Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章 作:純白の翼
汚いパブで酒を飲んでいるハグリッドがいた。マントを着た男は、ハグリッドに接触した。
「さて、お酒をどうぞ。全部私のおごりです。」
マントの男が気前よくハグリッドに酒を勧めていた。
「おお、すまんな。」
ハグリッドは、この時既にベロンベロンに酔っていた。
「あなたは、何をされているのですか?」
「おう、俺は森番をやっちょる。」
「森番ですか。では、色々な動物を飼っていそうですが、どんな種類を飼っていらっしゃるのですか?」
「本当に色々だ。数え切れんくれぇにな!」
「これからどんな動物を飼っていきたいのですか。差し支えなければお答えください。」
「俺は、ほんとはずーっとドラゴンが欲しかった。出来るなら、そいつを飼ってみたい。」
マントの男が、朗らかな笑みから邪悪に満ち溢れたものに変わったのを、俺は見逃さなかった。顔は見えてないが、雰囲気で分かる。
「実はですね。とあるルートで、ドラゴンの卵を手に入れましてね。あなたに譲ってもいいかなと思っています。正直、こんなもの私には無用の長物ですので。」
「ほ、ほんとか!?くれるのか!!?」
「ええ。ただ、私とのトランプで勝ったらの話ですがね。」
男は、トランプを手際よくシャッフルした。慣れた手つきでやっているな。そして、ダイヤの3をハグリッドに見せた。
「どうすればくれるんだ?」
「まあそう慌てずに。ポーカーで、賭けをしましょう。ジョーカー入りの、3回勝負でどうですか?」
「その話、乗った。」
男が再びシャッフルをする。超感覚呪文で視力を強化して流れを見てみる。この男、カードの並び順を自分の思い通りに操る技「ストック・シャフル」を使っている。自分が勝つつもりなのか。
いや、違う。わざとハグリッドを勝たせる気だ。それで、気を緩ませるのか。かなりのやり手だな。そう思ってる内に互いの手札が5枚になった。
「配りましたよ。好きに変えてください。私は2枚。」
「お、俺はこのままでいい。」
「では見せ合いましょうか。」
見せ合いをする。男はバラバラのブタ、ハグリッドは9とKが2枚ずつのツーペアだ。ここでは、ハグリッドが勝った。
「お見事です。では2回戦。」
今度の結果は、男の手札は10が3枚、Qが2枚のフルハウス。対してハグリッドは、クラブのフラッシュ。男の勝ちだ。
「おやおや、私の勝ちのようですね。このままでは負けるかもしれませんよ。仮に勝ったとしても、ちゃんと飼えなきゃダメですがね。どこにでもくれてやるわけにはいきません。」
「でぇじょうぶだ。フラッフィーに比べたら、ドラゴンなぞ楽なもんだ。」
「ほう?それはどういう?」
「フラッフィーなんか、なだめ方さえ知ってりゃ、お茶の子さいさいよ。」
「どんな方法を?」
「なーに、簡単な事さ。ちょいと音楽を聞かせてやれば、すぐにおねんねしちまうがな。」
男が狂気に満ちた笑みに一瞬変わったのが分かった。俺は思った。ハグリッドのクソ野郎。しっかりとネタバレしてんじゃねえか、と。
お互いにカード交換が済んだようだ。互いに手札を差し出す。
「嘘だろ!?ここに来て、ロイヤルストレートフラッシュだと!?」
思わず声をあげてしまった俺。しかも、スペードだ。最強じゃねえか。
「フフフフフ。どうやら私の勝ちのようですね。」
「俺は、これだ。」
俺は目を疑った。そして忘れていた。このゲーム中、ジョーカーを手札の中に入っていたことを。ハグリッドの手札は、9のカード4枚に加えて、ジョーカーが入っている。つまり、ファイブカード。ポーカーの役では、ジョーカーが存在するときに限って成立するロイヤルストレートフラッシュの上を行く役だ。
「バカな!?ここに来て、ファイブカード!?ありえない!!」
「よっしゃ。俺の勝ちだ!卵をくれ。」
「ですが、勝負は勝負。いいでしょう。この卵は、あなたに差し上げます。あなたは、相当運に恵まれているようだ。マスター、ここに代金を置いていきます。余分にあるのは、彼の分です。残りは、チップとしてあなたに渡します。では、私はこれで。」
マントの男は出て行った。それと同時に、意識を現実の世界に戻す。
「やっぱり漏らしてやがったか!」
「お、俺は漏らしてねえ!」
「嘘つくな!何が、『ちょいと音楽を聞かせてやれば、すぐにおねんねしちまうがな』だ!」
俺がハグリッドにそう言うが、驚きはした。だが、別に気にもしてない。どれだけ鈍感なんだこの半巨人は。それに、ハー子は事の重大さに気づいたようだ。
「ハリー、いまいち状況が読み込めないんだが。」
グラント、ロン、エリナの3バカはまだ気づいてない。
