魂魄妖夢がブラック鎮守府に着任しました。   作:姫桜

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妖夢の『最初の要望(ワガママ)』そして日常へ……

宴会が終わって1時間後 佐世保鎮守府第三前衛基地 妖夢の自室にて……

 

「はぁ~……やっぱり勇人さんと優花さんは凄いや……私も二人みたいに出来ないかなぁ……」

 

妖夢は先程の総司令官達の行動や優しさに触れた御陰で『提督としての立ち振舞い方』を知るのと同時に『自身の気持ち』を総司令官達にぶつけた事によって肩の荷が少し軽くなったのか清々しい表情になりながら押し入れから布団を取り出し、就寝準備をしていると……

 

ドンドンドン!!!

 

妖夢!!私だ!!長門だ!!大変な事になったから開けてくれ!!

 

「フヒッ!?な……何なんですか長門さん!?こんな夜遅くに……今開けますよ」

 

けたたましく扉を叩く音が聞こえ、扉を荒々しく叩いた張本人である長門が声を荒げながら言うと妖夢は長門の荒々しいノックに驚きながらも扉を開けると、長門は自身が住んでいる『艦娘官舎』から全力で走って来たのか凄い息切れをし、息を整えようと肩を上下に揺らしながら妖夢に報告した。

 

「す……すまない夜遅くに……ゼェ……実は総司令官の件だが……ゼェ……青葉から聞いたが……総司令官は青葉と夕張の件で上官にバレて……『監督不届き』として舞鶴に左還される事に……なったんだ」

 

「え……勇人さんが私達のせいで……長門さん、経緯を説明して下さい!」

 

妖夢は長門の報告を聞き、自分達のせいで総司令官が罰を受ける事を知り、混乱し、顔を青ざめながらも長門に事の経緯を聞くと長門は妖夢と同じく狼狽えながら説明した。

 

「あ……ああ……実は先程、青葉が総司令官に要件を言いに本部の執務室に訪れた時に偶々、机の上に置かれていた『大本営総副司令官直々の()()()』を見てしまったのだ……そして指令書には『明日から舞鶴鎮守府に移動せよ。彼方には連絡済である』と書かれていたのだ……十中八九、青葉と夕張の件による左還に違いない……」

 

長門は青葉が総司令官の机に置かれていた指令書の内容を盗み見で知った事を伝えると妖夢は血の気が引いたかの様に顔面蒼白になり、今にも泣き出しそうな……というより泣きながら長門に助けを求めるかの様に(すが)りながら聞いた。

 

「そ……そんな……全て私達のせいで……長門さぁぁん!!一体どうすれば良いのですかぁぁぁ!私達のせいで大将が……勇人さんがぁぁぁ!」

 

妖夢は号泣しながら長門に聞くと長門も「……すまない。こればかりは……」と悲しく俯きながら答えると偶々、近くを通り掛かった陸奥が妖夢の叫びを聞いて驚きながら部屋に入って来た。

 

「キャッ!?どうしたの妖夢……夜遅くに……」

 

「あ!?陸奥さん!?実は……」

 

 

 

 

妖夢、説明中………

 

 

 

 

「……と言う訳です。一体どうすれば良いのですか?」

 

妖夢は号泣しながら陸奥に説明すると陸奥は先程、総司令官側の加賀から全て聞いていた為、妖夢と長門の不安を一掃するかの様に微笑み、妖夢の視線に合わせる様に腰を落としながら答えた。

 

「……大丈夫よ♪すぐに戻って来るわよ♪だって、この日本を救った自慢の上官じゃないの……それに総司令官は()()()()()()()()()()()から妖夢含めて私達に佐世保(この鎮守府)を任せれると判断したから上層部の命令に従ったのよ。でなければ今頃、宴会や勉強会を開かず、そのまま大本営に出撃(カチコミ)しているわよ」

 

「しかし……やっぱり勇人さんが居ないと……色々と不安なんですよ……」

 

「そうだぞ陸奥。妖夢の指揮も素晴らしいが、あの方の指揮は最早『完全勝利が約束された戦』言わば『勝ちゲー』と言われている位、洗練された指揮だからな。各持ち場に対する適任な艦娘達への配置、常に移り変わる戦況の対応の良さ、此方の被害を無くす為の防衛処置の素晴らしさ、そして何より総司令官自身が戦場に赴く事により艦娘達の士気を劇的に向上させる等、正しく『現代の武士』と言われている男だからな……その男が居ないと妖夢だけでは無く私も不安なんだ……」

