“冥府の炎王”コロナ・ティミル   作:冥府の炎王

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第10話

 

 

 

 はやて

 

 

 

 イクスヴェリアとの模擬戦は私等の負けやけれど、得られた物は多い。負けたのは悔しいけれど、イクスヴェリアのデータは着々と揃ってきているし。取り敢えず、訓練場の修繕費を捻出せなあかん。派手にぶっ壊しやがったし。ほとんどの場所が溶けて、穴が空いたりしている状態や。お蔭で事情説明の書類まで書かなあかん。執務室にかかりっきりや。

 

「はやてちゃん」

「シャマル、あの娘はどうや?」

「今はぐっすりと眠っている……と、言いたいのだけれど、苦しんでいるわ。詳しい事はわからないのだけれど、おそらく吸収した魔力でリンカーコアの容量を強制的に増やした状態を、通常の状態に置き換えているみたいね」

「それ、かなり危険なんとちゃうん?」

「危険ですよ。はやてちゃんが、闇の書にされた事よりももっと。あの娘、コロナちゃんは普通に動いているのが不思議な状態です。操作魔法がなければ、既に歩けないような状態ですよ」

「そんな状態であんな動けんのか……」

「常に五体の完全操作を行っているから、本人すら気付いていないかも知れません」

「引き続き、様子を見ておいて。私はなのはちゃん達と対策会議や」

「ええ、任せて。あ、それと寝言なんだけど、聖王に関してかなり怨み言をいっているわ」

「あ~頭に入れておくわ」

「よろしくね」

 

 さて、あっちにも連絡を入れなあかんな。通信のスイッチを押して、無限書庫のユーノへと繋げる。

 

「ユーノ、そっちはどうや?」

『うん。冥府の炎王、冥王イクスヴェリアについて、色々とわかったよ』

「それじゃあ、みんなと会議するから、会議室でまた連絡するわ」

『うん、任せて』

「ほな、また」

『こっちも作業を終わらせておくよ』

「お願いや」

 

 通信を切った後、執務室から出る用意をする。机の傍らにある小さなデッキで腕を突っ伏して寝ているリィンを掴んで、頭に乗せて移動する。

 

 

 

 会議室に入ると、既になのはちゃんとフェイトちゃん。それにシグナム、ヴィータが居た。ヴィータは涙目で、頭を押さえている。ここまでが何時ものメンバーやけど、今回はゲストとしてギンガにも来て貰っている。基本的にコロナ・ティミル……イクスヴェリアを護衛しているのは地上本部やからや。

 

「自己紹介は終わってるよね?」

 

 ギンガはうちのフォワード、スターズのスバル・ナカジマの姉や。

 

「ええ、大丈夫です」

「うん。それで、今回の事だね」

「そうや。イクスヴェリアに関する会議や。まず、ユーノから色々と報告してもらうで」

 

 通信を繋げると、紅茶を飲んでいるユーノの姿が移った。

 

『っと、ごめん。えっと、早速始めるね』

「頼むで」

「にゃはは」

 

 どうやら、長期戦になるから飲み物を取って来てたようやね。

 

『さて、冥王イクスヴェリア。彼女はベルカの、それも古代ベルカと呼ばれるベルカでも殊更古い時代に生まれた……いや、作られた。彼女は当時魔導師によって、駆逐されていった魔術師や魔女。それに追放された魔導師などのグループによって作られた存在との事だ』

「古代ベルカってかなり古いよね」

「先史時代の初期だったかな」

「はい、そのはずです」

『そうだね。だからこそ、彼女の使う魔法はミッドチルダやベルカで使われていた科学的な魔法ではなく、オカルト染みた魔法もある。彼女は王として、戦争の切り札として作られたからだ。その特性はネクロマンサーと言っていい。マリアージュのコアを無限生成する能力で、死体にコアを埋め込んで自爆特攻兵器、マリアージュに作り変える。そのマリアージュ達は敵兵へと突撃して、行動不能になると自爆する』

 

 あれか。ゴーレム技術で作り出した機械のマリアージュではなく、死体を使ったマリアージュ。あれは不気味でおそろしかったわ。強さは大した事はなかったんやけど。ぶっちゃけ、機械兵の方が強いわ。でも、最後のは疲弊した所に数がやばい。

 

