今回は少し短めになってます。
明日は一日中机に向かってペンを握らなくてはならないので、今日書けているとこまでで投稿しておこうと思いまして...
それでは本編、どうぞ!
昨日の夜、先輩とのメールのやり取りの後すぐにベッドに入ったんだけど、記憶があるだけでも時計の短針は2を指していた気がする…。
『可愛い後輩の頼みだからな』
...。
普段ならあんなこと絶対に言わないのに、急に優しくする先輩がいけないんですよ!
昨日のことを思い出すと、途端に顔が熱くなるのを感じる。
誰にみられているわけでもないけど、その火照る頬を隠すようにマフラーを鼻先まで引き上げる。
このマフラー、先輩は全く気付いてなかったなぁ…。まぁ気付いてほしくてやったんじゃないけどさ。
結衣先輩たちはさすがに気付いてるかな?こんなささやかな反撃じゃあの二人には敵うはずもないけど、それでもやっぱりこういう小さな積み重ねって大事だよね!
もうすぐ学校だ。
今日の時間割はちょっとしんどいなぁ…でも放課後のことを考えてたら授業なんて一瞬で終わっちゃうかも。
などと、生徒会長にあるまじきことを考えながらいつもの通学路を歩いていたら、ふと路肩のカーブミラーに映る自分の姿が目に入った。
寒さで少し猫背になっているわたしの姿は、高く引き上げたマフラーと寝不足の半眼とが相まってなんだか先輩みたいな雰囲気を醸し出していた。
似てるっていうのもちょっと複雑な心境だけど…。
自然と地面を鳴らす足音が早くなっているのに気が付く。こころなしか眠気も冷めたみたいだ。よし!今日も一日頑張るぞ…!
て、なんでこんなことで喜んじゃってんですかね、わたし…。
いつの間にか近づいていた校門をくぐったわたしは、駐輪場の方に目を向けて先輩がいないか探してみたけど、どうやら今日はいないらしい。
ここ最近のわたしの調査結果によると大体この時間のはずなんですけど、まぁこういうときもありますよね。
あ、決してストーカーじゃないですよ。ただの身辺調査です♪
今日は寒いし、先輩とのエンカウントは諦めておとなしく教室に行くことにしよう。ちゃんと放課後また会えるんだし。
そう思って昇降口へ向かうと、明らかに人目を引いている百合百合しい二人組がいることに気が付いた。
確認するまでもない。わたしの友人、茅ヶ崎智咲と真鶴茉菜だ。
まったくあの二人は朝から公衆の面前でイチャイチャしやがって…。
でもあれ、ちょっと温かそうだなぁ。
よし、わたしも混ぜてもおっと♪
「智咲、茉菜、おはよ!今日寒いね~、…あ、茉菜ズルいわたしも~」
一瞬ビクッとして驚いたような表情になった智咲の腕は温かくて気持ちよかった。なにか考え事でもしてたのかな?
「お、おぉ、いろは!おはよ~」
なんだそのキョドり方は。
「あ、いろはちゃんおはよ~」
こっちは普通。さっきの智咲の反応はわたしの気のせいかな?
「いろはと教室着く前に会うなんて珍しいね」
「そう?…あー、確かに言われてみればそうかも」
だってわたし、いつもはもう少し駐輪場付近をウロウロしてから教室行ってるからね!なんて言えるわけないない。
「でしょ?いやーそれにしても…」
「...なに?」
「私は安心したよいろは…。わたしはいろはの味方だからね!」
「…え、なに?」
それだけ言うと、智咲は一人で何か納得したようにうんうんと頷いては時折、茉菜とわたしが引っ付いている左右の腕を交互に見比べている。もう少し注意して視線を観察すると、智咲が自分の身体のある部位を注視していることに気が付いた。
こいつは…!何が味方だよ失礼しちゃうなぁ!
「智咲……わたし、智咲ほど悲惨じゃないから。着痩せするだけだからね?」
まったく。もう一度よく見比べてほしいよホント。茉菜は…まぁ例外として、わたしも平均ぐらいだし。それに智咲はなんていうか…
「雪ノ下先輩と競ってるじゃん」
「へ?ちょ、いろはぁ~、私さすがにそこまでじゃないって!」
「智咲それ雪ノ下先輩が聞いたら泣いちゃうよ?」
わたしも人のこと言えないけど。知らないところで勝手に話題にあげられている雪ノ下先輩に心の中で謝罪しつつ、もういちど智咲のを見てみる。
うん、やっぱり、ない。
しばらくその話題でわいわいやっていると、今まで蚊帳の外だった茉菜が頬を膨らませているのが智咲越しに見えた。
「ねー、なんの話しよるん?わたしも入れてよ~」
しかしこの話は...。
私たちの沽券に関わる問題だ。ここで茉菜を入れることは…
できないっ!
