Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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ハロウィーンの後半です。ハリーが途中参戦する都合上、全てエリナの視点で描かれます。


第15話 ハロウィーン(激闘編)

 それは、ハリーが湖の畔でボク達兄妹の両親に対する感傷と黙祷を捧げていた数時間の間の話。ボクは、授業が終わった後に荷物を自分の談話室の部屋に預けて大広間に行った。 

 

 ハーミーは、どこ行ったんだろう?ハリーも箒を持ってどこかに行っちゃったみたいだし。でも、豪華な飾りつけに思わず感動してハロウィーンのこと以外は考えられなくなった。かぼちゃの中の炎がちらつき、幾千のコウモリの大群等幻想的な空間が広がっていた。

 

 そして、夕食のときが始まる。入学式と同じように突然金色のお皿がに乗ったご馳走が現れた。それからは、色々食べた。グラタンにシチュー、ジュース、ケーキ、タルト等々。主にカボチャ尽くしだったけど、美味しかった。カボチャの料理以外だと、オバケの形をしたピザ、ハムやチーズ等をハロウィーンのモチーフをくり抜いて載せた、可愛らしいクラッカー、皮付きポテトに何故か焼き肉、その他もろもろ。

 

 これからデザートにカボチャのプリンタルトをのせて食べようとすると、クィレル先生が全速力で大広間に駆け込んできた。チャームポイントのターバンは少し歪んでいて、顔は恐怖で引き攣っている。まあ、いいか。いただきます。

 

「トロールが……地下室に……お知らせしなくてはと思って。」

 

クィレル先生は倒れた。周りが大混乱になる。ダンブルドア先生が杖の先から紫色の爆竹を何度も爆発させて、静かにさせた。その間、ボクは食事中は一種のトランス状態になるのか、全く混乱しなかった。

 

「監督生よ。すぐさま自分の寮の生徒を引率して寮へ帰るのじゃ。」

 

 と言うわけで、寮に帰ることになった。スーザンとアーニーが食べ物よりも命を優先してくれ、という説得で、渋々帰ることにしたんだ。

 

 あれ?そういえば、ハーミー知ってたっけ。このこと。……まさか。行かないと!!!

 

 ボクは、ハッフルパフの列を離れて地下室へ向かった。でも、ハーミーを心配してたのは、ボクだけじゃなかった。何と、ロンとゼロ、グラントも同じだった。

 

「あれ、みんなどうしたの?」

 

「あ、エリナも来たんだ。ハーマイオニーがトロールの事は知らないだろうから、知らせに行こうかと思って。」

 

 ロンが答える。

 

「グレンジャーは知らないはずだ。何時間もトイレに籠りっ放しだからな。」とゼロ。

 

「だから、ハーミーちゃんを助けに行こうってわけだったのさ。」グラントが続ける。

 

「僕達3人で行こうと決めてた矢先に、君が来たってわけ。」

 

「じゃあ、ボクも行く。ハーミーはお友達だもん。行って良いかな?ロン、ゼロ、グラント?」

 

「3人よりも4人の方が良いに決まってるぜ、エリナちゃん。」グラントは了承した。

 

「じゃあ、行こう!って、そういえばハリーは?」

 

「見てないな。箒を持って、外に出て行ったとこまでしかな。」ゼロが答える。

 

「夕食の時いなかったよ。いつも一緒だったのになぁ。どこで何をしてんだろう?」

 

「まあ、ハリーに限って死ぬって事は無いだろうから、さっさと行っちゃおうよ。」

 

 ボク達4人は、地下室の女子トイレの入り口前まで来た。悲鳴が聞こえる。ボク達は、最悪の事態を思い浮かべる。まさか、と思いながら扉を開けると……

 

 そこには大きなトロールがいた。今まさに、棍棒をハーマイオニーに振り下ろそうとしている所だった。

 

「こいつをお見舞いしてやる!攻撃せよ(フリペンド)!!」

 

 ゼロは、自分の杖から白い光をトロールに発射する。トロールに直撃したが、大したダメージは与えられていない。

 

「やっぱ、この杖だけの専用呪文。その中の最弱レベルじゃダメだったか。」

 

「で、でもこちらに引き寄せる事は出来たんだし、今はこれで良しにしようよ!!」

 

 ボクは、ゼロを思いつく限りの言葉で励ます。

 

「そうだぜ、ゼロ。ハーミーちゃんから遠ざけられたんだ。ここは、俺に任せろ!」

 

 グラントは、何やら大きな重火器を取り出した。

 

「グラント。それ、何?」

 

 ボクが聞いてみる。知っている銃よりも大きいなと言う印象しかない。

 

「リトル・ハングルトンの警察署からくすねてきたM79 グレネードランチャーだ。」

 

「何ちゅう物騒なもん持ってんだよお前は。」とゼロ。銃の存在は知っているらしい。

 

「で、それでどう戦うの?」

 

 ロンが尋ねる。マグルの武器、ましてや重火器なんて見たことはある筈もない。

 

「へへ、榴弾を装填して、トロールをぶっ飛ばす。」と言いながら、セットした。

 

