“冥府の炎王”コロナ・ティミル   作:冥府の炎王

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もう、STSはこれ以上介入しない方向でいきます。投稿していた方は別の方で載せますね。IFルートとして。あっちはイクスがコロナになるというエンディングを考えていたんですけどね。プロットはあったので、別で書きます。


第8話

 

 

 

 家に戻った私は当然のようにお母様にこっぴどく叱られて外出が禁止令されました。ただ、帰ってくるときにレジアス中将も来てくださって、お母様達を説得してくれました。まあ、事前に私が引かれた時には既に連絡を入れていたそうです。ただ、お母様達はまた私が逃げだしたら困るという事で、こっそり様子をみていたそうです。

 そんな訳で、私は家に帰って今日も大人しく警護の人に監視されながら、部屋で作業をしてい居ます。監視は地上の魔導師達で、役に立つかはわかりません。何故か機動六課の人もたまに見かけます。ちなみに学校は自主休講です。

 

「セッテ、そこの三番の道具を取ってください」

「ん」

 セッテはお母様にお願いして、そのまま家に居て貰う事にしました。私の助手です。一人じゃ大変ですからね。

 さて、自分の部屋でなんの作業をしているかといわれると、管理局で作ったデバイスとは別の物の作成です。あちらはテストなど性能チェックの為に管理局で預かられています。

 こちらのデバイス名はルシフェリオン……は流石に不味いのでベルにしました。使う魔法のせいです。色々なストレージデバイスの集合体にします。まずはグローブタイプ。ドクターの所から貰ったデータを使用し、振動破砕を仕込みます。エレミアのイレイザーを正面から塞ぐためです。無理かもしれませんが、接近された時に使うので問題ありません。

 

『コロナ、コロナ』

「なんですか?」

 

 金属の成型を行って、回路を接続していきます。ちょっと色々危険なんですが、まあいいでしょう。

 

『アイス食べたいです』

「セッテは?」

「ん、食べたい」

「では、下に降りましょうか」

「ん」

 

 下に降りて、冷凍庫をあけます。ファミリータイプのアイスにスプーンを入れて、二人で食べます。私はイクスに変わっておきます。イクスとセッテは大喜びで食べていきます。

 

『いっぱい食べるのは構いませんが、太るので運動してくださいよ。イクスが』

「え!? そ、そんなっ!?」

「ん、セッテは太らない」

「ちょ、ずるいです! こ、コロナ……?」

『がんばです』

「ひぃぃぃぃっ⁉」

 

 さて、イクスが嘆きながらも食べているのを置いておいて、私は自分の武器を作りましょう。グローブは問題ないのですが、やはりコロナという名前からあの魔法は使いたいです。ディヴァイ・コロナ。これを使うために……いっそ、ラミエルみたいなのを作って浮かせますか。しかし、それは実弾主義に反します。しかし、実弾じゃ聖王の鎧は突破できないんですよね。ここは艦娘みたいに装備しますか。微妙ですね。

 

「ふぅ。満足しました」

『じゃあ、運動ですね』

「し、しないと駄目ですか?」

『駄目です』

「あうっ。セッテも走りましょう」

「ん」

 

 優しいセッテが頷いてくれました。二人は服を脱いで、シャツとスパッツだけの姿でランニングマシンを使っていきます。これは買いました。管理局に協力した報酬の一部で。

 

『とりあえず、20キロ、走ってください』

「多いです!」

『スタートです』

「ひゃぁっ!?」

「ん、がんばる」

「ひぃぃぃっ」

 

 頑張って走っていく二人。セッテは無表情ですけど、イクスは辛そうです。時間が経つにつれて汗がどんどん出てきて、シャツが濡れていきます。

 

「こ、コロナっ、も、もう……」

『仕方ないですね』

「やっーー」

『えい』

 

 操作魔法で身体を操作して、強制的に走らせます。

 

「ななななっ、なにをするんですか!」

『必要な処置です。この頃、外にも行ってないですからね。ちなみに私は食事をほぼとっていません。全部、イクスです。毎日間食もしていましたし』

「そ、それは皆さんが差し入れをくれて……」

『甘やかされましたね。セッテを見習って頑張ってください』

 

 セッテはもくもくと走っている。かなりの速度で。その身体は戦闘機人なだけあります。

 

「あっ、私も中に引っ込めばいいんじゃないですか」

『ち、気づきましたか』

 

 イクスが私の中に入ってきた事によって、ただ身体を操作されるだけの人形ができました。目的は走る事のみです。

 

「仕方ありませんね」

 

 ですが、流石にそれはセッテが可哀想なので私も走る事にします。良い汗をかくとしましょう。それに走りながら作業をするのも、いい経験です。戦闘時の事を考えれば疲れた状態でも魔法を操らないといけませんからね。それに殴りあいながら魔法を使わないといけません。

 

 

 

 

 20キロのランニングが終わったので、ストレッチをしてから庭に出ます。服が透けていますが、6歳の上半身を見たい変態は居ないでしょう。そんな訳で、セッテと一緒に庭に出て身体を動かします。どうせなので、徹底的にやっちゃいます。

 

「セッテ、相手をお願いしますね」

「ん、任せて」

「はい。まずは格闘から」

 

 ベルカの戦士の動きを模倣し、戦闘を行います。模倣するのは聖王オリヴィエ。彼女の戦闘は私と同じですから、模倣するのに持って来いです。ただし、魔力負荷をかけて戦います。

 

