魂魄妖夢がブラック鎮守府に着任しました。   作:姫桜

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書いては消してを繰り返していたら追い越されていた…何を言って(ry
私が納得いく物ができるまでもうしばらくお待ちを…!


上に立つ者が背負う『十字架』 中編

妖夢と夕張が岬に向かっている頃 2030 本部内の岬にて……

 

 

「………」

 

総司令官は妖夢達が来るまでの間、岬に設置してある『とある物』を真心を込めて入念に雑巾で拭いたり、箒を使って掃除していると背後から椛が忍者の様に静かに現れ、総司令官が手入れしている『ある2つの造形物』を見て哀しく俯きながら言った。

 

「……勇人様、罰とは言え今の妖夢さんに『これ』を伝えるのは少々酷だと思いますが……」

 

椛は総司令官が手入れしている『ある2つの造形物』否、その『その2つの造形物が()()()()()()』を把握した上で総司令官に意見を言うと総司令官もまた妖夢に『ソレが作られた経緯(佐世保鎮守府の負い目)』を伝える事に少なからず抵抗があるのか静かに、そして哀しみが入った低い声を出しながら答えた。

 

「……確かに『この事』は今の妖夢にとっては()()()()()()かも知れん。だが妖夢は『此処の艦娘達の司令官(アイツらのボス)』としての『覚悟』が足りないんだ。だから……」

 

「……勇人様自ら、妖夢さんに再度『此処の提督としての()()()()()』を叩き込む為に自ら『妖夢さんの所の艦娘達の悪役』になり此処を指定したのですね?」

 

椛は俯きながら聞くと総司令官は静かに「……ああ」と答えると物陰から妖夢と夕張が総司令官を怖がりながら恐る恐る現れ、顔面蒼白になり声を震わせながら総司令官に頭を下げた。

 

「か……上城総司令官……私が身勝手な事をして……スミマセンでした!!」

 

「ど……どうか夕張さんを()()するのは……止めて下さい!どうか寛大な処罰を御願いします!」

 

二人は総司令官に声を震わせながら頭を下げると総司令官は妖夢が発言した『解体』という言葉を聞いて静かに、そして妖夢を睨み付ける様に怒りの入った鋭い目付きになり重い声を発しながら妖夢に聞いた。

 

「……妖夢、お前今『解体』と言ったな?それはどういう事だ?」

 

「ッ!?は……はい……実は……その……」

 

「ヒッ!?いや……その……」

 

「あちゃ……よりによって妖夢さんの口から()()()()()()()()()()を……冷静になって下さい勇人様、妖夢さんは夕張さんを助けたくて『解体以外の処罰』を懇願しているのですよ」

 

妖夢と夕張は総司令官の怒りに身体を震わせ、総司令官の怒りによる恐怖感が込み上がったのか、今にも泣き出しそうな表情になりながら狼狽え、椛は頭を抱えながら総司令官を窘めると総司令官はドスの効いた低く重い声を発しながら答えた。

 

「んなもん分かっている。それに俺は最初(ハナッ)から夕張(コイツ)()()()()()()()()()()()……そもそも俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それに上層部(オヤジ達)と掛け合って『夕張の処罰』を俺に一任させる様に()()()()()から問題無ぇよ……」

 

「……へ?夕張さんを解体しないのですか?それに……」

 

「提督に処罰内容を()()()()()()()……ですか……ホッ……よ……良かったぁ~……ありがとうございます上城総司令官」

 

「身内とは言え上層部相手に平然と『汚職行為(裏取引)』を……ちなみに勇人様が考える二人の処罰とは?」

 

二人は総司令官の言葉に妖夢は呆気に取られ、夕張は自身が処刑されない事による安堵感が込み上がり、崩れる様に座り込み、椛は総司令官の行動を完全に把握しており、総司令官が妖夢と夕張の為に行った『超絶ブラック(憲兵事案待った無し)な裏取引』に呆れながら聞くと総司令官は先程の妖夢が発言した『解体発言』に心外な心境だったのか渋い表情になり頭を掻きながら答えた。

 

「……『説教』だ」

 

「フム……成程……そういう事でしたか……」

 

「よ……良かった……()()()()()()で……」

 

「え?『説教』って海軍の処罰に入るのですか?それに夕張さん!貴女は本来『解体』される所を勇人さん……じゃなかった上城大将が貴女を守る為に総司令官としてのプライドを捨て態々(わざわざ)()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のですよ!少しは反省して下さい!」

 

「ッ!?……スミマセン……提督」

 

「違うでしょ!!私じゃなくて勇人さんに謝って下さい!!」

 

「……か……上城総司令官、本当に申し訳ございませんでした!!」

 

