斯くして一色いろはは本物へと相成る。   作:たこやんD

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すみません遅くなりました!!

実は昨日、話のアウトラインを書いてる手帳を学校に忘れて帰りまして...


と、言い訳はこの辺にして、

今回は後半地の文を少なめにして、なるべくいろはのリアクションというか心境というか、そういうのを出すように意識しました!

だんだん自分の中のいろは像が露見してきて恥ずかしいですね...(-_-;)


それでは本編第3話、どうぞ!



3話 斯くして一色いろはは連絡手段を手に入れる。

「………とまぁ、ざっくり言ってこんな感じです」

 

「なるほど…、いいんじゃないか?一色がそういうこと言い出すとは思ってなかったけどな」

 

ちなみに今日の相談内容というのは、もうすぐ卒業してしまう前生徒会長の城廻先輩のプチ卒業記念パーティーを奉仕部に手伝ってもらって開催したい。ということです。

本当は生徒会でやればいいのかもですけど、そうなると他の旧役員さんたちも呼ばないわけにはいかないし…正直、城廻先輩以外とは接点はほとんどなくて、交代式の時に軽く挨拶をしたぐらいだから特に思い入れはないんです。

それに、城廻先輩はやたらと奉仕部の三人を気に入ってる様子だったから、こっちの方が喜んでくれる気がしたんですよね~。

 

あとは…

 

「あともう一つ…当日ははるさん先輩も呼ぼうと思ってるんですけど…。大丈夫ですかね?」

 

わたしが言いづらかったのは、正直この部分が大きい。

バレンタインイベントの後の、はるさん先輩との関係性についてわたしはよくわかってないけど、顔を合わせたら多少なりとも気まずくなってしまうのではないかという不安はある。

 

「あぁ...陽乃さんか…」

 

一瞬先輩が、げっ、て顔をしたんだけど…やっぱりまずかったかな?

 

「まぁ、大丈夫だと思うぞ」

 

あれ?意外と大丈夫っぽい…?

奉仕部のことみたいに、今回もわたしの考えすぎなのかな…実はあんなのは日常茶飯事だったり?

でも、そこが大丈夫ならわたし的にもとてもありがたいです!

 

「ホントですか!よかったです。城廻先輩、だいぶはるさん先輩に懐いてるようですし、呼んだら絶対喜んでくれると思ったんですよ!」

 

やっぱり、どうせやるなら喜んでくれることは何でもしたいですしね!

 

「それで部室でも言いにくそうにしてたのか…」

 

「え、わたしそんなに顔に出てましたか…?」

 

「あぁ、たぶん雪ノ下たちも気付いてたと思うぞ。明日このことあいつらに話したら、そんなことかって笑われるかもな」

 

そんな軽いんですか!?

なんかもう、いろいろと空回りしすぎて嫌になっちゃいますよー。

 

「まぁでも、ホント一色には気つかわせてばっかだ…その、ありがとな」

 

と、少し照れ臭そうに言う先輩を見ていると、さっきブルーになりかけてた気分も、先輩に褒められるなら空回りして良かったかも!と一転してしまった。

 

やっぱわたしってすごい単純だなぁ…。

 

ま、それはさておき、気がかりだったこともクリアできましたし、明日改めて奉仕部に持っていく前に、もう少し内容を固めておきたいです。

 

「…それじゃあせんぱい、もう少し内容を…『プルルル…プルルル…』」

 

着信に遮られました。

 

「わたしじゃないですよ?誰か携帯でも落としてるんですかね?」

 

と、わざとらしく机の下を覗き込む。

 

「おい、俺だよ、ナチュラルに着信の可能性を否定するなよ、八幡泣いちゃうよ?」

 

「冗談じゃないですか~、それより出なくていいんですか?」

 

「あー、小町だし、後でも大丈夫だと思うぞ。さっきお前何か言いかけてたみたいだし。それに俺は、一色いろは攻略スキルは全然だが小町攻略スキルはそこそこ上げてる。いざとなったらコンビニの極上プリン買って帰れば問題ない」

 

いや、スキルも何もわたしもうほぼ攻略済みなんですけど…。

それより小町ちゃんって、確か先輩の妹さんだったよね?

…これはちょっとチャンスかも!

 

「いえ、わたしは大丈夫なんで、出てあげてください!」

 

「そうか、悪いな」

 

そう言って電話に出る先輩の声が、普段よりも少し明るい気がするんですけど…

やっぱり家族は強いなぁ...あ、いや先輩がシスコンなだけか。うん、そうだ。

 

「…あぁ悪い、連絡するの忘れてたわ」

 

「…わっかったって、埋め合わせは今度......」

 

「….ん?サイゼだけど......」

 

「…誰とって…ただのこうは…」

 

よし、ここだ!

