ブレイブルーに転生したので気楽に生きてみる。 作:生徒会長月光
~時は少し遡り~
その頃のサクラたちはと言うと、祐希達の予想通りアルカード城へと連れてこられていた。そこでサクラ、セリカ、ラグナの三人は治療を受けているであろうミツヨシの容態を気にしていた。
スタークと別れたサクラ達であったが逃げた先にも黒き獣の残滓が居たため、戦闘を余儀なくされた。
ミツヨシが前衛でサクラは後方援護に徹したものの戦う力のないセリカと右腕が満足に動かせないラグナを庇いながらの戦闘にはやはり無理があった。
均衡が崩れたのはラグナがセリカを狙った攻撃を受け吹き飛ばされ、同時にミツヨシの気もそちらにいってしまったために残滓からの攻撃を集中して受けてしまい、サクラもセリカを狙う残滓を払うのに一杯一杯になってしまった。
そして残滓がミツヨシを連れ去ろうとしたときに咄嗟にミツヨシに駆け寄っていったセリカだが、残滓は無情にもミツヨシを殆ど飲み込んでいた。
しかしその時、セリカから何かしらの力が放出された。残滓はそれに充てられたのかミツヨシを放すと一目散に退散していった。
そして傷だらけのミツヨシを自身の治癒魔法で癒そうとするセリカだが一向に治る気配がなかった。
そこへラグナが先日に見かけたレイチェルが現れ、魔法では治せないことを伝える。そして助けたいのであればアルカード城にて治療をすると言いセリカは即座に願った。
そしてラグナも渋々レイチェルに助けを求めるとレイチェルはその場にいた全員を転移させ、今に至る。
セ「大丈夫かな。ミツヨシさん」
サ「獣人の回復力は他の人間よりも高いし治せるって言ってたから信じるしかないわね。」
ラ「あぁ。そうだな。それよりさっきこの城の主が会いたいって言ってたな。」
先程自分等を案内した獣人、若かりし頃のヴァルケンハインから主が会いたがっていることを伝えられたラグナたちは、暫しの間部屋で待つことにした。
ギィ、と扉の開く音が響く。
???「お初にお目にかかる。私はアルカード家現当主、クラヴィス=アルカード。此方は執事を勤めてくれているヴァルケンハインという。」
ラグナとセリカはそれぞれ異なることを考えていた。
ラグナは自分の知る老いた姿の執事を思い浮かべ自分の記憶の齟齬を疑う。
サクラは過去の世界の自分の師の一人の若かりし頃を見て、老いる前の自らの知る彼よりも強い実力を目の当たりにしたという感嘆の気持ちであった。
ク「すまないがそちらのお嬢さん名前を教えていただけないだろうか?」
サ「?私でしょうか。出雲サクラと申します。」
ク「うむ。さて、ラグナ殿、セリカ殿、サクラ殿突然このような寂れた場所にお連れして申し訳なかった。本来ならばミツヨシだけを連れ戻すつもりであったが、どうやら娘は君たちのことが気になって仕方なかったようだ。」
まだ名乗っていないにも関わらず自分達の名前を知っていることに疑問を覚えるセリカとラグナ。一方のサクラはなぜ二人の名を知っているのに自分だけは知らなかったのだろうと純粋に疑問に思うサクラ。そんな疑問よりもセリカは最も気になっていることを聞く。
セ「あの、ミツヨシさんは大丈夫何ですか?」
ク「勿論だ。ひどい状態であったが治療が間に合って今は眠っている。」
ラ「黒き獣とやりあって生きてるなんて獣人っていうのはしぶといんだな。」
ク「ミツヨシも勘違いしていたようだが貴公らが遭遇したのは黒き獣の表層の一部にすぎないのだよ。本体はあの程度の規模の代物ではない。」
そしてクラヴィスは語る。ミツヨシにシュウイチロウを探すよう命じたこと。窯を人が見つけ、その中にマスターユニットアマテラスを見つけ、そこからタカマガハラシステムを造りだしマスターユニットに接触しそれを殺そうとし、更にはシュウイチロウはクサナギというものを創造し錬成実験をしようとし、その中から黒き獣が出現したことを。
ク「私はヒトとは新しきものを作り育み、その命を終えていくものだと思っている。しかし黒き獣は無差別に破壊をしているだけなのだ。それを止めるためにも、シュウイチロウ博士が何を造り出していたのかを知らねばならない。
ミツヨシが治ったら私はもう一度、彼に捜索を頼むつもりだ。
それまで今は体を休めると良い。」
クラヴィスはそう言い、ヴァルケンハインに部屋を用意させた。
そしてサクラはこの周辺を見てくると言い外へと出掛けていった。
ラ「セリカお前の親父を見つけたらどうすんだ?」
セ「それは……父さんが何を造ろうとしていたのか後は父さんを連れて帰りたいと思うの。」
ラ「そんなことしたら生き残った奴らから一斉に非難を浴びるぞ。娘のお前も聞きたくないようなことを言われちまうかもしれないぞ。」
セ「それでも私のたった一人の父親なの。父さんだって好きでこんなことした訳じゃないかもしれないし、だからちゃんと理由を聞いてそれから償っていこうと思うの。」
ラ「ったくしかたねーな。ここまで来たんだ。さっさと見つけてお前の故郷帰って、それからどうするか、償うって言うなら俺も手伝ってやるよ。」
セ「うん。ありがとう。ラグナ。」
そうして決意を新たにするセリカとラグナ。この数時間後体の休まった二人はクラヴィスのもとへ行き自分達がミツヨシの代わりにシュウイチロウを連れてくると説得し、
シュウイチロウのいる研究所の場所を教えてもらい、外から戻ってきたサクラと共にそこへ向かうのだった。
サクラサイド
クラヴィスの話を聞いたあと、サクラは近くの庭園らしき場所へと来ていた。そこは自分の知ってるアルカード城の薔薇が有るわけではなく、蔦で覆われた植物が有るだけだった。