「でも、自爆するんだから数が減りませんか?」

『そうでもないんだ。古代ベルカとベルカにおいて、死体なんて戦場にいけばそこら中にあったようだ。今みたいに、わざわざゴーレムで作らなくても、そこらに死体があるんだよ。それにガレアは戦争を良くしていた世界からしても、危険な狂った科学者や魔女の連中が集まった集団のようで、捕虜や犯罪者、まれに自国民まで使って人体実験を繰り返していたそうだから、死体には事欠かなかったようだ』

「うわぁ……」

「どんなところですか……」

 

 なんつー世紀末な世界や。そりゃ滅ぶわ。

 

『そして、彼等が多数の敵国を相手にしても打ち破った方法が、まずはイクスヴェリアによる効率的な死体の兵士化。これで足りない数の力を補った』

「数の力?」

「まって、その言い方って」

「あの当時のガレアは質の面でも聖王国に匹敵していた気がする」

『そうだよ。連中は殺した人の魂を吸収して、自己の魂や肉体を強化する術を編みだしていた。だから、上の連中ほど……はやて達にわかりやすく言うと、無制限の闇の書バージョンといえばいいかな。相手の魂を手に入れてエネルギーにする事で、相手の魔法や魔力その物までその力が尽きるまで、半永久的に自身の物にする事が出来るそうだ。そんな連中が多数居たようだ』

「ちょっと待って。それって、一人に魔導師数百人分の力があったってっ事?」

『もっとだよ、なのは。幹部クラス、円卓と言われていたらしいけど、彼等は5万以上の人を一人で殺して魂を得る事が参加条件だったようだ』

「やつらは戦艦すら一振りで斬り飛ばす化け物だった」

 

 出鱈目にもほどがあるやろ。しかし、そうなるとまだイクスヴェリアの力は弱いほうなん?

 

「シャーリィ、イクスヴェリアの魔力は?」

「えっと、最初は平均して推定700万前後。魔力値だけならSランクの魔導士ですね」

「六歳でそれかい」

「本当、おかしい」

「凄いですね」

 

 戦艦の魔導炉を使ってるようなもんやで。

 

「そして、現在は平均で1200万。これは魔力がなくなった状態で勝負を挑まれ、勝つために集めたからだと思われます」

「1200万って、子供の頃のなのはちゃんの10倍?」

「にゃはは、127万だったからねえ~流石は王様だね」

「というか、平均?」

「はい。おそらく、これが普段使用している状態ですね。そして、戦闘の後半ですが、魔力量が跳ね上がっています」

「戦闘の最後? それってなのは達が追い詰められた?」

「はい。そこで推定されるのは本気になったのか、信じられない事に計測できた魔力量は53億8637万8600……」

「ちょっとまちぃ!」

「どんだけ化け物なんだよ!」

 

 ありえへん。管理局の全戦艦を集めて、ようやく対抗できるかできへんかぐらいの魔力量やないか。これを個人でもっとるんか?

 

「おそらくまだ上だろう。何せ、相手は先史文明から生きて殺しまくってきた化け物だぞ。どれだけの生命が犠牲になり、一人に集まっているか」

「……そりゃ、凄く余裕に足をぷらぷらさせてられるね」

 

 盛り上がった道路のアスファルトに座って、私となのはちゃんが倒されるのを観察しとっただけあるって事か。

 

「はなっから、倒そうと思ったら、何時でも私等を殲滅できたってか。どっちが舐めとんねん」

「あの、それなんだけど……おかしくない?」

「なんや、フェイトちゃん?」

「最後の方は王様っぽい戦い方だよね。配下に全部任せて自分は成り行きを見学する。戦力が少なくなったら、その都度追加していく。それで、最初の方の戦い方だけど、確かに配下を使っているんだけど……」

「どちらかというと、将の動きだな。自身を囮にして敵を引き寄せたりもしていた」

「それに服装も変わってる。もしかして、どっちかがイクスヴェリアで、もう片方はコロナちゃん?」

「いやいや、それはないって。こんな事を出来る六歳児がどこにおんねん」

「そうだよね……でも……」

「それに服装に関してですけど、デバイスを変えたからじゃないですか? 本人がデバイスマイスターなだけあって、自前のデバイスを結構持ってるようですし、バリアジャケットも変えているかも知れません。最低でもこのグローブ。これは振動破砕が使えるグローブでした」

「振動破砕、スバルのだね」

「はい。アレと同じでした」

「これで私のレヴァンティンが砕かれた」

 

