Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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第18話 ドラゴンの卵

 クリスマス休暇も終わり、再び学校が始まる。早速、ハッフルパフとの試合があった。エリナには悪いが、ささっと終わらせてしまおう。よりによって、審判スネイプだからな。

 

 試合当日、自分で言うのもなんだが、前代未聞の短さでスニッチを掴み、ゲームセット。開始から5分くらいだった。今年のグリフィンドールの優勝は確定した。

 

 だが、思いもよらぬ知らせがハー子から来た。エリナが試合観戦後に、スネイプがクィレル脅しているのを見たと言ってきた。ロンとハー子は、それを聞いてクィレルが脅されていると信じ込んでいた。しかし、エリナは訳ありじゃないかなと言ってたし、ゼロとグラントは半信半疑と言う感じだった。

 

「ハリーはどう思う?」ハー子が、俺に意見を求めてきた。

 

「確かにスネイプが怪しいという可能性も否定出来ない。だがな、教師を始めた時からあんな感じだったそうだ。それは、先輩方やフィールド先生から聞いている。だが、クィレルはな。昔はちゃんと堂々としてたらしい。それが、1年間の休暇で今の感じだそうだ。短い期間で、あそこまで人が変わるか?余程の事がない限りは、絶対にありえないね。だから、俺は強いて言うなら寧ろクィレルの方が怪しいな。個人的には、スネイプであって欲しいがね。」

 

「ほお、スネイプをいつも憎悪を込めた目で見てるかと思ったら、ちゃんと論理的且つ理性的な意見も持ってるんだな。」

 

「聞こえてるぞ、ゼロ。」

 

「ごめんごめん。」

 

「で、だ。俺はフクロウにホグワーツの探索をいつもさせているんだが、4階に行く度に本体がターバンの、負け犬根性丸出し男がいつもいると言っててな。だから、クィレルの方が怪しいって思ってるわけ。」

 

「おったまげー。ホグワーツの都市伝説の一つ、徘徊するフクロウの真相がこんな所で解けるなんて。」

 

 ロンが面食らったように言った。

 

「ハリー。ニコラス・フラメルって知ってる?」と、エリナが聞いてきた。

 

「ああ、665歳の錬金術師のジジイか。そいつがどうしたんだ?死ぬのか?だったら、西に関する物と桜と酒でも用意するか。」

 

「そういう事じゃなくて!!」エリナが怒る。

 

「何故そいつの名が出てくるんだ?」

 

「そ、それはね……」

 

 エリナが告白する。どうやら、禁じられた廊下の犬と仲良くなったらしい。そのことをハグリッドとお茶をしたときに言ったそうだ。ところが、どうやってフラッフィーと仲良くなったと聞いてきた。どうやら、ギリシャ人から貰ったという、守るために。何を?と聞くが、首を突っ込むなと言われた。そのはずみで、ニコラス・フラメルの名前を聞いたのだという。

 

「そんな事が。」

 

「調べようにも、どこを探せば良いのやら分からなくて。ハーミーにも手伝って貰ったんだけど、中々見つからなくて。」

 

「それで、俺に聞いてきたのか。」

 

「どうやって知ったの?」

 

「ナイロックがクィレルから盗み聞きしてな。その後に、思わぬところで名前を見つけたわけだ。」

 

 蛙チョコレートのおまけカードと、大きな古い本を渡す。

 

「え、ダンブルドア先生の!?」

 

「裏面の説明文に書いてある。」

 

 5人は、裏面を読んでいく。そして、見つけたようだ。

 

「凄い!でも、何で教えてくれなかったのさ?」

 

 ロンが質問する。

 

「お前ら、俺に聞いて来なかったじゃん。」

 

 冷静な口調で質問を返す。

 

「「「「「…………あ。」」」」」

 

「もう1つ手渡した本にも書いてあるぞ。」

 

 今度は本の方に意識を集中させた。

 

「あったわ。これよ!『ニコラス・フラメルは、我々の知る限り、賢者の石の創造に成功した唯一の者』。」

 

「じゃあ、賢者の石を護ってるってことなのかい、ハーミーちゃん?」

 

「そうよ、グラント。」

 

 こうして、何で4階に行っちゃいけないのかの理由が分かった5人。だが、石ばかりに意識を集中させるわけにもいかなかった。期末テストが迫っているのだ。ハー子は、10週間前から、周りに準備しろと言ってきていた。皆うんざりした顔をしている。イースター休暇に宿題がどっさりと出されたが、俺は必要の部屋で宿題をこなす事にした。

 

細胞分身(セラーレ・ディバリット)。」

 