 

妖夢は俯き、長門は総司令官を軍人として高く評価しながらも妖夢と同じく俯くと陸奥は重い溜め息を吐き、呆れながら説得したが……

 

「妖夢は兎も角、姉さんは親離れが出来ない子供(駆逐艦)じゃないんだから大人(戦艦)として、しっかりしなさいよ……それに総司令官達は一週間だけ佐世保(此処)()()()だけよ……」

 

「し……しかし……」

 

「それでも……私達のせいで総司令官が……勇人さんが……それに一週間も……」

 

……やはり二人は自身のせいで『総司令官が左還される』と思っているのか、罪悪感に押し潰されそうな悲しい表情になると陸奥は二人の説得を諦め、溜め息を吐きながら言った。

 

「……そこまで言うのなら明日、佐世保を離れようとする総司令官に聞いてみたら?それに今日は、もう遅いから御先に失礼するわ……それじゃ、お休み……」

 

「あ!?ちょっ!?陸奥!?」

 

「は……薄情な事を言わないで下さいよ陸奥さん!」

 

陸奥は二人を説得しても無駄だと判断し、呆れ返りながら部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日 鎮守府正門前にて……

 

「……本当に行かれるのですね。舞鶴に……」

 

「総司令官……」

 

妖夢は『総司令官達が左還される』と勘違いをしているのか自身の艦娘達と共に悲しく俯きながら言うと事情を知っている陸奥は自身以外の艦娘達及び妖夢に微笑みながら妖夢に言った。

 

「何悲しい顔になっているのよ。総司令官達は休暇(ひま)を使って舞鶴に旅行しに行くのよ♪総司令官、お土産ヨロシクね♪」

 

「「「え!?き……()()!?それに()()!?」」」

 

「ああ。土産の確認をするが、要望は八つ橋で良いんだよな?」

 

総司令官は微笑みながら陸奥の要望を確認すると陸奥は「ええ♪」と微笑みながら答え、それを聞いた幽々子が鼻息を荒くしながら総司令官に言った。

 

「八つ橋!?勇人、私の分も御願いね♪」

 

「……テメェは此処を食糧難にさせるだけではなく、俺の懐事情(諭吉達)さえ轟沈させる気か?俺では無く紫に頼め。つーか、いい加減ポグワーツに帰れ」

 

総司令官は微笑みながら幽々子の要望を却下すると幽々子は「そんなぁ~」と言いながら肩をガックシと落とすと妖夢は総司令官達が転属ではなく旅行に行く事に安堵しながら総司令官に言った。

 

「よ……良かった……左還じゃなくて……しかし何故、舞鶴に?普通なら京都や大阪等、関西の大都市に旅行するのが普通だと思いますが?それに陸奥さんも知っていたのですか!?何故、教えてくれなかったのですか!?」

 

「あら?私は『離れる』とは言ったけど『左還される』とは一言も言ってないわよ♪」

 

「分かり難かったですよ!!はっきりと言って欲しかったですよ!!では話を戻しますが何故、舞鶴に?」

 

妖夢は昨夜の陸奥の発言について叱りつつも総司令官達が関西の大都市ではなく、敢えて舞鶴に旅行する理由を首を傾げながら聞くと総司令は妖夢の質問に少し戸惑いながら旅行の目的を答えた。

 

「……実は『ばったん作戦(蒼霧事変)』の時に親父と親父側の武蔵そして優花が重傷を負った時に舞鶴の間宮達に助けて貰ったんだ。今回の旅行は、その時の『御礼参り』として訪問するんだ」

 

「あ!?だから舞鶴の間宮さん達に渡す為に御土産用のカステラを載せてあるのですね♪なら早く行かれた方が良いですよ。幽々子様に食べられない様に……って!?幽々子様!!貴女って人はァ!!何処まで食い意地か汚いのですか!!」

 

「そうですよ西行寺さん!!これは彼方に渡す物ですから駄目ですよ!!」

 

「良いじゃないの!少し位ィ!アッチは私好みの菓子が無いのよ!吹雪!妖夢!ソレを寄越しなさい!!」

 

「「駄目ったら駄目です!!勇人さぁぁん(司令かぁぁん)!!助けて下さい!!」」

 

