魂魄妖夢がブラック鎮守府に着任しました。   作:姫桜

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大幅に遅れました、申し訳ありません…
何があったかは活動報告をご覧下さい


上に立つ者が背負う『十字架』 後編

「な!?あの大尉が……拉致被害者とは……」

 

「……」

 

 

妖夢は彼女の言葉に驚きを隠せず狼狽え、夕張は「やっぱり」と言わんばかりに黙り込むと総副司令官は暗くなった場の雰囲気を変えるべく微笑みながら二人に言った。

 

「そういう事よ。たがら私は自ら悪役に徹してまで助けてくれた勇人君に感謝し、恩義を返す為に海軍に入隊したの……」

 

「……そういう事だったのですね」

 

妖夢は総副司令官の話を聞いて何故、総司令官が『悪役を演じた本当の理由』そして、そんな彼を恋人の様に慕っている彼女の『思い(恩義)』を知り、少し俯きながらも納得すると二人は神妙な表情になり自身の気持ちを妖夢に優しく言った。

 

「……妖夢、『人の上に立つ』って事は『あの事件』みたいに時として仲間や部下達、更には日本を守る為に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を覚えて欲しいんだ。そして……あの事件みたいに『最悪の決断』をしなくてはいけない時は俺や優花を頼れ。お前は『あの時(着任時)の俺』とは違って頼る人が、いっぱい居るからな」

 

「そうだよ。勇人君が佐世保に着任した時なんて『妖夢ちゃんの基地以上に超ブラック鎮守府』で当時、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それと比べれば私含め妖夢ちゃん達は()()()()()()()()()で仕事している事を忘れないで……」

 

「まぁ本当は妖夢達が着任する迄に全て終わらせたかったが此方も色々と立て込んでいたからな。すまんな妖夢に椛、着任して早々、苦労掛けてしまった上に俺達が不在の時に此処を守ってくれて、ありがとう」

 

「本当にありがとうね……妖夢ちゃんに椛ちゃん」

 

二人は妖夢を自身の娘の様に優しく、そして総司令官は上官として今までの妖夢の苦労を労いながら頭を下げ、感謝の意を伝えると妖夢と椛そして夕張は親代わりでもあり上官である二人の行動に狼狽え、戸惑いながら答えた。

 

「ちょ!?勇人さんに大尉!?あ……ああ……頭を上げて下さい!寧ろ、御礼しなくてはいけないのは私達です!夕張さんを守る為に裏で大本営に掛け合ってくれた事や前任達の手によって傷付いた艦娘達を治療してくれたり……」

 

「当時、着任して間も無い私達に資材や食材等を提供して下さったり、そして権力(ちから)の無い私達を守ってくれて……本当にありがとうございます!貴方様のお陰で私達が何不自由無く過ごせていますので……だから頭を上げて下さい!でないと私達の立場が……」

 

「そうですよ!こんなイレギュラーな私に……そこまでして頂いて本当に感謝しているのですよ!!本当に頭を上げて下さい!!そ……それに話が脱線してますよ……」

 

妖夢と椛は狼狽え、夕張は自身がイレギュラー(記憶を持った状態)で建造されたのにも関わらず、二人は彼女(夕張)を忌み嫌わず、それ所が彼女を家族(仲間)として快く迎え入れくれた事に感謝しつつも総司令官が自身の感謝の意を伝えた事が原因で話が逸れた事を申し訳無さそうに伝えると二人は「……そうだった()」と微笑みながら答え、微笑んだまま三人に言った。

 

「まぁ、俺……いや俺達が言いたいのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を持たないといけない事を忘れないで欲しいんだ。」

 

「うん。だから私達は『そういう残酷な覚悟(トラブル)』が来ない様に妖夢ちゃんや椛ちゃん、そして艦娘達の為なら、ありとあらゆる手段を使ってても必ず守っていくから、大人である私達に遠慮無く甘えてね。伊達に現場主義で無駄に蓄えた権力(ちから)があるんだからね♪特に妖夢ちゃんは、まだ親兄弟に甘えたい年頃なんだから私達に遠慮せずにジャンジャン甘えてね♪」

