Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章 作:純白の翼
決闘クラブから暫く経った頃、ジャスティンとサー・ニコラスが石化した状態で見つかった。目撃者は、不運にも呪文学から戻って来たエリナとグラントだった。2人は、すぐさま校長室に呼び出された。
エリナは、蛇語を披露してなかったのでそこまで被害は無かった。が、グラントは継承者なのではと疑われてしまっていた。元々、暴君な性格は周囲にも知れ渡っていたので、それが今回の件で拍車が掛かっていた。余談だが、スリザリンの中では神扱いされているのだとか。
そうして、クリスマス休暇に入る直前となった。ゴーストのサー・ニコラスにまで危害を加えるなんて正気の沙汰じゃないという事らしく、生徒の殆どは汽車の予約開始直後に我先にと入れたんだ。残ったのは、グリフィンドールだと俺にロン、ハー子、パーシー、フレッドとジョージ、ジニー、エックス。レイブンクローとハッフルパフは、それぞれゼロとエリナのみ。スリザリンはグラント、マルフォイ、クラッブ、ゴイル、イドゥンの5人だけ。残りは帰るらしい。
そうして休暇に入った。マルフォイから色々聞き出すのにうってつけの時間だ。作戦のプランが出来たので、打ち合わせをする。
「それで、首尾はどうだ?FIJ作戦の方は?」グラントに質問した。
「おうよ。問題は無いぜ。料理を堪能して貰いたいって言ったら、『召使のやりそうな事だ、参加するよ。』だってよ。」
「まずは、第1段階成功だな。マルフォイは有り得んが、万が一もある。とあるルートから、保険として
ゼロは、無味無臭の薬のボトルを見せる。
「ねえ、3人とも。」
聞いて来たのは、ハー子だった。
「どうした、ハー子。」
「そのFIJ作戦ってどんな略なの?」
「ああ、その事?そう言えば、ハーミーには伝えてなかったんだよね。FIJ作戦って言うのは、フォイフォイ(F)色々(I)尋問(J)作戦の略だよ!」
エリナが自信満々に伝えた。
「もっとマシな名前は無かったの!?」
「そこはお約束という事で。」
「そうだ。お約束だぞ、ハー子。」
「じゃ、これからのスケジュールを確認しておくか。」
「ゼロ、皆に分かりやすくな。」
「分かっている。まず、空き教室でグラントのランチショーにマルフォイを招く事には成功したわけだ。ここからは、失神呪文を使っていく。5人分食らえば、流石のマルフォイでもただでは済まないだろう。」
「で、そこから俺の開心術の出番ってわけだ。その後に、記憶を消去、表向き通りにランチをやるわけだ。俺の作った料理を振舞ってやるのさ。」
「それなら行けそうだね!マーリンの髭!」ロンが、高らかに叫んだ。
クリスマス・イブ。11時50分に招いている。透明マントや目くらまし呪文でグラント以外は隠れている。マルフォイが来た。
「リドル、ちゃんと来たぞ。クラッブとゴイルも連れて来た。」
「「お腹空いた~。」」
デブ2人は、食えれば何でもいいらしい。
「まあ、座れよ。お前らにも、庶民の味ってのを知って貰いたくてな。」
「へえ~、それはどんな…………」
『『
「「「「
俺はマルフォイに、ロンとエリナはクラッブ、ハー子とゼロはゴイルにそれぞれ失神呪文を掛けた。3人共、倒れてしまった。因みに、俺とゼロは無言呪文を唱えている。
「開心!レジリメンス!!!」
マルフォイの記憶を盗み見る。チッ、シロだったか。だが、ドビーとの関係性は知れたから、ある程度の収穫はあったと認めて引いておこう。
「それで、どうだった?」早速ロンが俺に聞いて来た。
「コイツは、本当に何も知らないみたいだな。効果は無かった。シロだ。」
今のやり取りの記憶を消し、蘇生呪文を掛けて何もない状態までに戻しておく。ちなみに、俺の作ったバジルソーセージスパゲッティとたこ焼き、カステラを振る舞った。3人には大好評だったようで、大変満足して帰った。
「ハア。絶対マルフォイだと思ったのに。」言い出しっぺのロンが落胆する。
「また振り出しに戻ったわけね。」ハー子もそうだった。
「ううん。そうでもないと思うよ。」エリナが発言した。
「だな。怪しい奴がいないわけだ。」俺が続けて言った。
「「え?」」2人は俺とエリナの発言の意図にまだ気づいてない。
「つまり、お前らはこう言いたいんだろ?継承者の正体は、普通の人間から見て、怪しくない人物って事か。或いは、怪しまれない手段を持っている人物とも言える。」
「そういう事だよ、ゼロ。」
「俺らの行動をよぉ、ある程度手に取る様に分かる奴ってのも追加すれば良いんじゃねえか?」
グラントも話に割り込む。
