Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章 作:純白の翼
第1話 ホークラックス
俺の名は、ハリー・ポッターだ。1992年7月1日。今、ブライトンにあるロイヤル・レインボー財団本部のビルでしばしの一時を過ごしている。海に遊びに行くのも良いが、これから義祖父のアラン・ローガーと義姉のエイダ・ローガー、2人の義兄のイーニアス・ローガーとアドレー・ローガーと話がある。
その話と言うのが、クリスマス休暇の時に俺が独断で処理した髪飾りの調査結果についてだ。一連の出来事を詳細に書いた手紙を同封してだ。科学者のような服装をしたイーニアス義兄さんが、これしか考えられないと、断言したのだから。それを、俺達は聞くためだ。
早速、会長室に入る。ノックをして、入室した。もうみんないるようだ。俺は、会長室に飾ってある不死鳥の騎士団の集合写真がある場所の近くに腰掛けた。
何故、ダンブルドアに対して良い感情を持ってない義祖父ちゃんの部屋にこんなものがあるかというと、最初のお孫さんが不死鳥の騎士団に所属していたそうだ。所属してすぐに消息不明になったそうだけどね。その話をした時は、とても悲しそうな目をしてたから、それ以上は聞かなかった。
「皆さん。遅れてすみませんでした。」
「良いのですよハリー。私達も、さっき来ましたから。」
黒髪黒目の腰まで伸びている髪と日本の着物を着ることで気品さを出している女性が、エイダ義姉さんだ。
「さて。」
義祖父ちゃんが全員集まったところで口を開く。
「今回皆を呼んだのは他でもない。ハリーが私に送ってきた闇の魔術がかかっていた髪飾りについてだ。イーニアス、調査結果を。」
「はい、お爺様。それでは、発表をしよう。ハリーが、ロイヤル・レインボー財団に送ってきた物だが、髪飾りに起ったことと出来事を照らした結果、ある闇の魔術にかかっていた可能性が極めて高い。いや、と言うより99.99%確実だ。」
「ある闇の魔術ですか。イーニアス、勿体ぶらずに話してください。」
エイダ義姉さんが、報告を促す。
「姉上。これは、殆どの人間が知ることのないのです。闇の魔術の中でも最も邪悪と言われている。それは、『ホークラックス』です。」
「ホークラックス?兄上、それは一体どういう物でしょうか?」
アドレー義兄さんが、まるで聞いたのは初めてという風に聞いてきた。
「別名分霊箱。魔法界の中でも、最も邪悪な発明と言われている。自らの魂を半分に引裂き、片方を己に戻して、もう片方を別の場所に宿しておく事で己の消滅を防ぐ闇の魔術だよ、アドレー。」
「魂を分ける!?そんな事が!?」
俺は動揺した。アドレー義兄さんとエイダ義姉さんは、ヴォルデモートが自身に施した闇の魔術のあまりのおぞましさに息を飲んでいた。特にアドレー義兄さんは、嫌悪の感情を露わにしている。
「普通、魂を分けようとする者なんていませんよハリー。ちゃんとした一生を全うする方が望ましいに決まっています。」
「その通りです。姉上。そんな事をやりそうなのは、我々の知る限り一人しかいない。お爺様はもう、お分かりですよね。」
「ヴォルデモート…………いいや。トム・マールヴォロ・リドルと言いたいのかな、イーニアスよ。確かに奴ならやりかねないだろう。私を屈服させる為に、あらゆる闇の魔術を学んでいったのだから。使っているならともかく、概要位は知っていてもおかしくはないな。」
「11年前に、ヴォルデモートはハリーの妹、エリナ・ポッターに対して死の呪文を唱えた。しかし、それは2人の実の母、リリー・ポッターが死に際に残した愛による護りの魔法によって、ヴォルデモート自身に跳ね返った。ハリーによれば、そこら辺の下等生物にも劣る魂、或いは霞とも言えるくたばり損ないと化してたようだが。」
「ちょっと待ってください兄上!死の呪文が跳ね返ってきたとして、何故ヴォルデモートはハリー達の前に現れたのですか?死の呪文が来たら、問答無用で死にます!!」
「普通なら、確かにその通りだよ。アドレー。だが、奴がホークラックスを使っていたなら、この約10年間生きていたのも頷ける。引き裂かれた魂は何の損傷も受けていない。それに、ハリーから開心術で見せて貰った賢者の石の戦いの状態からして、ホークラックスか残っている上で肉体を失った状態と全く同じだった。」
アドレー義兄さんが言葉を失った。
「その、分霊箱を壊す方法ってあるのですか?イーニアス義兄さん。」
俺は、率直な疑問を投げかける。
「手段は少ないが、ちゃんと存在する。まずは闇の魔術の1つ、悪霊の火。これが一般的な対策だ。訓練と適性次第では、誰でも使える。」