 

「ッ!?で……でも、そんな事をしたら幽々子様に……それに……勇人さん達に御迷惑を……」

 

「そ……そうですよ。私みたいな下っぱが海軍大将……戦場の狂龍に甘える事なんて……とても……」

 

妖夢と夕張は父親の様に厳しくもあるが鎮守府の中で一番頼もしく、常に妖夢の事を気に掛けている総司令官と母の様に優しく慈愛のある柔らかい表情をする総副司令官の言葉を聞いて内心嬉しかったのか一瞬、頬を緩ませたが自身も『艦娘達を束ねる長』だと思い出し、狼狽えながら二人の御厚意を断ろうとすると椛は既に割り切っているのか微笑みながら『提督としての立ち振舞い』と『子供として純粋に甘えたい』の2つの気持ちがぶつかっている妖夢と『階級の壁』と『総司令官の恐ろしい通り名』に気圧されている夕張を後押しする様に言った。

 

「それ位、幽々子(アイツ)も許してくれますよ妖夢さん。それに二人共、勇人様は顔が『某悪魔狩り(ネ〇)』似の『超強面(ヤクザフェイス)系の美男(イケメン)』ですが中身は父の様に厳しく仏の様な慈愛のある性格だと忘れてないですか?そんな人が私達が彼に甘える事自体が迷惑だなんて、()()()()()()()()()()()()()()から♪そうですよね?勇人様に桜花様?」

 

「ああ。寧ろ()()()()()だ。それに椛、俺と優花に『様』は付けるな。せめて『さん付け』にしてくれ……後、誰の顔がヤクザフェイスのイケメンだ椛?」

 

「そうだよ。私達そんなに偉くないよ……神様じゃ無いんだし……さっきのラフな口調で良いんじゃない?」

 

「そ……それは昔からの癖なんで直ぐに治るモノではありませんが……私なりに改善します。それにアレは御主人様に対しての冗談てすよ……だから許して下さい御主人様♪」

 

「冗談とは言え御主人様は言うな……色んな意味で誤解を招くから……」

 

「アハハ……バレましたか……」

 

二人は椛の言葉を肯定しつつも『口調が()()()』な椛について苦笑しながら指摘すると椛は恥ずかしそうに赤面し、戸惑いながら答えると妖夢と夕張は二人の嘘偽りの無い優しく慈愛のある笑み、そして、今まで抑えてきた『年相応の感情』が爆発したかの様に涙を溢し、自身の高ぶった感情を抑えながら二人にぶつけた。

 

「ほ……本当に……甘えても……良いのですか……私……今までお祖父様が武者修行に行ってから人に甘えた事が無かったので……お祖父様に甘えれなかった分、勇人さん達に物凄く甘えますよ……本当に……良いのですか……」

 

「物凄く……迷惑掛けますよ……本当に良いのですか?」

 

「構わねぇよ」

 

「……こんな私達のせいで色んな人達から非難中傷されてしまうかも知れませんよ……」

 

「何時でもバッチコイよ♪」

 

「「ほ……本当に……良いんですか?」」

 

妖夢と夕張は自身の高ぶった感情を抑えきれていないのか、涙声になりながら二人に聞くと二人は微笑みながら妖夢と夕張に言った。

 

「何度も同じ事を言わせんな。俺達『家族』だろ?俺達()に甘えたって良いんじゃねぇか♪子供は大人に甘える事が仕事みたいなモンだしな♪」

 

「そうそう。それに我慢は精神的に毒だよ……だから遠慮せず思いっきり甘えて……ね♪」

 

「「ッ!?」」

 

二人は慈愛のある柔らかい微笑みを溢しながら妖夢と夕張の『抑えていた感情』を優しく解き放つ様に柔らかい口調で答えると妖夢と夕張は二人の言葉に抑えて付けていた感情を爆発させるかの様に号泣し、そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勇人さぁぁぁぁん!!優花さぁぁぁぁん!!此処に来てから本当に……怖かった事や辛かった事ばかり起きて寂しかったよぉぉぉぉぉ!!だがら私……わ"だじ……わ"だじ……えぐっ……私を独りにしないでぇぇぇぇ!!」

 

「勇人さんに優花さん!!本当に………ごめ"ん"な"ざい"ぃぃぃ!!

