ワン娘と俺氏と紫キャベ娘   作:もちもちもっちもち

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日記4

 ☆月★日

 

 やっぱりプレゼントを贈るって面白いね。

 俺からの贈り物に、最初に気付いた時の二人の反応は実に対照的。

 紫キャベ娘は素直に喜び、ワン娘は敵の施しは受けんと突っぱねる。

 ふーんと俺氏クールに対応、返されたカードを紫キャベ娘にプレゼントしました。

 だってこのカード、紫キャベ娘のデッキにも問題なく入るし。

 慌てるワン娘、カードを奪い返し、俺と紫キャベ娘から距離を取りガルル……っ!! と威嚇。

 欲しいのなら素直になればいいのにと、俺と紫キャベ娘でニヤニヤ面で精神攻撃開始。

 ふはは、ツンデレっ娘をイジメるのってイケない扉開きそうで癖になりそうだぜ!

 結果ワン娘、意固地になったのか半泣きでカードを返してきたのでやり過ぎだと判断。 

 どうしても受け取って欲しいんだと俺超真面目顔、ワン娘赤面、カード受け取ってくれました。

 代わりに紫キャベ娘が敵になりました、おいその鞭どこから取り出した。

 ハイライト消えた目で振り回すな、俺がデュエリストじゃなかったら怪我じゃすまなかったぞ。

 鞭を振り回す紫キャベ娘、ワン娘抱えて逃げる俺、借りてきた犬のように大人しいワン娘。

 結局勲章おじさんが来るまでこの騒ぎは続きましたとさ。

 

 アカン、ただでさえ俺の中で高い勲章おじさんへの好感度がうなぎ上りですよ。

 これがギャルゲーで俺がヒロインだったら既に攻略されてるレベル。

 さすが出来る大人は違うぜ、クロノス先生の次に尊敬してます。

 

 

 

 

 

 ◆  ◇  ◆  ◇

 

 

 

 

 

 ★月×日

 

 教え子の成長が最近著しい件について。

 先日のガキンチョ二人の失踪事件以降、色々と吹っ切れたのだろう。

 紫キャベ娘との戦績は以前の状態に近いものになった。

 キモ竜の進化体の超キモ竜の恩恵もあるのだろうが、俺があげたカードがアカン。

 もう一枚あるからと、軽い気持ちで予備の方をプレゼントしてみたんだけどね。

 アカンです、召喚条件の緩い紫キャベ娘の融合体共と相性が良過ぎますわ。

 GXではキーカードだったから色々と心配したけど大丈夫だよね、紫キャベ娘も喜んでたし。

 

 ワン娘にはなんと、こないだ一対一では初の黒星を付けられちゃったぜ。

 色々と器用に熟せる紫キャベ娘と違って、ワン娘のデッキは悪く言えばワンパターン。

 特化型だから嵌れば強いのだが、戦術が攻めの一辺倒だから読まれやすい。

 なので、俺があげたのは搦め手を担えるモンスターとそれを召喚するために必要なカード。

 あのカード、俺がこの世界で手に入れたカードの中では賢者の石に次ぐレベルのパワーカードだから、正直手放すのは惜しかったが、ワン娘のためを思えばさほど苦ではなかった。

 初めて見るHEROだったけど、今まで俺が入手できたカードの傾向を思えば、十中八九間違いない、主人公関連のカードに違いないのだろう。

 ぶっちゃけ制圧力半端ないです、正直敵に回すとこれほどにウザいカードはないね。

 ある意味では賢者の石へのメタカードにもなるからね、あの見た目完全悪役モンスター。

 

 負けるのって悔しいけど、おかげで良いもの見れたから良しとします。

 ぴょんぴょん跳ね回って勝った勝った! と初白星を喜ぶワン娘マジカワユス。

 生暖かく見守る俺の視線に気付き勘違いするな! と顔真っ赤にして言い訳するワン娘マジツンデレ。

 あと紫キャベ娘マジドS、ワン娘を弄る様が神懸ってやがるぜ。

 定期的に悪戯をする紫キャベ娘だが、説教して終わると拳骨は? と聞かれた俺の心情察して。

 悲報、どうやら紫キャベ娘はドSでドMのようです。

 俺ってば天国にいる親御さんにどう顔向けすればいいの!? 助けて勲章おじさん!

 

 

 

 

 

 ◆  ◇  ◆  ◇

 

 

 

 

 

 ★月Σ日

 

 勲章おじさんに紫キャベ娘のことを相談。

 性格を矯正するには外部からの衝撃が必要とのことだった。

 という訳で、やってきましたアカデミア校舎。

 

 外部からの刺激と勲章おじさんは言っていたが、それなら俺やワン娘が嫌というほど与えている。

 そこで俺は考えた、刺激の種類が偏っているのだと。

 以前も思ったが紫キャベ娘然り、ワン娘もだが、彼女達の世界はあまりにも狭すぎる。

 いやね、俺だってこれじゃあイカンと他の人とかと交流させてはみたんだよ?

