それと、つけ忘れたタグを付け足しました。
鎮守府生活が始まってから一日目、午前は特に誰も来ず、思ったより来なかった事に安堵していたところで、最初に来たのは大淀さんであった。
「どうかしましたか?」
「いえ、ちょっと聞きたい事が…。提督って、昔からあんな感じなんですか?」
「あんな、と言うと?」
「とりあえず、来てみればわかります。」
大淀さんに言われるまま執務室まで行くと、蓮也は椅子に深く座って読書をしていた。
「ん?おおジャックじゃん。どったの?」
「どったの?、じゃねぇよ。お前、提督の仕事はどうしたんだよ?あと、ジャックって呼ぶな。」
「それなんですが、そこに…。」
大淀さんが指し示したところを見ると、山積みになった書類があった。それを幾らか見ると、確かにあいつのサインが入っていた。待て、もしかして…!
「おい、これ全部やったのか?」
「そうだけど?」
「しかも、今日の書類だけじゃなく、明日の分まで全てやっていました…。」
「はぁぁ⁉︎ああ、そうだった、お前そういう奴だったな。てことは、この書類、内容も覚えてるだろ?」
「うん、それの一行目はーー。」
スラスラと蓮也は俺が持っていた書類の内容を暗唱し始めた。それが一字一句間違ってないことを確認すると、俺はため息をついた。
「相変わらずだな、お前の作業効率の良さは。」
「いやあ、それほどでも。」
そう、こいつは作業効率がとんでもなく良すぎるのだ。しかもやたら記憶力がいい。
よく学校で、夏休みの宿題を1日で終わらす!って奴が必ず一人はいるが、あいつはそれを日記など毎日つけるものを除いて本当に実行していた。しかも日をまたがずにだ。どうやらそれは今も健在らしい。
「大淀さん、心配しなくていいですよ。これがこいつのデフォですから。」
「いや、そうじゃなくてですね。これって秘書艦は必要なのかなと思いまして。」
「ん?必要だよ。君達秘書艦がいれば僕が書類とかをを取にいく手間が省けるからね。」
「は、はぁ…。」
「ちなみに、いつから始めた?」
「ん〜と、〇四三〇に起きて朝食を食った後トレーニングとかして、〇六〇〇から始めたかな?」
早速時刻が軍仕様になってるし。今正午過ぎだから、六時間くらい仕事してたのか。そりゃ終わるわな。てか、何読んでんだ?
「ああこれ?英語版『そして誰もいなくなった』。」
「それも相変わらずだな、英語版の本読むの。」
「読む?あ、読めないかぁ〜。ごめんごめんww」
「読めるわ馬鹿‼︎大卒ナメんな‼︎…大淀さん、相談はこれで解決しました?」
「ええ、まぁ。」
とりあえず悩みは解決したそうだし、食堂で昼食でも取るか。何より、これ以上こいつと話すとろくな事がない。
「さーて、僕もそろそろ昼食でも取ろうかな。食堂で。」
マジかよ…。こいつ、心でも読んでるのか?
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「いらっしゃいませ!空いてるお席へどうぞ〜!」
間宮さんの案内で俺は席に座るが、案の定蓮也は相席しやがった。まぁいい、まとまってた方が向こうとしてはいいか。
「ご注文は何になさいますか?」
メニューを見るとなるほど、今日は麺類の日か。
「あ、俺は温玉うどんの温かいので。」
「僕はカルボナーラを。それと、
「かしこまりました。少々お待ちください。」
「本当好きだな、
「僕にとって欠かせないからね、
注文が来るのを待っていると、金剛型姉妹がやって来た。どうやら彼女達も昼食らしい。…待て、嫌な予感がするのだが。
それをよそに金剛さんはこちら、というよりは蓮也を見つけた。
「ヘーイテートクゥー!テートクも諸星さんとlunchtimeデスカ?」
「まぁな。それより、こいつの事はさん付けじゃなくてもジャックでいいから。」
「Why?何故jack?」
「こいつの名前、士だろ?それって十と一にできるだろ?だからジャック。だろ?」
「そう呼んでるのお前くらいだろうが。第一、俺はそれ認めてないからな?」
「そうなんデスカ。」
「そう言えば、司令の苗字って妃で、クイーンてなりますよね?なら、『キング』ってアダ名の人はいるのですか?」
「Oh!それならトランプの絵札になるデース!」
比叡さんの質問を聞いた俺らは気まずそうな表情で顔を見合わせた。
「あー…いるには…いるんだよね。」
「僕は
「?」
金剛さん達が首を傾げてるなか、榛名さんが今度は質問して来た。
「あの、提督と諸星さんはどういった間柄なんですか?」
「僕とジャック?幼馴染っていうか、ぶっちゃけ従兄弟だよ。僕の父さんの姉の子がジャック。」
「へー、従兄弟なんですか。」
「てめっ!何故それ言った!」
「だって聞かれたから。」
こいつ、一番言われたくない事言いやがった!そう、こいつと俺は従兄弟だ。しかも、俺の方が歳は一個上だ。歳下のこいつが出来が良すぎるもんだから、よく親やクラスメイトから比較されてたよ。それが高校時代のストレス要因でもあったわけたが。言っておくが俺は頭は悪くない、むしろかなり良い方だ。だが、こいつが規格外だからそうでもなく感じてしまうだけだ。ク○リンと孫○空的なやつと言えばわかりやすいか?