 

ギュッ!

 

「おっとと……余程、感情(ストレス)が溜まっていたんだな……」

 

「そうね……今まで、良く頑張ったね妖夢ちゃん♪夕飯さんも、もう我慢する必要が無いよ♪」

 

「ウグッ……ウウッ……ハイッ……辛かったです……」

 

「本当に……ごめんなさい……」

 

涙と鼻水を思いっきり流しながら二人を抱え込む様に抱き着いたのだ。

 

妖夢と夕張は二人の言葉に身を委ねる様に、そして自身の感情(甘え)の全てを二人にぶつける様に涙と鼻水を泣かしている顔を二人の胸……妖夢の場合は自身の小柄な体格と相まって総司令官の鳩尾付近に埋める様に抱き着きながら踞くと総司令官は自身の鳩尾付近に顔を踞っている妖夢の頭を、総副司令官は同じく夕張の頭を優しく撫でながら椛と共に会話した。

 

「……全く、独り善がりな行動をして……誰に似たんだ?」

 

「そりゃ上官であり兄貴分の勇人君じゃないの?妖夢ちゃん、私と話す時いつも勇人君の事を影で『お兄ちゃん』と呼ぶ位、慕っているからね♪羨ましい限りよ……私も『お姉ちゃん』呼ばれてみたいな……」

 

「そういや『末っ子』だったもんな、お前……やっぱ、そう言う願望があるのか?」

 

「まぁね♪勇人君は大家族の長男だから羨ましいよ……」

 

「あははは……そういう願望(下心)があるから勇人様……いえ勇人さんみたいに妖夢さん達を救う事が出来たのですね……」

 

「椛もどうだ?甘えたって良いんだぞ?」

 

「いつでもバッチコイよ♪」

 

「……遠慮しておきます。私の柄ではありませんので……二人が泣き止んだら会場に戻りましょ……主催者が居ないと絞まりませんからね優花さんに勇人さん♪」

 

「うん♪行こうダーリン♪」

 

「ダーリンって付き合っていないのに……泣けるぜ」

 

椛は二人の御厚意を恥ずかしそうに断りつつ二人に甘えている妖夢と夕張を優しく見ながら提案すると、二人に微笑みながら肯定し、数分後、妖夢と夕張が泣き止むと総司令官は夕張に『許可証』を渡し、五人は慰霊碑と墓に御参りをし、そのまま会場に足を運んだ。

 

そして今までの経緯を影から見てた陸奥は腰を抜かし、安堵しながら総司令官側の明石に言った。

 

「よ……良かった……総司令官が上手いように気を効かせてくれて……貴女、()()()()()()()()()()から狼狽え無かったのね……」

 

「そうですよ。提督なら必ず少尉達を守ってくれますからね♪まぁ、提督らしい『やり方』って言うか何か……その……誉められた方法(モノ)では、ありませんが……」

 

総司令官側の明石は苦笑しながら答えると陸奥は先程、総司令官が言っていた内容を思い出し、先程の安堵感が消え、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の2つの気持ちが込み上がり、俯きながら呟いた。

 

「……物凄く強くて優しい人ね……総司令官は……貴女達だけではく妖夢の事まで……それに比べて私達は……影で総司令官を罵り、妖夢の気持ちに気付けずに……仲間として……いえ人間(艦娘)として情けないわ……」

 

陸奥は悔しそうに呟くと総司令官側の明石は陸奥の気持ちを察したのか自身が曾て行った愚業を懺悔するかの様に俯きながら答えた。

 