妖夢は総司令官達の目的を知り、納得しつつもボンネットに『闘牛のエンブレム』が張られている黒塗りの高級スーパーカー……もとい総司令官の愛車『ランボルギーニ アヴェンダドール』の助手席に座っている総司令官側の吹雪の膝の上に置かれている御土産用のカステラを強奪しようとしている幽々子を総司令官側の吹雪と共に止めながら総司令官に助けを求めると総司令官は悪意丸出しの怪しい笑みを溢しながら幽々子に言った。

 

「……其処まで言うのなら乾燥ワカメを完食したらくれてやる」

 

「ッ!?ごめんなさい!!それだけは止めて下さい死んでしまいます!!」

 

「いやいや、元から死んでるだろテメェ……」

 

「ガチの方じゃなくて精神的によ!!」

 

総司令官は悪意丸出しの怪しい笑みを溢しながら言うと幽々子は先程まで猛獣と化したと言い表す位の鬼気迫る表情から一転し何かに臆するかの様に迅速に、そして無駄の無い動きで総司令官に土下座をすると妖夢は暴走が収まった幽々子を見て総司令官側の吹雪と共に安堵し、土下座している幽々子に言った。

 

「……ったく、幽々子様もいい加減ポグワーツに戻られたらどうですか?隙間の前で待機しているハリーさんと……えーっと『スネイプ』さんでしたっけ?二人が痺れを切らしていますよ」

 

「あの~……もうそろそろ戻りたいのですが……でないと授業が……それにスネイプ先生から離れたいし……」

 

「さぁ帰るぞユユコ。彼が困っているぞ」

 

妖夢は紫が展開してくれた隙間の前で待機しているハリーと寡黙で暗い雰囲気を醸し出している黒髪長髪の男『スネイプ』の二人をチラリと横目で見ながら言うと幽々子はスネイプを見て「ゲ!?貴方まで来ているの!?」とスネイプの事が苦手なのか顔を引き釣り嫌そうな表情になりながらも仕方無く隙間に移動しながら総司令官と妖夢に託す様に二人に背を向けながらも神妙な表情になりながら言った。

 

「勇人……これから先、貴方は色んなトラブルに巻き込まれるかも知れないが必ず乗り越えていけるわ。だけど妖夢や艦娘達そして自身の為に決して無茶な事はしないで。そして妖夢、貴女……良い教官(せんせい)を持って良かったわね。彼の下に居れば必ず貴女は良い方向に導いてくれるから……だから妖夢の事は御願いね勇人……いえ『上城総司令官』」

 

「ッ!?はい!」

 

「言われなくても分かっている。だからアッチの世界……いやハリー達の事は頼んだぞ幽々子……いや『西行寺先生』」

 

「フフッ、分かっているわよ……それじゃ妖夢達をよろしくね」

 

「それでは、お邪魔しましたジョジョさん」

 

「一時的ではあるがポグワーツの食糧難を解決してくれた事に感謝するMr.カミ……カミ……非常に言い(にく)い名前だ

 

「……スネイプ先生、無理して律儀に言わなくても良いですよ。気にしていませんから」

 

「……すまないMr.ジョジョ。では失礼する」

 

幽々子は『妖夢の()』として妖夢にアドバイスをし、総司令官に妖夢の事を任せると共に彼に忠告をし、そのまま総司令官に一礼したハリーとスネイプと共に隙間ごと消えて行くと妖夢は総司令官と総副司令官を見て恥ずかしそう言った。

 

「……それじゃ勇人さんに優花さん、出発する前に一つだけ御願いがありますが……良いですか?」

 

「ん?何だ?」

 

「ひょっとしてお土産の追加?何が良い?清水寺の御守り?桜餅?」

 

「いえ、お土産ではありません……あの……その……」

 

二人は妖夢の質問に微笑みながらも首を傾げながら聞くと妖夢は指をモジモジし、小動物の様に可愛く俯き、恥ずかしそうに自身の御願いを言った。

 

それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もし仕事に差し支えが無かったら二人の事を『お兄ちゃん』そして『お姉ちゃん』と呼んでも良いですか?」

 

「………へ?たった『それだけ』か?」

 

「「ッ!?何だと!?」」

 

「……ゴファッ!!

