Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章 作:純白の翼
ピクシー妖精の一件から、俺には『ピクシー・ハンター』の異名が付いたらしい。それと、コリン・クリービーからの追跡の対象が主に俺になった。まあ、エックスがささやかな妨害をコリンに行っているのもあって、追跡を振り解くのは凄く簡単だったけど。
後、暇な時にレッドスパークを乗りこなす練習もやっている。購入した直後よりは、ある程度乗りこなせる様になったが、まだまだだな。箒と言えばクィディッチ。クィディッチと言えば、グラントがビーターになったと言っていた。魔法薬学の授業で聞いたんだよな。
何でも、去年の石投げをスネイプが見ていたようで、車で学校に来た事による罰則で退学になるかビーターになるか、どっちかを選べと言われたらしい。で、本人は後者を選択したそうだ。本人曰く、クィディッチはやってみたかったらしいので、結果的に罰則というよりご褒美になってしまったわけだが。
そんなこんなで、平日が終わった。土曜日の午前にハグリッドからお茶に誘われたので、主にロックハートの愚痴を言おうかと思っていた。だが、起きる筈の時間よりも数時間早く、オリバーに起こされた。
「にゃにごと?」
「クィディッチの練習を始めるんだ。」
「マジか、オリバー。夜が明けたばかりじゃん。」
「大マジだ。これも新しい練習計画の一部。君が夏休みに送ってくれたカリキュラムを、僕なりにアレンジした。今日、それを実践する。箒を持つんだ。行こう。」
「新しい箒が使えるか試したいから、そっち持ってって良い?」
「構わない。その箒の使用も想定したプランも考えなければな。ハリー、15分後に更衣室で会おう。」
クィディッチ用のローブを着て、更衣室へ向かった。他の選手達はもう既に来ていたが、目が完全に覚めているのはオリバーだけだった。フレッドもジョージも腫れぼったい目で、くしゃくしゃ髪もまま床に座り込んでいたし、アシリアは壁にもたれかかってコックリコックリやっている。向かい側では、アンジェリーナとケイティがあくびをしている。
オリバーは、クィディッチ競技場の全図を何枚も掲げた。そのうえで、新戦略についての演説を始めた。俺以外は、全滅寸前になっている。
「という事だ、諸君。何か質問は?」
俺が手を挙げる。
「昨日までに言って欲しかったんだけど。それなら、準備も出来たのになぁ。」
皆、激しく頷いた。オリバーは、ムッとしている。
「いいか、諸君。よく聞けよ。我々は確かに去年、クィディッチ杯に勝てた。そして、優勝した。だが、それを維持していくのは簡単ではない。今年も2回目の優勝をする為には他のチームを凌駕する必要があるんだ!よって、今年は今までよりも厳しく練習していきたい……よーし、行くか。新しい戦術を実践していこう!」
オリバーは大声でそう言うと、箒をぐいとつかんで先頭きって更衣室から出て行った。皆も欠伸をしながら、それに続いた。スタンドにロンとハー子がスタンドに座っているのを見つけた。
「まだ終わっていないのかい?」ロンが信じられないという顔をした。
「まだ始まってもいない。オリバーが新戦術を教えてくれたばかりでね。」
コリン・クリービーは、最後尾の客席に座っている。俺をつけに来たのか。カシャカシャと写真を撮っている。エックスはいないのか。案外、休みの日は寝坊助なのかな?オリバーがスリザリンのスパイじゃないかと疑った。俺は、あいつはグリフィンドールだよ、と答えておいた。
「それに、スリザリンにスパイは要らないぜ。」ジョージが言った。
「何でそう言えるんだ?」オリバーは、短気になっている。
「御本人達がお出ましさ。」ジョージが指差しながら、そう言った。
グリーンのローブを着込んだ集団が競技場に入ってきた。オリバーは怒り心頭で話をつけに行った。俺達も後に続いた。
「フリント!我々の練習時間だ。今すぐ立ち去れ!!」
「カッカするなよ、ウッド。これ、読んでみろ。」
フリントは、こちらにメモを渡した。オリバーがひったくる様に受け取って読み上げる。メモの正体は、スネイプの許可証だった。新しいシーカーにビーター、チェイサーを教育する為と書いてある。
「新しいシーカー、ビーター、チェイサーだと!?誰だ、そいつらは?見せてみろ!」
大きな4人の中から、小さな3人組が現れた。ドラコ・マルフォイ、グラント・リドル、それに時々イドゥンと行動を共にしている女だ。
「まさか、グラント。お前、本当にビーターになっていたとはな。」
