Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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ダイアゴン横丁まで投稿します。


第2話 イギリスへの帰還

ここは、ホグワーツ魔法魔術学校の校長室。この部屋には、複数人の男女がいた。白く長いひげ、折れ曲がった鼻をした老人、緑の帽子をかぶった魔女、ねっとりした髪を持つ男性、この中でも一際小さい老人、ずんぐりしていて、ふわふわと散らばった髪に継ぎ接ぎだらけの帽子を被っている女性、ターバンを頭部に巻いている男性、その他多数。

 

 何をしているのかというと、簡単に言えば会議である。ただ、その内容が極めて重要だった。白いひげの老人もといアルバス・ダンブルドアは全員に見られながら重い口を開け始めた。

 

「さてと。皆、突然で申し訳ないのじゃが、エリナ・ポッターの名前は知っているであろう?」

 

全員が頷く。当然だ。英国魔法界では老若男女、その名を知らぬ者などいるわけがない。というか、知らない方がおかしい。例のあの人を打ち破った生き残った女の子なのだから。

 

「今回の話は、彼女の双子の兄であるハリー・ポッターについてじゃ。」

 

 彼は10年前、謎の男とハグリッドとの間に起った空中戦にて空から落ちて死んだ筈だ。何故死んだ人間についての話題になるのか。それは、次の発言で明らかとなる。

 

「うむ。その事についてなのじゃが……彼女の双子の兄であるハリー・ポッターが生きておる事が最近になって分かったのじゃ。ようやく彼の居場所が分かっての。故に、彼を今年入学させたいと思っておる。皆には面倒を見て欲しい。正確には入学というより、留学になる訳じゃが。」

 

 周りがざわついた。当然だ。死んだと思っていた人間が生きていて学校に招くと言ったのだから。ダンブルドアに対して、どういうことだ説明しろと無言で睨む者までいる始末だ。

 

「ハリーが落ちた場所が運良くハイキングに来ていた者たち通りかかっていたようで、その者達の手で保護されての。その者たちの組織が、この国のマグル世界だけでなく全世界に大きな影響を与えているロイヤル・レインボー財団なのじゃ。その組織のトップが、昔ホグワーツを卒業してマグルの世界に渡ったアラン・ローガーじゃ。」

 

「アルバス!それは本当ですか!?それはつまり、アランがハリーを育てていたと。そうおっしゃりたいのですか!?」

 

「うむ。確かな情報じゃ。じゃが彼は、魔法界に見切りをつけておる。魔法使い、特に少しでもマグルに偏見を持った者がロイヤル・レインボー財団に近づこうとすると、あらゆる仕掛けが作動するようにしているじゃ。そうと知らずに近づいた者が全治半年の重傷を負ったくらいじゃからのぉ。」

 

「そしてハリーは、今どこに!?」

 

「ロイヤル・レインボー財団の日本支部からマホウトコロという学校に通っておる。」

 

「少なくとも彼は4年間、魔法のイロハを学んでいるわけですか。」

 

「それにハリーは、他の同年代の魔法使いよりも使い方や制御に優れておるようじゃ。マホウトコロの校長が、誇らしげに言っておった。」

 

一旦区切るアルバス・ダンブルドア。また口を開く。

 

「あの者の様になるとは絶対に思ってはおらん。じゃが、彼がどう転ぶかは見当がつかぬ。故に、この中の誰かに早く行ってもらおうと思っておるのじゃが。」

 

 今度はシーンとなった。ハリー・ポッターの保護者は、英国魔法界の魔法使いを招かれざる者としての認識を持っているらしい。

 

「失礼ですが校長。貴方が直接出向くのが良いのでは?」

 

 ねっとりした髪を持つ男性が、ダンブルドアに進言する。

 

「アランは、わしを信用しておらんのじゃよセブルス。残念ながらアルフレッドの一件があった以上、わしが行っても火に油を注ぐだけなんじゃ。」

 

「ではどうするのです?」

 

「うむ。そこで、マクゴナガル先生の出番というわけじゃよ。良くも悪くも公平性を持つ彼女なら、ハリーのいる場所に辿り着くことが出来るじゃろうて。」

 

「そうですか、分かりましたアルバス。一度、ハリーと話をしてみましょう。私であれば、アランも融通を聞かせてくれるかもしれません。」

 

 マクゴナガル先生と呼ばれた緑の帽子をかぶった魔女が頷く。

 

「お任せしますぞ。それでは次の話じゃ。皆にはもうすでに伝えておるが、フリットウィック先生がこれからの余生を有意義に使いたいとおっしゃっていての。今年度で退職される。」

 

 フリットウィックという小さな老人は、この教師陣の中では結構な古株である。その彼が退職をするということは、呪文学とレイブンクローの寮監の後釜を探さなくてはいけない。しかし、ダンブルドアはすでに後任を探し当てていた。

 

「後任は誰になるのかという疑問を持つ者もおるじゃろう。安心するがよい。フリットウィック先生からの推薦があった。それに、その者からも了承の挨拶は頂いておる。」

 

「それは誰ですか?」

 

