Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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第9話 ギルデロイ・ロックハート

 翌日。朝食と言う優雅な時間を満喫していた時に、それは壊れてしまった。その原因は、フクロウ郵便にある。ロンに届いたあるものが原因だ。ウィーズリー家のフクロウ、エロールがポテトチップスの山に墜落した。

 

「エロール!」

 

 ロンは、気絶しているエロールから赤い封筒を取り出した。その瞬間、ロンの顔が恐怖と絶望に満ち溢れた物になった。フレッドとジョージは、逃走している。

 

「皆見ろよ!ロンのママから、吠えメールが届いたぞ!!」

 

 シェーマス・フィネガンが、大広間にいる全員にそう叫んで知らせた。途端に、至る所から笑い声が上がった。

 

「吠えメールってなんだ?」グラントが、マルフォイに聞く。

 

「今に分かる。僕が説明するより、見た方が早い。」

 

 マルフォイは、グラントに出来る限り関わりたくないようだ。

 

「僕も昔、ばあちゃんから貰った事があるけど、酷いんだ。ろ、ロン、早く開けた方が良いよ。もっと酷い事になるから。」

 

 ロンは、開封した。と、同時にウィーズリーおばさんの声が100倍に拡声された状態で大広間に響き渡った。

 

『ロナルド・ウィーズリー!』

 

「お、お母様の怒鳴り声が拡声されてる。グリフィンドールの席に行こうっと。」

 

 エリナが駆けつけた。責任感じてるんだな、あいつ。

 

『車を盗み出すなんてどんな神経をしてるの!退校処分になっても当たり前です!お前には、本当に呆れました!!私とお父さんがどんな思いをしたのか、お前はちょっとでも考えたんですか!?昨夜ダンブルドアからのお手紙を貰って、私たちがどんなに恥ずかしい思いをしたのか、分かっているの!?こんなことをする子に育てた覚えはありません!ビルにチャーリー、パーシーを見習いなさい!それに、今回の事態を冷静に対処したハリーもです!』

 

「お、お母さん。僕の名前は、出さないでください。」

 

 ガクブルしながら、パーシーが小声で言った。俺の名前まで出てきたのは、完全に想定外だったな。

 

『どこまでもふざけて!お前は、よりによってエリナも!私達の大事なエリナも無理矢理巻き込んだ挙句に、危うく死なせてしまうところだったのよ!?』

 

「ぼ、ボクの事も……」

 

 相当落ち込んでるな、エリナの奴。まあ、これで俺以外にも純粋に心配してる人もいたって事にはなるな。

 

『全く愛想がつきました!お父さんは役所で尋問を受けたんですよ!!』

 

「そ、そんな。1ヶ月間お世話になったお父様まで…………」

 

『あら、エリナ。あなたが気に病む必要はないのよ。それよりも問題なのは……ロナルド!!お前です!!』

 

「は、はい!ママ!!」

 

『今度ちょっとでも規則を破ってごらん!退学になる前に、私がお前の耳を引っ張って家に連れ帰りますからね!!!』

 

 そして、吠えメールは最後にジニーの方を向いた。

 

『ジニーちゃん。グリフィンドールに決まっておめでとう。パパもママも鼻が高いわ。記念に山Pと温水のポスター、送っておくわ。』

 

 吠えメールは、炎となって燃え上がり、チリチリと灰になった。一連のやり取りが終わった直後、大広間は大爆笑に包まれた。一気に食欲が無くなったのだ。それ以上に、ロンとエリナのダメージが大きすぎた。反省してるようなので、態度は柔らかくしておくか。

 

 新学期最初の授業は、薬草学だ。正直去年は1号温室でしか授業をしなかった。3号室は、もっと危険な魔法植物が置いてある場所なので、怖いよりかは興味津々の気持ちの方が強い。ロックハートに絡まれたエリナが温室に入ってくると、スプラウト先生が授業を始めた。

 

「今日はマンドレイクの植え替えをやります。誰かマンドレイクの特徴が分かる人はいますか?」

 

 例の如く、ハー子が手を挙げた。マンドレイクか。居酒屋にいる煩い客みたいな声を出す連中だった筈だ。

 

「マンドレイク、別名マンドラゴラは強力な回復薬です。」

 

 相変わらずだな。教科書の内容そのままじゃん。それだけ、記憶力が凄いと言われればそれまでだけど。

 

「姿形を変えられたり、呪いを掛けられた人を元の姿に戻すのに使われます。」

 

「大変よろしい。グリフィンドールに10点。」スプラウト先生が言った。

 

「マンドレイクは、大抵の解毒剤の主成分になります。ですが、危険な面もありますが、その理由が言える人は?」

 

