Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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これにて、賢者の石が完結します。


第24話 1年生修了

 俺は翌日、学校を散歩していた。その時にゼロ、グラントと再会した。互いの戦いのやり取りを教え合った。すると、ゼロは体が風そのものになった事、グラントはあらゆる動物に変身する能力を発現させたと言った。

 

俺も、自分の中に存在するW-ウイルスの力の事を話した。こんな人知を超えた能力を持った者同士なら、話しても問題無いだろうと判断したから。実際、2人も俺を今まで通りに接してくれた。俺もだ。

 

 自分達の力を見せ合った。俺は目の色が赤くなったし、いつもより運動能力も上がった事を見せた。風となったゼロに触ってみたけど、本当に風に触っているようだった。グラントは、狼、クロコダイル、サイ、ライオンの順番で変身したのだ。圧巻だったな。グラントは、この能力で芸を磨けば食っていけるんじゃないのかな?

 

 その後は雑談をした。ニンバス2000にも交代しながら乗った。2人の感想は、乗り心地が良かったとの事。

 

 エリナは、更にその次の日に目覚めた。ダンブルドアの爺さんとの会話を今さっきまでしてたらしい。それが終わって、ロンとハー子の3人で入っていく。俺は、ジジイを完全無視した。それに目を使って、アンタは信用出来ないし、協力もしないという気持ちも伝えておく。ジジイは、どこか苦い顔をしていた。俺は、マダム・ポンフリーに「幻覚呪文」をかけて15分確保した。

 

「エリナ!」

 

 ハー子が抱き着こうとするが、仮にも怪我人なので思い留まった。

 

「僕が気絶した後はどうなったんだい?」ロンが聞いてきた。

 

 俺とエリナで何が起こったのか、一部始終を話した。

 

「あなた達兄妹には、驚かされるわね。でも、石を壊しちゃったのね。フラメル夫妻は死んじゃうのね?」

 

「でもね、ハーミー。校長先生が、『心の整理整頓が出来た人には、死は未知の冒険に過ぎない』って言ったんだ。」

 

「だから言ってるだろう。ダンブルドアは狂ってるって。」

 

 ロンは、自分の尊敬するヒーローの変人っぷりに酷く感心していた。

 

「ま、ロンの言ってる事も強ち間違っちゃいないな。」

 

 俺は、遠回しにダンブルドアをディスった。

 

「それに、別の視点から言ってしまうと、エリナが賢者の石の所に行くように仕向けたかも知れんな。現に、父様のマントをクリスマスに送ったのだし。」

 

 俺が、考察をみんなに伝える。ま、ある程度は本当なんだけどな。ダンブルドアは、時々エリナを対ヴォルデモート用の最終兵器として見ていることがあるからな。だから、エリナの完全な味方ではあれど、ダンブルドアの下で活動はしないし信用もしないと本人に言ったのだ。

 

 俺の言った事に対して、ハー子はカッとなった。当たり前だ。同性の中で一番の親友をそんな風に扱った事に対してだ。

 

「もしハリーの言ってる事が本当だったら、ダンブルドアはエリナに対して死ねばいいって言ってるようなものじゃない!場合によっては殺されてたかもしれないのに。」

 

「う~ん。どうなんだろうね。でも、校長先生は何でも知っているような感じで言ってくるからね。それよりも、さっきゼロとグラントも来てくれたんだ。2人とも、ハーミーに手こずったんだって。結局傷つけちゃいけないのもあって、3人共ノックアウトだったんだ。でも、あの2人も凄かったね。」

 

「だな。……そうだエリナ。クィレルの事は聞いたか?あいつ、変態ヘビに加担した事、ハー子に許されざる呪文を使ったから、アズカバンに送られるってさ。しかも終身刑だそうだから、歩けるんだったら行こうぜ、アイツの所へ。」

 

「クィレル先生が!?早くいかないと!でもマダムが……」

 

「心配無用。その為の俺だからな。」

 

 再び幻覚呪文で、退院していいという暗示をかけた。

 

「便利過ぎない?」

 

「あまり使わないけどな。結構魔力使うし。じゃあ、ロンにハー子。俺ら行ってくるわ。」

 