「……そうでも無いですよ。私達だって提督……勇人さんと秘書艦の赤城さんが着任した時は、あまり好印象では無かったのですよ……寧ろ()()でしたよ……『ヤクザ風情の男が提督業が務まる筈が無いから消えろ!』やら『親の七光りの甘チャン野郎は無能だ!』更には『自身の欲求の為に平然と汚職行為をする世界一の屑野郎』と……赤城さんにも『屑野郎専属の娼婦』やら『艦娘の恥さらし』と常日頃から二人を罵っていましたからね………」

 

「うわぁ~………これは妖夢に聞かせたく無い酷過ぎる内容ね……『上には上がいる』ならぬ『下には下がいた』のね……」

 

陸奥は総司令官側の明石から総司令官と赤城が着任した当時の様子を聞いて先程の不安感と罪悪感が薄まり、着任時の二人を同情するかの様に顔を引き釣り、完全に引いていると総司令官側の明石は俯いたまま説明を続けた。

 

「……『下には下がいる』……正しく『その通り』ですね。当時、味方が居なかった勇人さんは私達の為に已む無しに汚職行為をしていたのに……その事に気付けなかった私達は本当に愚かで馬鹿な連中でしたからね……普通の人なら私達からの非難中傷やら罵声、更には迫害を受けていたなら、すぐに退職するか鬱病になりますよ……だけど二人には『とある方』と()()していたから()()()()()()()()()()

 

「約束?一体誰と?」

 

陸奥は首を傾げながら聞くと総司令官の明石は静かに、そして覚悟が入った重い声を発しながら答えた。

 

「……勇人さんの母親である『三笠教官』です。二人が着任する半年前、彼女は二人に自身の思いを託したからです……『貴方達が艦娘達の特効薬になって欲しい』って……」

 

「……フフッ、教官らしいわね。それで二人は教官との約束を守る為に貴女達の非難中傷、罵声奇声に耐えながら鎮守府を改善しつつ私含めて艦娘全員を治療し、今に至る……という訳ね」

 

陸奥は先程までの罪悪感と不安感が完全に無くなったのか総司令官側の明石を慰める様に微笑みながら言うと総司令官側の明石もまた自身の過去を陸奥に話した事により気が楽になり、微笑みながら答えた。

 

「そういう事です。だから私達は彼に謝罪し、それを許してくれた仏の様な寛大な心を持った勇人さんに恩義を感じると共に異性として惚れ込み、勇人さんの伴侶として一生付いていく事にしたんですよ。それが喩え『棘の道』……いえ『地獄』だとしても……ね♪」

 

「仏は兎も角、伴侶って……貴女が、そこまで言わせる程、良い男なの?総司令官は?まぁ顔は万丈龍〇とネ〇の顔が合わさった『ハーフ系の容姿端麗(イケメン)』なのは分かるが……」

 

「勿論です!!()()()()でありながら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の為なら何でもヤりますよ!!いや寧ろ、自ら……」

 

「はいストップ。これ以上は言わせないわ……それに総副司令官含め貴女達が彼に異常な迄に慕う気持ちが痛い程、良く分かったから落ち着いて……」

 

陸奥は興奮している総司令官側の明石に苦笑し、ドン引きしつつも興奮した彼女を窘めると彼女は「ゴホン!」と先程の興奮を押さえつける様に咳払いをし、微笑みながら()()()()()()()()()()()()()()()()()()がいるであろう方向に顔を向き、その人に言った。

 

「私とした事が……まぁ分かってくれれば良いかな。それに隠れてないで出てきませんか?加賀さんに西行寺先生、そしてダンブルドア校長?」

 

ガサコソ……

 

「すまぬ……ヨームの事が心配で……」

 

「あらら……バレちゃったわね♪初めまして勇人の方の明石さん……ゲェェェェッフッ!

