毒舌提督の所為で相談室は暇無しです   作:NTK

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※予約投稿です。


第七話 豆は当たるとかなり痛い

無事に新年も迎えられたのだが、疑問に思うところがある。

以外にも綾香の被害がないという事だ。いや、むしろ彼女に懐いているといった事態だ。ロリコンって事を除いてもタランチュラ飼ってるだけでも引かれるはずなのになんでだ?…まぁいい。最初以外特に問題を起こしてるわけでもないからよしとするか。

さて、話は変わるが明日は節分の日だ。艦娘のみんなもそれぞれ前日から鬼役を決めていたが、その鬼役を蓮也が買って出たのである。それを聞いた艦娘はほぼ全員が目の色を変えたよ。なんか、獲物を見つけた獣みたいだったよ…。

あいつ、やっぱ恨み買ってんだなぁ…。何か起きなきゃいいんだけど。

 

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翌日

 

さて、節分当日なのだが今日は遠征も出撃も全てストップし、午前中は豆撒き、お昼に恵方巻を食べた後片付けをする段取りになっている。

そして、蓮也から開始の放送が流れてきた。

 

『えー、今から鎮守府豆撒き大会を始める。お互いに怪我やいざこざが起こらないように気をつけろよー。一一〇〇に豆撒きを終了した後食堂に各自集合するように。それと、僕に豆を当てようとしてる奴、別に権力使って仕返しとかしないから怪我させなきゃ思いっきりやって良し。ただし、当てられるもんならな。じゃ、始め!』

 

何とも軽く、そして煽るような合図と共に豆撒きが始まった。

 

「鬼は外〜!」

 

「福は内〜!」

 

「待て待て〜!」

 

みんなそれぞれ豆を持って鬼役の娘を追いかけたり、投げたりしてる。見てて微笑ましいのだが、狙いの逸れた豆が壁に当たった時エアガンが当たったみたいな音がするんだが、これホントに豆だよな?

 

「やぁ諸星さん。諸星さんも豆を撒く役かい?」

 

「あぁ響ちゃん。そうだよ。…暁ちゃんとかは?」

 

「それなんだけど…暁が今年は鬼役をやるみたいなんだ…」

 

「暁ちゃんが?大丈夫なの?」

 

ぶっちゃけ言うと不安しかない。当たった時泣きそうな気がするんだけど…。

 

「無理だろうね。本人は大丈夫って言ってたけど、そう言ってうまくいった試しがないんだ」

 

そうなんだ…ってか、だいぶ辛辣だなぁ…。

しばらく響ちゃんと話しながら歩いてると、雷ちゃんと電ちゃんが暁ちゃんの前でなんか躊躇ってるのが見えた。

 

「あ、諸星さん‼︎」

 

「暁ちゃん、本当に鬼役やってんだね」

 

「そうよ!暁は一人前のレディーだから鬼役をやるのよ!でも、2人が豆を投げないのよ」

 

「だって…ねぇ?」

 

「ちょっと可愛そうなのです…」

 

まぁ、気持ちはわからなくもないなと思っていたら、俺に話が向いてきた。

 

「じゃあ諸星さんが投げたらあなた達も投げる?」

 

「うーん…それならいいかな?」

 

「えっ⁉︎俺が⁉︎」

 

「電もそうして貰えると助かるのです…」

 

困ったな…でも、こう困ったような顔で頼まれて断るのもなぁ…。

 

「…よし、わかった」

 

とりあえず俺は投げることにした。といっても、怪我しないように軽く投げたけどね。一瞬気を悪くしないかなと思ったけど、暁ちゃんはそれに満足したようだった。

 

「さ、諸星さんも投げたんだからあなた達も投げるのよ」

 

「わかったわ…えいっ‼︎」ビュッ‼︎

 

「えいなのですっ‼︎」ポイッ

 

「ウラー‼︎」ビュッ‼︎

 

待ってさっきまで投げるの躊躇ってた割には全力で豆投げてね⁉︎当然豆は暁ちゃんに狙い違わず全部あたっていった。

 

「いっ痛ぁっ⁉︎」

 

すると、みるみるうちに暁ちゃんは目に涙を溜め始め、ふるふると全身を震わせていた。

 

「「「あっ…」」」

 

「うえぇ〜ん!諸星さ〜ん!」

 

「よしよし、痛かったね。…三人とも、ちょっとやりすぎかな?」

 

「すまない暁…つい本気になってしまった…」

 

「どこか怪我はない?」

 

「ごめんなさいです…」

 

「ほら、三人とも謝ってくれたから、暁ちゃんも許してあげてね?」

 