 外に出ると、魔法省に連れて行かれる寸前のクィレルがいた。

 

「ポッター君、ポッターさん。」クィレルが穏やかな笑みを俺達に向ける。

 

「クィレル先生。」

 

「加担だけなら懲役で済んだかもしれないが、あなたは……」

 

「私は、君達の説得で正道に戻れた。そして、私が今まで犯してきた罪を生涯償っていく覚悟が出来たよ。感謝している。」

 

「もう会えないんですか?せっかく、理解し合えたのに……」

 

 エリナがクィレルにそう聞く。

 

「いや、離れていたとしても繋がりがある事が分かったんだ。例え一生アズカバンで過ごすことになっても、もう私は逃げないし、生きる事を諦めないよ。」

 

「エリナ。クィレル教授がここまで言ってるんだ。覚悟の上なんだろう。」

 

「そういう事だよ。ポッター君、いや、ハリーの言うとおりだ。少しの間、君達と言う理解者や光が出来ただけでも、私は幸せだ。エリナ。さあ、もう行きなさい。お別れの時間だよ。」

 

「ハリー、行こう。クィレル先生。1年間、ありがとうございました。」

 

 エリナが、ペコリとお辞儀をした。俺も後ろを振り向いたが、止まったままだ。最後に言いたいことを言った。

 

「必ず、生きて帰ってきてくださいよ。それに、少しの間ではないです。心の中に、俺達の存在を留めておいていただきたいですね。」

 

「約束しよう、ハリー・ポッター君。」

 

 こうして、今学期の闇の魔術に対する防衛術の教師と、別れた。だが、生きている限り、必ずどこかで会えるはずだ。きっと。そうであると信じたい、そう思った俺だった。

 

 翌朝。大広間に向かう。来た時には、殆ど満員だった。そして、直ぐにダンブルドアが出て来て、話をし始めた。

 

「また1年が過ぎた!1回、ご馳走にかぶりつく前に、老いぼれの戯言をお聞き願おう。まずは、寮対抗杯の表彰じゃ。4位 ハッフルパフ 452点。3位 レイブンクロー 462点。2位 スリザリン 472点。そして……1位 グリフィンドール 592点。」

 

 グリフィンドールのテーブルから割れんばかりの歓声が上がった。早く終わってくれ。

 

「おめでとう!グリフィンドールの諸君!よくやった!そして、つい最近の出来事も勘定に入れようかと思っておる。」

 

 大広間全体がシーンとなった。

 

「駆け込みの点数をいくつか与えよう。まずは、ハーマイオニー・グレンジャー嬢。火の中と言う危機的な状況で冷静な論理を用いてパズルを解いたことで、グリフィンドールに50点!」

 

 ハー子は腕に顔を埋めた。嬉し泣きだろうな。

 

「次にハリー・ポッター君。ホグワーツ始まって以来の洗練された箒の腕前と、魔法使いとして大切な物に気付いた事で、グリフィンドールに50点!」

 

 俺はカウントされないと思ったがな。恩でも売るつもりか。

 

「グリフィンドールはこれで以上じゃ。続いては、スリザリン!」

 

「え?」と、ロン。

 

 あれ?ロンは何したっけ。本人は、ショックを受けている。

 

「燃えるハートと素晴らしい体力を以って、このホグワーツを守り抜いたグラント・リドル君に100点!」

 

 スリザリンから歓声が上がった。

 

「お、俺よぉ。100点貰うなんて初めてだ。」

 

「良かったですわね。グラント。」イドゥンが労いの言葉を贈る。

 

「次に、レイブンクロー!その気高き魂と並外れた努力で得た魔法で、友を一切傷つけずに救出したゼロ・フィールド君に110点を与える!」

 

 今度は、レイブンクローから歓声が上がる。ゼロは、呆然としていた。近くの上級生が、ゼロの頭を撫でる。

 

「そ、そんな大した事は……」

 

「すげーよゼロ。フォルテ先生だって、1度にそこまで貰った事ないんだってよ!」

 

 7年生が高らかに叫んでいた。

 

「最後にハッフルパフのエリナ・ポッター嬢。」

 

ダンブルドアの言葉で、部屋中が水を打ったようにシーンとなった。

 