「まぁ結果的には間違ってはいませんが……勇人様、説明を御願いします」

 

妖夢は安堵している夕張に総司令官の行動を表すかの様に言葉の一部を強く強調しながら怒鳴り散らし、総司令官が発言した『処罰(説教)』について聞くと椛は妖夢の発言に違和感を感じながら総司令官に説明を促せると総司令官は懐から煙草を取り出し、先程の怒りと心外を取り除くかの様に煙草の紫煙を味わいながら妖夢の質問に答えた。

 

「フーッ……それは『国家公務員法』分かり易く言うと俺達みたいな『軍人(公務員)に対する法律』の事だが、それに記載されている処罰の中で()()()()()()であり『説教と同義語』である『訓告(くんこく)』として扱われるんだ」

 

「訓告……ですか……だから勇人さんは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に敢えて『訓告』では無く『説教』と伝えたのですね」

 

妖夢は自身が『この世界の法律に(うと)い事』を認め、総司令官の配慮に感謝しながら聞くと総司令官は「そういう事だ」と微笑みながら認め、吸い切った煙草を缶型の携帯灰皿に入れた途端、先程の微笑みが消え、神妙な表情になりながら二人に聞いた。

 

「……さて、此処からが本題だ。妖夢に夕張、何故俺が()()()()()()()()()()()()?」

 

「えーっと……今回の件をハリーさん達に悟られない様にする為……ですか?」

 

「まぁ、それもあるんだが……少し違うな」

 

妖夢は自身の答えに自信が無いのか総司令官の質問を質問で返すと夕張は総司令官が二人を岬に呼んだ理由が分かり、総司令官の後ろに建てられている『ある2つの造形物』が視界に入ったのか、俯きながら答えた。

 

そう、それは……

 

「……()()()()()()()()()()()()()()()()()()の『負い目(れきし)』を教える為に此処を指定したのですね」

 

「……そうだ」

 

「……」

 

「佐世保鎮守府の『負い目(れきし)』……ですか?それって勇人さんが行った『将軍暗殺事件』にも絡んでいるのですか?」

 

………妖夢が着任する迄に起きた『負い目(れきし)』を妖夢に教える為に此処()を指定したのだ。

 

妖夢は夕張の発言に首を傾げながら総司令官に聞くと、総司令官は妖夢の発言に面を食らい、少し狼狽えながら聞いた。

 

「ああ……って!?何で妖夢が『この事』を知っているんだ!?」

 

「本部を視察している時に救難隊の由香奈さんから聞きました。勇人さんは当時、拉致された艦娘や一般人を助ける為に自身の独断で人を……しかも外国の将軍を(あや)めたと聞いています」

 

「え!?上城総司令官が……人を……しかも外国の将軍を……」

 

妖夢はコンゴウ……もとい由香奈から聞いた経緯(内容)を、そのまま総司令官に伝えると、夕張は初耳だったのか狼狽え、総司令官は「……なら話が早いな」と呟き、総司令官の背後に建てられている『ある2つの造形物』を妖夢に見せる様に移動しながら言った。

 

「……妖夢に夕張、何故俺が拉致された艦娘や一般人を救助するだけなら()()……K()()()()()()()()()()()()()()()のに態々、()()()()か……分かるか?」

 

「ん?そう言われれば確かに……何故、暗殺を?」

 

妖夢は総司令官が諭っている様な意味深な発言に首を傾げながら聞くと総司令官は妖夢に『ある2つの造形物』を見せる様に優しく『それ』を指指しながら答えた。

 

「……先ず、それを答える前に……妖夢、此処に建てられている『コレ』に()()()()()()()()を読んでみな。そうすれば(おの)ずと分かってくる筈だ」

 

「あ……はい……えーっと………ッ!?嘘でしょ……」

 

「……読んでみな」

 

妖夢は総司令官の後ろに建てられている『ある2つの造形物』に彫られている文字を黙読すると先程までの可愛らしく悩んだ表情から一転、目を見開き、かなり狼狽えながら『それ』の正体を明かした。

 

そう、『ある2つの造形物』の正体は……

 

「……『佐世保鎮守府 強者ノ戦乙女達、ココニ眠ル』……まさか……『艦娘達の墓』そして『慰霊碑(いれいひ)』だったとは……」

 

そう、『ある2つの造形物』の正体は『艦娘達の墓』そして佐世保鎮守府に嘗て在籍し、戦争等で亡くなった艦娘達の所属そして名前が彫られている造形物『慰霊碑』だったのだ。

 

夕張は先程の総司令官の発言そして墓と慰霊碑を見て狼狽えながらも憶測ではあるものの『将軍暗殺事件』の全貌そして当時の総司令官の考えを妖夢に教えるかの様に分かりやすく、そして辛く重い口調になりながら総司令官に聞いた。