 でもなんかね、アカデミアの生徒や教師から避けられているみたいなのよ、紫キャベ娘。

 訳を聞けば、ボクが強過ぎるからだよとか言ってたけどお前、俺より弱いのに嘘はアカンぜよ。

 そこで俺氏、紫キャベ娘と初めて会った時のことを思い出す。

 

 ――キミ、邪魔だよ?

 

 結論、性格に難ありですね絶対。

 デュエルが強い弱い以前にこんなんじゃあ誰も仲良くなりたいって思わないよ。 

 子供だからと、境遇のことも手伝って今まで許されてきたのだろう。

 だけどね紫キャベ娘、そんなんじゃ社会に出て通じないよ。

 俺っちもまだ社会には出ていない半人前だから偉そうなこと言えないけどさ。

 アカンですよ、元の世界のこと色々と思い出してきた、俺ってば受験生です。

 最近デュエルのことばっかで勉強を疎かにし過ぎである、今度勲章おじさんに教えてもらおう。

 

 という訳で、まずは紫キャベ娘の口調を敬語に改めるように言ってみた。

 慇懃無礼ってこういうのをいうんだねと思った。

 

 アカンぜよ、これって返って相手の神経逆撫でするわ。

 しかし、時すでに遅し、紫キャベ娘はこの話し方を気に入ってしまいました。

 うっわー、紫キャベ娘ヤッバいわー、超ムカつくわー。

 紫キャベ娘との生活も長いので、考えていることが筒抜けだから余計にね。

 直情型のワン娘との相性最悪、キャットファイトに展開しましたとさ。

 

 しかし、ここで諦めては教育係失格である。

 ガキンチョ二人を連れてアカデミア校舎へ、時刻はちょうどお昼時。

 ガヤガヤと賑わう食堂に溢れかえるアカデミアの生徒たち。

 まずは空気に慣れようと思ったが、ここまで多いと逆に気後れしちゃいそうだぜ。

 幸いにして、二人とも学食とか初めてだったみたいだから問題なかったけど。

 席の確保のため俺は残り、二人は券売機目掛けて突撃。

 やっぱりまだまだガキンチョだなーと微笑ましい気持ちで見送った時でした。

 

 

 女神様が降臨なさいました。

 

 

 ゴメン間違えた、男前ヒロインさんです。

 前回の謝罪では和解という形で終わったが、ドキドキする心臓、なんやねんこれ。

 男前ヒロインは相席はいいかと尋ね、俺氏即OK、一緒に居た友達連中に断りを入れて同席。 

 去って行った連中の後ろ姿に、慕われているんだなと思う俺だった。

 ちなみに連中の男女比は半々、原作みたいに女の取り巻きで固めている訳ではないらしい。

 去り際に男女共々から恐ろしい目で見られた、我らの女神に手ぇ出したら殺すぞ的な。

 ははっ、ホント慕われてるねとお兄さん空笑い。

 ところがぎっちょん、残念だが男前ヒロインそのうちやって来る主人公君に夢中になるのだよ。

 俺もある意味では主人公じゃないかって? 似ているのはデッキだけです残念ですけど。

 

 GX放送当時はガキンチョだった俺に年上好きを目覚めさせた張本人こと男前ヒロイン。

 確かに俺は当時の彼女に淡い気持ちを抱いた。

 しかし、それは主人公を支え、時には叱咤し、隣で歩み続けた男前ヒロインに対してだ。

 主人公に想いを寄せる男前ヒロインを、俺は好きになったのだ。

 彼女が成長し、いつの日か俺に当時の気持ちが再燃しても、きっと想いは告げないだろう。

 まあ、俺なんかが主人公に勝てるなんてミジンコ程度だって思わないけどね!

 それに、俺ってば主人公のことも好きだし、デッキ同じなの憧れからだし。

 

 ただし主人公、何故男前ヒロインの気持ちに気付かなかったぁ!!

 今では立派なガッチャ信者の俺だが、それだけは絶対に許さないんだかんな!!

 絶対に! 絶対に主人公が入学して来たら男前ヒロインの気持ち自覚させてやんよ!!

 

 そんな俺の心情は微塵も表には出さず、当時年上、今では年下の男前ヒロインと楽しく昼食。

 味よりも値段とボリュームの学食が、この時はどんな高級料理よりも美味しいと感じました。

 でも、そんな時間も長くは続かなかった。

 正直に白状します、ガキンチョ二人のことすっかり忘れてました。

 

 いやマジでゴメン。

 四人掛けのテーブル、向かい合って座る俺の隣にワン娘、男前ヒロインの隣に紫キャベ娘着席。

 紫キャベ娘、初っ端から慇懃無礼モード全開。

 男前ヒロインの顔引き攣ってましたよ、ほんとうちの子が申し訳ないっス。

 ワン娘、男前ヒロインの手前ということで抵抗できない状況を良いことに死角から俺を攻撃。

 絶対にこれ痣になってるよ、あとで覚えてろよワン娘。 

 その後は初日だから無理してはいけないとその場で解散。

 去り際に男前ヒロインからアドレスを頂きました、ありがとう家宝にします。

 幸福に浸かる俺の隣で紫キャベ娘とワン娘が揃って男前ヒロインを威嚇してました。

 失礼だろうと二人に拳骨。

 怒り狂うワン娘、久々の拳骨に頬を染める紫キャベ娘――アカン、悪手やった。

 そんな俺達の様子に苦笑しながら、男前ヒロインは帰路に就くのだった。

 