ばっちり目があった智咲とわたしは、無言で頷き合った。
「「茉菜には関係ない!!」」
「え~、二人ともひどくない!?」
膨らんでいた頬をより一層大きくした茉菜は、教室に着くまでしばらくぶーぶー言っていた。
二人とこうやってどうでもいい話をしながら歩くのもずいぶん久しぶりな気がしたけど、いつもと変わらない二人の笑顔を見ていると自然と懐かしさは消えていて、いつもの日常の一コマになった。
…教室に来る途中で背後から可愛らしい小さなくしゃみが聞こえてきたのは、きっと私の聞き間違いだろう。雪ノ下先輩は朝早いはずだよね。うん。
× × ×
そして昼休み。
わたしは今、友人たちの好奇心に満ちた4つの目に晒されていた。
いつものように智咲と茉菜はわたしの机に弁当箱を持ってきて、近くの机を一つずつ寄せて座った。そこまではいつも通り…。
私の正面に座った二人は弁当には手を付けず私の顔を覗き込んでばかりだ。
私、気になります…!って感じ?
二人の無言のプレッシャーにしばし圧倒されていると、智咲が口を開いた。
「私、気になります…!」
「言うんかい!」
あ、声に出してしまった…。ついついツッコミを入れたけど、何が気になるって…?
「私たち、朝から我慢してたんですけど~?」
「そうだそうだー」
なんか茉菜も乗っかってきたし…。
「えっと……何を?」
「「は!?」」
うわっ!
ちょっと急に大声出さないでくれるかなぁ…今のは普通にビックリしたし。
「いやいやいや、何を?じゃなくて!!」
ちょ、智咲さん近い。
前のめり過ぎ。
そんな見つめないで近い。
あと、睫毛長い…。
はぁ…。
やっぱり気付かれてたよね~、あはは…。
わたしだって普通の女子高生。どっかの誰かさんみたいに、空気が読めない鈍感さんではない。
昨日まで散々心配をかけておいて、ある朝すっかり晴れた顔をして学校に来る友人がいたなら、そりゃあわたしも気になる。ならないわけがない。
「話さないとダメ…だよね?あはは…」
「当然です」
ですよね~。
別に話すのが嫌なわけではない。この二人にはちゃんと知っていて欲しいとも思っている。
だけど…
最近のわたしの悩みの詳細を話すってことはつまり…
せんぱいへの私のこの、…気持ちを、二人に知られちゃうわけで...。
…やっぱ恥ずかしいし!!!
「ちょっと、なんでそんなにモジモジしてんの…?」
「いろはちゃんちょっとキモチワルイ」
「ちょ、キモ…っ!?」
さっきと同じ体勢で、今度はジトっとした半眼でわたしを見つめる二人。
…これはもう、逃げられそうもないですね。
まぁでも、初めて打ち明けるのがこの二人なら。
いや、この二人がいいとどこかで思っていた。
もう…負けたよ、負けました。
自然と気恥ずかしさは消えていき、胸に深く吸い込んだ空気が言葉の形を成して喉を逆流してくる…
「わたしね…実は好「い、一色さん…誰か呼んで…る、けど…」」
誰だよこんなタイミングで!空気読めよ!って感じで声の主に振り返ると、理不尽なジト目に晒された気の弱そうな男の子は、言葉の尻をすぼませて泣きそうな顔になってしまった。
おっと、私としたことがうっかり素が出ちゃいました♪
「ご、ごめんね~、で、どうしたの?」
いつものあざとい営業スマイルで、男の子に問い直す。
「え、えっと…入り口で二年の先輩が呼んでるよ…それじゃあ」
すっかり萎縮してしまった彼は用件だけ言うと足早に去ってしまった。
マズったかなぁ…いや、いっか、もうそういうのは関係ないし。
ていうか、いい感じで話し出せそうだったのに調子狂っちゃったじゃん!
とんだ邪魔が入ったけどここまできたら後には引けないよね。
それでは気を取り直して…
「…いろは、行かなくていいの?あれ」
「…え?あ、忘れてた」
さっき男の子が言っていたのを思い出して、教室の入り口に目を向ける。
そこには予想通り、わたしに腐った目を向ける先輩が居心地悪そうに立っていた。
いかがだったでしょうか?
内容がないって?
その通りです。まったく話が進んでません←
ともあれ初投稿から一週間が経ちました。
予想以上に多くの人に読んでもらえて、支えになっております笑
これからもお付き合いいただけると幸いです...
それでは引き続き、よろしくお願いしますm(__)m