 

「ッ!?やっぱり……これで辻褄が合いました。上城総司令官は『この子達の無念(思い)』を受け継ぎ、そして『彼女達の無念(思い)』である『佐世保鎮守府を地獄に変えた元凶を粛清』……この鎮守府をブラック鎮守府に変えた根本的な元凶であるK国の将軍が再び私達に……いえ日本に危害を食わえない様に、そして日本だけではく他国の民衆に非難中傷(パッシング)される覚悟で……自らの手によって……」

 

「……ああ。妖夢はコンゴウ(アイツ)から聞いたと思うが、俺は『この事』が原因で民衆から『艦娘達を苛めてきた大悪党』として世間から批判……いや迫害を浴び、妖夢や艦娘達が世間からの迫害を守る為に敢えて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……と言う訳だ」

 

「…………」

 

「私達の為に……そこまで……」

 

総司令官は夕張の憶測が当たったかの様にオブラートに包んだ表現ではあるが夕張の説明に付け足しながら答えると妖夢は事前に由香奈から聞いていたとは言え、本人の口から『妖夢や艦娘達を守る為に自ら望んで悪役を演じた事』を改めて知り、悲しそうに目を伏せながら黙り込み、夕張は総司令官の行動に『自身の行い(不法侵入)』を恥じるかの様に辛く険しい表情になると、それを見掛けた椛は二人の表情を明るくする為に優しく言った。

 

「……まぁ結果はどうあれ、最終的には勇人様も今は『日本を救った英雄(ヒーロー)』として民衆に讃えられているのですよ。そんなに落ち込まなくても……」

 

椛は未だに悲しく俯いている二人を見て苦笑すると妖夢と夕張の背後から『とある若い女性』が現れ、微笑みながら先程の椛の発言を訂正しながら言った。

 

「……椛ちゃん。それを言うなら『日本を救った"英雄(ヒーロー)"』じゃなくて『日本を救った"義賊(ダークヒーロー)"』と説明した方がしっくり来るんじゃない?こんばんは妖夢ちゃんに夕張さん」

 

「……ダークヒーローって……それは()()()ですよ桜花様」

 

「ッ!?さ……桜花総副司令官!?お疲れ様です!?」

 

「大尉!?何故此処に!?」

 

「……オイ優花、二人に用があるのなら後にしろ。今()()()だ」

 

椛は『とある若い女性』こと『総副司令官(桜花 優花)』の発言に苦笑し、妖夢と夕張は総副司令官の登場に驚き、総司令官は彼女を席を外す様に少し強い口調で言うと彼女は微笑みながら総司令官の発言を訂正した。

 

「第三者の私から見れば()()()じゃなくて()()()に見えるんだが?しかも『あの時の話』なら()()()()()()()が入っても問題無いんじゃない?」

 

「確かにそうだが……お前の場合はストレートに言うからな……先程の『海軍用語の件』もそうだが……」

 

総司令官は彼女の訂正を認めつつも、彼女の『ド直球な発言』に危惧し、渋ると、妖夢と夕張は彼女が発した『将軍暗殺事件の関係者』だと聞き、驚きながら聞いた。

 

「え!?大尉も参加してたのですか!?」

 

「ですが、それだと『桜花総副司令官が()()()()()()』と『あの事件が起きた()()』が合わないのですが……」

 

妖夢は総副司令官もまた『あの事件の関係者』つまり『総司令官と共に戦った』と思い驚愕し、夕張は『彼女が着任した日付』が『あの事件の()』だと既に把握しているのか、その事について言及すると彼女は先程までの優しい笑みが消え、少し俯きながら二人に聞いた。

 

「……夕張さんの言う通り、私は『あの事件の後』海軍に入隊したわ……先程、勇人君が『あの事件』を()()()()()()()()()()……()()()()()?それがヒントよ」

 

「確か……拉致された()()()()()()を救助して……」

 

「………ッ!?まさか……総副司令官が『あの事件の関係者』って……」

 

妖夢は総副司令官の言葉にピンと来なかったのか、首を傾げながら思考を巡らせ、夕張は妖夢の呟きを聞き、彼女の経歴そして『関係者』との関係性を見出だしたのか驚愕し、狼狽えながら聞くと総副司令官は黙って頷き、自身が何故『関係者』だと言う理由を答えた。

 

そう彼女は……

 

「……そう。当時『一般人』だった私も『あの事件』の『拉致被害者』だったの……そして勇人君が率いる艦娘達に助けて貰ったのよ」

 

「「ッ!?」」

 

……将軍暗殺事件の『拉致被害者の一人』だったのだ。

 


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