講習会終了してから数分後 佐世保鎮守府本部専用の食堂内の厨房にて
「……やっべぇ~……どうしよ……食材が足りない……」
「……まんまとダンブルドアさんに騙されましたね……これは泣けますね……」
「……そうですね、それに『あの人』は若以上に食べますからね……」
「……これは詰んだわ」
総司令官と加賀、朱里そして『総司令官側の鳳翔の一人』であり『鳳翔が特務艦だった頃』の艦娘『
「勇人さん、加賀さん、龍飛さんに三笠教官……一体どうしたのですか?いつも以上に難しい顔になって……」
「……正直言って嫌な予感がするわ……何かあったの?」
「「………」」
妖夢は長身な二人との身長差の関係上、二人を見上げる形になるが、陸奥と共に心配した表情になりながら二人に聞くと、総司令官と加賀は事情を知らない妖夢と陸奥に罪悪感を感じ、『ダンブルドアとの約束』について頭を下げ、謝罪した
「……すまん妖夢に陸奥!!俺が勝手にMr.ダンブルドアと約束を交わしてしまって!!」
「……すみませんでした!!」
「え!?若に加賀さん!?妖夢ちゃんに説明していなかったのですか!?」
「……だろうと思った」
「……へ?ど……どうしたのですか!?いきなり謝って!?」
「訳を教えて頂戴、話が見えないわ……」
総司令官と加賀は脱兎の如く頭を下げると朱里と龍飛は事情を知っているのか、龍飛は二人が妖夢達に説明していなかった事に驚き、朱里は呆れ返っていると、妖夢と陸奥は突然の謝罪に首を傾げながら聞くと、朱里と龍飛は溜め息を吐きながら二人に説明した
「実は勇人がダンブルドアさんと約束を交わしたのよ……『グリフィンドールの生徒及び教師を会食に招き入れる事』をね……」
「……つまり『教師』として西行寺さんが
「……え?西行寺さんって、確か……加賀と喧嘩してた……あの人の事?」
陸奥は『事の重大さ』である『幽々子の底知れぬ食欲』に気付いていないのか、首を傾げながら講習会が始まる前の出来事である『加賀と幽々子との口喧嘩』を思い出し、二人に聞くと、二人は黙って頷くと、妖夢はブルブルと身体を震わせ、この事を起こさせた元凶である総司令官と加賀に怒鳴り吐けた
「……勇人さん!!加賀さん!!どうして『その事』を前もって教えてくれなかったのですか!!私含めて佐世保の皆さんを餓死させるつもりですか!!」
「……すまない、俺とした事が……完全に忘れてた」
「……ごめんなさい」
「謝って済む問題ではありませんよ!!加賀さんは兎も角、あの人の
「……しかし少尉……」
「しかしもヘチマもありませんよ加賀さん!!大体、貴女も貴女ですよ!!講習会で………」
ガミガミガミ………
「うわぁ……凄いシュールな絵面ね……ねぇ妖夢、西行寺さんって……どの位、食べるの?」
陸奥は今の状況である『
「ハァ……ハァ……幽々子様は……『佐世保鎮守府1の大食い』である勇人さん以上に
「……下手すれば1食だけで佐世保鎮守府の食料だけでは賄えれない位、食べるわよ……彼女……」
「…………へ!?そんなに!?総司令官!!貴方、どうして『その事』を忘れていたの!?」
陸奥は二人の説明に思考が停止し、あまりにも規模が大き過ぎる事態に狼狽えながら総司令官を責めると、総司令官は猛省しながらも『ある方法』を思い付いたのか、頭を掻きながら激怒している二人に言った
「俺も知らなかったんだ……まさか幽々子がグリフィンドールの教師だったなんて……仕方ねぇ、アイツだけは『アレ』を出すしか無ぇな……」
「「アレ?」」
陸奥と妖夢は総司令官が言った『アレ』について首を傾げながら聞くと、龍飛と朱里は総司令官の言葉の本意を察したのか、溜め息を吐きながら二人の質問に答えた
「……ええ、若がよく食べていた『減量に特化したメニュー』を西行寺さんに出すつもりよ……」
「しかも、その『メニュー』には
「え?
「……龍飛さん……それって、私達が日常的に食べている物ですか?主に
陸奥は朱里が発した『特殊食材』の答えが分からないのか、眉を八の字にしながら首を傾げ、妖夢は自身の調理経験による推測なのか、その『特殊食材』が使われているであろう『味噌汁の具材』を取り入れながら龍飛に質問をすると、龍飛は妖夢の推測が当たっているかの様に微笑みながら答えた
「大正解よ妖夢ちゃん♪若は『それ』を
「水無し………あ!?そう言う事でしたか……確かに『勇人さんが作った
「そう言う事だ……『
「勿論です!!では勇人さん、幽々子様の事を御願いします!!」
「え!?水無し?総司令官が作った特殊食材?大量の酒?一体何を言っているの……まさか危ない食材じゃないよね?」
「……全く以て、意味不明ですが……大丈夫でしょうか?」
妖夢は龍飛の言葉の本質を察したのか『特殊食材』の正体が分かり、総司令官の
「大丈夫ですよ♪危ない物ではありませんし、二人が日常的に食べている物を勇人さんが水無しで美味しく調理するのですから♪ささっ、私達はハリーさん達の夕飯を作りましょ♪」
「ちょ!?妖夢!?話が見えないわよ………」
「わ……分かりましたから押さないで下さい……」
妖夢は強引ではあるが、二人を別の厨房に移動させると、総司令官は厨房の窓に干してある『大量の特殊食材』を手に取り、不敵な笑みを溢しながら龍飛と朱里に言った
「……さぁ~て、そろそろ始めるから母さんは間宮と伊良湖を呼んで来てくれ……龍飛さん、やりますよ」
「分かったわ」
「はい♪」
総司令官は既に勝利したかの様な不敵な笑みを溢しながら二人に指示を出し、『幽々子専用メニュー』の調理を行い始めた
そして、それを隙間で覗いていた紫は……
「……この方法は思い付かなったわね、後で幽々子に胃薬を渡そう……」