「 お待たせしました〜温玉うどんとカルボナーラです。」
「あぁ、どうも。」
料理が来たのでとりあえず話は終わらせるか。
…うん、給糧艦というだけあってか、美味いな。というより、洋食もできるのか。
「なぁ蓮也、それちょっとくれないか?」
「ん?嫌だ。欲しけりゃ自分で頼め。」
はいはいわかりました、別の日に頼むよ。
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「ふぅ、ご馳走さま。」
「ご馳走さま。美味しかったです。」
金剛姉妹が食後のティータイムをしている頃に俺らはほぼ同時に食べ終わり、伊良湖さんが食器を片した後、間宮さんが蓮也に頼まれていた
その理由はこの後わかる事になった。それと同時に、この鎮守府での歴史に大きく名を刻む出来事が起きるのであった。その原因となる
「お待たせしました。こちら食後のーーー
コーヒーです。」
「……What?」
途端に金剛さんの顔つきが変わり始めた。あー、嫌な予感があたりそうだ。蓮也はカップに口をつけ、コーヒーを一口飲んだ。
「…うん、香りも味も悪くないな。」
「テートク‼︎何て物飲んでいるのデスカ⁉︎そんな泥水飲む必要ないデース!」
「あ”ぁ…?泥水…だと…?」
あ、だから間宮さん耳栓してたんだ。ていうかマズイぞ、あいつの地雷を思いっきり踏み抜いちまった‼︎何で警告しなかったんだ俺⁉︎
「ふざけんな‼︎コーヒーをバカにすんじゃねぇ‼︎コーヒーには今てめぇが飲んでる紅茶にも負けず劣らずの歴史があるんだよ!そもそもコーヒーの始まりはなぁ…」
あいつは怒鳴り散らしながらコーヒーに関する色々な事を語り始めた。これには全員予想外らしく、目が点になっていた。
「ええっと、諸星さん?これは一体…?」
霧島さんが質問して来たのでとりあえずわけがわからない全員の為に答えておくか。
「見ての通り、あいつはかなりのコーヒー党でね。コーヒーバカにした奴は絶対許さないんだ。前にイギリス人ハーフの知り合いがあいつの前でコーヒーバカにしたら、ぶん殴られた後に泣きながらコーヒー専門店の前で土下座させられてた事があったよ。まぁ今回はさすがに殴りはしないよ。あいつ女に暴力はふるわない主義だし。」
「は、はぁ…。」
そうこうしてるうちに説教が後半に差し掛かったらしい。
「…そんな訳で二度とコーヒーをバカにすんな!第一!人が飲み食いしてる側で泥水とか言うんじゃない!わかったか!」
「はい…わかりマシタ…。」
「あぁ胸糞悪い!…ご馳走さまっ!」
蓮也は残ったコーヒーを飲み干すと席を立った。
「あ、あのテート…」
「話しかけんな紅茶女!」
捨て台詞を残し、蓮也は食堂から出て行った。金剛さんはというと、しばらく呆然と立ち尽くした後、こちらに振り返った。
「諸星さん?ワタシ、テートクに嫌われマシタ…?」
「あー…うん。間違いないと思うよ。」
それを聞いた途端に金剛さんはなんと、気を失って倒れてしまった。
「ちょっ⁉︎金剛さん⁉︎」
「お姉様⁉︎お気を確かに!」
そのまま金剛さんは姉妹達に医務室まで運ばれていった。
その日の午後、青葉ちゃんが書いた新聞に蓮也の事が載ってあり、その中に『なお、司令官はコーヒー党の事』と書いてあった。
青葉ちゃん…もっと早くそれを出してよ…。
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とある部屋の中にて、一人の人物が鼻歌を歌いながら荷物をまとめていた。
「今度から憲兵のお仕事か〜。しかも、勤め先の鎮守府には蓮也とジャッ君もいるみたいだし、楽しみだね〜。」
生き物か入った籠に向かい、その人物は話しかけていた。
この人物が後に士の悩みを増やしていくのだが、それはまだ先の話である。
蓮也の金剛に対する好感度が100下がった▼
ええ、察しの通りコーヒー党でした。
ちなみに今後の蓮也のスタイルはLOVE勢をぶった斬るスタイルにしてこうと思います。
最後の人物は話に出て来たキングのアダ名を持つ新キャラです。そこそこ濃いキャラにするつもりなのでお楽しみに。