「レイブンクロー出身の卒業生で10年に一人の逸材と言われた闇払いのフォルテ・フィールド君じゃよ。彼は卒業してから4か月で闇払いの訓練を修了させた。そこからまた5年近くは軽犯罪を中心に取り締まりを行い、治安をよくしたのじゃ。23歳と若いが、実力と知識、人格、全てにおいて申し分ない。これ以上の適任はいないはずじゃ。」

 

「みなさん、彼であれば私の後も難無く引き継ぐことが出来ますぞ。勿論、私も時々フィールド君のフォローや特別講義にも参加しますからな。」

 

 フリットウィックがキーキー声で他の先生方に伝える。

 

「では、伝える事は以上になるかの。これにて解散としよう。」

 

 そんなわけで教員会議は終了し、一人また一人と会議の場になっていた校長室から出ていく。マクゴナガルも出ていこうとする。

 

「ミネルバ。もしかしたら、ハリーの将来は君やアランの決断で未来が変わってくるのかもしれん。わしは、出来るならハリーを救世主として育てたいのじゃよ。」

 

「普段なら占いは不確定要素が多くて胡散臭いので信用は出来ませんが、私の目の前で告げられたあの予言は恐らく本物なのだと思います。ええ、流石に直感で分かりましたとも。それでは、ハリーに会って参ります。」

 

 マクゴナガルも出ていき、ダンブルドア唯一人になった。彼は、憂いの篩いを取り出す。ある予言が記録されている記憶を注ぎ、内容を確認する。

 

『7の月が死ぬ時に生まれる闇の帝王を倒す選ばれし者と同じく、同じ両親の下に世界に変革を齎す切札も誕生する。魔を殺す異物を自らの糧とし、一度眼は闇へと誘われながらも、母なる眼を新たに得る事で永遠の光を手にするだろう。城を護りし者と魔法界を見限りし者の決断によって、平和を齎す救世主にも滅びを齎す破壊神にもなるであろう。』

 

 この記憶は、マクゴナガルの物だ。トレローニーとの最初の顔合わせの際に二人きりになったときに予言を下したという。すぐさま自分の所に持ってきてくれた。切札を導けるのは、ミネルバともう一人の人間しかいないと感じているダンブルドアであった。

 

「リリー。君の眼は、ハリーの助けになる筈じゃ。今、わしの下で管理しておる。勝手に回収している事に対して許してほしいとは思っておらん。じゃが、このままでは失明する可能性があるかも知れん。」

 

 最初は、自分が導く存在だと思っていた。ならば、何故自分の下で行われなかったのか。必ずしも城を護りし者とは自分とは言えないのではという可能性も考えた。なので、直に聞いたマクゴナガルに任せたのだ。願わくば、救世主としての使命を全うしてほしいものだとダンブルドアは思った。そして、失明もして欲しくないとも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハリー視点

 

 1991年7月14日。イギリス・イングランド南東部、イースト・サセックス州西端。ブライトン。イギリス有数の知名度と規模を持つシーサイド・リゾートで観光都市。

 

 ホテルにレストラン、エンターテインメント施設が多数存在する。もう一つの側面として、教育施設も充実している。故に学生が多く、パブやナイトクラブも多くある。

 

 話を戻そう。そのブライトンに一際大きなビルが建っている。一見大きいだけかと思われる。しかし、それはマグルの見識に過ぎない。そこは、ロイヤル・レインボー財団の本部。魔法使いと魔法の存在を知っているマグルの交流場所でもあるんだ。

 

俺は、3日前まで日本の新宿にいた。日本支部がそこにあったからね。ホグワーツへの留学が決まって、日本を離れる事になった。そこで出来た友達とも、別れる事に。ただ、定期的に連絡はしようと言ったし、長期休みで日本に来る事もあるからとも伝えておいた。お別れ会も4日前に終わらせ、翌日の早朝に成田からロンドンに直通で向かったのだ。

 

 ふと手紙の中身を、もう一度目を通しておく。

 

『親愛なるポッター殿

この度ホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。教科書、並びに必要な教材のリストを同封致します。

新学期は9月1日に始まります。7月31日必着でふくろう便にてのお返事をお待ちしております。

敬具

副校長ミネルバ・マクゴナガル』

 

 物心ついた状態でここに来るのは、初めてだぜ。日本と同じ感覚で外を出回ると、スリにも遭うからなあ。気を付けなきゃ。

 

 すると、義祖父ちゃんもといアラン・ローガーが入って来た。

 

「義祖父ちゃん。いつダイアゴン横丁へ行くの?」

 

 早速聞いてみた。

 

「そうだな。ダイアゴン横丁の事だが、お前の誕生日辺りを予定している。ただ、返事を送る前にホグワーツの誰かが来るかもしれないな。」

 

「どんな人?」

 

「私の仕掛けたものでは、魔法使いがあまり来ないようにした。そして、少しでもマグルに偏見や差別意識を持った者が近づくと重火器や対魔法絶対防壁、ありとあらゆる攻撃呪文が作動する仕組みになっている。私の知る限り、ダンブルドアを除けばミネルバ・マクゴナガル辺りが来るかもしれない。」

 

「成る程。信用出来る?」

 

「他の教員よりはだいぶマシと言ったところだろうな。」

 

 俺は、その言葉を聞いて、ビルのオフィスから外を見渡す。海が見渡せた。青く美しいそれを、実母のリリー・ポッターから受け継いだ明るい緑の瞳が写していた。

 


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