「FUCK YOU!ヒャッハー!!」

 

 狂気の笑みを浮かべながら、汚い言葉を吐き、トロール目掛けて榴弾を発射した。腹のあたりに直撃。さっきよりは効いているが、決定打にはなっていない。

 

「さっきの弾はもう一個あるか?」

 

「ゼロ、実はあれ一発だけ。後は無し。」

 

「「「ふざけんなー!!」」」

 

 ボクは、ロンとゼロと一緒にグラントを軽くリンチした。グラントは、「ずびばべんでひは(すみませんでした)。」と謝罪した。

 

「ハーミー、早く、走って!」ボクは力いっぱい叫んだ。

 

 でも、ハーミーは恐怖のあまり動けないらしい。恐怖で口を開けたまま、壁にピッタリと張り付いた。しかも、ハーミーを再びターゲットにしたようだ。

 

こうなったら一か八か。後ろからトロールに飛びのく。

 

「エリナ、何をしてるんだ!?」

 

 ゼロが叫んでいたが、今は気にしない。ボクは、自分の腕をトロールに巻き付けた。気にしていないので、自分の柊の杖をトロールの鼻の穴に突き刺す。

 

 流石に痛みでうなりを上げ、トロールは棍棒をメチャクチャに振り回す。ボクは、何とかしがみ付く。だけど、時間の問題だ。少し力が緩んだ時、トロールはボクを振り払った。そして、棍棒で強烈な一撃を食らわせようとする。ロンが、ゼロが、グラントが、ボクの名を呼んで叫んでいる。

 

 ああ、結局ダメだった。もう死ぬのかなと、思ってしまった。

 

「諦めるな!」

 

 静かだが、はっきりと強い力のある声が聞こえた。それに、棍棒による一撃は永久に来なかった。トロールの手から棍棒が紅の閃光によって弾き飛ばされたからね。また、ボクは硬い地面に叩き付けられることはなかった。支えているのは、温かい手だ。グリーンの瞳が、優しくボクを見つめている。

 

「ようやく間に合ったよ。危機一髪って奴かな?」

 

そこには、夕食には姿を見せなかったハリーがボクをお姫様抱っこで支えている。

 

「ハリー。今までどこにいたの?どうしてここに?」

 

「別の場所で随分時間を食ってたんだよ。帰って来てみれば、トロールの侵入で大騒ぎ。グレンジャーを助けに行く許可は、マクゴナガル先生に貰っているわけだ。詳しい話はまた後にしようか。こいつ、片付けるぞ。エリナ、立てるか?」

 

「う、うん。助けてくれてありがとう、ハリー。」

 

「礼には及ばないさ。ロン、ゼロ、グラント。お前らは大丈夫か?」

 

「最高のタイミングだぜ、ハリー!」とグラント。

 

「ある程度ダメージは与えたが、決定打にはなってないけどな。」

 

 ゼロが、簡単に状況説明する。

 

「うん。大丈夫さ。」ロンが、元気よく答える。

 

「よし、ここは俺に任せろ。麻痺せよ(ストゥーピファイ)。」

 

 今度は、赤い閃光を右手に持った杖で放つ。トロールに当たる。気絶するが、間を持たずまた意識を取り戻す。

 

「成る程。腐っても頑丈と言うわけか。ならばこれだ!妨害せよ(インペディメンタ)裂けよ(ディフィンド)!!」

 

二つ連続で呪文を詠唱するハリー。トロールの動きが止まり、体の至る所が切り傷でいっぱいになる。トロールは、苦しんでいる。

 

「ロン、最後にやれ!いいか、ビューン、ヒョイだ!!」

 

「ウィンガーディアム・レビオーサ!!」

 

 さっきハリーが弾き飛ばした棍棒を、ロンが浮遊呪文で持ち上げる。空中の限界点まで高く舞い上がる。そして、ゆっくり1回転してトロールの頭にぶつけた。トロールは、うつぶせに伸びてしまった。

 

 一連の出来事を見ていたハーミーは、やっと口を聞いた。

 

「これ、死んだの?」

 

「まさか。ノックアウトされただけだろ。」と返すハリー。

 

 ハリーは、トロールの鼻に刺さっていたボクの杖を引っ張り出す。自分の杖を使って「清めよ(スコージファイ)!」と唱えて、ボクの杖を綺麗にしてくれた。その後に、「熱を持った水よ(アクアメンディ・フェルベンティス)!」と唱える。すると、ハリーの杖から熱い水が出てくる。それを、ボクの杖に念入りに掛けた後にボクに返してくれた。

 

「綺麗にしとくだけだと、菌が残っているからね。熱湯消毒しておいたよ。」

 

「あ、ありがとう。」

 

 双子の兄が潔癖症なのを初めて知った。

 

 そう思った直後、足音が聞こえた。マクゴナガル先生にスネイプ先生、クィレル先生がやってきた。クィレル先生は、ヒーヒーと弱々しい声を上げた。スネイプ先生は、トロールを覗き込んでいる。マクゴナガル先生は、ハリーとハーミー以外をじっくり見つめている。どうやら、これまでになく怒っているようだ。

 

