Harry Potter Ultimatemode 再会と因縁の章   作:純白の翼

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これは2つに分けます。


第9話 組み分けの儀式(前編)

 扉がパッと開く。エメラルドグリーンのローブを着た背の高い女性が現れた。ああ、マクゴナガル教授か。一方でエリナは、直感でこの先生の前では下手に振る舞うのはやめようと心に誓っていた。

 

「マクゴナガル教授、イッチ年生の皆さんです。」

 

「ご苦労様です、ハグリッド。ここからは、私が彼らを預かりましょう。」

 

 マクゴナガル先生は、扉を大きく開けた。彼女に続いて、生徒達は石畳のホールを横切っていった。そこら辺の家なんて丸々入りそうな程にホールが広い。石壁は、行ったことはないがグリンゴッツ同様に松明の炎に照らされている。そして、天井はどこまで続くのか分からない位に高い。壮大な大理石の階段が正面から上へと続いていた。

 

 マクゴナガル先生は、ホール脇の小さな空き部屋に1年生(おれたち)を案内した。

 

「ホグワーツ入学おめでとう。」と、挨拶をする。

 

 そこから話は続くわけだが、4つの寮と寮生が家族みたいなもの、学年末に最高得点を取った寮には寮杯を与えるとの事だった。肝心の組み分けのやり方は教えてくれなかったが。まあ、今まで魔法と縁のない奴だってそれなりにいるんだろうし、そこまで理不尽なものではないだろうな。

 

 身だしなみを整えておくようにと言い残してマクゴナガルは部屋を出て行った。みんなは、不安そうな顔で組み分けの方法について話し合っている。グレンジャーは呪文を早口で繰り返していたし、ロンは試験のような物、とっても痛いらしいだろうとエリナとグラントに言っていた。そこに、ロンが俺に話を振ってきた。俺は予想したことを周囲に述べていく。

 

「正直知らんな。義祖父ちゃんも、恒例の伝統行事だから当日のお楽しみだと言ってネタバレしてくれなかったからな。ただ、魔法の事をつい最近知った奴だっているんだ。だから試験はありえないな。そういう意味では、あそこにいるグレンジャーの努力は水の泡だよ。」

 

 そこで、ゼロが話に割り込んでくる。

 

「兄さんからヒントをもらったんだが、面接みたいなもんだって言ってたな。」

 

「面接……か。強ちゼロの言ってる事が一番正しいかも知れないな。」

 

 俺とゼロの意見によって、見るからに周囲からの安堵の表情が伝わってくる。おい、お前ら。そこまで不安だったのかよ。

 

 その時、エリナの後ろにいた生徒達が悲鳴をあげた。当のエリナは、30センチも飛び上がってしまったらしい。皆が何事かと見てみると、後ろの壁から20人くらいのゴーストが現れたところだったのだ。

 

「もう許して忘れなされ。彼にもう一度だけチャンスを与えましょうぞ。」

 

 そういったのは、太った小柄の修道士のゴーストだ。

 

「修道士さん。ピーブズには、あいつにとって充分すぎるくらいのチャンスをやったじゃないか。我々の面汚しですよ。しかもあいつは本物のゴーストじゃない……ポルターガイストです。おや、君達。ここで何をしているんだい?」

 

 ひだのある襟が付いている服を着て、タイツをはいたゴーストが急に一年生に問いかけるものの、誰も答えられる筈がない。

 

「新入生じゃな。これから組み分けされるところかな。」

 

 太った修道士が、1年生に優しく微笑みかけた。2,3人は黙って頷く。

 

「ハッフルパフで会えると良いな。私はそこのゴーストじゃからの。」

 

 と修道士が言った。

 

 その直後、「さあ、行きますよ。組み分けが間もなく始まります。」とマクゴナガル先生に呼ばれた。俺達一年生は大広間に連れられて行った。

 

 そこには、夢にも見たことのない、不思議で素晴らしい光景が広がっていた。何千ものろうそくが空中に浮かび、2年生以降の上級生達が座る4つの巨大な長テーブルと先生方の座る上座のテーブルを照らしていた。そのテーブルはというと、キラキラ輝く金色の皿とゴブレットが置いてあった。マクゴナガル先生は、上座のテーブルの手前までに1年生を誘導した。そして、上級生の方に顔を向けて、先生方に背を向ける格好で一例に並ばせた。俺が天井を見上げるみると、ビロードの様な黒い空に星が点々と光っているではないか。 

 