 

……二人の事を『兄』そして『姉』として接したい事だった。

 

総司令官は妖夢の要望に呆気を取られ目が点になり、陸奥を含む妖夢側の艦娘達は妖夢の要望に驚愕し、総副司令官に関しては妖夢の『核兵器並の可愛らしさ(破壊兵器)』に自身の欲求(下心)が一気に満たされ、その『欲求(下心)が満たされた達成感による高揚な表情』を妖夢に悟られ無い様に自身の興奮を押さえ付ける様に口元から血を流し、優しく微笑みながら答えた。

 

「……フフッ♪勿論、大歓迎よ♪ねぇ勇人君?」

 

「非番の時なら構わねぇけど……人前では止めてくれよ。特にコイツらの前でソレを言うと後々、面倒な事に……いや、もう手遅れか……」

 

総司令官は何かを察し、頭を軽く抱え少々面倒臭そうに言うと陸奥は妖夢側の艦娘達を代表して二人が妖夢の要望を承諾した事に自身を押さえ付けていた『感情(嫉妬心)』が爆発し、その感情(嫉妬心)を乗せるかの様に強く重い声を荒げながら異議を唱えた。

 

「ちょっと!!昔から妖夢と西行寺さんとの付き合いのある総司令官は良いとして狡いわよ総副司令官!!私だって言われてみたいわよ!!『お姉ちゃん』って!!」

 

「「そーだそーだ!!男である総司令官は良いとして総副司令官だけ狡いぞ!!」」

 

陸奥は自身の嫉妬心を乗せながら強い口調で異義を唱えると他の艦娘達も陸奥の異義に同賛し、総副司令に異義を唱えると総副司令官は異義(ヤジ)を飛ばしている陸奥達に一喝した。

 

「ウッサイわね!!今さっき『総司令官(勇人君)権限』で承諾されたのよ!!文句あるのなら勇人君……上城総司令官に言って!!まぁ……『()()()()()』と言われている勇人君に()()()()()()だけどね」

 

「「……え!?あの妖夢の剣術の師匠をフルボッコした総司令官に!?無理無理無理!!物理的と精神的に絶対『返り討ち(フルボッコ)』されるわ!!ってか総司令官を使うのは卑怯だぞ!!」」

 

「オイ、俺は『非番』言わば『課業外』の時しか認めて無ぇぞ。後、俺を使って脅すな」

 

総司令官は妖夢側の艦娘達と総副司令官を宥めながら言うと陸奥は「だって……だって……」と悔しそうに呟きながら総司令官に言った。

 

「……私達が妖夢に言われてみたい言葉を総副司令官に取られたのよ!!今すぐ撤回して!!これじゃ私達の苦労が水の泡になるわ!」

 

「「そーだそーだ!!総司令官!!今すぐ撤回して下さい!!本当に御願いします!!」」

 

陸奥を筆頭に妖夢側の艦娘達が総司令官に懇願するかの様に異義を唱えると総司令官は陸奥達の気持ちを汲み取った上で頭を横に振り、少し呆れながら答えた。

 

「お前達の気持ちも分かるが……()()な話だ。一応、軍規則では『()()()()()において上官に対しての口言及び名称、階級並びに役職についての呼称は"両者が親族又は、それに準ずる間柄そして最低限の礼儀(マナー)があれば略称及びタメ口で会話しても良い"』……と『大本営総司令官』言わば『日本海軍のトップ』こと『三笠元帥』が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()で発令されているから俺や親父の権力(ちから)では、どうする事も出来ん……恨むなら『三笠元帥(大本営総司令官)』を恨みな」

 

「だから諦めて……ね♪」

 

「「そ……そんなぁ………」」

 

総司令官は陸奥達の異義を却下した理由である『大本営総司令官が制定した軍規則の一部』である『課業外に於ける鎮守府内部の礼儀作法の内容』に出てくる一部の言葉を強調しながら答えると陸奥を含む妖夢側の艦娘達は総司令官の説明及び総副司令官の勝ち誇った表情を見て絶望感に浸っていると総司令官側の吹雪が絶望感に浸っている妖夢側の艦娘達を見て不憫に思い、苦笑しながら小声で妖夢に言った。

 

「……少尉、司令官達だけではなく、ご自身の艦娘達(私達)にも言ってあげて下さい。御願いします」

 

「分かりました……」

 

妖夢は総司令官側の吹雪の要望に少し呆れながらも承諾し、総副司令官と陸奥達の間に入り、陸奥達の方に身体を向けながら優しく微笑みながら言った。

 

だが、それは……

 

()()()()()()、喧嘩は止めて……ね?」

 

「「「……ゴファッ!!」」」

 

ブファッ!!……に……二度も『お姉ちゃん』と……わ……我が生涯、い……一片も悔い無し……」

 

「オイ妖夢に吹雪、アイツらにトドメを刺すな。只でさえ『その言葉』はアイツらにとって『劇薬』レベルの強い効力(ことば)なのに……分かって言っているんか?それに優花、何『某拳王(ラオ〇)』の物真似をしてんだ。全員さっさと目ェ覚ませぇ!!」

 

 

スパパパパーーン!!