 自らの細胞から、6体の自分を生み出す。それぞれが、オリジナルである俺と同じ能力を持っている。何で6体かって?履修科目が7科目で、残る6科目を分身にやらせることにしたのだ。しかも、『終われ(フィニート)』を使えば自然と消える。それと同時に、分身の経験したことも俺に還元する能力がある。これで、宿題を終わらせる時間を短縮させることが出来るってわけだ。

 

 少しオーバーヒートしかけながらも、無事に全ての科目を1日で終わらせた。疲れも入ってくるんだよな、これ。もう休むか。

 

 翌日、悠々自適に過ごしていると、エリナから宿題で分からない所を手伝ってと頼まれた。

 

「何の教科が分からないんだ?」

 

「ボクね、変身術と妖精の魔法、薬草学、闇の魔術に対する防衛術、天文学はもう大丈夫なんだ。魔法史と魔法薬学が分からなくて。」

 

 おバカや出来損ない扱いされているエリナだが、実を言うとここ最近の成績が伸び始めている。というか、得意な事と興味のある事に対する集中力に関しては、ホグワーツの中ではかなり上位だ。いや、異常とも言える。それが相まって成績が良くなってきたのだろう。

 

「分かった。じゃあ、やっていこうか。」

 

「ありがとう!」

 

 残りのイースター休暇は、主にエリナの勉強に費やすことになるだろう。この2つだけは、本当に壊滅的だからだ。

 

 そんな日々が続いたある日、図書館で勉強を見ていた。既に宿題を終わらせているのが俺に、ハー子、ゼロだ。それぞれ、エリナ、ロン、グラントを見ている。その時、ハグリッドが来た。エリナは、「賢者の石」について聞こうとした。だが、ハグリッドは後で小屋に来いと言っただけだった。

 

 外に出る。さっきまでは風も無かった。でも、強風が吹き始めた。風に関するものが、ゼロの能力なのだろうか?

 

 6人で小屋に入る。前来たときは、冬が来る前だったとはいえ、寒かった。でも、今回は逆に蒸し暑い。暖炉では火がぼうぼう燃え、その真ん中には大きな黒い卵があった。何だ、あれは?

 

 俺以外の5人は入って早々、ハグリッドに石の護りについて尋ねた。ハグリッドは何人かの先生の名前を挙げた。主に寮監の先生だったわけだ。それぞれに罠をしかけた事、犬のあやし方は自分とダンブルドアしか知らない事を語った。

 

「それで、ハグリッドさん。犬のあやし方ってどうするんですか?」

 

「意味あるのか?エリナにすっかり懐いているみたいだし。」

 

 俺は、グラントにもう質問いらなくないかの意味で聞いた。グラントって、目上の人間や見るからに強そうな奴には、敬語を使うのか。やけにハグリッドに対して低姿勢だし。

 

「何かあったときに備えてだよ。」

 

「うんにゃ。音楽を聞かせればいいんだ。…………っていっけね!これ、言っちゃいけないんだった。すまんが、秘密にしてくれよ。」

 

 おい、口軽過ぎだろ。それに、何かドラゴンに関する本を持ってたな。まさか、あの卵って。

 

「そんなことよりもハグリッド。あの卵、どこで手に入れた?俺の予想だとそれ、ドラゴンの卵だと思うぞ。それも、途轍もなく凶暴なノルウェー・リッジバック種のものだ。あれがばれたら、即座にアズガバン行きだぞ。」

 

 俺が言おうとしたことを、ゼロが先に言った。しかも、卵だけで種類を特定しやがった。

 

「賭けに勝ったんだ。昨日の晩、ホグズミード村のホッグズ・ヘッドってとこに行って、ちょっと酒を飲んで、知らない奴とポーカーをしてな。はっきり言えば、そいつは厄介払いできて嬉しそうだったがな。」

 

 おいおいおいおい、見るからに怪しいじゃねえかよそいつ。

 

「どんな奴だったんだ?」

 

 俺が問い詰める。

 

「分からん。マントを着とったからな。」

 

「ホグワーツの事に関して、何かゲロっただろ?」

 

 ゼロが、続け様に質問する。

 

「うーん、話したかも知れんし……うんにゃ話してないかも知れん……分からん、思い出せん。」

 

 俺は、ゼロと視線を合わせる。もしかして、ゲロったかもしれないと。最悪の状況も想定しないとダメだなと送った。ゼロも俺の言いたいことを察したようで、コクりと頷いた。ちなみに、残りの4人は質問の意図ややり取りに関してチンプンカンプンだった。

 

「仕方ない。悪いがハグリッド。その時のやり取りを見せてもらうぞ。開心!レジリメンス!!」

 

 ハグリッドの心を見る。警戒心が全くないので、すんなりと入れた。

 


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