私が納得いく物ができるまでもうしばらくお待ちを…!
妖夢と夕張が岬に向かっている頃 2030 本部内の岬にて……
「………」
総司令官は妖夢達が来るまでの間、岬に設置してある『とある物』を真心を込めて入念に雑巾で拭いたり、箒を使って掃除していると背後から椛が忍者の様に静かに現れ、総司令官が手入れしている『ある2つの造形物』を見て哀しく俯きながら言った。
「……勇人様、罰とは言え今の妖夢さんに『これ』を伝えるのは少々酷だと思いますが……」
椛は総司令官が手入れしている『ある2つの造形物』否、その『その2つの造形物が
「……確かに『この事』は今の妖夢にとっては
「……勇人様自ら、妖夢さんに再度『此処の提督としての
椛は俯きながら聞くと総司令官は静かに「……ああ」と答えると物陰から妖夢と夕張が総司令官を怖がりながら恐る恐る現れ、顔面蒼白になり声を震わせながら総司令官に頭を下げた。
「か……上城総司令官……私が身勝手な事をして……スミマセンでした!!」
「ど……どうか夕張さんを
二人は総司令官に声を震わせながら頭を下げると総司令官は妖夢が発言した『解体』という言葉を聞いて静かに、そして妖夢を睨み付ける様に怒りの入った鋭い目付きになり重い声を発しながら妖夢に聞いた。
「……妖夢、お前今『解体』と言ったな?それはどういう事だ?」
「ッ!?は……はい……実は……その……」
「ヒッ!?いや……その……」
「あちゃ……よりによって妖夢さんの口から
妖夢と夕張は総司令官の怒りに身体を震わせ、総司令官の怒りによる恐怖感が込み上がったのか、今にも泣き出しそうな表情になりながら狼狽え、椛は頭を抱えながら総司令官を窘めると総司令官はドスの効いた低く重い声を発しながら答えた。
「んなもん分かっている。それに俺は
「……へ?夕張さんを解体しないのですか?それに……」
「提督に処罰内容を
「身内とは言え上層部相手に平然と『
二人は総司令官の言葉に妖夢は呆気に取られ、夕張は自身が処刑されない事による安堵感が込み上がり、崩れる様に座り込み、椛は総司令官の行動を完全に把握しており、総司令官が妖夢と夕張の為に行った『
「……『説教』だ」
「フム……成程……そういう事でしたか……」
「よ……良かった……
「え?『説教』って海軍の処罰に入るのですか?それに夕張さん!貴女は本来『解体』される所を勇人さん……じゃなかった上城大将が貴女を守る為に総司令官としてのプライドを捨て
「ッ!?……スミマセン……提督」
「違うでしょ!!私じゃなくて勇人さんに謝って下さい!!」
「……か……上城総司令官、本当に申し訳ございませんでした!!」
「まぁ結果的には間違ってはいませんが……勇人様、説明を御願いします」
妖夢は安堵している夕張に総司令官の行動を表すかの様に言葉の一部を強く強調しながら怒鳴り散らし、総司令官が発言した『
「フーッ……それは『国家公務員法』分かり易く言うと俺達みたいな『
「訓告……ですか……だから勇人さんは
妖夢は自身が『この世界の法律に
「……さて、此処からが本題だ。妖夢に夕張、何故俺が
「えーっと……今回の件をハリーさん達に悟られない様にする為……ですか?」
「まぁ、それもあるんだが……少し違うな」
妖夢は自身の答えに自信が無いのか総司令官の質問を質問で返すと夕張は総司令官が二人を岬に呼んだ理由が分かり、総司令官の後ろに建てられている『ある2つの造形物』が視界に入ったのか、俯きながら答えた。
そう、それは……
「……
「……そうだ」
「……」
「佐世保鎮守府の『
………妖夢が着任する迄に起きた『
妖夢は夕張の発言に首を傾げながら総司令官に聞くと、総司令官は妖夢の発言に面を食らい、少し狼狽えながら聞いた。
「ああ……って!?何で妖夢が『この事』を知っているんだ!?」
「本部を視察している時に救難隊の由香奈さんから聞きました。勇人さんは当時、拉致された艦娘や一般人を助ける為に自身の独断で人を……しかも外国の将軍を