 

「ちょっ!?汚ッ!?……本当にごめんなさい。盗み聞きするつもりでは……」

 

「ッ!?加賀にダンブルドアさん!?それに西行寺先生!?どうして此処に?」

 

総司令官側の明石は微笑みながら別の場所で見てた幽々子とダンブルドアそして総司令官側の加賀に言うとダンブルドアと加賀は申し訳無さそうに、幽々子は先程のワカメ料理の影響が残っているのか物凄く汚いゲップを豪快に放しつつも微笑みながら挨拶すると陸奥は三人の登場に驚きながら聞くと三人を代表として加賀が申し訳無さそうに『此処に来た経緯』を簡潔に説明した。

 

「二人を御手洗いに案内している帰りに偶々……」

 

「そういう事よ♪お陰でワカメによるボデ腹がスッキリ凹んだわよ♪」

 

「これユユコ……御主はもう少し自粛しなさい……すまぬミセスにMs.アカシにMs.ムツ……儂の連れがゲップや下品過ぎる立ち振舞いを……」

 

ダンブルドアは幽々子の『はしたない行為(下品過ぎる立ち振舞い)』に優しく一喝し、申し訳無さそうに謝罪すると加賀は然程気にしていないのか、はたまた何かに対しての優越感を感じたのか微笑みながら答えた。

 

「フフッ、そんな些細な事……気にしていませんよダンブルドア校長。寧ろ即興ではありましたが会食に満足して頂いて此方も嬉しい限りです。まぁ先程のゲップは驚きましたが……」

 

「すまぬミセス……本当に御主は彼と同じく穏和で気さく、そして何より戦士としての誇りと気品があって大変素晴らしい女性(ヒト)じゃ……流石、Mr.ジョジョ……いや『英雄の妻』じゃな……それに我々の要望(ワガママ)に答えてくれて……」

 

「そんな事位『鎧袖一触』ですよダンブルドア校長」

 

「そうか……ん?『鎧袖一触(ガイシューイッショク)』とは?」

 

「日本の四文字熟語で『鎧の袖を触る様に物凄く簡単に敵を倒す事が出来る』と言う意味です。その意味の通り、本来は()()()()()()使()()()()()()()()()ですが、此処では『私達が服を着る様に物凄く簡単な作業』だと分かって頂けたら大丈夫です」

 

「ほほぅ……そんな意味があったとは……」

 

加賀は申し訳無さそうに謝罪しているダンブルドアに微笑みながら自身の口癖である『鎧袖一触』の『本来の意味』を教えつつ、その熟語を『平和的な意味』として変え、交えながら答えると総司令官側の明石は先程のダンブルドアの発言に不満があるのか少し怒りながらも幽々子に『ある疑問』が頭に(よぎ)り、その事を幽々子に聞いた。

 

「……少し気になっていたのですが、少尉は西()()()()()()()()()()()()()()と少尉本人から聞いています……その『真意』を教えて頂けないですか?後、加賀さん!何ちゃっかりと正妻の座を取っているのですか!!其所は私の席ですよ!!」

 

「そう言えば……教えてくれないかしら?後『正妻の座(此処)』は譲れませんので諦めてくれないかしら?明石?」

 

「いやですよ!!」

 

総司令官側の明石は加賀といがみ合いをしつつも二人は妖夢を海軍に入隊させた張本人である幽々子に聞くと幽々子は「まぁまぁ……」と二人を窘めながら妖夢を海軍に入隊させた理由を微笑みながら答えた。

 

「フフッ、簡単な事よ……あの子には『もっと見聞を広めて欲しい事』と妖忌(ようき)……あの子の祖父の『古風過ぎる教えを()()()()に教えた』せいで当時、性格が相当拗らせた妖夢を『矯正する(治す)』為に入隊させたのよ……」

 

「あの少尉が……ですか?ちなみに、もし少尉が矯正せずに過ごすと、どうなるのですか?」

 

加賀は幽々子が危惧している事について聞くと、幽々子は妖夢が入隊する迄に相当苦労したのか、目の光が無くなり覇気の無い重い声を出しながら妖夢の過去について回想を交えながら答えた。

 

「……『純粋無垢な心を持ったサイコパス(辻斬り快楽者)』になっていたわ……それの兆候が見えたのは妖夢が神隠s……ゴホン!来客として私の所に訪れた勇人と初めて出会った時に表れたのよ……その時、妖夢は来客である彼を……」

 

 

……貴方の事は斬れば判ります。御覚悟を!!