悪霊の火は分かるな。と言うかあれ、分霊箱壊せるのか。知らなかった。と、いう事はまさか…………確かに悪霊の火を研究して作った呪文だけど。
「もう1つは、バジリスクの牙。派生の手段として、それを取り込んだゴブリン製の武器も可能。」
「バジリスクの牙?あのバジリスクの事ですか?」
エイダ義姉さんが、イーニアス義兄さんに聞いている。
「正確にはバジリスクの牙から分泌される腐食性の猛毒で、不死鳥の涙でしか中和出来ません。」
「そうですか。」
「そして、ハリーが使った手段。」イーニアス義兄さんが、俺をじっくりと見る。
「え?俺?」まさか。
「そう、ハリーが悪霊の火を元に更に発展改良させた。元の悪霊の火を焼き尽くす目的で作られた闇の魔術、邪神の碧炎。」
「あ、あの呪文にそんな効果が!?」
「その様子だと、本当に知らなかったようだね。」
「そんな!闇の魔術対策に作ったのに、実際はそれを上回る闇の魔術だったなんて!!」
悪霊の火から守りたい人を守る為に作った。それがよりによって、闇の魔術という最悪の呪文を作ってしまった。俺は、邪神の碧炎なんて作るべきじゃかったと思ったわけだ。
「後悔しても、何も始まらない。それに、闇だからって別に忌むべきじゃないよ。そもそも、あれは大切な人達を守る為に作ったんだろ?」
「確かに、大切な人を守りたいために作りましたけど。」
予想はしてたが、かなりショックだよ。
「そう、ハリー。闇の魔術というのは、いずれも強力な攻撃魔法が多数存在している。それを悪事に使うフォイカスの様なクソ共の事を闇の魔法使いと呼んでいるんだ。悪意を以って使わなければいいんだよ。ハリーが入れ込んでいる日本にはね、こういうことわざがある。『毒を以て毒を制す』と言う言葉が。まだ、ヴォルデモートの一味は全滅してない。これから復活して、大ぴらに振るうだろう。その時に、その力は必要になる。要は、使いようだよ。」
「そうです。人は、光や善だけを持っていても成り立ちません。闇や悪も持っています。ですが、心の持ちようでどちらかに傾けられます。自分を信じなさい。」
「はい。取り乱しちゃって申し訳ないです。」
「むしろ、12歳になりかける段階でここまで考えるあたり、流石だけどね。」
アドレー義兄さんは、俺の事を褒める様に言う。
「話が大分逸れてしまったようだ。分霊箱だね。幾つ作ったのは分からないが、ある仮説を立てられる。」
「ある仮説?」俺が聞く。
「そう。分霊箱になったのは、レイブンクローの髪飾りだ。まさか、ホグワーツの必要の部屋にあったとは。」
「それから何が?」アドレー義兄さんは、分かってない。実を言うと、俺もだ。
「ヴォルデモートは恐らく、ホグワーツ創設者の持ち物を分霊箱にしたという仮説を立てられるんだよ。」
「という事はイーニアス。つまりあなたが言いたいのは、グリフィンドール、スリザリン、ハッフルパフ由縁の品も分霊箱化されている可能性があると?」
「そういう事です姉上。あくまで可能性ですが。」
「由縁の品って一体どんなものが?」
「アドレー、それはな。ハッフルパフは金のカップ、スリザリンはSの付いた金のロケット、グリフィンドールは剣だ。」
イーニアス義兄さんが解説してくれた。
「これからは、それも探さなくてはいけないという事ですか。」俺が呟く。
「それに、ヴォルデモートの素性と軌跡も調査しなければな。由縁の品以外でも、分霊箱になったものはあるだろうし。」
「一体幾つ作ったと思いますか。皆さん。」俺がみんなに聞いてみる。
「考えられるとしたら、おそらく6ではないかと思いますよ。本体を含めて魂の数は7かと。」
エイダ義姉さんが、即答した。
「7の根拠は?」
「7は、魔法数字で一番強力なものと言われているからです、ハリー。」
「成る程。」と、アドレー義兄さん。
「願掛けみたいなものと言うわけですね。」と、イーニアス義兄さん。
「6つ作ったのか。それじゃ、あんな残念マスクになってもおかしくはないな。」
義祖父ちゃんが、独り言のように言った。
「取り敢えずは、今後の方針が決まった。4人に分霊箱を探してほしい。ただハリーは、学業を優先すること。暇な時でよろしい。他3人も、仕事やプライベートを優先しなさい。時間が空いてるときで構わない。私は、ヴォルデモートの情報収集を行う。財団の諜報部にも任務で向かわせてみよう。そして、過去を知っていそうな人にも私が直接説得しにいく。それでいいかな?」
「「「「了解です。」」」」
「それでは、解散しよう。」
こうして、会議は終了した。
1ヶ月以上も待たせてしまい、本当に申し訳ありませんでした!
そのお詫びになるか分かりませんが、本日は午後にも投稿します。楽しみにしててくださいね!