 シグナムのデバイスも修理せなあかんねんな。どんだけ金かかんのか、今からでも恐ろしいわ。

 

「そして、この腕輪。これは沢山のデバイスを登録して、瞬時に呼び出して使用できる機能があるようですこのデバイスだけはつねに付けていました」

「もしかしてだけど、イクスヴェリアは覚えた戦技を試していたんじゃないかな? 最初のだって、あのおっきいの、ゴライアスだっけ。それの実験みたいだっし。王様といえど、近接戦闘ができないと……というか、あの、このイクスヴェリアの目的って、DSAAで優勝だよね? じゃあ、近接戦闘とかできないと話にならないんじゃ。確か、作るのも試合開始後だったはずだよ」

「それは確かに……」

「あの、それと一つ報告があるんですが……迎えに言った時なんですが、ゴライアスというのを作る時にこんな事を言っていました」

 

 ギンガがデバイスから映像を映して出してくれる。そこには庭に少女二人がお絵かきをしているような映像が出て来た。外から見る限りはこんな感じだけれど、どう考えてもやばい事をやっている。

 

『……躁主イクスヴェリアが命します。来て、ゴライアス!』

 

 錬成陣から沢山の土が盛り上がり、巨大な人型を形成しいく。それは3.5メートルはありそうな巨大な土のゴーレム。

 

『なんとなくです』

 

 なんとなく作った感じなんか? これを初見で?

 

『ん、出来た?』

『駄目です……ふんっ』

 

 魔力を込めて、殴られるとゴライアスのお腹に大きな穴が開いた。ありえへんって。子供の拳が出す威力やないで。

 

「馬鹿な……」

「嘘だろ……」

「二人共、どうしたんや?」

「これは……」

「断空拳だ、断空拳なんだはやて!」

「なんやそれ」

「覇王の技だ。それをイクスヴェリアが使った」

「その覇王も殺されたんやないんか?」

「いや、それはない。彼は別の事で死亡したはずだ。それに癖が覇王にそっくりなのだ」

「記憶はあいまいだけど、間違いねえ、これは覇王のだ」

『もしかしてだけど、この冥王イクスヴェリアは進化しているのかも知れない』

「どういう事や?」

『今までの記述から、彼女が銃撃やゴーレムを扱ったり、相手の格闘技を使ったという記録は残っていない。クロノに調べて貰ったけれど、彼女が融合しているコロナという少女はゴーレムの作成と操作に関して、高い適正があるようなんだ』

「つまり、イクスヴェリアはDSAAに出るためにマリアージュ以外の戦闘手段を模索し、寄生体の適正があったゴーレム関連とそれに付随する操作技術を鍛えたという事やな」

 

 ほんまに余計な事をしてくれる。大人しくそのままやったら、まだ比較的簡単に倒す手段はあったんや。

 

「彼女はもはや王でありながら、超一流のベルカの戦士だ。リミッターがある状態で私とフェイト。馬鹿をしたヴィータを退けるぐらいにな」

「それなんだけど、この映像を何度も見てわかったんだけど、これ、プログラムして操作しているだけだね」

「どういう事や、なのはちゃん?」

「うん。たぶんだけど、彼女の中には古代ベルカの戦いの映像が鮮明に残っているんだよ」

 

 なのはちゃんが自分の頭をコツコツと指で叩きながら言って来る。

 

「つまり、高町。その映像から騎士の動作を徹底的に調べ上げたという事か?」

「うん。それをゴーレムと同じようにプログラムして自分の身体に適応しているんだよ。実際、機械兵の戦い方は歴戦の騎士だったけれど、決まったパターンがあったよ。たぶんだけど、完全に再現できてないみたい。まあ、そもそもマリアージュは魔法を使えずに銃や剣とかで戦ってきてるからね」

「その分、運動能力は化け物じみとるけどな」

「機械の身体だからね」

「なら、歪な状態も納得できる。いささか本家よりも威力がたりん」

「あれで!?」

「アレは魔力にものを言わせているだけだ。そもそも、大人の体格で使う技を子供の身体で際限しているのだから、何処かに狂いが生じるのは当然だ。だが……真に恐ろしいのはそれらの技術を徹底的に身体に覚え込ませ、完全に再現するのではなく自身の物として再構築した時だ。借り物ではない、本来の力を持つことになる。そうなれば、もはや彼女は一人軍隊(ワンマンアミー)ではなく国その物となるだろう」

