魂魄妖夢がブラック鎮守府に着任しました。   作:姫桜

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桃色鎮守府の聖夜

クリスマスの数日前、大淀は妖夢から相談を受けていた。

その内容とは、皆を喜ばせるにはどうしたらいいか、である。

この時、真っ先に思いついたのが盛大にパーティーを開いて妖夢が駆逐艦達と共に戦艦(主に長門)にプレゼントを配ればいいのでは?という発想。

そして、それだけでは足りないと感じた。

そして次に思い浮かんだのはサンタ服を着て配る、というのだ。

幸いネットで検索すればサンタ服は売っている、今ならまだプレゼントを作る時間もある。

それに、その光景を見て癒されたい。

これが最善だろう、そうに違いない。

大淀は事務に関しては優秀で、秘書にぴったりだが私利私欲が混ざるとこうなってしまうのだ。

 

 

 

そういうわけで私、妖夢は今現在、駆逐艦の皆とパーティー用のケーキを作っています。

本来はみんなで小さな小物などを作ろうと思いましたが、ケーキの方が喜ばれるだろうと言われこうしました。

戦艦や空母が多いので、それこそ天井まで届くのではという程の大きさのケーキを作る必要がありますが、この鎮守府に隠されていたお金(資材をほかの鎮守府に売っていたんでしょうね)でそれだけのケーキを作れるほどの器具は買えました。

駆逐艦は多く、人手は足りていますし間宮さんや伊良湖さん、鳳翔さんも手伝ってくれているのでワイワイとしながらしっかりできています。

ただ…

 

「ハッ!フゥッ!」

 

フルーツの量が多く、私が追いつきません。

一応他の娘達も協力していますが、刃物は危ないので余りやらせたくはありません。

実は私がこうやって白楼剣と楼観剣を使うのは反対されていました。

ですが私が砲弾を切る程度には慣れている、と必死な説得でどうにか今できているのです。

切りつつもこれは私がやって正解だったと思います。

だってこの量、包丁で切っていたらきっと二日はかかります。

私がいる事で大幅なペースアップはできてますが、それでも恐らく今日一日はかかるでしょう。

まぁ慣れてるからいいんですけれど…

 

 

 

クリスマス当日、食堂にてパーティー…いや宴会が行われていた。

軽巡と重巡の三分の一程は妖夢と暁が酒を飲んでみたいというのを説得しつつ止めさせる作業に追われていたが、他の軽巡や戦艦、重巡、空母は各々楽しそうに酒を飲み、食べていた。

妖夢が来なかったら考えられなかった宴会であり、初めて過ごす故に戸惑っている者もいた。

そしてパーティー終盤、飲み過ぎてテーブルに突っ伏している長門を介抱していた妖夢はそろそろ時間だろうと駆逐艦特有の静かな情報共有(これは海軍学校の授業で鍛えられているという)で全員に伝達、暫く駆逐艦全員が席を外し、食堂の裏手でサンタ服着替えて、妖夢がまず出た。

所謂セクシーサンタ服という服(大淀の趣味)ででたということもあり

 

「ブハッ!」

 

「長門が死んだ!」

 

「この人でなし!」

 

まずまっさきに長門が鼻血をだして死んだ、これは最早致し方ない。

 

「長門さん!?「妖夢は言いたいことを行ってくれ!長門は大丈夫だ!ハリー!ハリー!」あ、はい…えーと、私と、そして駆逐艦の皆がこの鎮守府の戦力となる軽巡、重巡、戦艦、空母の皆さんに、囁かなお礼としてケーキを作りました!どうぞ召し上がってください!」

 

その声の後に奥から巨大なケーキが荷台に乗って現れる。

目の前にあるだけで威圧感は半端ないだろう。

しかしまぁ、紳士諸君はそちらよりもやはり駆逐艦に目を奪われて

 

「ぶふっ!」

 

「ダメだ!こいつも死んだ!」

 

「衛生兵!衛生兵!」

 

まぁこうなるのは目に見えていた。

と、ハプニングはあったものの、桃色鎮守府の聖夜は賑やかに終わった。


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