 またハー子の手が挙がった。これははっきりと覚えているから、ゆっくりと手を挙げてみる。スプラウト先生、俺が挙手をした事は予想出来なかったらしく、一瞬驚いていた。

 

「それでは、ミスター・ポッター。」

 

「マンドレイクの泣き声は、それを聞いた者にとって命取りになります。しかし、それは成熟した個体に言えること。ここにある若い個体の鳴き声であれば、数時間だけの気絶で済みます。」

 

 もっと詳しい本が、ロイヤル・レインボー財団にあったから、若い苗の事まで言えたんだよね。でも、先生はそこまでの答えが返ってくるとは思わなかったようだ。

 

「大変素晴らしい!グリフィンドールに20点!さて、ミスター・ポッターが言ってくれたように、ここの苗はまだ若い。ですが、それでも気絶します。耳宛を付けておくように。」

 

 一緒の班になったのは、ロン、ハー子、エリナ、ジャスティンだった。

 

「ハリー、お久しぶりです。」

 

「ジャスティンか。夏休みはどうだった?」

 

「まあ、充実してましたよ。話変わりますけど、昨日のハッフルパフ寮は、あの一件でお祭り騒ぎ。エリナはかなり落ち込んでましたけど。本当に飽きませんね、魔法界って。」

 

「レイブンクロー以外で、やっぱりそうなったか。グラントもそう言ってたな。」

 

「スリザリンもなんですか。」

 

「うん。」

 

 あと、ロンとハー子を紹介した。雑談を交えながら、授業に取り掛かる。これが意外と難しかった。あれを簡単そうに手際良くやってたスプラウト先生はすげえな。授業が終わる頃には誰もかれも汗まみれの泥だらけで、体があちこち痛んだ。

 

清めよ(スコージファイ)拭え(テルジオ)癒えよ(エピスキー)。……ふむ。こんなものか。」

 

 汚れを落として、体も回復させた。次のマクゴナガル先生の授業は、コガネムシをボタンに変えると言うものだった。黒檀の杖は、戦いや変身術に優れている。変身術の授業では、いつもこれを使っているのだ。あっさりと、課題を終わらせた。俺を除いて出来たのは、ハー子だけだった。みんな出来てなかった。夏休みにやったこと、忘れたんだろうな。

 

 1番酷かったのはロンだった。杖が真っ二つになってしまい、スペロテープでつぎはぎをしたは良い。だが、あれは素人から見ても直せないなと思った。とんでもない時にパチパチ鳴ったり、火花を散らす。変身させようとする度に、濃い灰色の煙でモクモクとロンを包み込んだ。

 

 授業ベルが鳴って、昼休みに。俺は、ロンに付き添った。

 

「新しいの買って貰え。」

 

「ああ、そうすりゃ、また吠えメールが来るさ。『杖が折れたのは、お前が悪いからでしょう――』ってね。」

 

 杖を貸し出しても良かったが、生憎どれも俺以外には従いたくもない杖しか持ってない。6本共、それだけ我が強いんだ。使わせたら、ロンが入院と言う事態になりかねない。だからやめた。

 

 ハー子と3人で昼を食ってから、中庭に出る。すると、何やら言い争いが聞こえた。

 

「何だ?」

 

 俺達が向かうと、エリナとアーニー、マルフォイ、クラッブとゴイル、見知らぬ小柄なグリフィンドール生とエックスがいた。

 

「またお前か、マルフォイよ。とことん懲りん奴だな。」

 

「ぽ、ポッター。何で?」

 

「あんだけデカい声で騒ぎを起こしてりゃ、誰だって駆け付ける。それに、お前には丁度聞きたい事もあるしな。」

 

「クラッブ、ゴイル。行くぞ!」

 

 即座に退散した。

 

「助かったよハリー。」アーニーが礼を言ってきた。

 

「お前ら、何があった?」

 

「うん、それはね……」

 

 エリナが説明する。ロックハートの授業後、小柄なグリフィンドール生コリン・クリービーが、エックスを連れ回して写真を撮らせろとせがんできたのだ。そこにマルフォイが来たようで、アーニーにエリナの写真を持っておけばマクラミン家ももっと金を持てるのにと、そしてエックスには今のブラック家は落ちる所まで落ちたとほざいたようだ。で、一触即発になりかけた時に、俺達が来たってわけだ。

 

「あいつ、ナメクジを食らわしてやる。」ロンが、報復を宣言する。

 

「やめておけ。少しでも規則を破ったら、今度こそ退学になるぞ。」

 

「そうよ、ロン。今は耐えて。」

 

