Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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第7話 12の夜

 その後、隠れ穴へ付き添い姿くらましで戻った。皮肉にも、ここに1日3回戻ってきたわけだ。

 

「ウィーズリーおじさん、ウィーズリーおばさん。本当に申し訳ありませんでした。私の責任です。」

 

 俺は必死に頭を下げた。

 

「まあ、そんな謝らなくていいよ。そういった事情なら、不可抗力だからね。」

 

「あなた達2人は偉いわ。それに引き替え、ロナルド。あの子は何をしてるのかしら!」

 

 ウィーズリーおばさんが、阿修羅の如く怒ってた。改めて思った。女性は、怒らせると怖いと。

 

 すぐさま、煙突飛行ネットワーク(フルーパウダー)で、ホグワーツへと向かった。着いた先は、マクゴナガル先生の部屋だった。一足早いが、戻ってきたんだな。

 

「こんにちは。ポッターにフィールド。詳しいお話を聞きましょう。私と一緒に校長室に来て下さい。」

 

 今更逃げるかよ、と言う視線を送った。校長室の合言葉は、カントリーマアムだった。相変わらずの菓子好きだな。校長よ。

 

 校長室に入ると、校長は勿論、マクゴナガル先生以外の寮監全員が集結していた。

 

「2人とも、今日は災難じゃったのう。そこにお座り。それに、紅茶とカントリーマアムはどうかね。わしの今のブームじゃ。」

 

 飲み物と菓子を勧められた。ゼロは手を付けたが、俺はしもべ妖精への怒りの方が強かったので、あまり食べる気分にはなれなかった。

 

 で、今日何が起こったのかを話した。妖精とのやり取りや、ホグワーツに危機が訪れることも。しかし、スネイプが横槍を入れてきた。

 

「失礼だがポッター。それは、遅刻した言い訳ではないのかね?え?」

 

「そんなに俺の話を否定したいのなら、開心術や真実薬を使えば良いだけはないでしょうか?そこまで考えが思いつかないとは、余程私を貶めたいらしいですね。去年言った筈ですよ。俺にどんな感情を持っても構わないが、仕事と私情を切り離せ、とね。」

 

「き、貴っ様ぁ……」スネイプが怒り狂って、今にも杖を抜こうとした。

 

「ポッター、よしなさい。セブルス、あなたもです。少し抑えなさい!」

 

 マクゴナガル先生が、強めな口調で俺とスネイプを止めた。

 

「しかし、ドビーと言う屋敷しもべ妖精か。彼ら屋敷しもべ妖精はそれなりの魔力を持っていますが、人間に損失や危害を与えるような事はしないのですが。何か訳アリって感じですね。」

 

 フィールド先生は、ここにいる全員にこう言った。

 

「そうじゃのお、フォルテ。カントリーマアムはどうかね。」

 

「今は会議中です。それに、甘いものは苦手でして、すみません。」

 

「先生って、甘いものダメなのか?」

 

「まあな。食おうと思えば食えるんだが、自分から食べてるところは見たことないな。」

 

 ゼロが俺に教えてくれた。そういう一面があったとはね。

 

「だったら、厨房の屋敷しもべ妖精にそのドビーの事を私が聞いてみます。」

 

 こうおっしゃったのは、スプラウト先生だった。

 

「ポモーナ。よろしく頼む。さて、次は空飛ぶ車についてじゃが。わしとしては、事が事なので、退学は無しにしようかと思っておる。保護者には、手紙を送るがの。罰則に関しては、ポモーナにセブルス、ミネルバに委ねることにするが良いかの?」

 

 校長が3人のそれぞれの寮監にそう伝えた。3人とも、了承したらしい。どうやらあいつら、退学にならなくて済みそうだな。

 

「では、ハリーにゼロ。君達は、ローブに着替えてマクゴナガル先生の部屋で待機するようにしなさい。分かったかね?」

 

「了解です。」俺が答える。

 

「分かりました。」ゼロも返事をした。

 

 着替えてから、待機する俺達。皆が来るまで、5時間もあった。

 

エリナ視点

 

 それは、ハリーとゼロがホグワーツに連絡していた頃にまで遡る。

 

 ボクは、ハリーの指示に従って、ロンとグラントと一緒に待っていた。いつまで待てばいいのかな?でも、あの2人なら何とかしてくれる。根気よく待とう。ハッフルパフの生徒として。

 

「はあ。待つのって退屈だよな。」グラントが、ボク達に同意を求めてきた。

 

「空って青いよなぁ、スキャバーズ。」ロンは、ネズミに語り掛ける。

 

「ハリーとゼロならよくやってくれるって。」

 

「そうは言ってもなぁ。車の運転ならやった事あるのによぉ。」

 

