“冥府の炎王”コロナ・ティミル   作:冥府の炎王

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第16話

 

 ヴィヴィオと友達になってから、二年。私達は初等科3年になりました。ヴィヴィオはあれから毎日抱き着いてきて、引っ付いてくるのです。更にヴィヴィオによって無理矢理学校へと連れて行かれたのです。なので、全てイクスに任せました。そしたら、今度は学校で更に追加です。

 

「初めまして、私はリオ・ウェズリーです」

「コロナ・ティミルです。宜しくお願い致します」

 

 イクスが学校なので私の名前を名乗ります。しかし、確かこの名前は覚えています。原作に出て来た人です。流石に9年前の事なのであやふやです。

 

「良かった。凄い怖いって話だったからちょっと心配だったんです」

「そんな事ないですよ~コロナもイクスも基本的にはいい人ですよ」

「基本的なんですか?」

「やる事が結構過激ですからね」

「あははは」

 

 列車砲、ぶっぱなしたりしてますね。確かに。色々とやっています。やり過ぎかも知れません。それに皆で列車砲をぶっぱなしまくりましたしね。

 

「王として敵対者に容赦する訳にはいきませんから」

「そっか、古代ベルカの王様なんですよね」

「ええ、そうです。ちなみにヴィヴィオもそうですよ」

「そうなの?」

「そうですよ~。ヴィヴィオは聖王です。えっへん」

「あれ、聖王って……」

「聖王教会のトップですね」

「ち、違います!」

「生き神ですね」

 

 信仰してる人の生まれ変わりですからね。クローンですし、間違いありません。

 

「しかし、イクスはずっと生きていますよね」

「まあ、そうですね」

「それってコロナさん……イクスさんこそ生き神ですね」

 

 確かに否定できません。

 

「呼び捨てでかまいませんよ」

「ありがとうございます」

「それと敬語じゃなくてかまいませんよ」

「いえ、自然に敬語になるんです……」

「王様ですからね~」

「しばらくかかるかも」

「まあ、これからよろしくお願いします」

「はい」

「それで、今日は皆で遊ぼうよ」

「夕方からは予定がありますので、それまででしたら構いません」

 

 そうです。今日は明日の為に調整をしなくてはなりません。

 

(必要かはわかりませんけどね)

 

 調整せずに戦って負けるというのは頂けませんからね。

 

(確かにそうです)

「明日、大会に出るんだったよね?」

「はい。なんでしたら、明日来ますか?」

「明日は休みですけど……何処にですか?」

「コロナの試合ですよ~」

 

 明日、行うのはDSAAの調整の為に参加する大会です。年齢、性別、無制限の格闘大会です。実戦を想定したとはいえ、実際に戦ってみて使えるかどうか、試さないといけません。それにフルコントロールは使えないですが、今の身体でどこまで戦えるか試す事ができます。

 

「楽しみですね!」

「ですよね~」

「っと、そろそろ行きましょう。何処か行きたい所があるのですよね?」

「はい。皆でパフェを食べに行きませんか? 公園の近くに美味しいパフェ屋さんがあるんですよ~」

「いいね、行きましょうよ」

(いいですよね、コロナ?)

『構いませんよ』

「では、行きましょう」

「お~」

 

 初等科の校舎から歩いて、公園に向かいます。校門では黒い高級なスポーツカーが止まっています。その車にもたれかかっている綺麗な若い女性がいます。

 

「フェイトママっ!」

「お疲れ様、ヴィヴィオ、コロナ、イクス」

 

 ヴィヴィオに抱き着かれて、受け止めたフェイトさんはそのままヴィヴィオを抱き上げました。それから私まで労ってくれます。イクスの中に引きこもって、対戦者のデータからイメージを作成して、ひたすらシュミレーションで戦っているだけなのですけどね。

 

「いつもお迎えご苦労様です」

「これも仕事だからね」

『では、テスタロッサ執務官。私はこれで失礼します』

「ええ、データをよろしくお願いします」

「お任せください」

 