「グスッ…わかったわ…」

 

一応仲直りをさせ、しばらく落ち着くまで暁ちゃんを撫でた後、俺はその場を後にした。

ちょっとトラブルがあったが、豆撒きは順調に進んでいた。ただ、中には先輩格の人に豆を投げるのを躊躇っていたりする娘もちらほらいたが、結局は軽く投げたりしてその場を済ませたりしていた。

ただ、怯え方が普通じゃない娘もいたけど、妙高さんや神通さんってそんな怖いのか?見当もつかないな。

あと、セッツブーンとかセツブンガーとか、よくわからない言葉を発してる海外艦の人達がいたけど、節分のことだよね?正しい言葉を教えたけど。プリンツちゃんが元らしいけど、他にも変な日本語教えてないよね?

 

さて、蓮也はどこに…っていた。うわ、めっちゃ追いかけられてる…。というか、何その避け方⁉︎後ろに目でもあるのかってレベルで避けてねぇか⁉︎

 

「ははははははっ‼︎人間の僕に当てられないなんてノーコンもいいとこじゃな〜い?」

 

その言葉に艦娘達はビキィ! と青筋を立ててさらに追いかける。いや待て、なんかこっちに向かってきてね⁉︎

 

「待て!こっち来んな!」

 

「お、ジャックじゃん」

 

「隙あり!鬼は外ッ‼︎」

 

一瞬歩幅を遅らせた蓮也の隙を突いてみんなは一斉に豆を投げつける。そしてそれが当たるかと思った時ーー

 

「やべ、よっと」

 

「え?」

 

あろうことか蓮也は俺の体を掴んで艦娘達の方に向ける。当然、豆は俺に向かい、

 

「あだだだだ⁉︎蓮也てめぇっ⁉︎俺を盾にすんな!」

 

何これクッソ痛え‼︎石でもぶつけられたようなレベルだぞこれ⁉︎

 

「近くにいたお前が悪い♪じゃあな〜」

 

呆然とする艦娘達をよそに蓮也はどこぞの脱獄ライダーみたいなセリフを吐いて走り去っていきやがった…。

 

「す、すまん諸星さん。大丈夫か?」

 

「かなり痛いですが、大丈夫ですよ。それと摩耶さん、これホントに豆ですか?」

 

「あ〜、アタシら艦娘って力あるからさ、結構当たると痛いんだよな。にしても提督のやつ、酷いことするな。諸星さん盾にするなんてよ」

 

「俺が許しますんで一回あいつとっちめていいですよ?むしろしてください」

 

「諸星さんも苦労してんだな…」

 

そんなことを愚痴っているうちに時間となり、俺たちは食堂に集まる。するとそこには蓮也が悠然とした態度で椅子に座っていた。

 

「よっ!お疲れさ〜ん。結局は僕に豆を当てた奴はいなかったね〜残念でした♪」

 

一瞬ぶん殴ってやろうかと思ったが、料理がすでにテーブルに置いてあったのでここはグッと堪えることにした。あとで覚えておけよ…!

ぼちぼち集まってきたところで蓮也はみんなに呼びかける。

 

「今年の方角は北北西だから、全員北北西を向いて…いただきます」

 

「いただきます」

 

それからしばしの間、無言で恵方巻を食べはじめる。間宮さん達が作っただけあり、味は申しぶんないのだが…みんなが恵方巻を食べてる姿を見ると変な方面に思考が向くのはおれの心が汚れているに違いない。彼女達が食べてるのは普通の恵方巻だ、それ以外の何物でもない。……とか考えていたら秋雲(呼び捨てなのは本人の希望である)が何やらスケッチブックに何か描いているのが見えるのだが…。

それに蓮也も気づいたらしく、恵方巻を食べ終えると真っ直ぐ秋雲に向かっていった。

 

「秋雲〜?一体何描いてるんだぁ〜?」

 

「ゲッ⁉︎え、あのですね、みんなが恵方巻食べてるのをスケッチしようかな〜と…」

 

「ほぉー、じゃあなんで恵方巻の形がアレみたいな形してんのかな〜?」

 

「あ、あの、これは…!」

 

「はい没収。それと罰として掃除場所追加な」

 

「うええぇぇ⁉︎」

 

うん…これは…自業自得かな。そういえば、豆は歳の数食べるみたいだけど、艦娘達はどうなるんだ?

普通に考えれば七じゅ……考えるのはやめておくか。




節分回にしてみたのですが、いかがでしたか?
次はバレンタイン回か…でもその前に一話くらい書きたいし、他の更新もあるからな…(遠い目)ま、頑張っていきます。
ではまた次回まで。

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