 あれ。グラント、今運転した事があるって言わなかったっけ。空耳だよね。免許も無いのに、出来る筈が無いよね。

 

「2人とも!」ロンが目を輝かせた。「車だよ!」

 

「ロン、車がどうしたっていうんだ?」

 

「グラント、この車でホグワーツに飛んでいけるよ!!」

 

「マジか!?面白えじゃん、やろうぜ。」

 

「え?でも、それって――」

 

「エリナ。僕達、困ってるんだよ。それに、学校に行かなくちゃ。そうだろ?半人前の魔法使いでも、本当に緊急事態なら魔法を使っていいんだ……なんとかの制限に関する第19条だとかなんとかっていう……」

 

「ええ!?だ、ダメだよ!ちゃんと待とうよ!」

 

「車の運転なら任せな!日本から入手したS30型フェアレディZで、リトル・ハングルトンを駆け抜けたのさ!!しかも、麻薬中毒者を轢いた事もあるぜ!!」

 

「サラッと危険な事してるよこの人!!しかも犯罪までやってるし!!」

 

ボクは、グラントのあまりの破天荒さにリアクションを取った。

 

「相棒、逝こう。」ロンは、もう行く気満々だ。逝くと言ったのは気のせいだと思う。

 

「出発するぜ!!」

 

 半ば無理やり後部座席に乗せられた。ゴメン、ハリー。ロンとグラントの2人を止められなかったよ。グラントは運転席へ。ロンは助手席。ちなみに、トランクは全部詰め終わっている。グラントは杖でエンジンをかけながら、ワクワクしているではないか。ロンは、計器盤の小さな銀色のボタンを押す。車が消えた。レバーを倒して、車が浮かび上がった。

 

「線路を見つけたよ。ロン、グラント。」

 

「エリナちゃん。ありがとうよ。」

 

「進路方向は北だよ。」ロンが、コンパスで確認した。

 

「30分おきに見ればいいよな。俺のテクニックを見せてやるぜ!」

 

 グラントがアクセルを踏み込む。カラスの群れに衝突する。その勢いで、カラスの群れを壊滅させてしまった。まるで、グ○セ○じゃん。窓が、カラスの返り血でべっとりとしてしまった。

 

「前が見えねえや。水を出してから、ワイパーで掃除しよう。」

 

 その頃、ホグワーツ特急では、何人かの生徒が血で染まった空飛ぶフォード・アングリアを目撃した。下級生は悲鳴を上げ、上級生は何があったんだという疑問、或いはこんな非常識はありゃしないという現実逃避をしていた。

 

 イドゥン・ブラックのコンパートメント。彼女と一緒にいる少年は、弟のエックス・ブラックだ。見た目は父にそっくりだ。だけど、目と肌と髪の色は母親だ。そんなエックスは、空飛ぶ車を興味津々で見ている。

 

「姉ちゃん。あれ見てよ。」

 

「どうしたのです、エックス。」

 

「あの人の部屋にあった写真にさ。マグルが使ってる車って乗り物あったじゃん。あれが空を飛んでる。」

 

「何をバカな事を言って……」

 

 イドゥンは、返り血に染まったフォード・アングリアを見た。あまりの非常識過ぎる現象に、流石のイドゥンも頭が少しの間フリーズしてしまった。

 

『そう言えば、ハーマイオニーが先程ハリーとロン、エリナ、ゼロ、グラントを探しに私に聞きに来ましたが、まさか5人であれに乗ってるのですか?フフッ。全くあの人たちは、本当に学校生活を盛り上げてくれますね。』

 

 余興を提供する6人をイドゥンは結構気に入っている。今年も面白くなりそうだと、心の中で大笑いした。

 

 そんな調子を続けて、前面の窓ガラス以外は、鳥の黒っぽい赤い血で染まってしまったんだ。思わず吐きそうになったよ。慣れちゃったけどね。そんなことが何回も続いて、ようやくホグワーツが見えた。3人で喜んだ。

 

「着いたぜー!俺のテクニックのおかげだな。」

 

「免許持ってるのって言いたい所だけど、ボクはもうツッコまない様にしようっと。」

 

「ようし、後もうちょっとだ!!」

 

 エンジンが甲高い音を出し始めた。あれ?嫌な予感しかしない。

 

「マズい!墜落する!!」ロンが叫んだ。

 

「コイツ!言う事聞きやがれ!」グラントが、必死に操作する。

 

「落ちちゃうよおおおお!!」

 

 墜落先は木だった。フロントガラスにぶつかりそうになったけど、指輪が光ってバリアが発生した。バリアはボクを守ってくれたので、無傷だった。グラントは、右のおでこから出血していた。でも、元気そうだった。曰く、他の敵対勢力の拳の方が何十倍も痛いのだとか。そしてロンは、絶望したような低い呻き声をあげた。