 フェイトさんは私達を送った後、車の中とかで仕事をしているのです。何時でも、何かあれば瞬時に駆けつけられるように近くにいるのです。こちらを常にモニタリングもしているので、事が起きれば1秒から10秒も有れば現場に現れます。フェイトさん以外にも何人もナンバーズの人達がここに待機していたりします。私とイクスの護衛でしたが、ヴィヴィオの護衛も行っています。この学校の警備としても歓迎されているので、普通に学校の中も入れます。ここはお嬢様学校ですからね。それに実際、すでに何十人も不審者や誘拐犯がフェイトさんによって逮捕されています。

 

「その子は?」

「新しいお友達です」

「初めまして。リオ・ウェズリーです」

「うん。初めまして、フェイト・T・ハラウンです。悪いんだけど、学生証を見せてくれるかな?」

「どぞ」

 

 フェイトさんがリオさんから学生証を受け取って、耳に手をあててから確認していきます。生体データとかもチェックしていますね。偶に子供を利用した犯罪行為もあったので、しっかりと見元を確認して洗脳の痕跡があるかないかなどをチェックしています。ちなみに子供を利用した犯罪者はフェイトさんに言葉では言えないような状態になるまで、斬り刻まれましたが。子供を使った犯罪には一切容赦ないですからね、この人。

 

「うん、大丈夫だね。ありがとう」

「はい。あの……」

「ああ、ごめんね。私はイクスとコロナの護衛だから一応、調べないといけないんだ」

「あ~王様ですもんね」

「そうなんだよね。イクスの方は更に個人でお金も持ってるし、恨みも結構買ってるから……子供に言う事じゃなかったね。何処かいくなら連れていってあげるし、家に帰るなら送るけど、どうする?」

 

 実際に何度誘拐されそうになったか、計り知れません。何回かはわざとフェイトさんを撒いて捕まって、犯罪者で実験をしたりもしました。因みにフェイトさんも納得はしていませんが、無理矢理説得しました。全く、誘拐犯の人達は封印錠をつけた程度で安心するのですから、楽勝です。体術を使って瞬時に倒しました。危うく殺し掛けた事以外はなんら問題はありませんでした。

 

「えっと、公園の近くに美味しいパフェ屋さんが出来たって、聞いたんだ~」

「じゃあ、乗って。どうせだから奢ってあげる」

「やった」

「いいんですか?」

「いいよ。でも、晩御飯が食べられなくなるくらい食べるのは駄目だからね」

「「は~い」」

「食べた後は運動すればいいです」

「ですね」

 

 という訳で、フェイトさんの車で公園に向かいました。パフェの専門店は公園の近くにあったファミレスが潰れて、作られたようです。車を駐車場に止めて一緒に入ります。

 

「いらっしゃいませ~。おすきな席へどうぞ~」

 

 窓際の席をヴィヴィオさんとリオさんに譲ってイクスはフェイトさんの前に座って、メニューを見ています。苺とか、ブドウとかメロンとか、いっぱいあります。

 

(どれがいいですか、コロナ?)

『イクスの好きなのでいいですよ』

(コロナが好きなのはメロンでしたね。メロンと苺が入っているのは……)

「フェイトママ、このデラックススペシャルパフェを……」

「却下。絶対になのはに怒られるからね」

「くぅ~色んなの食べたかった~」

「えっと、皆で大きいのを頼みますか?」

「ジャンボですか」

「色々と入っていますね」

「まあ、皆で一つならいいよ。じゃあ、このジャンボデラックススペシャルパフェを一つ……」

 

 タッチパネルでフェイトさんが注文していきます。来るまでに色々と話していきます。

 

「リオも格闘技やってるんですよ」

「では、ヴィヴィオと一緒ですね」

「イクスもやってますよ~」

「私達はメインにはやっていませんよ。私達のメインは魔法戦ですからね」

『そうですね。格闘はあくまでもついでです』

 

 接近戦が戦えない魔導師なんて、ベルカではただの的です。全部の距離に対応出来なければ獲物でしかありません。

 

