「ちょ!?待って下さい!由香奈さんが『艦娘』って、どういう事ですか!?それに『平行世界』に『未来』って……」
妖夢は由香奈のカミングアウトに鳩に豆鉄砲を喰らったかの様に驚愕し、狼狽えながら『由香奈』もとい『コンゴウ』に聞くと、コンゴウは『あの作戦』が発足された根本的な原因である『とある事件』の事で自身を責める様に俯きながら妖夢達に説明した
「……少尉、この前の作戦を覚えていますか?」
「……確か……『ばったん作戦』の事ですよね、それがどうかしたのですか?」
「妖夢、それは私達の基地の中での作戦よ……本部で発令された『本当の作戦名』は……『
「……そうです、まぁ元々は『あの事件』が起きたから『今回の事件』が勃発したのですが……」
「『あの事件』?……由香奈さん、教えてくれませんか?『あの事件』が起きた経緯について……」
陸奥は『ばったん作戦』の正式作戦名『第二次蒼霧護衛作戦』について触れ、その作戦が発足され『今回の事件』に至った『切欠』言わば『全ての元凶となった事件』の内容を、ある程度把握しているのか、神妙な表情になり、妖夢は首を傾げながらコンゴウに聞くと、コンゴウは陸奥の質問を肯定し『あの事件』について妖夢に説明した
「分かりました、では簡潔に説明しますが……『あの事件』が起きた発端が少尉が此処に着任される前に起きた事件で当時、艦長……いや総司令官が此処に着任して直ぐに敵国に拉致された『此処の艦娘達』や『軍に属さない一般人』を救助した事が切欠です」
「確か……それって……よくテレビで見る『拉致被害者』って事ですね……それと『今回の事件』と、どう結び付くのですか?」
「そ……それは……」
妖夢は腕を組み、首を傾げながら質問すると、コンゴウは『この後の結末』言わば『妖夢にとって酷すぎる内容』を妖夢に伝える事に抵抗があるのか、はたまた内容が妖夢にとって過激過ぎる内容なのか、黙って俯くと、陸奥はコンゴウの心中を察し、意を決して妖夢に説明した
それは……
「彼が此処の総司令官としての『最初の任務』……『拉致被害者救出作戦』……そして、その任務中に彼の独断で行った事件『将軍暗殺事件』の事ね、コンゴウ」
「……ああ、総司令官は前任達の陰謀により敵国に拉致された艦娘達や一般人を助ける為に総司令官は拉致された全員を
「ッ!?暗殺!?大将が……あの人が!?」
……総司令官が拉致された艦娘達や市民を助ける為に敵国の将軍とは言え『人を殺した』のだ
妖夢は総司令官が人殺しをした事に驚愕し、狼狽えると陸奥は総司令官の行動に呆れたかの様に溜め息を吐き、頭を抱えながら妖夢に分かり易く説明した
「そうよ、それのせいで『敵国』及び『敵国の同盟国』の怨みを買った総司令官に
「そんな……あの人は『私達を守る事』だけではなく、拉致された人達を根本的に助けただけなのに……どうして彼だけ『こんな仕打ち』を受けないといけないのですか!!酷過ぎます!!それに陸奥さんも何故『その事』を
「ッ!?私だって彼を守りたいわよ!!恩返しだってしたいわ!!だけど……私達の力では、どうする事も出来なかったのよ!!貴女だって分かるでしょ!!これは私達だけで解決できる問題じゃ無い事を!!」
「だからって、彼への迫害を『そのまま』にしても良いと思っているのですか!!このままだと陸奥さん達を助けた彼が
妖夢は『総司令官の自己犠牲により守られている事』そして『
「落ち着け二人共、二人の気持ちは痛い程分かる……それに『
「はぁ……はぁ……『もう済んだ事』?それは、どういう意味よ……」
「はぁ……はぁ……すみません由香奈さん、私とした事が……教えてくれませんか?その『変わって来た切欠』を……」
二人は自身の冷静さを取り戻す様に息を整えながらコンゴウに聞き返すと、コンゴウは笑みを崩さないまま二人の質問に答えた
「……『今回の事件』で総司令官は当時の『憲兵司令官』言わば
コンゴウは再び淡い紫色に発光すると、コンゴウの目の前にモニターが現れると、モニターには『スーツを着た初老の男性』こと『総理大臣』と『穏和さと厳格さが合わさった風格のある御大老』こと『天皇陛下』が現れ、演説をし始めた
その内容とは……
「艦娘や市民達そして日本の為に常日頃から命を削ってまで戦ってくれている彼が『メディアに踊らされた市民達』に批難中傷され続けている事に政府の指導者……いや『一人の日本人』として恥ずかしい限りだ、彼を『
「それに彼は自身の『正義感のある行動』により市民達による誹謗中傷から部下や同胞達を助ける為に敢えて皆さんの前で『悪役』を演じ続けていたのですよ……そんな『日本人が忘れていた侍の心を持った彼』を罵る市民がいた事に私は非常に胸が苦しい思いです………」
「「………」」
……そう、総司令官の今までの行動を賛美し、彼を誹謗中傷している民衆に対して批難をしている動画だったのだ
二人は総理大臣と天皇の励ましの御言葉に少し救われたのか安堵し、コンゴウに聞いた
「……成程ね、日本の中で『一番影響力のある人』が言えば彼の迫害が収まる……という訳ね……」
「良かった……彼の本質を理解してくれる人がいて……ちなみに、その事について大将は?」
「……複雑な心境だったのか、物凄く戸惑ってた」
「うん、これは誰だって戸惑うわよ……日本の最高指導者である『総理大臣』と『天皇』が直々に御誉めの言葉を貰うと……ねぇ……それに妖夢……さっきはごめんなさい……言い過ぎたわ」
「それは私もです……すみませんでした……」
陸奥は総理大臣と天皇の御誉めの言葉を聞いた時の総司令官の心情を察した表情を安易に察し、先程の口喧嘩の件で妖夢に謝罪し、妖夢もまた陸奥に頭を下げるとコンゴウは紫色の光を抑え、モニターを消し、微笑みながら二人に言った
「……だから民衆は、その『言葉』を受け、彼を徐々にですが受け入れてくれる様になったんだ……だが悲しい事に、それでも尚、彼を誹謗中傷する連中も少なからず居るのが現実だ……では次は、この『ドック』が創設された切欠である『ある物』を見せますので着いて来て下さい」
「分かったわ」
「はい!」
二人はお互いの顔を見て微笑みながら手を繋ぎ、コンゴウの後に着いて行った
コンゴウは二人の姿を見て……
「早く行きましょ♪陸奥さん♪」
「あらあら♪迷子になっても知らないわよ」
「フッ……まるで親子だな……この二人は……」
……と二人の姿に微笑ましく思えたのは言うまでもなかった