 

 

「………と言って、いきなり学生時代の勇人を斬り殺そうとしたのよ。この後……まぁ想像通りの結果だけど武器を持たない勇人は妖夢の刀を無力化したのよ。そして妖夢は無力化された事が決定打となり勇人との勝負に負け、そして……」

 

 

 

 

……参りました。私の負けです。此処は武士らしく……幽々子様、御先に……

 

ゴン(げんこつ)!!

 

ガキの分際で物騒な事をしてんじゃねぇ!!この刀は没収や!!一体どんな教育をしてんだ!テメェの親は!直接『御話し』いや『頭冷やさせて』やらぁ!!

 

痛たた……ッ!?それを返して下さぁぁぁぁい!それに、お祖父様と幽々子様だけにはぁぁぁ!!

 

やかましい!駄々捏ねるなクソガキ!

 

 

 

 

「……自決しようとしたが勇人に拳骨を浴びせられ、刀を没収されたのよ。そして彼は妖夢の祖父であり剣術の師匠である妖忌に喧嘩を売り、本気になった妖忌に完全勝利した後、私達三人に長い説教をしたのよ。その後、妖忌は()()()()()()()()()()()()()()()()()()だけでは無く、妖夢の教育方針等『全て』を()()された事が相当ショックだったのか、妖夢の教育を私に押し付けて、そのまま武者修行に旅立ったのよ……しかも妖忌をフルボッコした原因で勇人は一時的ではあるが『お尋ね者』になり、彼をお尋ね者にさせた私達は『彼の一族(博麗一族)』の怒りを買ってしまって粛清(フルボッコ)されそうになるわ……もう散々だったのよ」

 

「「うん。提督らしいですね」」

 

「何じゃろ……物凄く安易に想像が着くのじゃが……」

 

「しかも本気になった妖夢の師匠(祖父)相手に『舐めプ(非武装)』で、しかも『完全勝利(フルボッコ)』するとは……学生時代(子供の時)からブッ飛んだ事をしていたのね……彼は……」

 

四人は幽々子の説明に安易に想像出来たのか、苦笑しながら相槌を打つと幽々子は『当時の記憶』……と言うより『博麗一族に粛清(満身創痍)されそうになった記憶』が蘇り、身震いをしながら妖夢を入隊させた本当の理由を簡潔に纏め、答えた。

 

「……そう言う事よ。だから私は妖夢に純粋無垢な心を持ったまま、より見聞を広めて貰う事で妖夢が真っ当に、そして彼の様に強く真っ直ぐな性格になって欲しいから『妖夢の親代わり』として心を鬼にし、勇人の両親の権力(ちから)を使って海軍に……佐世保鎮守府に着任させたのよ」

 

「そうじゃったのか……」

 

「親心のある暖かい理由ね。貴女の事を見直したわ西行寺先生……ってか、それに元帥と教官も一枚噛んでいたとは……泣けますね」

 

「まぁ、あの『御人好しの塊』と言われている勇人さんの親ですからね……納得しなざるを得ないですよ。これは……」

 

「そうね。でも、そのお陰で総司令官含め、世界を影で統治している『世界最強の財閥(組織)』である『上城財閥(神城会)』が妖夢の……いえ私達の権力(ふぎ)になったんだから良いんじゃない。さて、そろそろ私達も戻りましょ?」

 

「そうですn……あ!?忘れてました。陸奥、貴女に提督から伝言を預かっているわ」

 

「ん?何?総司令官からの伝言?」

 

上からダンブルドア、加賀、明石そして陸奥は幽々子の苦労を共感し、優しく微笑みながら会場に戻ろうとすると加賀は『ある事』を総司令官から伝言を預かっている事を忘れていたのか、呆気ない声を出し、陸奥を呼び止め、総司令官の伝言を伝えた。