 

 その晩、男前ヒロインにメールを送る俺とガキンチョ達との攻防があったことを此処に記す。

 メール機能を搭載したデュエルディスクを取り返すのに日付が変わるまでかかりましたとさ。

 

 

 

 

 

 ◆  ◇  ◆  ◇

 

 

 

 

 

 ★月Ψ日

 

 ガキンチョ二人の社会復帰のためのアカデミア訪問もあれからだいぶ回数を重ねてきた。

 しかし、中々上手くいかない。

 手頃な生徒にデュエルを挑むも、相手は紫キャベ娘の姿を見た途端に拒否。

 別行動でデュエル相手を探していたワン娘はといえば、初対面の相手には基本喧嘩腰なので相手の反感を買ってデュエルにまで発展をしない。

 ハゲは二人に対して軟禁紛いのことをしていたが、それは彼なりの優しさなのだと気付いた。

 だって、見ている俺でさえキツイって思うもん。

 二人も全然気にしていない風だったけど、明らかに強がっているのが丸わかりだ。

 だから、どうせ傷付くくらいなら、そんな世界から切り離した方がずっといい。

 一見不愛想なおっさんだけど、さすがはアカデミアの最高責任者だと、ハゲを見直す俺だった。

 

 だが、このままでいいなどとは思わない俺。

 という訳で、唯一二人を拒絶しなかった男前ヒロインに協力を願いました。

 結果、生徒相手には消極的だった紫キャベ娘が超乗り気になりました。

 メッチャ笑顔だよ、でも目は笑っていません、アレは獲物を狩る眼だね絶対。

 ワン娘よ、言っておくけどやるのはデュエルだからね、リアルファイトじゃないからね。

 どちらが先に男前ヒロインを殺るか(誤字にあらず)揉めに揉めるガキンチョ二人。

 だったらと俺と男前ヒロインがタッグを組んでデュエルすることを提案。

 標的が男前ヒロインから俺に移りました、あれれ~?

 

 近頃の急成長に、二人同時に相手することが厳しくなってます。

 ガキンチョ二人の集中砲火に俺氏ピンチ。

 そんな俺の窮地に男前ヒロインが華麗に登場、エース降臨。

 久しぶりに見る儀式召喚に、なつかしーと呑気に召喚エフェクトを眺める俺。

 

 

 出てきたのは融合モンスター絶対殺すウーマンでした。

 

 

 ガキンチョ二人のモンスターを一掃。

 ポカーンとするガキンチョ二人、バサッと髪を掻き揚げる男前ヒロインまじ男前。 

 やはり俺の見立ては間違ってはいなかった。

 中等部の男前ヒロインでこの強さなのだ、高等部以上とか絶対修羅の国だろ。

 そしてデュエルの結果だが、俺&男前ヒロインのチームが勝利した。

 といっても余裕の勝利ではない、ギリギリ拾えた勝利だった。

 改めてガキンチョ二人強くなったと実感、あの状況で諦めなかったのは俺的にポイント高いよ。

 

 ガキンチョ二人、そして男前ヒロインの健闘を讃え、ガッチャと締めの儀式。

 不思議そうにそれを眺める男前ヒロインにガッチャ教について簡単に説明。

 結果、信徒が一人増えました、そして頂きました男前ヒロインの生ガッチャ。 

 むっすーとしているガキンチョ二人も、基本的に勝者には従う。

 男前ヒロインと握手を交わすガキンチョ二人に、良かったとほっと胸を撫で下ろすのだった。

 これを機にガキンチョ二人が男前ヒロインに心を開いてくれると俺は嬉しいです。

 

 だがしかし、その夜、ふと俺氏気付く。

 調子乗ってガッチャしたけど、したらアカンやん、これって教祖様の役割やん。

 どうしようと悩んではみるが、まるで良案が浮かばない。

 ならばと、ガキンチョ二人が就寝済みなのを良いことに、気分転換をしようと即行動。

 夜のアカデミアでも散歩しながら良い案でも浮かべばなんて、そんな感じです。

 とはいえ、前回ガキンチョ二人に無断で外出して怒られた俺は同じ轍は踏まないのである。

 

 

 ――夜風に当たってきます。探さないでください。

 

 

 書き置きを残して、それ行け夜のアカデミアを探検じゃあ!

 廃寮とかあったりするのかな? SALの研究施設とか? レッド寮とかボロいのかな?

 でもまずは灯台だ! 俺ってば灯台部の第三の部員になるのが夢なんだ!

 

 

 

 

 

 キャンディー咥えたロリに遭遇しました。

 

 

 

 

 




一体いつから――TSは遊矢シリーズだけだと錯覚していた?

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