 

「せんぱぁーい、何飲みますかぁ?わたしついできますよ~?」

 

ふふふ…。カンペキなタイミングです。

これできっと妹さんから今のは誰なのかと追及を受け、先輩は少なからずわたしのことを意識して返事をすることになります。そして同時に、妹さんにわたしという存在を認識させて外堀から埋めていくことも…我ながら抜け目ないです♪

 

と、先輩の電話が終わったようですね。

 

「お前なぁ…」

 

「まぁまぁ、それより、何だったんですか?」

 

先輩のジト目は軽く流します。

 

「え、あぁいや、ここ来ること言ってなくてな。晩御飯そろそろできるけどどこにいるのか、って」

 

「んー、そういうことなら帰った方がいいんじゃないですか?詳しい話はまた明日、奉仕部に行ったときにでもできますし」

 

「そうか、悪いな。じゃあ帰らせてもらうわ」

 

そう言って立ち上がろうとする先輩の袖を、キュッと引っ張って引き止める。

甘いですよ、せんぱい♪

 

「…?なんだ?」

 

「詳しい話は明日でいいんですけど、やっぱり少しはまとめておいた方がいいじゃないですかー」

 

「ああ、まぁそうだな」

 

「でもでも、妹さんをいつまでも待たせるわけにはいかないじゃないですかー」

 

「…何が言いたい」

 

「そういうわけで、ケータイ、交換しませんか?」

 

「は?やだよお前ガラケーじゃん、アプリ使えんし、頭悪そうなメール来たらどうやって返せばいいかわからん」

 

は?何言ってるんですかこの人。バカなんですか?

 

「そうじゃなくて!連絡先交換しましょうってことですよ!」

 

ホントにこの人は…どうやったらそんな発想ができるんですかね。

 

「あぁ、なんだそっちか。いいぞ」

 

あれ?意外とあっさり承諾してくれましたね。もっと渋るかと思ったんですけど...。

 

「ん、ほれ」

 

スマホを手渡されました。

 

「あ、わたしが打つんですね…」

 

というか、ロックもしてないスマホをこんな簡単に他人に渡すとは…先輩無防備過ぎませんかね?

と思ったけど、連絡先一覧を見て納得。メールもほとんど妹さんとだし…。

それにしても…

 

「せんぱい、女の子ばっかりですね…」

 

「ん?あぁ、最近は都合上連絡先交換することが多いからな」

 

いや、そういうこと言ってるんじゃないんですけど…。

 

「まぁいいです。それじゃあせんぱい、メールするんで、ちゃんと!返信してくださいね!」

 

念を押しとかないと次の日の朝、すまん寝てたわ。とか言ってきそうだからなこの人。

 

「っ…了解」

 

油断も隙もないですね、まったく。

 

ともあれ、無事先輩の連絡先もゲットできたことだし、お会計済ませたら今日はおとなしく帰りましょう。

普段なら、送ってください!と腕にしがみつくとこだけど、妹さんもかわいそうだし今日はやめといたほうがよさそうですね。

それに先輩には、こういう気の遣える女の子の方がポイント高い場合もありますし。

 

それから会計を済ませて外に出ると、予想以上に寒かった。

どれぐらい寒いかというと、一歩外に出た先輩がそのままUターンして暖房の効いた店内に戻ろうとするレベル。何してるんですかねこの人。

 

「なにしてるんですかー、早く帰らないと妹さんかわいそうですよ!」

 

「うっ…」

 

シスコン先輩にはこれだけで効果抜群のようです。

 

「それじゃあせんぱい、また後で~」

 

「ん、じゃあな」

 

そう言って自転車の鍵を開けつつ、遠くなるわたしの後姿をしっかり見守ってくれる先輩は、やっぱりあざといと思うんです。

そういうところ、好きですけど…。

 

 

   × × ×

 

 

家に帰ってシャワーを浴びた後、リビングでゴロゴロしながらさっそく先輩にメールを送ってみた。

 

『先輩、今日はありがとうございました!

あ、それとおめでとうございます。

人生で初めて女の子の方からメールしてもらえましたね!

まだ寝てないですよね?

返事なかったら電話かけまくりますからね~』

 

よし、送信。っと……んー、ちょっといきなりテンション高いかなぁ…?