「そうだよな。エリナの行動パターンが読める奴じゃないと、2回も目撃させるなんて出来やしないさ。」
「そういう事ね。それでいて、相当な実力者よ。タダ者じゃないわ。」
ハー子がようやく理解した。ロンは、まだ分かっていない。
「スリザリンの連中とも限らないってわけかい?」
「ああ。とにかく、継承者の正体に関してはひとまず保留しておこうぜ。なあ、ハリー。」
「そうだな、ゼロ。蛇までは特定出来たけど、何の種類かまでは分からん。取り敢えず、解散しようぜ。」
俺達は、また夕食で会う事になった。殆どが帰宅しているので、1つのテーブルになるんだろうな。ふと、スネイプの部屋を通過した。ん?何やら話し声が聞こえる。
「どうせ暇なんだ。聞くのも悪くないな。」
超感覚呪文、魔力感知防止呪文、目くらまし術を掛けて聞くことにした。
「ミス・ブラック。何故ここへ?」
「これを見せようかと思いまして。」
話していたのは、イドゥンとスネイプの2人だった。イドゥンは、何やら手紙と写真を見せている。
「まさか、あなたが私の父と母、母の双子の兄と親しかったなんて。そして、もう1人の伯父とは犬猿の仲だったと知りましたよ。」
「あの2人とレギュラスには、良くして貰った。君の母、アリエス・ブラック。そして君の父の、トーマス・グリーングラスとな。後に婿養子として、ブラックの姓になったわけだが。」
「そして、あなたがエックスの後見人を務めていたとは。私の場合は、ハリーとエリナの父方の伯父でもあるメイナード・ポッターですけどね。フフッ、道理でスリザリンに行った私ならともかく、グリフィンドールに行ったエックスにもかなり甘かったわけですね。」
「いずれバレる事は分かってはいた。だが、2年生のこの時期だったというのは、流石に想定外だった。メイナード・ポッターも、いつも愚弟のメガネから我輩を庇ってくれた。彼には恩があるのだ。」
「何故言ってくれなかったのですか?それならばハリーに説得も出来ますのに。私からセブルスを敵視するのはやめて欲しいと言えますのに。彼ほど、大切な人との別れ、そこから生まれる孤独の痛みを知っている人間はそうそういない筈ですよ。」
「事情があってな。」
「そんなに、ハリーとエリナのお父様が怖いと?」
「イドゥン、君はジェームズ・ポッターの事を知らないからそう言えるのだ。妹はともかく、兄は生き写しと言える位に似ているのだよ。」
「そうでしょうか?ハリーは、ジェームズ・ポッターと違って傲慢でもありませんわ。寧ろ母の、リリー・ポッターに良く似てます。エリナも然りです。敵対者には情け容赦ありませんが、これは育ての親であるアラン・ローガーそのものですね。」
「あいつが父親とあまりに中身が違う事は、去年の最初の授業で良く分かった。何もかもが。だから今は、憎いのでは無く恐ろしい。故に、ポッターを注意深く観察している。それが、我輩のやるべき事であるのだ。」
「そうですか。今は、詳しく明かすつもりは無いと?」
「そういう事だ。」
その会話が聞こえた。妙に甘いわけだ、スネイプがブラック姉弟に対しては。それに、エックスの後見人がスネイプだと!?俺に対しては、恐怖心しかないと言いたいのか?生憎だが、光にも闇にも染まるつもりは無い。観察される筋合いも無い。余計なお世話だ。
「イドゥン。」
「何でしょうか?セブルス。」
「2人だけならともかく、他の人間がいる前ではそう呼ぶな。……話を戻そう。君は、母であるアリエスの失踪の原因に探りを入れようと思っているのかな?」
「分かりません。全く無いと言えば噓にはなります。しかし、私にはまだエックスやクリーチャーがいるのでまだ幸せ者かも知れませんね。」
「トーマスの事があっては無理もない。あれは君が3つになったばかり、そしてエックスが乳飲み子の時に起こった頃だからな。」
「それに、最初は父の事で憎んだりはしましたけど、近くに血のつながりのある家族や、父の最期の言葉、それに去年のハリーの魔力の質を知って、どうでもよくなりました。」
「そうか。イドゥン。もう夕食の時間だ。行くといい。」
「分かりました。失礼致します。」
会話が終わったようだな。さっさとずらかるか。憎いというよりも恐ろしい……か。ならば、ジジイの手助けをするのも良いし、滅ぼすのも良いし、魔法界を見捨てる選択肢もアリだな。そう思いながら、大広間に向かう俺であった。
変更点と追加点
1.エリナよりもグラントが継承者扱いされている。流石ダンブルドア、汚い。策士。
2.ドラコに聞き出す方法が、ポリジュース薬から開心術に。
3.ハリーに料理の特技が追加。
4.ブラック姉弟の後見人判明。