「やるからには、本気で行かせてもらうぞ、ハリーよ。絶対によぉ、俺は負けねえぜ。手加減無しだ。」
「そうこなくては。去年のスリザリン・チームは、あまりに歯ごたえが無さ過ぎたからね。これ位はやって貰わなくては。」
お互いに本気を出し合おうという雰囲気になっていた。他全員は、思わず唖然している。
「何か2人だけで勝手に盛り上がっちゃってるんだけど!?」
恐らく新人チェイサーであろう、その女がこちらに割り込んできた。
「……あ!イドゥンと時々一緒にいるいつぞやの
「どういうあだ名つけられてんの、私。でも、こうやって自己紹介するのは初めてだったよね。私、ルイン・ローズブレード。新しいチェイサーだよ!イデゥンから聞いてるよ、ハリー・ポッター。獅子寮の切札さん。勝負には勝つから。」
愛想の良い奴だが、気が強そうな奴だな。と思ったのが、正直な感想だ。
「シーカーは、もっとマシな人選が出来なかったのか?ビーターならともかく、シーカーは無いだろ。」
俺は、マルフォイを指差しながら2人に聞いた。
「そこは、訳アリなんだけどね。」
「言っておくが、実力で入ったぞ。俺らは。」
「言われなくても分かるわ。つーか、グラント。お前、半分罰則じゃねーか。結果的にご褒美になったけど。」
「うっ!そ、そこは言わないでくれよぉ!」
一方で、マルフォの方は不評を買っていた。
「ルシウス・マルフォイの息子じゃないか。」フレッドが嫌悪感を剥き出しにした。
「ドラコの父親を持ち出すとは、偶然の一致だな、ウィーズリー。その方がスリザリン・チームに下さったありがたい贈り物を見せてやろうじゃないか。」
スリザリン・チームの7人は、自分たちの箒を突き出した。グラントとルインは、あまり乗り気では無かったが。ピカピカに磨き上げられた新品の柄に、美しい金文字で銘が書かれている。『ニンバス2001』と。俺の持っているもう1つの箒『ニンバス2000』の後継機じゃないか。
「呆れた。自分の力じゃなくて、金の力でチームに入ったわけか。これなら、グラントとルイン・ローズブレードの方がまだマシだな。この外道め!」
吐き捨てるように言った。
「ふん、ポッター。これが、持つ者と持たざる者の違いって奴だよ。シンプルだけど、分かりやすくて良いだろう?」
得意げに、ニターッと笑っている。
「だったら尚更、俺の、今持っているこいつを一日でも早く乗りこなす必要があるな。」
レッドスパークを握りしめる。
「え?それって、レッドスパークなの!?」
「ルイン・ローズブレード。
俺が聞いた。
「うん。希少価値の高さとスペックにおいて、現状どの箒をも上回る代物だよ!」
「ルイン。本当かい!?ポッターが、どうしてそんな箒を。」
一転して焦りの表情を見せるスリザリン・チーム。
「でも、あまりに性能が高過ぎて乗り手を振り落としたり、時には殺す事もある悪魔の箒と言われているわ、ドラコ。ハリーの言い方からして、乗るのはそう簡単でもない様だけどね。でも、乗りこなせば、それに見合った力を見せてくれる。ニンバス2001が7つあっても勝てるかどうか。」
スリザリン・チームは大変驚いている。そんな物がグリフィンドールにあったとは、予想出来なかったらしい。そこへロンとハー子が駆け寄ってくるのが見えた。
「どうしたんだい?どうして練習しないんだよ。それにマルフォイの奴、こんなところで何やってるんだ?グラントは、まあ分かるけど。」
ロンが、マルフォイとグラントの方を見て言った。
「俺よぉ。ビーターになったんだぜ。ロン。」
グラントが愛想良くロンにそう言った。だがマルフォイは、ロンを見下すかのように言い放った。
「ウィーズリー、僕はスリザリンの新しいシーカーなのさ。父上が、チーム全員に買ってあげた箒を、皆で称賛していたところだよ。」
全員じゃないけどなと、俺は心の中で訂正した。
「呆れたわ、マルフォイ!何がスポーツよ!こんな不正同然で入った人を、箒提供っていう理由だけで入れるなんて!真剣に打ち込んでいるグラントやルインに失礼だと思わないの!!キャプテンでしょ!?あなた!」
ハー子が、きっぱりとした物言いでフリントに抗議した。
「うぐっ!…………う、うるさい!部外者は引っ込んでろ!」
「そうだぞ、グレンジャー。誰も君の意見に耳を貸す奴なんていない。すっこんでろ…………この……『穢れた血』め!!」
「!」こいつ。よりによって。俺は、杖を出そうととする。
だが、俺だけではなかった。途端に轟々と声が上がった。
「良くもそんな事を!」アシリアが金切り声を上げた。