いやいや、あの先輩はこれぐらい送っとかないと、たぶん返事は文量が半分ぐらいになって返ってくるだろうし。

 

…。

 

……。

 

んー、もしかしてお風呂とかかな?

いやでも、あの人のことだし見てて無視してる可能性もなきにしもあらず…。

 

…。

 

ていうかなんでわたしこんな携帯にへばりついてんの!?

先輩なんだし、いつ返信来るかわかんないし、時間の無駄じゃん!

 

……。

 

いやでも、普通あれだけ念押ししたら無視はしないよね…?

そんなに嫌われてたのかなぁ…

確かにちょっかい出すと決まってめんどくさそうな顔してるし…。

 

ピロン♪

 

あ、きた!

 

…って何わたしメールごときでこんなに舞い上がってんの!?

はぁ、もう…先輩のことになると調子狂っちゃうんだよなぁ~。

一色いろははもっとこう…男子を手玉にとってうまく扱わなきゃいけないのに!

まぁでも、そんなんで先輩を手に入れても…“本物”とは言わないか…。

 

と、メール読むんだった!

 

『おう』

 

…。

 

「みじかっ!!」

 

は!?なにコレいくらなんでも短すぎでしょ!

この二文字打つのにどんだけ時間かかってんですか…。

というかどの文に対する、おう。なんですかこれ!

先輩の中でのその二文字どんだけ万能なんですかもう…。

 

結果、半分どころか一言で返されました。

 

「むぅ…。まぁこんなのにいちいち突っ込んでたら先輩の相手なんてできないよね…」

 

そうです。こんなの予想の範疇ですよ!

…いや、さっきのは斜め上だったけど。

でもこんなことを気にしてたんじゃホントに先輩とは会話になりませんからね。

よし…

 

『なんですか照れてるんですか?

年上の女性に話しかけられた中二男子みたいですよ?

 

ところで、例の件なんですけど…

妹さんに予定聞いてみてもらえませんか?』

 

これでどうだ!

 

…。

 

……。

 

ピロン♪

お、今度は早いなぁ。

 

『うるせ。

 

それならさっき聞いたぞ

今年は卒業式早いらしくてな、

13日なら予定を空けとくそうだ。』

 

なんか文面だとわたしの扱いさらに雑くなってませんかね?

大丈夫ですかねこれ?

 

いやそれより、言われる前に仕事してるなんて先輩のくせになかなかやりますね。

こういう所の手回しは、さすが先輩ってとこですね。

 

『もう仕事してくれてるとか…Σ(・ω・ノ)ノ!

 なんか先輩らしくないです怖いです。

 

 でも、ありがとうございます...。』

 

あ、先輩顔文字とか苦手そうだな...。

まぁこれぐらいならいっか!

 

…。

 

……。

 

あれ、また返信来なくなったな。

んー、さすがにまだ寝たってことはないと思うんですけど…。

 

…。

 

……。

 

ピロン♪

 

お、きたきた♪

こんだけ焦らしたんだから、何か気の利いたことの一つや二つ思いついたんでしょうかね~。

...いや、ないか。

 

『まぁ、その…

 

 

 

 可愛い後輩の頼みだからな。』

 

「っ~~~~~!!!!」

 

…。

 

……。

 

ふぅ。

落ち着くのに数分かかったじゃないですか…。

なんなんですか先輩…急にこんなこと言うなんて反則ですよ!

 

「はぁ…」

 

なんだか今日は、振り回されてばっかりだなぁ。

主にわたしの心臓が。

 

可愛い後輩…。ふふっ♪

あ、スクショしとこ~っと。

 

べ、別に見返したいとかそんなんじゃないですからねっ!?

今後これをネタに先輩をゆするためなんですから!!

 

「ちょっといろはちゃん、さっきからどうしたの?急に大声出したりニヤニヤしたりバタバタしたり。騒がしいわよ?」

 

うぅ…ここリビングなの忘れてた...。

先輩のバカ!アホ!八幡!!

 

 

…。

 

……。

 

『せんぱいのバカ。

 

 

 

 おやすみなさいです』

 

もう今日は寝よ…。

 




書いているうちにだんだん、いろはってこんなキャラだったっけ...感が増してきた3話でした。

3話使ってやっと1日進みましたよ~
進度遅すぎ...(-_-;)


さすがに平日は少し投稿ペース落ちるかもしれませんが、今後ともよろしくお願いします!

感想、ご指摘、評価などなど、随時お待ちしておりますm(__)m

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