 そんなやり取りがあってから、闇の魔術に対する防衛術の教室に向かった。ロックハートかぁ。まだ、フィルチと学校全体の掃除してる方がマシだな。

 

 やがてクラス全員が着席し、ロックハート大きな咳払いをした。ネビルの『トロールとのとろい旅』という本を取り上げ、表紙の写真と一緒にウィンクしてこう言った。

 

「HAHAHAHA!私だ。」

 

「ハー子。俺、この授業さぼっていいか?自分で言うのもアレだが、自習の方が身に付く気がする。」

 

「駄目よハリー。ちゃんと聞かないと。ね?」

 

 ああ。ハー子がミーハーだったなんて全く知らんかったわ。

 

「ギルデロイ・ロックハート。勲3等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、『週刊魔女』5回連続『チャーミング・スマイル賞』受賞――もっとも、私はそんな話をするつもりはありませんよ。バンドンの泣き妖怪バンシーをスマイルで追い払ったわけではありませんからね。」

 

「笑えん冗談だな。」小言で呟く俺。

 

 下らない演説の後、小テストが行われた。こう書かれていた。

 

 1 ギルデロイ・ロックハートの好きな色は何?

 2 ギルデロイ・ロックハートの密かな大望は何?

 3 現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたは何が1番偉大だと思うか?

 

 3ページもこんな質問だった。ビリビリに引き裂きたい気持ちを抑えながら、読んでいく。

 

 54 ギルデロイ・ロックハートの誕生日はいつで、理想的な贈り物は何?

 

 もう答える気も失せた。30分後、ロックハートは答案を回収した。クラス全員の前でパラパラとそれをめくった。

 

「チッチッチ……私の好きな色がライラック色だということをほとんど誰も覚えていないらしい……誕生日が1964年1月26日。贈り物は、魔法界と非魔法界のハーモニーですね――オグデンのオールド・ファイア・ウィスキーの大瓶でも大歓迎です。……ところが、ミス・ハーマイオニー・グレンジャーは全ての質問に正確に答えました。パーフェクトです!!ミス・グレンジャーはどこにいますか?」

 

 ハー子の挙げた手が震えていた。

 

「素晴らしい!全く素晴らしい!!満点です!グリフィンドールに10点あげましょう!」

 

 皆引いていた。いらねえ。しかも誕生日じゃなくて、もはや生年月日になってやがる。

 

「では、授業に入っていきます。さあ――気を付けて!魔法界でもっとも穢れた生き物と戦う術を授けるのが、私の使命なのです!なのでどうか、叫ばない様にお願いしたい。こいつらを刺激してしまうといけないのでね。」

 

 ロックハートが低い声で言った。そして、パッと覆いを取り払った。

 

「捕らえたばかりのコーンフォール地方のピクシー小妖精。君達がこいつらをどう対処するのかを見てみましょう。それ!!」

 

 ロックハートが檻を開けた次の瞬間、ロケットのようにピクシー妖精が四方八方に教室中へ飛び立つ。2匹が、ネビルの両耳を引っ張り上げて空中に釣り上げた。ガラスの破片の雨を浴びせている奴もいる。暴走するサイよりも厄介だった。インクを振り撒く、本やノートを引き裂く、壁から写真を引っぺはがす、ゴミ箱をひっくり返す、本やカバンを割れた窓から放り投げるなどと大惨事だった。

 

「さあ、さあ、捕まえてごらんなさい。たかがピクシーでしょう?」

 

 ロックハートは、腕まくりして杖を振り上げながら、格好つけて「ペキスピクシペステルノミ――ピクシー虫よ去れ」という意味不明の呪文を唱える。が、効果は無かった。逆に杖を奪われてしまった。

 

 俺は、ナナカマドの杖を右手に生徒全員に机の下に避難して目を閉じてろと言った。

 

「さて、光や電気によるあの呪文を派生させた幻術でも使ってみるかな。雷電閃光(アンペル・ハグーラ)!」

 

 今回は対象が多かったので広範囲仕様の閃光で放ったが、狭範囲で対象の少ない場合は電流として発射も出来る。閃光や電流がある程度杖から離れると、一瞬ピカッと光る。その時に相手の目を眩ませて、幻を見せつける事で混乱や動揺を誘う呪文だ。ピクシー妖精は、この呪文で全て混乱した。あと、ロックハートもかかった。テキパキとピクシー妖精を籠に戻した。終わったところで、丁度授業ベルが鳴り、教室から出て行った。

 

 その後、何故か皆から拍手された。何でかは、分からん。

 




変更及び追加点
1.原作よりも、吠えメールによるロンのダメージが増加
2.3つの授業で活躍するハリー
3.ドラコの嫌味のターゲットがエリナに変更
4.ニブチンのハリー

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