「え!?上城総司令官が……人を……しかも外国の将軍を……」
妖夢はコンゴウ……もとい由香奈から聞いた
「……妖夢に夕張、何故俺が拉致された艦娘や一般人を救助するだけなら
「ん?そう言われれば確かに……何故、暗殺を?」
妖夢は総司令官が諭っている様な意味深な発言に首を傾げながら聞くと総司令官は妖夢に『ある2つの造形物』を見せる様に優しく『それ』を指指しながら答えた。
「……先ず、それを答える前に……妖夢、此処に建てられている『コレ』に
「あ……はい……えーっと………ッ!?嘘でしょ……」
「……読んでみな」
妖夢は総司令官の後ろに建てられている『ある2つの造形物』に彫られている文字を黙読すると先程までの可愛らしく悩んだ表情から一転、目を見開き、かなり狼狽えながら『それ』の正体を明かした。
そう、『ある2つの造形物』の正体は……
「……『佐世保鎮守府 強者ノ戦乙女達、ココニ眠ル』……まさか……『艦娘達の墓』そして『
そう、『ある2つの造形物』の正体は『艦娘達の墓』そして佐世保鎮守府に嘗て在籍し、戦争等で亡くなった艦娘達の所属そして名前が彫られている造形物『慰霊碑』だったのだ。
夕張は先程の総司令官の発言そして墓と慰霊碑を見て狼狽えながらも憶測ではあるものの『将軍暗殺事件』の全貌そして当時の総司令官の考えを妖夢に教えるかの様に分かりやすく、そして辛く重い口調になりながら総司令官に聞いた。
「ッ!?やっぱり……これで辻褄が合いました。上城総司令官は『この子達の
「……ああ。妖夢は
「…………」
「私達の為に……そこまで……」
総司令官は夕張の憶測が当たったかの様にオブラートに包んだ表現ではあるが夕張の説明に付け足しながら答えると妖夢は事前に由香奈から聞いていたとは言え、本人の口から『妖夢や艦娘達を守る為に自ら望んで悪役を演じた事』を改めて知り、悲しそうに目を伏せながら黙り込み、夕張は総司令官の行動に『自身の
「……まぁ結果はどうあれ、最終的には勇人様も今は『日本を救った
椛は未だに悲しく俯いている二人を見て苦笑すると妖夢と夕張の背後から『とある若い女性』が現れ、微笑みながら先程の椛の発言を訂正しながら言った。
「……椛ちゃん。それを言うなら『日本を救った"
「……ダークヒーローって……それは
「ッ!?さ……桜花総副司令官!?お疲れ様です!?」
「大尉!?何故此処に!?」
「……オイ優花、二人に用があるのなら後にしろ。今
椛は『とある若い女性』こと『
「第三者の私から見れば
「確かにそうだが……お前の場合はストレートに言うからな……先程の『海軍用語の件』もそうだが……」
総司令官は彼女の訂正を認めつつも、彼女の『ド直球な発言』に危惧し、渋ると、妖夢と夕張は彼女が発した『将軍暗殺事件の関係者』だと聞き、驚きながら聞いた。
「え!?大尉も参加してたのですか!?」
「ですが、それだと『桜花総副司令官が
妖夢は総副司令官もまた『あの事件の関係者』つまり『総司令官と共に戦った』と思い驚愕し、夕張は『彼女が着任した日付』が『あの事件の
「……夕張さんの言う通り、私は『あの事件の後』海軍に入隊したわ……先程、勇人君が『あの事件』を
「確か……拉致された
「………ッ!?まさか……総副司令官が『あの事件の関係者』って……」
妖夢は総副司令官の言葉にピンと来なかったのか、首を傾げながら思考を巡らせ、夕張は妖夢の呟きを聞き、彼女の経歴そして『関係者』との関係性を見出だしたのか驚愕し、狼狽えながら聞くと総副司令官は黙って頷き、自身が何故『関係者』だと言う理由を答えた。
そう彼女は……
「……そう。当時『一般人』だった私も『あの事件』の『拉致被害者』だったの……そして勇人君が率いる艦娘達に助けて貰ったのよ」
「「ッ!?」」
……将軍暗殺事件の『拉致被害者の一人』だったのだ。