「よく考えなさいよ!元々ドラゴンが死ぬ程欲しくて堪らなかったハグリッドの所に、そんなに都合良くアズカバン収監レベルの法律違反モノのドラゴンの卵を持った人間がホイホイ現れる訳ないでしょう!」
ハー子が、バカ4人衆に怒鳴るように言った。
「ハー子、そこはフォイフォイと言って欲しかったんだが。」
俺がツッコむ。
「黙りなさい!」
「フォイ……」
そのとき、状況を呑み込めていない皆顔が赤くなったり、青くなったり、黄色くなったり、白くなったりした。あ、赤青黄白だ。
「「「「そういう事か!」」」」
グラント、ロン、エリナ、ハグリッドの4人は、ようやく事の重大さに気づいた。
「恐らくそいつ、賢者の石目当てでハグリッドに接触しただろうな。」とゼロ。
「スネイプだ!いつも僕達に対して、ボロクソ雑巾を見るような目で見ていびってくる!アイツに違いない。」
ロンが、叫ぶように言う。気持ちは分からくもないが、私情が入っているぞ。
「せ、先生方の筈がねえ!あれを護ってるのは先生……」
「先生だろうが、誰だろうが関係ない。それよりもハグリッド。テメエ、ダンブルドアからの仕事を全うしたいのなら、もう少し自覚して仕事しやがれ!!」
俺が、気迫を込めて言い放つ。ハグリッドは、しゅんとなった。
「ナイロック!」
飼っているフクロウの名を呼ぶ。
『どうしたんよ旦那。」
『ダンブルドアとマクゴナガルにそれぞれこの手紙を渡して来い。緊急事態だと伝えるんだ。』
俺は、手紙を2通ナイロックに手渡す。
『急いでくれよ。』
『分かったんよ。』
ナイロックは飛び去った。
「ハリー。お前、フクロウと会話出来んのか?」とゼロが聞いてきた。
「あのナイロックだけとしか会話できない。だが、奴の通訳を通じて動物の言いたい事は分かってくる。」
「すげえ。」と、グラントが感心したように言う。
その後、俺達7人は校長室前に集まった。マクゴナガル先生はもうやってきていた。全員来たのを見計らって、糖蜜パイと叫んだ。校長が菓子好きだったのにようやく気付いた俺。ガーゴイル像が動き出し、螺旋階段が現れる。ここは、最初の頃と同じだな。奥には、ダンブルドアが待ち構えていた。
それから、俺達は一連の出来事を伝えた。ハグリッドは、何も言えないようだ。
「先生、本当にすんませんでした。」
「全くです、ハグリッド。ミスター・ポッターの言うとおり、もう少し自覚と言うものを持ちなさい!あなたは50年前にもアクロマンチュラを……いえ、この話は置いておきましょう。」
ホッホッホとダンブルドアが突然笑う。
「校長。アルツハイマーを発症したのですか?」とゼロ。
「お前、サラッと失礼な事言わなかったか?」俺が聞く。
「気のせいだ。」
「話は分かった、ハグリッド。犬の対処法に関しては仕方がない。それより問題はその卵をどうするかじゃが。」
「私でよければ、ドラゴンの卵を今すぐ叩き割る事も出来ますが。」
「ちょ、ストップストップ!ハリー、これから生まれるドラゴンちゃんに罪はないよ!このまま殺すなんて、あんまりだよ!」
エリナが、反論する。
「それじゃ、一生お前がこのドラゴンの面倒でも見るのか?」
「うぐっ。そ、それは……」
そういえば、とグラントが呟く。
「ロンの2番目の兄貴って、ドラゴンキーパーだったよな。その人に頼めば良くね?」
みんながそれだ、という表情を見せる。
「俺としたことが、早とちりし過ぎた。」
「全くよ。」とハー子。
「チャーリー・ウィーズリーの事ですね。確かに、彼ならば快くそのドラゴンを引き取ってくれるでしょう。アルバス、それでどうでしょうか?」
「ふむ、それでいこう。わしが、チャーリーに手紙を書く。それで良いな、ハグリッド。」
「はい。よろしくお願いしますだ、先生。」
そんなんで話はついた。この後、対処の正確さを評価されてそれぞれに10点ずつ加算された。その後、卵が孵り、しばらくはハグリッドが育成していた。途中、マルフォイに見つかった事もあったが、俺とグラントで対処した。グラントがボコボコに痛めつけた後に、俺がドラゴンに関する記憶だけを忘却呪文で消去。それに加えて、幻覚を見せる呪文で裸一貫となった沢山のスネイプに襲われる所を見せた。マルフォイはしばらくの間、スネイプに近寄る事が出来なくなったらしい。
そんなこんなで、土曜日の真夜中になる。俺達6人は、誰にも見つかる事無くチャーリーにノーバートを託す事が出来た。そして、それぞれの寮に戻っていった。
原作との相違点
1.賭けのやり取り追加。これは、原作に無いオリジナル要素。
2.ドラゴンの事をちゃんと先生に報告。法律が絡んでくる為、単独では対処不可能とハリーは判断。先生に報告する。
3.それによって減点は無し。逆に、加点された。
4.ドラコを無効化。しばらく、彼はスネイプに近寄れなくなった。