「並外れた勇気と勇敢さ、そして内に秘めた優しさで絶望の淵に堕ちていた敵を救い、そして許した。いくら善良な者でも、そこまで出来る者はそういない。その完璧なる精神力を称え、ハッフルパフに140点を与えたい。」

 

 最下位から、一気に2位に繰り上がった。ジャスティンとアーニー、ハンナとスーザンがエリナを揺らす。他のハッフルパフ生も、生き残った女の子がそれだけの事をやった、やはり彼女は大物だと思っている。

 

 何をしたは知らないが、余程良い事をしたのだ、と言うのがハッフルパフのみならず殆どの生徒の認識だ。

 

「え、いつも失敗ばかりしてたのに、ボクに……140。」

 

「エリナ。今は喜んでいいと思うわ。」ハンナが言った。

 

「そうですよ。1位は取れなかったけど、2位になれたんです。あなたを誇りに思います。」

 

 と、ジャスティン。

 

 こうして、4つの寮に得点が入った事で、全員が幸せそうな表情になった。あのスリザリンでさえもだ。その夜は素晴らしい物となった。今夜の事は、永遠に思い出に残るだろう。そして、あの呪文の発動もしやすくなるだろう。

 

 試験結果が張り出された。1位はイドゥンだ。100点満点のテストで1教科150点と言う有り得ない数字を得ている。つまり7教科で1050点を叩き出したって事だ。2位はゼロ。大きく落ちるが、7教科で956点は充分規格外過ぎる。3位はハー子。847点。俺は4位だ。845点。シエルは6位、マルフォイは7位、ロンが10位である。エリナが13位、グラントは25位だった。見知った奴は、結構良い成績になっていた。

 

「ハリー。見てくれてありがとう。」

 

 エリナがこれでもかと言わんばかりのお礼を俺にしてきた。まあ、本人のやる気や興味を引き出しの後押しをやっただけだがね。

 

「別にそこまでしてない。俺としちゃ、成績に興味ないけどな。最低限進級出来る位に加減しておくべきだったかな?」

 

 洋服ダンスはあっという間に空になっていた。それからホグワーツ特急に乗った。キングズ・クロス駅に数時間後に到着。

 

プラットホームを出るのに少々時間が掛かったが、何とか俺達の番になって出て行った。先を見ると、ローガー家の面々が出迎えてくれた。相変わらず、イーニアス義兄さんは多忙なのか、来てないけど。

 

「ただいま。皆さん、帰りました。」

 

「お帰りハリー。どうだったの?ホグワーツは?」

 

 黒目で茶髪のパーマをしているアドレー義兄さんが聞いてきた。

 

「まあ、それなりに楽しめたよ。アドレー義兄さん。」

 

「それは良かった。」

 

「そうだ、義祖父ちゃん。」

 

「どうしたハリー。」

 

「エリナを引き取っているダーズリー家の方々にちょいと挨拶に行こうと思ってて、義祖父ちゃんにも一緒に来て欲しいんだ。」

 

「分かった。行ってみようか。」

 

 俺は、エリナと一緒にいる3人の所へ義祖父ちゃんと共に向かった。首長の女性の顔が、少し青くなった。父様でも思い出したのかな?1回対面した事はあるだろうしね。

 

「ミスター・ダーズリー。初めまして。私、ハリー・ポッターと申します。あなた方の事は、エリナから聞いております。」

 

「フン、小娘の実の兄か。メガネよりは随分とマシだが、変な奴と一緒に来おって。小娘、さっさと行くぞ。お前の為に1日の時間を……」

 

「私がその、変な奴もといロイヤル・レインボー財団の会長をやっているアラン・ローガーと申します。以後、お見知りおきを、ミスター・ダーズリー。」

 

 義祖父ちゃんは、バーノン・ダーズリーに名刺を差し出した。その瞬間、バーノン・ダーズリーの顔が真っ青になった。英国魔法界以外の魔法界にも大きな影響を持つ、全世界におけるロイヤル・レインボー財団のネームバリューは並大抵の物ではないからだ。そんな組織のトップを変な奴呼ばわりして、さっそう後悔したのだろう。

 

