ったって情報を流す。それで誰か炙り出せる。元々持っていたそいつならば、何が何でも取り返すつもりだからな。」

 

「校長先生をジジイ呼ばわりとは、あなたも良い性格をしているではありませんか。」

 

「イドゥンだって、さっき校長を狸爺って呼んでたじゃん。」

 

 2人で笑った。無表情かと思いきや、ここまで砕けたものになるのか。戦闘狂な一面もあるけど、それも人間の思いもよらない一面と割り切って、これからも接していこう。

 

「イドゥン。」

 

「何ですか?」

 

「俺は、今度は正々堂々と思いっきり君と戦ってみたい。」

 

「奇遇ですわ。私もです。あそこまで手こずったのは、初めてですので。」

 

「そうか。じゃあ、またな。」

 

「ええ。あなたこそ。」

 

 俺達は、空き教室から出て行って互いの寮に戻っていった。

 




変更点と追加点

1.ハリーのクリスマスプレゼントが豪華に
2.マートルの死の経緯を聞くタイミングが早まる
3.日記の記憶のやり取りは概ね原作と一緒。日記内部の突入が4人に増加した他、生体改造の描写とグラントとトムの類似性が追加されている
4.イドゥンも分霊箱を知っている

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