そして辺りの植物を見ていると後ろからクラヴィスが車イスを押してやって来た。
ク「少し話さないかね。サクラ殿。」
サ「私は構いませんが、クラヴィスさんお身体の方は大丈夫なのですか?」
ク「何心配入らないさ。今日は調子が良くてね。サクラ殿率直に訪ねよう。君は素体なのだろうか?」
突然のクラヴィスの自分の身体のことに気づいたクラヴィスにサクラは驚く。
ク「なに。私は長生きしている分様々なことを知っていてね。それと君のような素体の子を見たこともあってな。確信が有ったわけではなかったのだがその様子だと合っていたようだね。」
サ「その話しというのは私が素体であるのと関係があるのですか?」
ク「時にサクラ殿、この世界ではある年代から先に行こうとすると世界がある一定の年代に戻ってしまう所謂巻き戻りが起こっていることを知っているかな。」
それを初めて聞いたサクラは驚愕した。世界が巻き戻るというのは膨大な力で初めて成立するものであり時を停められる魔道書をもつサクラであるが時を停めるだけでも力をかなり使いそう頻繁に何回も多様出来ない程である。
そんな桁違いな力を使える存在が気になるサクラであるが、クラヴィスは話しを続ける。
ク「そしてそれはもう数えきれない程繰り返されておる。そして詳しくは判らないがどうやらラグナ殿がそれに関わっているようなのだ。」
サ「ラグナがその巻き戻りに関係しているんですか?」
ク「断定はできないが私はそう思っている。私は毎回ラグナ殿とセリカ殿が来るのを知っていた。しかしサクラ殿。
貴公のことはループするこの世界の中で初めて知ったのだよ。そして私はサクラ殿がこの巻き戻る世界を打破する可能性を持っていると思ったのだよ。
それに貴公は恐らく窯を通って未来から来たのであろう。であればこの城にある道具類や部屋のことなど把握していたことにも説明がつくのだよ。」
窯を通ってきたわけではなかったが、どうやらクラヴィスは素体であるならば膨大な魔素である窯を通り抜けこの時代に来たと思ったようである。
しかしサクラは窯を通り抜けて来たわけではなく、祐希にこの時代に送られてきたのだがサクラは自分のことを知らなかったのであれば祐希のことも知らない可能性があると思い、サクラはクラヴィスの言った言葉を否定せずしかし肯定もせず微笑み返すだけに留めた。
サ「クラヴィスさんは人間がお好きなんですね。正直吸血鬼は人間のことなど余り気にしていないと思っていたのですが。」
ク「私は滅んでほしくないのだよ。人は人らしく、魚は魚らしく、植物は植物らしく少しでも長く行き続けてほしいのだ。」
サクラはその言葉を聞き庭園に背を向け用意された部屋へと戻ろうとする。
サ「クラヴィスさん貴重なお話有り難うございました。私がこの時代で何が出来るかはまだ解りませんが出来る限りのことをします」
ク「此方こそ長話に付き合わせてしまい申し訳なかった。年寄りの長話に付き合わせてしまった代わりといってはなんであるが一つ頼みを聞こう。」
サ「ではお言葉に甘えて一つお願いを。セリカの言うことを聞いてあげてほしいんですけど良いですか?」
ク「お安いご用だ。しかしそれだけで良いのかな?」
サ「えぇ。多分セリカのことですから数時間したらそちらに行くと思うのとあの娘が言うことは何となくだけど分かりますから。それだけで十分です。」
ク「うむ。それならよいのだが。ではサクラ殿ゆっくりと休むと良い。」
サ「それではクラヴィスさんお先に失礼します。」
そう言いサクラは庭園を後にする。
こうしてサクラはこの世界の真実の一端を知り決意を新たにするのであった。
そしてサクラの思った通りセリカがクラヴィスのところへ行き、シュウイチロウを探す手伝いをするから研究所のある場所を教えてほしいと頼みをそれを聞き入れたクラヴィスに近場へと転移してもらえることになり研究所へと向かうことになるのだがその話しはまた次回へと続く。
???
セリカたちが研究所へと向かうその約3時間後………
ここはシュウイチロウ=アヤツキのいた研究所、ここではあるものが作られていたもののその研究の最中に黒き獣が現れ研究所及び日本が壊滅。
そして黒き獣の出現した窯からは高濃度の魔素とも魔力とも言えるものが漂っていた。そんな何もない場所に
ドサッ
と何かが落ちた音がする。
???「ぅこ、ここは一体どこだ。何で俺はまだ現界してやがる。それに何だって他の俺の記録まで俺に流れてやがるんだ。クソッあの野郎のせいで負った傷も塞がれてない上に見知らねぇとこなんて運がわりぃぜ。まったく。」
これは本来はそのまま消えるはずだった戦士は己の運の悪さを嘆くものの、それを帳消しにする出来事と出会うことになる
あとがき
今回もこの作品を読んでいただき有難うございます。今回は早めに投稿できました。不定期ではありますが投稿は続けていこうと思います。
さて今回はサクラたちがスタークと別れた後の話しとなりました。
そしてサクラはBLAZBLUE世界の真実の一端終わらないループを知りました。このループのことをレイチェルが知っていたのでその父のクラヴィスも知っているのではないかと思いこういうオリジナルな展開にしてみました。。因みにサクラとの会話のあとラグナとも話していましたがそこは原作通りなので飛ばしました。
そして次回は研究所までの道のりと祐希たちとの合流まで行けたらと思います。
今回はここで締めさせてもらいます。次も楽しみにしていただけると幸いです。