「ミスター・ポッターとミス・グレンジャー以外のあなた方は、どういうつもりですか?それに、ミスター・リドル。その手に持っているのは何ですか?」

 

 静かだが、怒りに満ち溢れている。

 

「誰も死ななかっただけ運が良かった。何故寮に帰らなかったのです。ミスター・ポッターに関しては、私が許可を出しましたが。」

 

「私としても、グレンジャーの他にも人がいたのは予想外です。」

 

 事務的にマクゴナガル先生に伝えるハリー。

 

 ヤバい雰囲気だなと感じた。ハリーが何か言おうとしたが、言う事はなかった。ハーミーが理由を伝えたからだ。

 

「私が悪いんです!4人は私を探しに来てくれました。私が、トロールを探しに来たんです。優秀な私なら一人で出来ると思いました。トロールに関しては、本で読みましたので。」

 

 皆驚いた。ハーミーは、掟やルールを重視するタイプだからだ。いざという時は、そっちよりも身内や友達、仲間を優先するハリーとは真逆なんだ。それなのにハーミーは、ボク達を庇ったんだ。

 

「4人がいなかったら、今頃死んでいました。駆け付けてくれた時には、殺される寸前で……その後にハリーもやってきて、武装解除呪文に失神呪文、妨害呪文に切り裂く呪文でトロールを牽制してくれてロンが浮遊呪文で倒してくれました。」

 

「そういう事でしたか。ミス・グレンジャー、グリフィンドールから5点減点します。」

 

「しかし、他の5人は見事です。それぞれに10点。ミスター・ポッターは20点差し上げましょう。そして、リドル。それは何ですか。」

 

 重火器の事をグラントに尋ねる先生。

 

「こ、これは……」

 

「グラント。お前の持っている武器、グレネードランチャーか?」

 

「え?ハリー知っているのか。」

 

「ああ、名称までは知らんが、種類は分かる。」

 

「ポッター。それは、どんなものですか。」

 

「マグルの戦争で使われているものですよ。そこに装填する手榴弾があります。こいつは、主に手で投げて使う爆弾で、人員の様な非装甲目標に対してはかなり有効的な武器ですね。また、発射装置は必要ありません。故に、歩兵の標準装備となっています。グレネードランチャーとは、手榴弾をより遠くに飛ばす装置と言ってもいいでしょう。」

 

 ハリーとグラント以外の全員が青ざめた。そんな危険なものを11歳の子供が持っていたなんて。それだけでも問題だが、よりによって使っているのだ。

 

「ハリー、一つだけ質問。」

 

「何だエリナ。」

 

「手榴弾で、人は死ぬの?」

 

「戦争で使われる位だ。命だって奪う。死を免れたとしても、体の一部分が使い物にならなくなる事もある。それに、これは2回の世界大戦でも使われていたんだ。」

 

 世界大戦の事はマグルの世界の知識を少しでも持っている人ならば、その凄惨さは嫌と言うほど知っている。

 

「ともかく、リドルの持っている武器は没収すべきですぞ、マクゴナガル教授。ポッターの言っている事が本当なら、子供が持って良いような物ではありませんからな。」

 

 しまった。すっかりスネイプ先生の事を忘れてた。

 

 そういうわけで、グラントはグレネードランチャーを没収された。そして、帰る事になった。

 

「皆、ありがとう。」ハーミーが感謝の言葉を告げる。

 

「別にお前を助けたくて助けたわけじゃない。死人が出ると、俺の中で後味が悪くなるからそうしただけだ、覚えておけよグレンジャー。」

 

 ハリーがそう言う。実は、妖精の魔法の後でのロンの暴言を止められなかった責任感を少なからず感じているんだよね。ハーミーをうっとうしいと思ってたのは本当だけど、死ねばいいのにと言うほど嫌っているわけじゃないんだ。言い方さえマイルドにすれば、という事を除けば、ハリーはハーミーを高く評価している。何でそう感じるかって。まあ、兄妹だから、かなあ?

 

「あなたには感謝しきれないわ、ハリー。それから、私の事なんだけどね。これからは、ハーマイオニーって呼んで。ハーミーでもいいわ。何か愛称があったらそれでもいいし。」

 

 ハリーはキョトンとする。しばらく考え事をしてから、ハーミーにこう告げた。

 

「分かった。ハーマイオニーは長ったらしいから、これからはこう呼ばせてもらうわ。…………ハー子。」

 

 一瞬皆の頭がフリーズした。その直後、大爆笑した。

 

「い、意外過ぎるあだ名だなwww」ゼロは、キャラ崩壊レベルで笑っている。

 

「ちょ、ネーミングセンスが酷い。」と、ロン。

 

「ハー子って、お前www」グラントは、四つん這いになって大爆笑している。

 

「プッ、アッハッハッハッハッハッハッハ!!」ボクも、思わず吹き出してしまう。

 

「何なのよ、そのあだ名!?」ハーミーは、唯一怒っている。

 

「別にいいじゃん?」と、ハリーはあっさりと言う。

 

 こうして、それぞれの談話室に戻る6人。この日ハーミーが、本当の意味でボク達のお友達になった。

 


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