 

 

「「「……ハッ!?わ……私達は一体何を……」」」

 

この『混沌な状況(狂喜と絶望が入り雑じった空気)』に終止符(トドメ)……否、違う意味で『悪化』させてしまったのだ。

 

総司令官は呆れながら妖夢の『お姉ちゃん発言(ラストスペル)』により吐血し、歓喜したまま気絶した妖夢側の艦娘達及び総副司令官に『目ェ覚ませ!!』と書かれている『某半分なライダーのヒロイン』がツッコミに使われている様な緑色のスリッパで気絶している全員の頭を叩くと気絶している全員が目が覚め、叩かれた前後の時間の記憶が無いのか少し動揺しながら言うと総司令官は呆れ返ったのか重い溜め息を吐きながら妖夢に言った。

 

「はぁ~……ったく、コイツらは……まぁ良い、そろそろ出発するから留守の間は頼んだぞ。もし業務で分からない所があったらコンゴウ……じゃなかった由香奈と椛に聞けよ」

 

「はい。分かりました♪では……行ってらっしゃい『お兄ちゃん』♪お土産宜しくね♪」

 

妖夢は微笑みながら総司令官(自身の兄貴分)に言うと総司令官はフッと鼻で笑い、車のエンジンを起動させ、スーパーカー特有のカン高い排気音(爆音)を奏でながら総副司令官達に言った。

 

「……おう。行くぞオメェラ!」

 

「「「はい!では少尉……留守の間、御願いします」」」

 

「宜しくね妖夢ちゃん」

 

総司令官達は微笑みながら佐世保を出ると妖夢は総司令官達に「いってらっしゃい」と言わんばかりに天使の様な満面な笑みを溢しながら敬礼し、見送ると天龍は妖夢の笑顔に癒されたのか、顔を綻びながら言った。

 

「……しっかし、あの総司令官が妖夢の我儘をアッサリ許すなんてな♪」

 

「フフフ♪そうですね。彼との付き合いの長い私でも驚きましたからね……あの勇人さんが、こうもアッサリと……」

 

妖夢は微笑みながら天龍の言葉を返すと天龍は妖夢の笑顔に釣られ、微笑みながら提案した。

 

「……なら俺達も総司令官の事を『兄貴』そして総副司令官の事を『姉貴』と呼んでみようか?勿論、稼業外の時にな♪」

 

「あ!?それ良いですね♪今の勇人さん達……お兄ちゃん達なら……」

 

「………アリだなッッ!!その提案、乗った!!」

 

「「それ良いね♪是非とも……」」

 

妖夢は天龍の言葉に完全に吹っ切れたのか、天龍の提案である『総司令官の事を兄呼ばわり』について木曽……いや妖夢側の艦娘全員がノリノリで承諾すると総司令官側の艦娘達が妖夢達に反論した。

 

「「「駄目に決まっているでしょ天龍!!少尉は兎も角、貴女達がそんな事をしたら『正妻(私達)の威厳』が無くなるわ!!」」」

 

「「……悪ぃな、アッチの俺……その提案は無かった事にしてくれないか?俺達の所は提督(アイツ)正妻(オンナ)としてのプライドがあるからさ……勿論、俺達二人は各基地の『隔てり()』を無くす意味で賛成なんだが……」」

 

『改2になっている総司令官側の天龍と木曽』を除く艦娘達は血相を変えながら天龍に怒鳴り、二人は()()()()()()()()()()()()()()()で天龍の提案に賛成だが、自身の方の艦娘達の『妻としてのプライド』を配慮し、天龍の……妖夢達の案を凄く申し訳無さそうに一部却下すると天龍と木曽は同情しつつも苦笑しながら総司令官側の天龍に言った。

 

「あははは……違う前衛基地とは言え、あの龍田まで総司令官に夢中だったとは……アッチの俺も苦労してんだな……今度、アッチの木曽と一緒に飲みに行くか?それに今の提案は無しの方向で良いか?」

 

「あの()()()()()()()()()な大井姉さんが総司令官に……色んな意味で同情するぞ。アッチの俺」

 

「「……助かる」」

 

「「木曽!!それ、どういう意味よ!!姉である私に対して少し酷くない!?」」

 