「えっと、二人は古流武術ですか? 私はルーフェン発祥の春光拳ですので、古流武術になります」

「そうですよ~私も古流武術です。聖王オリヴィエが使っていた武術ですから、そうなります」

「私達はベルカの技術全てですね」

「え?」

「記憶からベルカの騎士達のデータを作成し、それを身体で実行して覚えています」

「すごっ」

「そうですよね~。どっちかっていうと、操作魔法を使う時点でイクス達の方がオリヴィエの後継者っぽいです」

「えっと、オリヴィエって聖王様の名前でしたよね。操作魔法を使ってたんですか?」

「そうですよ~」

 

 ヴィヴィオが楽しそうに話していきます。私達からも色々と聞いていますし、ゆりかごのデータもあるので随分と知っています。それにドクターがゆりかごのデータから聖王オリヴィエのイメージを作成し、ヴィヴィオと模擬戦をさせる事によってその技術を習得せています。というか、ドクターが私でいうイクスの位置みたいな感じでヴィヴィオを鍛えています。

 

「ベルカの話が聞きたいなら、今度話して貰えばいいよ。それより、来たみたいだから、溶けないうちに食べないとね」

 

 フェイトさんが、店員さんから巨大パフェを受け取って、テーブルの上に置いてくれました。それから取り分けて、私達に渡してくれます。

 

「「「いただきます」」」

「どうぞ。でも、あんまり急いで食べたら駄目だからね」

「「「は~い」」」

 

 美味しそうにイクス達が食べています。だから、私にも味が伝わってきます。結構おいしいですが、やっぱり甘すぎます。

 

 

 

 

 食べ終わった後、公園で遊ぶ事になりました。といっても、私とヴィヴィオが戦うだけです。イクスと交代し、ヴィヴィオと互いに構えます。

 

『調整には丁度いいかも知れませんね』

(難点は調整ですまないかも知れないって事ですが……大丈夫でしょう)

 

 ベンチに座って、こちらを見ているフェイトさんとリオさんの姿を視界に入れます。何かあれば止めてくれるでしょう。

 

「では、いきます」

「どうぞ」

 

 ヴィヴィオがボクシングのようにステップを踏んでから、一気に加速して突っ込んで殴りかかってきます。私は差し出された拳を掴んで、相手の力を利用して投げます。ヴィヴィオは空中で身体を捻りながら、蹴りを放ってきます。両手をクロスさせてガードしつつ、力を込めて解除すると同時に弾き飛ばします。今度はこちらから踏み込んでいきます。ヴィヴィオが両手を上げてガードしていきます。

 

「はっ!」

 

 拳に力を込めて断空拳の一撃を放ちます。ガードを粉砕してヴィヴィが吹き飛ばされます。即座に追いつき、攻撃をしようと思いますが、ヴィヴィオは宙返りを行って直ぐに私の拳に合わせてきました。互いにラッシュを打ち落としていきます。

 

「凄いですね……」

「歴史的に見ても、聖王と冥王の戦いだからね……もっとも、この頃は何度も戦っているけどね」

「それ抜きにしても凄いですけどね」

 

 ヴィヴィオは自動発動する聖王の鎧で怪我の心配がありません。逆に、私は魂の強化で肉体も強化されているので互いに傷を負う事がほぼありません。魔法を使えば別ですが、全力で殴ったり蹴ったりできます。

 

「そこです」

「上っ」

「いえ、下です」

「ぐふっ⁉」

 

 上から殴りかかるのと少し遅くした状態でもう片方の手で腹を殴りつけます。ヴィヴィオは即座に拳で顔を狙ってきますが、最初に使った方の手で弾きます。直ぐに蹴りがきますが、ジャンプしてヴィヴィオの首に腕をはさみつつ、回転して締め上げます。

 

「てりゃっ!」

 

 しかし、聖王の鎧で首が守られているヴィヴィオは容赦なく膝打ちを叩き込んできます。直に離れてからまた近付いて超至近距離で近接攻撃で遊んで行きます。

 