「このまま成長させたらやばいって事やな」

「身体がもてばな。どちらにしろ、このままだと長くは……いや、そうか。だからこの術式か」

「シグナム?」

「簡単な事だ。自分の命で足りないのなら、別の命で補うのだ。回復力もおそらくそうするつもりなのだろう。融合してから、そんなに時も経っていないようだしな」

「なあ、ひょっとして身体を壊す所まで壊して、一気に治すつもりかもしれねえぞ。その方が強くなるだろうからよ」

「確かに」

 

 どっちにしろ、危険過ぎる事は確実や。

 

「後、監視映像からですが、彼女、八神司令達に襲い掛かる時もイクスヴェリアを名乗っています。実際にイクスヴェリアと話し掛けた時も返事しますしね」

「じゃあ、両方やっぱりイクスヴェリアなんだね」

「どうしますか? いっそ幽閉しますか? 衛星軌道にある監獄に」

 

 最悪、それもありかも知れへん。

 

「それは駄目!」

「でもな、フェイトちゃん……このまま成長されたらやばい事になるんは目に見えてんで。特にこの子やったら、第二のジェイル・スカリエッティになる可能性も十分にある。いや、それ以上や。特に自由にさせたら次元世界が崩壊するかも知れへん。これはカリムからも言われとるんや。冥府の炎王イクスヴェリアは扱い方を間違えれば災厄になると。実際に既に何十個の世界がイクスヴェリアの力によって滅びとるんや。ましてや、今回は成長しとる。これは次元世界の危機ともいえる。今やったら、簡単に捕らえられるんや」

「駄目だよ、はやて。私は断じて、それを許さない」

「へぇ、フェイトちゃん……だったらどないするんや?」

「こうする」

 

 フェイトちゃんが剣を作り出して、向けてくる。冗談やない、マジな目や。下手したら、非殺傷すら切っとる。

 

「まさか、操られとるんじゃないやろうな?」

「私は会ってから、今まで操作魔法に対する対策は万全だよ。執務官を舐めないでくれるかな?」

「確かに、一人で敵地に行く場合の備えは常にしてるよね」

 

 なんか、なのはちゃんは凄く冷静やね。ヴィータはシグナムに押さえられとる。シャーリィとユーノはあたふたしとる。

 

「シグナム?」

「すいません、主。私はテスタロッサに賛成です。封印や幽閉は反対です。騎士として、戦ってならばともかく不意打ちは認められません」

「それで勝てへんのは模擬戦で証明されとるで」

「いいえ、そんなレベルではありません。彼女が本気になると最悪、ルール無しの場合、自身をマリアージュに変化させて自爆されるおそれもある。あの魔力量です。次元震くらい、簡単に起こせるでしょう」

「それは確かに危険やけど」

「違うよ! あの子はそんな事しないよ! 絶対に!」

「なんでわかるねん!」

「フェイトちゃん、理由があるんでしょ? まず、それを話してからだよ。だから、これは降ろそうね?」

 

 なのはちゃんがフェイトちゃんの剣を素手でつかんで、降ろしていく。なのはちゃんの手は当然、斬れている。って、まじで!?

 

「なっ、なのは……」

「ね?」

「う、うん……なのはそういうなら……」

 

 とりあえず、バルディッシュは仕舞ってくれた。やっぱ、子供に関してはフェイトちゃんに黙ってた方がよかったか。でも、蓋をあけたら災害級指定の歩くロストロギアやからな。

 

「それで、どうしてそんなに信じられるの? 私はフェイトちゃんの味方だから、話して」

「ちょっ、なのはちゃん!?」

「だって、どう考えてもはやてちゃんのは現状、取るべき手段じゃないよ。私達は管理局で、法を順守すべきだよ。そして、現状は本当に守るべきはコロナちゃんの方だよね」

「でも、被害が出てからやったら、遅いねんで」

「大丈夫。今度は負けない。あの立体魔法陣は私も考えていたんだ。でも、ちょっと魔力制御がたりなくてね。でも、あの戦いでわかったよ。立体魔法陣の構成の仕方、その必要な装備」

「ちょ、なのはちゃん……?」

「くすくす、今度は私が全部、吹き飛ばしてあげる。六歳に負けたままってのは、戦技教導官としても、なのはさんとしてもいただけないからね。私のスターライトブレイカーはまだまだ、強くなるよ」

『Exactly、MyMaster』

 

 本気や。本気の目や。顔は笑っているけど、それ以外は全然わらっとらん。

 

「なのは、ダメだよ? やるとしても、あくまでも同意の模擬戦だよ?」

「うん、大丈夫だよフェイトちゃん」

「そっか。なら、大丈夫だね」

 

 いや、全然大丈夫とちゃうから!