「よろしくお願いします」

「ん、よろしく」

 

 まず、拳を放ちます。セッテは掌で弾いてきます。直ぐに蹴りも混ぜて高速で拳を放ちます。しかし、セッテも対応してきます。最初はこちらが一方的でしたが、流石は戦闘機人。学習能力が高いです。

 

「セッテ、しっかりと覚えてくださいね。聖王と覇王。そして、エレミアの動きを」

「ん」

 

 セッテに学習して貰い、練習相手になって貰います。来るべき戦いの為に。コロナに近接戦闘はあいませんが、かといって覚えてなければ足元を掬われます。それが戦いを知って経験しました。メインにする事はありません。あくまでも対応できればいいのです。対応して、私の間合いに戻ればいいのです。それに相手の技や技術を知れば、それに対する対応もやりやすい。研究させていただきますよ。

 

 

 

 30分の聖王との戦いを終えて、次は覇王です。その次はエレミア。その次は剣術。様々な者達の技術を模倣し、プログラムとして登録。それをセッテに教え込んで打倒する技を編みだします。それにこの習得は機械兵達にも有効なので覚える必要があります。機械兵一人一人が一騎当千の兵なら、流石の彼等も苦労するでしょう。雑兵では相手にならなくても、それぞれが将軍クラスなら話は別です。

 

『えっと、ここがこうなって……こっちに式を代入して……』

 

 ちなみにイクスは勉強をしています。

 

「ん。続き」

「そうですね、いきましょう。しかし、思う存分800㎜を撃ちたくなりますね」

『駄目ですよ。近所迷惑です』

「デバイスを早く完成させないといけませんね」

「ん」

 

 そんな事を考えていると、セッテから大量の矢をプレゼントされました。それを瞬時に見極めてパターンを選択し、回避行動に移ります。よくよく考えたら、私とセッテって色々とおかしな事になっている気がしますが、気にしない事にしましょう。

 とりあえず、今は銃弾をお返しにプレゼントしましょう。

 

「お返しです」

 

 両手に作り出したデザートイーグルから弾丸をプレゼントします。反動は操作して、別の所に吸収させます。この反動を溜め込んで後で相手に叩き付ければそれだけで、結構な威力になります。しかし、セッテは首を傾げて避け、次に来る弾丸を手に持った弓で弾き、逆に撃ち返してきます。それを更に銃弾で撃ち返していくと、弾切れになりました。なので、今度はこちらも銃で殴って弾き返します。視覚強化に弾道予測の演算、風圧、重力などすべてを計算して弾き返します。

 

「くぅ、人間の頭では機械には勝てないのですかっ」

「ん、当然」

 

 演算領域が足りません。やはり、デバイスが欲しいです。

 

「ええい、これならどうですか!」

 

 錬成するのは機関銃。それもアヴェンジャーとか言われる戦闘機の物です。

 

「む、だ」

 

 無数のスローターアームズ、ブーメランが銃弾を受け止めていきます。といっても、多少は受け止めきれないのですが、そんな物は体術で避けたり軌道をずらしたりしてきます。

 

「ドーラっ」

「それ、卑怯」

『駄目ですよ』

 

 強制的にキャンセルされて作られたドーラが悲しそうに消えていく。

 

「撃ちたいな~撃ちたいな~」

『駄目ですからね。お母様に怒られますよ』

「ちぇ~フェアリーソードで相手しますか」

「ん、来る」

 

 フェアリーソードを使うと、今度は逆に勝てるんですよね。何故なら、相手の付近からでも容赦なく、作れますから。対応している間に、大量に作り出して宙に浮かべたら勝ちです。斬られる前に爆破すればいいのですから。もっとも、それなりに剣術もできるんですけどね。

 

「ん、近距離苦手」

「私もです」

 

 互いに遠距離ファイター……いえ、セッテは中距離ですね。でも、かなり強いと思います。

 

「あ、一つ思いましたけど戦車に隠れて撃ちまくるってのは駄目でしょうか?」

「さぁ?」

『問題なさそうですか?』

「わかんないや。まあ、こっちが性に合ってるかな」

 

 指を鳴らして小型の固定砲台を作り出して弾幕を展開する。空に飛んで行ったそれらは爆発して、花火となります。既に空は暗くなってきていたのでいい塩梅です。

 

「コロナ、セッテ」

 

 後ろから声が聞こえて、振り返ると……荷物を持ったお母様が居ました。

 

「お、お母様……」

「近所迷惑です。それに庭をこんなにして……お仕置きですね」

「ゆ、許してくださいっ」

「駄目です。お尻叩きです。あ、痛覚のカットは許しません」

「ひっ⁉ い、イクスっ」

『イクスヴェリアは、現在お休み中です。御用の方はぴーという発信音の後になにもいれないでください』

「ちょっ!? せ、セッテ?」

「ん、コロナがやった。セッテ、弾いた、だけ」

「コロナ~~」

「ご、ごめんなさいっ!」

「許しませんっ! だいたい、壁にこんなに弾丸を埋め込ませて何を考えているんですか!」

「うわぁぁぁんっ」

 

 お尻叩き100回は、凄く痛かったです。その後、修行はデバイスを貸して貰える事になりました。家を壊されたらたまらないそうです。それと、ちゃんと直すまでご飯抜きにされました。なので、鋼鉄製にしてベルカの防御術式を刻み込んでおきました。そしたら、また怒られました。解せませぬ。

 

 

 

 

 

 


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