 

「ええ……明日から提督と副提督、瑞鶴、一航戦(私達)、伊勢型の二人そして明石と私達の方の夕張は『舞鶴』に()()から留守の間、少尉達……いえ鎮守府のみんなの事をお願いします」

 

「……え!?それって……総司令官達が舞鶴に『転属』するの!?それは嫌よ!あの人達が居なかったら妖夢や私達が……」

 

陸奥は加賀の言葉を深読みをし、先程までの微笑みが消え、相当焦りながら言うと加賀は陸奥を窘めつつ自身の説明を付け出しながら答えた。

 

「落ち着いて、これは転属ではなく『休暇』を使って舞鶴に行くのよ。言わば『旅行』よ……一週間位したら戻るわ」

 

「ホッ……そうだったの……私ったら、つい早合点を……分かったわ。此処は私達に任せて楽しんでね♪後、お土産は八つ橋で♪間違っても木刀は買わないでね♪」

 

陸奥は加賀の言葉に安堵し、微笑みながら冗談を溢すと加賀は「木刀って……学生じゃないんですから……」と苦笑しながら答え、会場に戻った。

 

そして数分後、会場に戻った妖夢達は……

 

「ストローがデカイ……あの勇人さん、これは……」

 

「ミルクティーの中にタピオカが……ジョジョさん、これは?」

 

「……デザート兼ドリンクの『タピオカミルクティー』だ。甘さ控え目になっているから各自の好みでガムシロップを入れてくれ」

 

「「分かりました。では……頂きます」」

 

チューッ………

 

ズゴッ!!

 

「「ッ!?ゴホッ!ゴホッ!た……タピオカが喉に……」」

 

「……勢い良く飲むからだろ。今度は優しく、ゆっくり飲んでみな」

 

「「……はい」」

 

チュ~……

 

「ッ!?も……モチモチしてて美味しい……」

 

「タピオカに負けない位、茶葉の風味が強いですね……茶葉は何を使っているのですか?『ハロッズ』?『トワイニング』?それとも『フォートナム&メイソン』?」

 

「………佐世保(ウチ)ではアフタヌーンティーやコーヒーブレイク……言わば『小休憩(一服)』をする時にコーヒーか紅茶を愛飲する連中が多いからな。今回はウチ(本部)の『金剛型4姉妹(紅茶派の連中)』が愛飲している高級茶葉『イースト インディアン カンパニー』の『アッサム』をハリー達の為に快く振る舞ってくれた訳だ♪味わって飲めよ♪」

 

「「い……『イースト インディアン カンパニー』!?あの4()0()0()()()()()()()()()()()()()()()の高級紅茶が……此処で飲めるなんて……」」

 

「……その『イーストなんちゃら』と言う『滅茶苦茶高級な茶葉』をタピオカミルクティーの材料にするなんて……非常に『贅沢な使い方』と言いますか『馬鹿な使い方』と言いますか……『良い意味』でも『悪い意味』でも勇人さんらしいですね……まぁ美味しいから別に良いんですけどね……」

 

「そうね。勇人、御代わり頂戴!」

 

「幽々子、お前は少し控えろ。紅茶が無くなるからな」

 

「むぅ~……それでも私ぃ、もっと紅茶が飲みたいなぁ~♪」

 

「ぶりッ子しても結果は変わらねぇよ……それに年齢(トシ)考えろ。見るに堪えんぞ

 

「そうですよ幽々子様。勇人さん、紅茶の御代わりを下さい」

 

「あ!?僕もお願いします」

 

「おう。分かった」

 

「妖夢とハリーだけ狡くない!?それに今、ナチュラルに悪口言ったよね!?」

 

総司令官お手製の『高級茶葉を使ったタピオカミルクティー』を飲み、タピオカが喉に直撃したせいでハリー達を含むポグワーツ全員と共に噎せながらも会食の楽しい余韻を味わうかの様にタピオカミルクティーを堪能し、このまま無事に会食が終了した。

 


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