 

「僕の杖……真っ二つになっちゃった。」

 

 綺麗なまでに半分に折れちゃってた。これは、素人のボクでも簡単に分かる。この杖、直せそうにないなぁ。

 

 車が何かの音を出す。ゴスッ、ボカッ、バキャッ、メギャッ!っていう音が。

 

「もしかして……」ボクは、恐怖で顔を埋め尽くされちゃった。

 

 木がこちらに攻撃してきたのだ。車の屋根をハンマーの様な大枝で殴りつけている。今度は、左ドアにアッパーカットをしてきた。

 

「そこの大きな木さん!ごめんなさい!わざとじゃないんだよ!!すぐ退くから、攻撃をやめて貰えないかな?」

 

 突然大人しくなった木であった。

 

「助かったぜエリナちゃん。あの木を手懐けるなんて。」

 

「それよりも早く行こう。」

 

 荷物を持って、城の中に入る。車は、禁じられた森に入っていった。ロンが、パパに殺されちゃうよ!と叫んでたけどね。

 

 城の中へ入って、たくさんのトランクがある場所に自分たちの物もポーンと置いておいた。だけど、そこでスネイプ先生が待ち伏せしてた。ついてきなさいと言われた。

 

「これを見たまえ。」新聞に見出しを見せた。

 

『返り血の空飛ぶフォード・アングリア、いかぶるマグル。ロンドン塔一部損傷。』

 

『カラス、謎の大量変死体。』

 

「それだけではなく、暴れ柳まで相当な被害を被ったという情報を掴んだ。」

 

「あんな殺人木よりも、僕達の方がもっと被害を受けました!」

 

「黙れ!!」スネイプ先生が、ロンにばしっと言った。

 

「お前達は退学、と言いたい所だがミスター・ポッターとミスター・フィールドの証言により、既に処分は決まっている。然るべき人物を連れてくるので、そこにいるように。」

 

 10分後、スネイプ先生が戻ってきた。ダンブルドア先生にマクゴナガル先生を。

 

「ミス・ポッター。事情はあなたのお兄様から聞いていますが、あなたからもしっかりとご説明なさい。」

 

 マクゴナガル先生が、ボクに説明を促してきた。出来る限り、その時の出来事を説明した。

 

 ロンとグラントも、補足する形で説明していた。

 

「なので、早くいかなきゃと思って、車に乗って来ました。何故か、汽車に乗れなかったんです。」

 

「ロンの言ってる事と一緒です。」

 

「ミスター・ポッターやミスター・フィールドが必死に対策をしていたのに、何故あなた方は彼らの苦労を無駄にしたのですか?それに、ミス・ポッターを無理やり乗せました。彼女自身には何も無かったから良かったものの、彼女の顔に一生消えない怪我を負わせてたら一体全体どうするつもりだったのですか。」

 

 マクゴナガル先生は、静かだが怒りを込めて2人を叱った。

 

「……ぐうの音も出ません」ロンが言った。

 

 校長先生が口を開いた。深刻な表情をしている。いっそのこと、怒鳴ってくれたら良かったのに。

 

「3人共。君達は、もうちっと思慮深い行動が出来る、とわしは思っておったのじゃが。」

 

「すみませんでした。2人を止められなかったボクの責任です。」

 

 叱られて、呆然としていた2人に代わって、ボクが頭を下げた。

 

 その後、ボクは荷物をまとめると言った。しかし、ハリーとゼロから事情は殆ど把握していたようで、退学及び減点は無しになった。その代わりに後日、罰則を言い渡すという事、保護者に手紙を書くという事でで終わった。ボクからしてみれば、無罪同然だった。グラントも、保護者が手紙を碌に見ない人ばかりだから問題なしと言ってた。だけどロンは、この世の終わりと言う顔をしてた。

 

 夕飯は、スネイプ先生の部屋で食べる事になった。サンドイッチの皿とかぼちゃジュースのボトル、ゴブレット3つが出てきた。空になると、半永久的に皿とボトルがいっぱいになった。

 

「俺達とことんツイテねえな。」

 

「全くだよ。」

 

『もしかしてドビーが!?あったら聞いておかないと。』

 

 ボク達は、食べたいだけ食べてから(グラントが、大きな袋に出来る限りありったけのサンドイッチを入れてた。そして、皿はサンドイッチで再び満タンになった)部屋を出て行く。ボク達3人は、それぞれの寮に向かおうした。

 




変更点及び追加点

1.ハリーはゼロと共に一足早く学校へ
2.空飛ぶ車の被害が更に甚大に
3.指輪の力で唯一の無傷、そして暴れ柳を手懐けるエリナ
4.イドゥンの弟初登場


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