「そ、その世界有数の財団のトップが私に何か用ですか?」

 

 さっきとは打って変わって平身低頭になった。調子の良い豚野郎だな。

 

「幾つか言っておきます。エリナを追い出したりしない様に。それが後々、あなた方の為にもなります。それに、私の実の孫も同然の存在であるハリーの家族は、私の家族でもあります。エリナに関しては、7月中にお迎えに上がります。後日、その旨の連絡は詳しく送ります。要件は以上です。」

 

 義祖父ちゃんが言った。ダーズリー達は、というかバーノン・ダーズリーは悟ったようだ。エリナのバックにロイヤル・レインボー財団がいる事。少しでも残酷な扱いをしたと分かった時は、持ち得る力を使ってそれ相応の報いを受ける事になると。

 

 ダーズリーを破滅させる気なんてさらさらないんだけどね。一つは、エリナにかかった母様の愛による護りの魔法の継続。17歳までだ。変態ヘビからエリナだけじゃなく、ダーズリー達も守ってくれる。もう一つは、エリナ本人がプリペッド通りでかなり良好な関係を築けている。問答無用で報復をやったら、1番悲しむのはエリナなのだ。守るつもりが、傷つけたらそれこそ本末転倒。なので、家と呼べる場所だけは少しでも環境の改善は出来る様にしておけと促したのだ。

 

 彼らは、エリナを連れてさっさと帰っていった。

 

「今まで色んな奴を見たけど、あそこまでヤな奴を見るのはマルフォイ以来だ。」

 

 俺は、ダーズリー達の後姿を見ながら吐き捨てるように呟いた。

 

 その後、ウィーズリー家の人に挨拶をした。セーターをありがとうございましたと伝えた。続いて、グレンジャー夫妻にも挨拶をして、ブライトンに帰っていった。義祖父ちゃんが、宿題を終わらせたら1年ぶりの日本へ行こうかと提案したのだ。よし、さっさと宿題を終わらせて懐かしき日本へ行こうと決意した俺であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは絶海の孤島。魔法使いの監獄、アズカバン。軽犯罪から殺人、許されざる呪文使用者で溢れ返っている。

 

 今日、ここに新たな受刑者が入ってきた。クィリナス・クィレル。闇の帝王の野望への加担及び生徒への許されざる呪文使用の罪で、終身刑を食らった。だが、クィレル本人はそれを潔く受け入れたのだ。そして、独房に入っていく。

 

「君が新入りかい。ここの看守のせいで殆どの受刑者はおかしくなるんだ。まあ私は、ある方法で正気を保っているから意味はないんだけどね。それでも、話し相手に飢えているのさ。一方的なって済まないが、何をしてここへ?」

 

 クィレルの隣の男が気さくに話しかけてきた。その男は、使い回された包帯で左目を覆い隠している。

 

「私は、ホグワーツにいました。取り返しのつかない事をしてしまいました。しかし、私はそれでも生きると決めたのです。ハリーとエリナという、私の2つの光と希望が存在している限り。」

 

「え?」

 

 男が、静かになった。

 

「今誰の事を!?」

 

「ハリーとエリナですが。」

 

「まさか、その2人の姓はポッターじゃないのか?」

 

「そうですが、どうされたのです?」

 

 男が狂ったように叫び出す。

 

「ハリー・ポッターに……エリナ・ポッター。もうそこまでの時間が経ってたなんて。……おい吸魂鬼!ここから……ここから私を出せ!!私は……いや俺は、エリナの後見人だ!ハリーは別の人間が担当しているが、それでも私の息子も同然だ!!ここから出せ!ここから出しやがれえええええええええええ!!」

 

 この日以来である。1人のアズカバンの囚人の叫びが絶え間なく響き渡る様になったというのは。

 




賢者の石編。今まで読んでいただきありがとうございます。次は秘密の部屋に移るわけですが、ストック作りと、しばらくのリフレッシュをしたいなと思っております。

じゃあいつになるんだという話になるわけですが、年が明けたら再開出来る様に全力でリアルでの作業も、執筆の作業も頑張っていきたいなと思っております。

ちゃんと今作を含めた3部作を完結出来る様にしていく予定ですので、お楽しみください。

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