「本当の空に見えるように魔法がかけられているのよ。『ホグワーツの歴史』にかかれていたわ。」

 

 誰も質問もしてないのにグレンジャーが解説している。つくづくお節介な女だと俺は心の中で毒を吐く。

 

 マクゴナガル先生が一年生の前に4本足のスツールと古ぼけた帽子を置いた。パッと見はただのオンボロ帽子だなというのが俺の第一印象。すぐに表情を能面に戻すと、帽子はつばのへりの破れ目から、まるで口のように開いて、いきなり歌いだした。

 

『わたしはきれいじゃないけれど

人は見かけによらぬ物

私をしのぐ賢い帽子

あるなら私は身を引こう

山高帽子は真っ黒だ

シルクハットはすらりと高い

私はホグワーツ組み分け帽子

私は彼らの上をいく

君の頭に隠れた物を

組み分け帽子はお見通し

かぶれば君に教えよう

君が行くべき寮の名を

 

グリフィンドールに行くならば

勇気ある者が住まう寮

勇猛果敢な騎士道で

他とは違うグリフィンドール

 

ハッフルパフに行くならば

君は正しく忠実で

忍耐強く真実で

苦労を苦労と思わない

 

古き賢きレイブンクロー

君に意欲があるならば

機知と学びの友人を

ここで必ず得るだろう

 

スリザリンではもしかして

君はまことの友を得る

どんな手段を使っても

目標遂げる狡猾さ

 

かぶってごらん!恐れずに!

興奮せずに、お任せを!

君を私の手に委ね(私は手なんかないけれど)

だって私は考える帽子!』

 

 歌い終わった瞬間、広間の全員が拍手喝采をした。おい、これスリザリンを軽くディスってんじゃねえか。だが、誰もそこは何もツッコんではこないし、俺もノーコメントを貫いておくとしますか。

 

「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子をかぶって椅子にすわり、組み分けを受けてください。」

 

「アボット・ハンナ!」

 

 金髪のおさげの女の子が転がるように前に出てきた。帽子をかぶると目が隠れた。腰かけると……

 

『ハッフルパフ!』帽子が叫んだ。

 

「ブラック・イドゥン!」

 

 イドゥンは、かなり早い順番のようだ。今度は打って変わって、分単位でかかっているようだ。

 

「まさか、組み分け困難者って奴か。早速見れるなんて今日はつくづくラッキーだぜ。」

 

「組み分け困難者って何?」エリナがゼロに質問する。

 

「組分けに5分以上の時間がかかる生徒は『組分け困難者』と呼ばれている。それだけ優秀だって事の証さ。50年に一度の確立なんだ。」

 

 5分が経とうとした時、帽子が高らかに宣言した。

 

『スリザリン!』

 

 スリザリンのテーブルから歓声が上がった。他の寮は、大変残念そうにしていた。

 

「当然っちゃ当然だよね。」とロン。

 

「成る程。家系で組み分けたのか。」と俺は分析をする。

 

 次のボーンズ・スーザンは、ハンナと同じハッフルパフになった。その次のブート・テリーは、レイブンクローになった。そして次々と寮が決まっていく。

 

「フィールド・ゼロ!」

 

 今度は、ゼロの番になった。

 

『グリフィンドールかレイブンクローなら、どっちが良いかね?どちらか2つであれば、上手くやっていける。』

 

「レイブンクローで。」

 

『分かった。レイブンクロー!』

 

 ゼロは、テリーの隣に座った。

 

 そこからまた組み分けが決まっていく。

 

「グレンジャー・ハーマイオニー!」

 

 グレンジャーは走るようにして椅子に座り、待ちきれないといった面持ちで帽子をかぶった。しばらく時間が経つと、組み分け帽子が叫ぶ。

 

『グリフィンドール!』

 

 ロンがうめくのが聞こえた。そんなにあいつがイヤなのかよ。割り切ればいいのにさ。

 

 ロングボトムは時間が掛かりながらもグリフィンドールに決まった。あいつに勇気があるとは思えんが、何かあるんだろうか。一方で、マルフォイは「マル」と呼ばれかけた所で組み分け帽子がスリザリンと叫んで、そこに決まった。上級生どころか、先生達も呆然となったのは言うまでもない。

 

 そこから、ムーン……ノット……パーキンソン……パチル……パークス……と呼ばれていく。次は順当にいけばエリナの番だな。

 

「ポッター・エリナ!」

 




ポッター兄妹の組み分けは、次回となります。

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