「テメエ、マルフォイ!親父から行って良い事と悪い事の区別を学ばなかったのか!」
フレッドが、今にも突っかかろうとしている。が、フリントが立ち塞がっている。
ロンも、杖を出した。
「思い知らせてやる!ナメクジ食らえ!」
バーンと大きな音が聞こえる。
「フォオオオオオイ!?…………あれ、何ともない。」
そう言えば、ロンの杖って折れてたよな。魔法を使う度に失敗しているんだ。まさか。
「ロン!ロン!大丈夫!?」
口を開いたが、言葉が出ない。そうか、逆噴射で呪いが自分に当たったのか。という事はだ。それが意味するものとは…………
ロンは口から第1子を産んだ、のではなくナメクジを吐き出した。グリフィンドール・チームの面々も心配そうに見ているが、近寄りたくないようだった。コリンは、第1子が生まれた、おめでとうって言ってる。対して、スリザリン・チームは大爆笑していた。ただ、ルインはドン引きしていて、グラントは状況が付いて行けないようではあった。
「ハグリッドのとこ行くぞ。」
「そうね、そこが1番近いわ。」
「ドラコ、テメエ。今日の借りは、クィディッチの試合で何億倍かにして返してやる!首を洗って待っていやがれ。」
「ざまあないねポッター。さっさとあのデカブツの所へ行ったら?」
オリバー達にこの事態は任せて、ハグリッドの小屋へ直行した。
「ほれ、ロン。皆吐いっちまえ。」
「今、第147子まで産んだ筈だよ。」俺が言った。
「結構産んだな。どうしてこういう事に?」
「実は…………カクカクシカジカ。」
さっき会った事を話した。
「あの近親相姦しか取り柄の無い三下小悪党のフォイフォイの倅め。ハーマイオニーにそんな事言ったのか?そりゃロンも、呪いを掛けたくなる。」
ハグリッドは、大憤慨した。
「あいつの思いつく限りの最低の言葉だ。」ロンが、吐く合間を縫ってそう言った。
「殺してやろうかと思ったよ。でもそれ以上に、周りが熱くなり過ぎてたけどな。」
「ハリー。その、穢れた血ってどういう意味?」
「ハー子はマグル出身者だから、分からなくても無理はないな。マグル生まれに対する呼び方の、最低の汚らわしい言葉だ。場合によっては、俺みたいな半純血にも使われる時もある。いずれにせよ、一滴でもマグルの血があれば言うかもな、純血主義者の無能共は。例えば、そうだな。アフリカ系の人をニガーって呼んだり、日本人をジャップやイエローモンキーって呼んだり、と言えば分かりやすいか?」
「そんな!」ハー子、絶句した。そりゃ、そうだよな。
「俺も、特に義祖父ちゃんや義兄さん、義姉さんには絶対言うなって言われてる。元々マグルの文化や技術には大いに世話になってるから、言うつもりなんて全くないけどね。むしろ、感謝感激の感情しか無いわけだ」
「全くだよ。」またロンが話に割り込む。
「マグルと結婚してなかったら、僕達魔法族はとっくのとうに滅んでるよ。」
「ハー子。お前の方が優秀だから、別に気にするなよ。今日の分は、まとめてクィディッチでやり返してやるさ。俺を悪く言うのは、まだ我慢出来る。だが、マルフォイは、俺を怒らせた。友や仲間を侮辱したり、傷付ける事をしたんだ。あいつに、憤怒の恐怖を味合わせてやるからよ。」
俺は、3人にそう宣言した。
「ハリー。ありがとう。」ちょっと泣いているハー子。
「その心意気は凄いぞハリー。」
「どうも、ハグリッド。」
「しかし、ロン。お前さんに呪いが跳ね返ったのは、かえって良かったかもしれん。ルシウス・マルフォイが、学校に乗り込んできおったかもしれんぞ。お前さんが奴の息子に呪いを掛けちまってたらな。」
「物理的にも社会的にも、抹殺されてたかもな。ま、義祖父ちゃんにその連絡をしておけば軽く出来るけど。流石のマルフォイ家も、全世界に影響を持ってる団体そのものに手を出そうとは思わないだろうしね。どういうわけか知らんが、ブラックリスト入りしているから。」
その後は、話題を変えて雑談して、小屋を後にした。マクゴナガル先生が、ロンに罰則を言い渡しに来た。何でも、フィルチとトロフィー・ルームの銀磨きとなった。最悪だ、と本人が嘆いていたが、規則を破ったんでしょと言うハー子の言葉にぐうの音も出なかった。それで、午後8時に罰則が始まるので、余裕をもって出掛けさせた。
変更及び追加点
1.今年の試合で使う箒はレッドスパーク
2.スリザリン・チーム、大幅に編成
3.穢れた血の説明は、ロンからハリーに
今日の昼にEXシナリオを、明日になるタイミングで次話の投稿をする予定です。