「うふふふふ」

「あはははは」

 

 二人で笑いながらやっていくと次第にテンションが上がっていきます。

 

「ここまでかな」

「え? まだ全然やれそうですけど」

「あの二人、笑い出したら危険なんだよ。ここから魔法を使いだして回りが見えなくなるからね」

「そ、そうなんですか」

 

 私達の手には魔法がやどりだしていきます。すると、私とヴィヴィオの首筋に雷の剣が添えられて、強制的に戦闘が中断させられます。

 

「わっとっと」

「はい、落ち着いたかな?」

「「はい」」

「なら、よし。二人共、熱くなると声じゃ止まらないんだから」

「「ごめんなさい」」

「ねぇねぇ、私も混ぜて~」

「いいですよ~」

「はい、歓迎します」

 

 それから、リオも増えて三人で遊んで行きます。毎回、危なくなるとフェイトさんが強制的に止めてくれます。お蔭で楽しい調整が出来ました。春光拳のデータはありがたいです。

 

 

 

 さて、遊んだあとはリオを送ってから、移動していきます。私は調整に入るので、ヴィヴィオを送ってから家に向かいます。フェイトさんはヴィヴィオを家に入れて、直ぐに私の所に歩いてきます。ですが、その次の一瞬で結界が展開されました。回りに私とイクスだけで、他には誰もいません。

 

「これは……」

『あの人の仕業ですね』

「みたいですね」

 

 目の前の道路を歩いてくる長髪の女性。

 

「ガレアの冥王。冥府の炎王イクスヴェリアですね。お手合わせ願いましょう」

「……」

 

 拳を構えるその姿は、イクスの記憶の中にある人とそっくりでした。ここで来ますか……これは明日、大会には参加できないかも知れません。まあ、そんな事はありえませんが。さて、どう料理してくれましょうか。久しぶりに監視(フェイトさん、なのはさん)から解放されて自由に、全力で戦えます。全てを虚無の彼方へと葬りさりましょうか?

 

『後で怒られますよ』

(ですよね~)

 

 まあ、放置しても問題ないんですよね。

 

「返答は如何に」

「お断りします」

「そうですか。では、強制的にも戦って貰います」

「残念です。ええ、非情に残念です。もっと()()がよければ戦えたのですが」

「え?」

 

 なにもない空間から突如、太い剣先が突き出てきて結界がバターのように斬り裂かれていきます。そして、現れたのは小さなツインテールの()()()()()()。それに女性が構えようとした瞬間には雷の大剣で斬られていました。

 

「無事?」

「ええ、無事ですよ。どこも怪我はありませんよ」

「相手がだよ」

「…………」

 

 心配するのってそっちですか。いや、まあ確かに過激な事は結構しますけどね。

 

『爆殺されなくてよかったです』

「……で、どうするんですか?」

「とりあえず、補導かな」

 

 ロリっ娘フェイトさんが封印の手錠を嵌めると、出て来たのは小さな女の子でした。見覚えはどこかあります。またベルカ関係の人ですね。

 

「ところで、なんでその恰好ですか?」

「こっちの方が速いからね。結界を斬るのに同じ個所を何万回と斬ったから……私はなのはやイクス達と違って、結界破壊なんて簡単には出来ないから大変なんだよ?」

『斬撃で空間破壊ってどれだけ出鱈目なんでしょうか……』

(次元斬とかできそうで怖いです)

 

 フェイトさんはスポーツカーに速さを求めて乗るような人ですからね。アレもドクターの魔改造で変な事になってますけど。800キロくらいは出るはずです。こんな事を考えながら、フェイトさんが他の人に通報するのを見ているだけでした。その直後、なのはさんやナンバーズ達。はやてさんやヴォルケンリッターの人達も出てきて、保護という名の監視をされる事になりました。

 

 

 

 

 




護衛を引き離すには生半可な戦力では駄目です。最低でも魔導師Aランク以上の一個師団とAMF装備の盾を用意しないと、旬殺されます。

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