 

「まあ、ええわ。それでフェイトちゃんの話や。なんかあったんやろ?」

「うん。ここに来て、私達の部屋に案内した時なんだけど、彼女のお母様に言われたようにいったら、友達居ないでしょって言ったら、泣いてたの」

「「「ぶっ!?」」」

「最初はセッテちゃんが友達だといったんだけど、友達じゃなくてマスターだって否定されたからだけど。だから、こっちからちゃんと接していけば大丈夫だよ。あの子は確かに長い時間を生きたのかも知れない。でも、キャロやエリオと同じなんだよ。だから、私がちゃんと面倒をみる」

「だって、はやてちゃん」

「ああ、もう! ここで拒否したら私が悪役やん! ええはもう、好きにすればええ! でも、なんかあったら始末書やからな。責任は私がとったるから、それぐらいはしてもらうで」

「うん、好きにさせてもらうね。ありがとう、はやて」

「うん、そうだね。好きにさせて貰おうか」

「ん?」

 

 なんか、なのはちゃんまで変な事を言ったような?

 

「じゃあ、フェイトちゃん。まずはどうする?」

「うん。まずはね、彼女の好きな事でお話して友達になるんだよ」

「ふむふむ。それじゃあ、なのはさんも行こうか。いろいろと戦技の事で話す事もあるし。あ、そうだ。良い事をおもいついたよ」

「どうしたの、なのは?」

「うん。フォワード達の訓練に彼女も参加してもらおうよ。きっといい感じになるよ(厳しさが)」

「そうだね。連帯感も出るし、いい方向にいきそうだね」

 

 なんやろ、なのはちゃんは結構物騒な事を考えてそうや。

 

「あの、その訓練って私も出るんですよね?」

「あ~ご愁傷様や」

「あ、アレと戦うんですよね? 絶対味方じゃないですよね?」

「せやろうな」

「でも、ええ考えではあるんや。彼女の力やったら防衛線を突破する訓練にちょうどええねん」

「あ、はやて」

「なんや?」

「さっきはごめんね」

「いや、別にええよ。確かに私もちょっと行き過ぎとったし。あれで頭冷えたし」

「そっか。じゃあ、()()()()()()もお願いね」

「え!? ちょ、なんでや!?」 

「だって、私はイクスヴェリアにつくから。さっき、好きにしていいっていったよね?」

「いやいや、それとこれは……」

「じゃあ、私の分もお願いしようかな。ヴィヴィオとの時間も増やしたいし」

「お願いします、待ってください。過労死させる気ですか」

「大丈夫だよ、はやてなら」

「うん、はやてちゃんなら大丈夫。私はもしもの時の為に新魔法を完成させないといけないからね」

 

 あかん、こいつらまじや。なまじ世界の危機やから、文句もいえへん。

 

「ぐ、グリフィス君、助けて!」

 

 急いで、助けを求めようとしたけれど、もっといいのがいた。

 

「そうや、そこに簸ましてるいい人がおるやん。シグナム、ヴィータ」

「なんですか?」

「なんや?」

「ちょっと無限書庫に出向いて、ユーノ捕まえてきて」

「おっけー」

「了解しました」

『まって、まってぇえええええぇぇぇぇっ!』

「いやや。道ずれや。ようこそ、書類地獄に」

『なのは、なのはぁぁぁぁっ!』

「あ、なのはさんならうきうきした顔でフェイトさんと一緒に出ていきましたよ」

「ご愁傷さまや」

『あぁ……この世に神も仏もいないのか……』

「まあ、実際にこっちに居て貰った方がええねん。護衛の意味もかねて」

『だろうね。届いたよ、例の予言。彼女のご家族は?』

「クロノが護衛してくれとる。それにレティさんも一緒や。大丈夫やろ」

『わかった。そっちに行くよ。だから、せめて準備させて』

「なら、一時間くれてやる」

『わかったよ。三分って言われないだけましだし』

 

 これでどうにかましになるか。極秘事項は駄目やけど、六課の事のやったら別に問題ないしな。ユーノも管理局の関係者やし。

 

 

 

 

 

 


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