「あら~……アッチの(龍田)は彼を認めちゃっているのね……」

 

「そうよ。認めたから『上限突破の儀式(ケッコンカッコカリ)』を快く承諾したのよ♪勿論、本命は彼との……フフフ……」

 

天龍と木曽は彼方(総司令官側)の同艦の気苦労に同情し、優しく肩をポンと置きながら労うと妖夢は天龍の提案が一部ではあるが通らなかった事に少し落ち込みながら言った。

 

「お兄ちゃん……いや本部の皆さんが駄目なら仕方ないですね。なら本部の皆さんは()()()()()()()()()()()()()()()()ので宜しくお願い致します」

 

「「ッ!?ちょ!?私達には『お姉ちゃん』と言わないの!?」」

 

総司令官側の艦娘達は妖夢の発言に絶望し、顔面蒼白になりながら聞くと妖夢は小悪魔的な笑みを溢しながら総司令官側の艦娘達に言った。

 

「……当たり前です。それに貴女達は『勇人さんの妻としての()()()()』があるから私以外の艦娘達の意見を却下したのですよね?これは、あまりにも私の仲間達(お姉ちゃん達)が可哀想なので勇人さんと優花さんが許可した『課業外に於ける二人に対しての兄そして姉発言』だけは守らせて頂きますので宜しくお願いしますね……皆さん♪」

 

「「そ……そんなぁ~……」」

 

総司令官側の艦娘達は妖夢の小悪魔的な命令(交渉)に絶句し、まるで『この世の終わり』と言わんばかりに絶望し、重力に従う様に座り込むと陸奥は妖夢の発言に苦笑しながら言った。

 

「……貴女、意外と小悪魔な事をするのね。これも総司令官の交渉術(やり方)を参考に?」

 

「そうですよ。まぁ、あの人の場合は……ほぼ脅迫ですが……」

 

「……総司令官に似て『ズル賢く』そして『(したた)か』になったわね貴女……さて!私達も業務に戻りましょ?」

 

陸奥は妖夢の強かさに自身の妹が成長した喜びに似た優しい感情を表すかの様に微笑みながら妖夢達に言うと、妖夢は「はい」と優しく返事し、和気藹々と基地に戻って行った。

 

「「ま……待って下さい少尉ぃ~……せめて……せめて一度で良いので私達に『お姉ちゃん』と……」」

 

「彼方も彼方で飢えているのね……」

 

「……泣けますね」

 

妖夢の死刑宣告(めいれい)により阿鼻叫喚に懇願する総司令官側の艦娘達を尻目に……

 

一方、舞鶴に向けて移動中の総司令官の車内では……

 

「……狡いですよ司令官」

 

「何がた?」

 

「私も少尉に『お姉ちゃん』と言われてみたいです……」

 

「お前、長女やろ……」

 

総司令官側の吹雪は妖夢の『破壊力抜群の砲撃(お兄ちゃん発言)』に『長女(ネームシップ)としての誇り(欲求)』に火が着いたのか総司令官に羨ましそうに愚痴ったのは言うまでも無かった……

 

そして幻想郷『紅魔館』にて……

 

「……それ本当なの『レミリア』?勇人が舞鶴で……」

 

紫は幻想郷の館『紅魔館(こうまきょう)』の主らしき『蝙蝠に似た翼を着けた銀髪の少女』こと『レミリア・スカーレット(以後 『レミリア』)』に神妙な表情になりながら聞くと、レミリアは妖精メイドが淹れた紅茶を一口飲み、紫と同じく神妙な表情になりながら自身の能力である『運命を操る程度の能力』を使って『総司令官の運命』を紫に言った。

 

その『運命』とは……

 

「……ええ。何か対策を打たないと勇人は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……舞鶴で『仲間の命の恩人に殺される』わよ」

 

総司令官が殺される事に……

 

だが、この運命は総司令官の機転で乗り越えられるとは当時の二人は知らなかった……

 

この後の物語は『総司令官の物語』で語られるであろう……

 




初めまして、姫桜の弟です。
現在、姉の体調が優れない(おそらく例の新型肺炎)のもあり、代理投稿をさせていただきます。本人曰く構想とかは頭の中にあるらしいので、どうにかその場で文章にして伝えて俺がうちこむ、という形になると思います。
なのでかなり文章が無理矢理になったりするかもしれまませんが、どうかよろしくお願いします。
それと投稿方法がこれであっているか不安です。間違っていたらご指摘ください

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